日本のお墓に関するお金の話【お墓の相場についてまとめました】
公開日 : 2020/2/26
更新日 : 2020/9/9
お墓にはとてもたくさんの種類が存在し、それぞれにメリットとデメリットがあります。いざというときに困ったり損をしてしまうことがないようにお墓の特徴や相場について解説します。お墓の費用の元となる要素を組み合わせることで実際の相場が見えてきます。
公開日 : 2020/2/26
更新日 : 2020/9/9
目次
生きている以上、いつ何が起きるか分からない!
人はこの世に生きている以上、いつ何が起きてもおかしくありません。自分は健康だと思っていても、突然の事故や病気で命を落としてしまうことはあります。そんなもしもの時に必要になってくるお墓にかかる費用について、不安はあっても人には聞きにくいものです。
そこで今回は、お墓を準備する時期やそのお墓のタイプ、墓石に使われる石材の種類や産地など、他人にはなかなか聞きにくいお墓のことについて気になる部分をまとめました。
お墓はいつ準備するの?
お墓に費用が掛かることは知っているけど、いつ準備するのかは知らないという人は多いのではないでしょうか。お墓を購入する時期に関しては特に決まってはいないため、生前に購入している方もいれば、葬儀後に家族がお墓を購入する場合もあります。それぞれのメリットやデメリットを説明していきます。
なお、墓地によっては「納骨する遺骨があること」が購入の要件となっている場合があるため、検討している墓地が生前に購入することができる墓地かどうかをあらかじめ調べておきましょう。
生前に購入するメリット・デメリット
まず、生前に購入する際のメリットは大きく3つあります。1つ目は自分のお墓を自分で決めることができるということです。当然ですが、死後では自分のお墓を自由に選んで決めるということはできません。人によってはお墓の場所やデザインにこだわりを持っていることがあります。そういう場合は生前に自身で購入しておくか、家族に希望を伝えておくことが大切です。
2つ目は節税対策になるということです。お墓を購入するためにお金を残していたとしても、相続税の課税対象となり税金を納付しなければならなくなる場合があります。これは相続される財産の金額にもよりますが、生前に購入しておけば相続税は発生しません。
最後のメリットは残された家族への負担が軽減できるということです。1つ目のメリットであるお墓を決めることについても、残された家族にとっては負担となることが少なくありません。故人が亡くなって間もなくは色々としなければならないことがあり、バタバタしています。そんな中、すでにお墓が購入されているだけで家族の負担は大きく軽減されます。
続いて、生前にお墓を購入するデメリットについて説明します。生前に購入するため、実際にお墓が必要となる時まで期間が長くなることがあるということです。納骨していなくても購入したお墓の維持管理には毎年費用がかかります。そのため早くに購入し、期間が長くなればその分だけ費用が膨らむことになります。お墓が必要となる時期の予測は難しいですが、ある程度慎重な判断が必要といえます。
葬儀後に購入するメリット・デメリット
葬儀後にお墓を購入するメリットについて、一周忌を目途に購入する場合を考えます。一周忌の法要において、納骨と開眼供養を合わせて行うことができるということです。そうすることで家族は何度も足を運ぶ必要がなくなるため、手間や時間的な負担を軽減することができます。
デメリットとしては、一周忌に合わせようと計画していたのに手続きや工事の遅れで間に合わない可能性があるということです。何事も計画通りに進まないことはありますので、葬儀後にお墓を購入する場合はこのあたりも事前に想定しておく必要があります。
お墓にかかる費用の種類は?
