香典返しは半返し?三分の一返し?相場・タイミングや選び方もご紹介
公開日 : 2021/1/20
更新日 : 2021/1/20
香典を頂いたら、お礼の意味を込めて「香典返し」を送ります。香典返しはどれくらいの金額を目安に準備すれば良いのでしょうか。また、送るタイミングや送るものはどのように選べば良いのでしょうか。香典返しの相場を始めとして、香典返しに関する様々な疑問にお答えします。
公開日 : 2021/1/20
更新日 : 2021/1/20
目次
香典返しとは?
葬儀が行われる際、参列者は香典を包みます。この香典には、遺族の葬儀の負担を助けるという、いわゆる相互扶助の意味合いがあります。「お身内が亡くなって急な葬儀で大変でしょう、少しでも足しにしてください」という気持ちを表すものなのです。
香典を受け取った側は、無事に葬儀が終わったことへの感謝の意をこめて、香典をくださった方に香典返しを送ります。香典と香典返しは、労わりと感謝の気持ちのこもった美しい風習といえます。
香典返しと混同しがちなもの
香典返しのほかにも、葬儀に参列した方や手伝ってくれた方にお金や品物をお渡しすることがあります。その違いや相場をしっかり押さえておきましょう。
会葬御礼
会葬御礼とは名前の通り、お通夜や葬儀に参列した方へのお礼の気持ちを込めて送るものです。相場は500~1000円程度で、お茶やハンカチのような軽くて持ち帰りやすく、普段の生活に使いやすいものが喜ばれます。
香典返しとは異なり、香典の有無に関係なく参列者全員に配るものですので、混同しないように気をつけましょう。
葬儀を手伝ってくれた方への御礼
香典返しとは別に、葬儀を手伝ってくれた方にはお礼をお渡しします。自治会など近所の方が手伝ってくれた場合は、慣習に従ってお礼を用意します。分からない場合は自治会長などに聞いてみると良いでしょう。
一般的には受付や帳場の手伝いをしてもらった場合は1000~3000円程度、世話役を務めてもらった場合は5000~1万円程度で、お菓子などの品物もしくは現金をお渡しします。
香典返しの相場
昔は葬儀といえば親戚や近所の人が集まってささやかに行うものでした。そのため香典返しの相場も地域差があり、関西では香典の3分の1返し、関東では半返し(2分の1返し)が主流となっていました。
しかし現在では、さまざまな場所から親戚や友人が集まることも増えています。また企業の社長や大きな功績を残した人が亡くなると、それこそ全国各地から弔問客が訪れることになります。そうした中で香典返しの相場は段々と統一化され、現在では半返しが主流となっています。
この半返しの風習が生まれたのは、昔は葬儀を行うと香典の半分くらいのお金が残ることから、それを菩提寺に寄進したり、お世話になった方にお礼として送ったりすることに使われていたためであると言われています。
【参考】香典の相場
香典返しの相場を知るためには、香典の相場を知っておく必要があります。一般的に、香典は3000円、5000円、10000円のいずれかになることが多いです。近所の人であれば3000円、親戚や友人、知人は5000円、特に近しい親戚は10000円と考えておくと良いでしょう。しかしもちろん地域や家風によって変わりますので、近所の人や年上の親戚に聞いて香典の相場を押さえておきましょう。
香典返しを渡すタイミング
香典返しはタイミングを誤ると却って失礼になってしまうこともあります。原則として忌明けに送りますが、現代では当日返しが一般的になりつつあります。それぞれのメリットとデメリットをご紹介します。
当日返し
当日返しは葬儀の受付で香典を受け取った際、その場で香典返しを渡すことをいいます。メリットとしては、帳簿を作る必要がなく手間がかからないこと、後日送る場合の送料が必要ないという点が挙げられます。特に地域の結びつきが強く、葬儀に自治会など近所の方が多く来られるという場合は、こちらの方法を取ると香典返しに手間がかかりません。
また、意外と見落としがちなメリットが相続税における所得控除の対象となるという点です。当日に香典返しを渡した場合、その費用は全額葬儀代金に算入することができるため、相続税の節税につながります。
香典は大まかに分けると3000円、5000円、10000円のいずれかになる場合が多いです。そのため3000~5000円の香典を頂くことを想定し、1500~3000円程度の香典返しをまとまった数用意しておきます。葬儀社に相談すれば、適した香典返しを準備してくれます。
デメリットは、当日返しの習慣がそもそもない地域があること、高額の香典をもらった場合は後日改めてお返しをする必要があり、場合によっては二度手間になるという点です。
忌明けに返す
