ホスピスの費用はどのくらい?内訳や緩和ケアとの違いも解説

公開日 : 2020/9/18

更新日 : 2022/6/3

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ホスピスの費用は高いと思っている人が一定数存在します。しかし、費用の内訳を知ればホスピスの費用は安く抑えることも可能です。この記事では、ホスピスの費用・緩和ケアとの違い・生活保護について解説するので、ぜひ参考にしてください。

公開日 : 2020/9/18

更新日 : 2022/6/3

目次

ホスピスとは

そもそもホスピスとは、どういう意味なのでしょうか?ホスピスの費用について解説する前に、まずはホスピスそのものの歴史などについて紹介します。

発祥はヨーロッパ

ホスピスの発祥はヨーロッパです。中世のヨーロッパでは、教会で旅の巡礼者を宿泊させるということが頻繁に行われていました。しかし、訪れるのは健康な旅の巡礼者ばかりではありません。中には体調を崩したり怪我をしたりしている巡礼者もいました。

 

病や怪我で苦しんでいる巡礼者のことを、教会が完治するまで治療をしていたという歴史があります。病院代わりになることを教会が行っていた背景があり、看護施設という役割も同時に担っていた教会のことをホスピスと呼ぶようになりました。これが現在のホスピスの前身です。

日本で最初のホスピス病院は大阪

日本で最初にホスピス病棟が設けられたのは、大阪です。1973年に淀川キリスト病院でホスピス病棟が開設され、ホスピスケアの提供がスタートしました。その後、1981年に静岡県浜松市にてホスピス専門病院として聖隷三方原病院が開院します。

 

ホスピス専門の病院として開院したのは、この病院が最初でした。やがて公的な機関もホスピスケアに乗り出すようになり、全国の国公立病院にホスピス病棟を設ける動きが広がり始めました。この動きは現在も続いています。

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ホスピスと緩和ケアの違い

ホスピスと混同されがちな医療サービスとして、緩和ケアが挙げられます。ホスピスと緩和ケアは、対象者や医療サービスの提供に大きな違いがあります。2つが混同されるのは、日本の医療制度に原因があります。

 

日本では明確にホスピスと緩和ケアの区別ができていませんが、ヨーロッパやアメリカなどでは、ホスピスと緩和ケアには明確な違いがあります。その違いについて紹介します。

緩和ケア

緩和ケアには、苦しみを和らげるという目的があります。対象となるのは、痛みなどの慢性的な苦しみがある患者です。そのような患者は、心のケアも必要としています。緩和ケアでは、身体面だけではなく精神面にも働きかけて、穏やかな気持ちで医療サービスが受けられるようにサポートします。

ホスピス

ホスピスは残り少ない余命を穏やかに過ごしてもらうことが目的であるため、対象となるのは余命が残り少ない患者です。例えば、余命宣告をされた人が残り少ない人生を後悔せずに過ごすことができるようにサポートします。

 

ホスピスを利用するタイミングは患者の症状や気持ち次第によるものが大きく、入院条件に関しても各病院により基準はさまざまです。海外の場合は、患者の体調を見ながら本人がやりたいと思っていることを思う存分させてあげる、といったサービスも提供しています。

ホスピスの費用の内訳

一口にホスピス費用といっても、その中身にはさまざまな費用が含まれています。ホスピス費用は最小限に抑えることが可能ですが、そのためには具体的な内訳を知っておく必要があります。ここでは、ホスピス費用の内訳について解説します。

1日に必要な費用区分

ホスピス費用をシミュレーションする場合、目安にするのは1日に必要な費用です。具体的なホスピス費用の内訳については、以下の通りです。

 

入院料(自己負担分)+食費(1日3食分)+差額ベッド料

 

上記の中で保険が適用されるのは、「入院料」と「食費」です。意外かもしれませんが、病院で提供される食事の費用は保険が適用されています。

 

一方、差額ベッド料は保険が適用されません。また、差額ベッド料については病院によって金額が異なり、金額が高い病院の場合は、それだけ全体的なホスピス費用が高額になります。

入院料は定額制の場合もある

ホスピス費用の内訳にある「入院料」は、入院施設によっては定額制になるケースもあります。定額制の対象になっているのは、厚生労働省が認定した施設です。入院料が定額制になると、1日当たりの費用は最大で40,000円弱です。