新規にお墓を購入・建立する場合、おおまかな費用として「永代使用料」+「墓石工事費」+「管理料」が必要になります。ここではこれらがどういった費用で何のために必要なのかを説明していきます。
永代使用料
永代使用料(えいたいしようりょう)とは、墓地の場所代として霊園や寺院に支払うお金のことです。墓地はどこにでも建立できるわけではなく、各自治体から認可を受けた場所にのみ建立できます。
永続性が求められるため地方自治体や財団法人、宗教法人によって経営されています。また、永代使用料を支払った墓地は使用者・継承者が存在する限りその名の通り永代に渡って使用し続ける権利を取得しますが、継承者がいなくなった場合や管理料を支払えなくなった場合はその権利を失うことになります。
墓石工事費
墓石工事費(ぼせきこうじひ)とは、墓石代・彫刻費用・施工費の総額のことを指します。このうち、1番相場の幅が広いのが墓石代で、石の種類・使用料・デザインによって料金が大きく変わります。
石の種類はとても豊富で白系の石→色のある石→黒系の石の順に高価になる傾向があり、外国産か国産かなど産地によっても価格帯に差が見られます。石のデザインは一般的なものもあれば、細部にこだわって装飾をあしらったようなオーダーメイドのものもあり、まさにピンからキリまでといった感じです。
管理料
管理料とは、墓地運営のために霊園や寺院へ支払う費用のことです。例えば、墓地内の手洗い場や水汲み場の維持管理費、電気代や水道代などの費用に充てられることが一般的で、管理料は使用し続けている限り、納める必要があるお金です。
その金額は年間数千円~数万円と墓地を管理する霊園や寺院によって異なります。これは、墓地の立地次第で管理にかかる費用が異なるためです。支払いについては毎年1回まとめて納めるケースが多いようですが、数年分をまとめて納める場合もあります。
お墓タイプとその相場は?
お墓のタイプに応じてその価格は大きく変動します。ここではその価格の相場を整理していき、それぞれのタイプに応じた相場価格を紹介していきます。
合同墓・共同墓
合祀墓(ごうしぼ)・合葬墓(がっそうぼ)とも呼ばれ、焼骨を取り出すと血縁の有無に関わらず、他人の遺骨と一緒に埋葬する方法です。寺院などで永代的に供養してくれることから永代供養墓ともいわれます。
合同墓・共同墓には個別の納骨スペースはなく、毎年の管理料もかからない場合が多いです。金額の相場は10万円~20万円程度であるため、お墓のタイプとしてはとても安価なタイプといえます。
この埋葬方法がこれだけ安価な1番の理由はお墓に占有スペースは一切なく、共有のお墓として使用されることから施設側にとっても場所を取らない埋葬方法になっているためです。
樹木葬
樹木葬とは墓石を建てる代わりに樹木を植えて墓標とするものです。日本での歴史は浅く、1999年に岩手県の寺院で行われたのがそのはじめと言われています。墓標となる樹木のことをシンボルツリーと呼び、サクラやハナミズキが多く選ばれます。
一般的に墓石代がかからないため、樹木葬の費用相場は約30万円~と比較的安価になっています。しかし、墓石を使用する場合があり、その場合の費用は100万円以上必要になります。
また、樹木葬の形態も様々で最近では花木を豊富に植えたガーデニング葬というものもあり、価格帯にも幅が出始めています。
納骨堂
納骨堂とは霊園や寺院の建物内にある専用スペースの区画を借りて遺骨を管理するお墓です。納骨堂の建物にはたくさんの区画が用意されており、そのうちの一つを借りて遺骨を納めることができます。その他のお墓よりも墓地の敷地が少なくて済むため、敷地の確保が難しい都市部などでは増加傾向にあります。
また、大きな特徴の一つとして納骨堂は屋内の施設であるということです。そのためお参りの際に季節や天候を気にする必要がなく、雨風でお墓が傷むという心配もいりません。ただし、ろうそくや線香の使用ができなかったり使用に制限がある場合もあります。
納骨堂にもいくつかのタイプがありコインロッカーのような個別のスペースを持つロッカー式や、仏壇のスペースが確保されている仏壇式、位牌型の入れ物の中に遺骨を収納して安置する位牌式、最近では建物奥に安置されている遺骨を機械で操作してお参りスペースに持ってくる自動搬送式などが挙げられます。
納骨堂には永代供養料と管理費が必要となり、平均相場は50万円程度ですが10万円~100万円ほどの幅は存在します。また、一人分の納骨ではなく親族で使用する場合などはスペース自体が大きくなるため費用も50万円~200万円と大きくなります。