本来香典返しは忌明けに送るものです。仏式における忌明けとは、四十九日法要を終えた後のことを指します。
当日返しとは逆に帳簿に記録をしておく手間はかかりますが、もらった香典の額にあった香典返しを準備できるというメリットがあります。経済的なデメリットとしては、遠方の方に送る場合送料がかかる、葬儀代に含まれないため相続税の所得控除対象にならないという点があります。
このように当日返しと忌明けの返しにはそれぞれのメリットとデメリットがありますので、参列者の数や予算、地域の慣習などによってどちらが良いか選択するのが良いでしょう。
忌明けの返しの例外パターン
先ほどご紹介した通り、香典返しは当日もしくは忌明けに渡すのが一般的です。しかし、やむをえない事情がある場合は、忌明けの前に香典返しを行っても構わないとされています。
例えば、会社の上司や同僚に香典をもらった場合、忌引きが明けて初めて出社する際、休みをもらったことへの感謝の気持ちも込めて香典返しを渡すというケースもあります。また、忌明けが正月にかぶる場合も、忌明け前に香典返しを送る場合があります。
また、逆に葬儀後の片付けや手続き、香典返しの準備に手間取り、忌明けを大幅に過ぎて香典返しを送ることになる場合もあるかもしれません。忌明けから一か月を過ぎて香典返しを送る場合はお詫びの言葉を添えて送るようにしましょう。
特にしきたりを大切にする方は、忌明けの前や忌明けを大きく過ぎてからの香典返しを不作法だと考えることもありますので、渡すタイミングには十分に気をつけましょう。
【状況別】香典返しの方法
先ほどご紹介した通り、香典返しは、香典をくださった方一人ひとりに、香典の半額程度を目安にして送るのが原則です。しかし、非常に高額な香典や連名での香典など変則的な状況で香典を受け取った時、どうすれば良いのか迷ってしまうかもしれません。そうした状況をいくつか挙げ、その対応方法についてお話します。
高額の香典をいただいた
先ほどご紹介した通り、香典の金額は3000~10000円が一般的です。しかし、時にそれを超える高額の香典を渡される場合があります。戸惑ってしまうかもしれませんが、まずはその方がどのような気持ちを込めて高額の香典を送ったかを考えましょう。
高額な香典の背景には遺族を経済的に応援したい、亡くなった方に大変お世話になったのでお礼がしたいといった送り主の意図があります。いずれにせよ、思いやりや感謝の気持ちを込めた結果の金額ですので、ありがたく受け取りましょう。
その場合、半返しにこだわる必要はなく、4分の1~3分の1を目安として香典返しを送ると良いでしょう。また、年上の親戚が高額の香典をくれた場合は節目ごとに近況を知らせたり、写真を送ったりすると喜ばれるかもしれません。相手の立場に立って、どうすれば相手を安心させ、喜ばせられるかを良く考えて対応することが大切です。
会社から香典をいただいた
会社によっては福利厚生の一環として、結婚式や葬儀の際に金一封を包むというところもあります。その場合、香典返しは必要ではないとされることが多いようです。ただし必ずしもそうであるとは限らないので、前例を確認しておくと良いでしょう。
また、個人名で香典をもらった場合は、その方に香典返しを渡します。金額も原則と同じく香典の半額程度が良いでしょう。
香典の送り主が連名だった
会社の同僚や友人一同から連名で香典をもらった場合は、個人名が書かれているか、金額はいくらかを確認します。個人名が書かれている場合は、香典返しのルールに則って一人ひとりに半返しをします。
「○○課一同」のように個人名が書かれていない場合は、小分けできるお菓子などを準備し、出社した際に配るなどすると良いでしょう。
また、一人あたりの金額が1000円程度の場合は、関係性によっては香典返しをしなくて良いこともあります。その場合でもお礼状を送ったり、何らかの折にお菓子などささやかなものを渡すなどして感謝の意を示しましょう。
供花や品物をいただいた
香典の他に供花や品物をいただいた場合は、その金額を加味して香典返しの金額を決め、忌明けに香典返しとしてお返しをします。
香典はなく、供花や品物だけをいただいた場合はお礼状を送ります。この場合は忌明けを待つ必要はありません。お返しとして品物を送るのであれば、忌明けに香典返しと同じタイミングで送っても良いですが、お礼状だけでも早めに送っていおいた方が良いでしょう。
香典返しを返さなくて良いケース
香典をもらったら香典返しを送るのがマナーですが、条件によっては返さなくて良いケースもあります。その具体例をいくつかご紹介しましょう。
今後の出費が大きい
冒頭でご紹介した通り、香典には元々相互扶助の意味合いがありました。葬儀はもちろんのこと、これからの生活を支えるための資金として香典を使うというのは、本来の意味にのっとったものであり間違いではありません。