 

実際にかかる入院料は加入している健康保険によって異なります。40,000円は高いと感じる人もいるかもしれませんが、ホスピスを利用する人の場合、入院料はこれよりももっと高くなるケースもあるため、一概に高いとは言えません。

ホスピス費用のシミュレーション

ここでは、ホスピス費用のシミュレーションを見ていきます。具体的には、ホスピス費用として含まれる内訳のそれぞれの金額でシミュレーションを行います。あくまで一例であり、すべてのケースに当てはまるわけではありませんので、注意してください。

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入院費

入院費は基本的に決まっており、入院期間が長くなればなるほど、入院費の金額は下がっていきます。例えば1割負担の人の場合、30日以内では4,930円、31日以上60日以内なら4,400円、61日以上は3,300円です。

 

3割負担の人の場合を見ていきましょう。30日以内では14,780円、31日以上60日以内なら13,200円、61日以上は9,900円です。

 

上記はすべて1日にかかる入院費です。高額だと感じますが、日本には高額医療制度があります。この制度を活用することで、一定の金額以上に入院料がかかることはありません。高額医療制度については、以降の項目で詳しく解説します。

ホスピスの平均滞在期間

入院費は、長く病院に入院すればするほど安くなっていくという仕組みです。しかし、1つの病院にずっと入院できるわけではなく、法律では平均滞在期間が30日未満と定められています。それ以上は転院を余儀なくされます。

食費

食費については、1食360円と決まっており、どこの病院でも同様です。すべての病院で提供される食費は一律360円と定められています。単純計算で1日分は360円(1食分)×3回で1,080円です。これが1日分の病院での食費です。

 

なお、病院によってはメニューが大変豪華な場合もあります。それでも、食費は360円です。1日のメニュー表が張られている病院もありますが、内容が豪華だからといって食費が高くなることはありません。

差額ベッド料

1日のホスピス費用の大半を占めるのは差額ベッド料です。差額ベッド料の金額設定には特に決まりがありません。病院によって好きな金額を設定できるということです。一般的に都心部の病院の差額ベッド料は高めに設定されており、地方だと差額ベッド料は安めです。

 

また、ホスピス病棟が設けられている大部屋では差額ベッド料は0円というケースもありますが、0円の病室は人気が集中するため、先着順などで選ばれることが多々あります。

 

病院によって差額ベッド料金は異なります。仮に1日の金額が10,000円だったとすると、1か月のホスピス費用は差額ベッド料だけで30万円も必要ということです。

ホスピス費用の保険適用

ホスピス費用のシミュレーションについて解説しました。シミュレーションの金額だけで見ると、大変高額になると感じる人もいるでしょう。

 

しかし、日本には高額医療制度があります。この制度を活用することで、一定金額以上のホスピス費用を支払う必要はなくなります。また、生活保護を活用することも可能です。こちらも合わせて紹介します。

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高額医療

高額医療制度とは、一定の金額を超えた分については国から支給されるという制度です。この中に含まれるのは医療費や入院費のみです。食費や差額ベッド料は含まれませんので、注意しましょう。

 

ホスピス費用の場合は、入院費が高額医療制度の対象になります。高額医療に適用される上限は、対象者の年齢と年収によって異なります。

 

ただし、仮に3割負担の人がホスピスを利用した場合、約1週間程度で高額医療制度の上限に達します。残りの日数にかかる入院費については、国から支給されるので、支払う必要はありません。

生活保護

生活保護の需給を受けている人も、ホスピスの利用は可能です。医療費は生活保護で賄われます。また、食費などの自己負担分については減額が適用されます。ここで不安要素になるのは、差額ベッド料です。

 

生活保護受給者の場合、病院によっては差額ベッド料が不要の病室へ優先的に入院できるところもあります。生活保護を受給しているからといって、ホスピスが利用できないということはありません。多くの病院では生活保護受給者の受け入れも行っています。

ホスピス費用の金額は差額ベッド料で決まる

ホスピス費用は高額になると思っている人は一定数います。それは、差額ベッド料が高い病院が多数あるからでしょう。医療費については高額医療制度を活用することで抑えることが可能です。

 

ホスピスを利用する場合は、差額ベッド料をチェックしてみることをおすすめします。病院によっては0円のところもあるため、資料を取り寄せて比べてみましょう。