従来型の継承墓
昔ながらで一番なじみがある方も多い従来型の継承墓です。継承墓とはお墓を代々受け継いでいく埋葬形式です。継承墓は主に和型墓石・洋型墓石・デザイン墓石と3種類で構成されています。
和型墓石
和型墓石はお墓のなかでも古来より日本で親しまれてきたお墓の形式のため日本でお墓といえば、この和型墓石をイメージされる方が多いのではないでしょうか。お釈迦様の遺骨を納めている仏舎利塔や五輪塔を簡略化して作られているため背が高いという特徴があります。
和型墓石は複数の石材を組み合わせて作られており、その一つ一つに役割があります。その名称は竿石・上台・下台・香炉・水鉢・花立などがあります。費用相場は100万円~200万円と大きな幅があります。
洋型墓石
洋型墓石は形や文字に決まりがないため、デザインも含めて自由に設計できるという特徴があります。そのためスタイリッシュで斬新なデザインを好みで作ることができます。しかし、その反面で親族の同意が得られなかったり、好みのお墓を作ってくれる石材店が少なかったりするデメリットがあります。
また、墓地によっては洋型墓石を規制しているところもあるため、検討されている方は事前の確認が必要です。洋型墓石を選ぶ人の割合には地域差が大きくあり、東日本では洋型が選ばれる割合が高く、特に首都圏ではお墓の65パーセント以上は洋型になっています。
その一方、西日本では和型墓石がいまだに80パーセント近くを占めています。費用相場は和型墓石と同じく100万円~200万円となっています。
デザイン墓石
デザイン墓石は洋型墓石よりも自由度が高く、形や彫刻などのデザインにアレンジを加えて絵やメッセージを入れることもできるため個性的なお墓を建立することもできます。しかし、こちらも洋型墓石と同様に規制している墓地があります。
また、球型やハート型の墓石を建てることができるため自分だけの世界にひとつの墓石を残すことができることが魅力です。アレンジできる項目が多いため、相場はありませんが他のお墓と比べてオリジナル要素が多ければ多いほど費用は高額となります。
夫婦墓
夫婦墓とはその名の通り夫婦だった二人が入るお墓のことです。そして、夫婦二人だけが入るため、子孫は入らず継承はされていきません。通常、墓石には家名ではなく夫婦名前が刻まれます。永代供養の夫婦墓では夫が亡くなってから33回忌、長い方では50回忌まで個別安置され、その後合葬されます。
夫婦墓のメリットとして、費用の支払い後は寺院がお墓の管理をすべてしてくれるということや、二人だけで完結するお墓であるということです。そのため、親族が住んでいない土地に建てることもでき、あとに残された子どもたちに負担をかけない方法でもあります。
夫婦墓の種類には、のちに永代供養される個別墓や二人で一つの区画を使う樹木葬、二人で一つのスペースを使う納骨堂があり、費用相場は個別葬が30万円~150万円、樹木葬が40万円~100万円、納骨堂が60万円~100万円と様々です。
結局お墓の費用って何で決まるの?
ここまでお墓に関する費用について解説してきましたが、どのお墓の種類でも相場に大きな開きがありました。それは、お墓の種類以外にも費用が大きく変わる要因があるということを意味しています。ではどういった要因からお墓にかかる費用に違いが出ているのでしょうか。
まず、使用する石材の量が増加するにつれて材料を多く使うことになります。そのため、材料費が上昇します。一般的には洋型墓石よりも和型墓石のほうが石材を多く使用するため、その分だけ材料費が高額となります。墓石の形や大きさを自由に設計できる場合は石材の量を減らすことで費用を削減することにも繋がります。
そして、墓石に使用する石材がどの地域で採石されたものかということもお墓の費用を決める大切な要素となります。中国産の石材は安価に使用できますが、それに対して日本国産は少々高価になる傾向があります。また、日本国産の石材のなかでも香川県の庵治石(あじいし)のようにブランド化されているものは墓石の金額が数倍になる場合もあります。
お墓の相場まとめ
これらのことから安価なお墓は10万円代、高価なお墓は200万円程度、平均的なお墓の相場としては100万円程度であると言えますが、墓地に墓石を建てることは土地に家を建てることと同様に、地価が高ければその墓地の相場は上がります。よって過疎地域よりも都市部のほうがお墓の相場は高くなるため、最終的には各要素を総合的に勘案する必要があります。
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