例えばその家庭で主に収入を得ていた夫が亡くなり、子供がいて家計が困窮しているという場合は、香典返しを返さなくても良い場合もあります。その場合もお礼状を書いてその旨を記し、お詫びと感謝の意を示すことが大切です。
香典返しを辞退された
香典を送った方が香典返しを辞退するというケースもあります。無理に香典返しを送ると相手の気持ちを害してしまうことになりかねません。ありがたくお受けし、お礼状を送ったり、お歳暮やお中元のタイミングを見計らってさりげなく贈り物をしたりする方がスマートです。
香典返しを行わない地域もある
香典返しを行わないという地域もあります。例えば北海道、東北、北関東では伝統的に香典返しの慣習がない地域もあるようです。また、自治体によっては冠婚葬祭の簡素化が奨励され、香典返しを行わない、もしくは少なくするという動きも見られます。
基本的には地域の慣習に従います。分からない場合は同じ地域の年上の人に聞いてみると良いでしょう。また、他地方から参列する方には、事前に香典返しをしないことをお知らせしておくとトラブルを防ぐことができます。
香典を寄付した
香典を社会福祉協議会などに寄付するという場合、香典返しを送る必要はありません。ただし、香典をくださった方に香典を寄付することを報告し、理解を得る必要があります。
事前に香典を寄付することを決めている場合は、挨拶状にその旨を記載しておきます。事後報告になるのであれば、寄付先と金額、寄付した理由(故人の遺志など)を書き添えてお礼状をお送りすると理解を得やすいでしょう。
香典返しには何が良い?
香典は現金で渡すのが一般的ですが、香典返しは品物でお返しします。香典返しの品物として必要な要素は消耗品であるということです。後に残るものは葬儀や死の悲しみを後々まで残すということにつながり、好まれません。
もっともスタンダードなのは食べ物・飲み物です。お菓子やお茶、コーヒー、調味料などが香典返しとして良く用いられます。食べ物であれば何でも良いわけではなく、かつおぶしのような慶事を連想させるものや、腐りやすいものなどは避けましょう。
また、タオルやハンカチのような日用品も好まれます。そういったものの中から、金額や返すタイミングに合わせて適したものを選びましょう。
即日返しの場合
即日返しの場合は、特に「軽い」・「かさばらない」・「小分けできる」という点を重視して選ぶことが大切です。直接受け取り、持って帰るものですから、持ち運びしにくいもの、重いものはふさわしくありません。
お茶やハンカチの他、小分けになったインスタントコーヒーやコーヒーシュガーなどが一般的です。
忌明けに返す場合
後日返す場合は、「自分では買わないけど、もらったらちょっと嬉しい質の良いもの」を重視して選ぶと良いでしょう。和菓子や焼き菓子のようなお菓子、調味料や食用油なども良いですし、上質のタオルや毛布なども喜ばれます。
迷う場合はカタログもお勧めです。送られた方が自分で好きなものを選べるので、好みと違うものを送ってしまった、という心配もありません。ただし、高齢の方の中には頼み方が分からない、手を抜いているようで不快と思う方もいますので注意が必要です。
香典返しとして商品券を送っても良い?
カタログもそうですが、商品券も送った相手が好きな物を購入できるので良いと思うかもしれません。香典返しに商品券を送るのはマナー違反にはならないのでしょうか。
現在のところ、香典返しに商品券を送るのは好ましくないと考えられています。その理由は以下の通りです。
- 香典返しに限らず、商品券は目上から目下に送るものなので、特に目上の方に商品券を送るのは失礼に当たる。
- 「半返し」が一般的なルールとは言え、金額がはっきり分かってしまう商品券を送るのは露骨過ぎる印象を与える。
ただし、友人や年下の親戚など、相手との関係によっては商品券を送っても良い場合もあります。相手の性格や関係性を考慮して個別に判断するようにしましょう。
香典の相場についてまとめ
香典返しの相場やお返しするタイミング、選び方についてご紹介しました。香典返しはいただいた香典の半額返しが一般的ですが、もちろん例外もあります。そういった時どうすれば良いか迷ってしまうかもしれませんが、香典をくださった方へ感謝の気持ちを示すことを重視して判断すれば問題ありません。
香典と香典返しは助け合いの一環であり、人の心をつなぐ大切なものです。一般的なマナーを押さえつつも、その上に相手を思う気持ちを添えて、心を込めてお返しをしましょう。
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