施餓鬼料の相場は?施餓鬼の意味や法要でのマナーを詳しく解説
公開日 : 2020/2/26
更新日 : 2022/6/25
施餓鬼料とは施餓鬼法要でのお布施のことです。本記事では施餓鬼料の相場、そもそも施餓鬼とは何か、施餓鬼法要では何を供養するのかを解説します。施餓鬼の意味や由来、施餓鬼法要を行う時期、お布施の書き方や包み方などについて詳しく解説しますので、参考にしてください。
公開日 : 2020/2/26
更新日 : 2022/6/25
目次
施餓鬼とは?
施餓鬼の「餓鬼」とは、無縁仏などの供養をされずこの世をさまよっている霊や、生前の欲深さの為に死後、餓鬼道に堕ちた霊をいいます。
施餓鬼とは、その餓鬼に施しを与える、供養をするということです。しかし、なぜ縁もゆかりもないこのような霊に対して供養を行うのでしょうか。
意味
餓鬼に施しを与える、餓鬼を供養するということが「施餓鬼」です。仏教では新盆などで自分の先祖を供養するのはもちろん、施餓鬼法要で餓鬼となった霊を供養することにより、さらに功徳を積むことができ、それが自分の救いになるという考え方があります。
ちなみに曹洞宗などの禅宗では、施す側と施される側に貴賎の差はないという考えがあるため、施餓鬼法要は施食会と呼ばれます。また、浄土真宗では死者の魂は死後、仏の御力により成仏し極楽浄土に行けると考えられており、餓鬼自体が教えには存在しません。そのため、施餓鬼法要も行いません。
由来
施餓鬼の由来は、「救抜焔口餓鬼陀羅尼経」(くばつえんくがきだらにきょう)という経典にあります。お釈迦様の弟子であり、いとこでもある阿難(アーナンダ)が、修行中突然あらわれた餓鬼に三日後に死ぬこと、餓鬼道に落ちることを告げられます。
そこでお釈迦様に相談したところ、お経を唱え、餓鬼に施しをするようにアドバイスを受けます。阿難はその教えの通りに供養を行うことで、たくさんの餓鬼を救い、自身も寿命を延ばしお釈迦様の弟子として生き続けることができたといわれています。
施餓鬼法要
施餓鬼法要は、餓鬼への施しとして食べ物や飲み物を供え、供養を行います。一般的にお盆(盂蘭盆会)にお寺にて日にちを決め、盛大に執り行うことが多いです。なお、僧侶に自宅に来ていただいて行うことも可能です。その場合は、お供え物の準備等を事前に確認する必要があります。
施餓鬼法要のお布施の相場
ここからは、施餓鬼法要のお布施の相場について解説します。施餓鬼法要自体は必ず行なわなければいけないものではなく、自分の意思で行うものです。行かない場合も問題ありません。そのため、無理をしない範囲でお布施を行いましょう。
寺院で行う場合
施餓鬼供養のみを行う場合の相場は、3000円〜1万円となります。お寺によっては金額が指定される場合もありますので事前に確認しておきましょう。また、卒塔婆を立てる場合は、お布施とは別に3000円〜1万円かかります。こちらについても、お布施と合わせて渡すのか事前に確認しましょう。
自宅で行う場合
自宅で施餓鬼供養を行う場合の相場も、お寺で行う場合と変わらず3000円〜1万円となります。また、自宅に僧侶の方に来ていただくため、お車代を合わせて渡します。お車代の相場は5千円〜1万円になります。
盂蘭盆会の法要と一緒に行う場合
盂蘭盆会(お盆)の法要と一緒に行う場合は、盂蘭盆会のお布施+施餓鬼供養のお布施となります。盂蘭盆会のお布施の相場は5000円〜1万円、施餓鬼供養のお布施の相場は3000円〜1万円ですので、合わせて8000円〜2万円です。卒塔婆を立てる場合はさらにプラスします。
盂蘭盆会と施餓鬼の違いは?
お盆の時期になると、お寺で盂蘭盆会の法要があります。また、棚経といってお坊さんが檀家に訪れてお経をあげることもあります。特に新盆では、棚経とは別にお坊さんを家へ呼んで新盆供養の読経をしてもらいます。
盂蘭盆会と施餓鬼はお寺でも家でも行う場合があり、特徴が似ています。しかし、施餓鬼はお盆の時期以外でも行うことができますが、盂蘭盆会を行うのはお盆の時期だけです。行事として似ていることから、一緒に行うことが多い傾向があります。
施餓鬼法要のお布施の書き方
お布施の文字を書く際は、一番良いのは毛筆ですが、筆ペンでも問題ありません。毛筆で書く場合は、薄墨ではなく黒の墨で書きましょう。
薄墨は、「故人が亡くなったことを悲しみ涙で薄くなった」、「突然の故人の不幸に準備が間に合わず薄くなった」といった故人や遺族への思いを込めて香典で使用します。お布施は、お寺に渡すものであるため、黒の墨を使用します。
表書き
表面中央上部には、「お布施」や「御布施」と書くのが一般的ですが、お寺によっては「施餓鬼料」や「施餓鬼供養料」と決まっている場合もあります。僧侶の方に謝礼として渡すものですので、事前にどの言葉を使えば良いか確認をしておくと間違いないでしょう。
表面中央下部には、〇〇家または自身のフルネームを書きます。
中袋・裏書き
お布施にも、ご祝儀や香典と同じように中袋を使用します。中袋には住所、氏名、金額を記入します。金額は、表面の中央または裏面の左側に書きます。住所と氏名は裏面の左下方に書きます。
金額についてですが、漢数字の大字で書く慣習になっています。通常の漢数字では「一」、「二」、「三」、「十」、「百」、「千」、「万」と書くところを、漢数字の大字では「壱」、「弐」、「参」、「拾」、「佰」、「仟」、「萬」と書きます。また、「円」という漢字も「圓」を使います。
これは、大事な金額の記載の改ざんを防ぐために昔から行われているものです。また、金額の数字の前に「金」と書くことも忘れないでください。例えば1万円の場合は「金壱萬圓」と書きます。
中袋が無い場合のみ、裏書きに住所、氏名、金額を記入します。中袋を使用しないのは、通常10,000円以内の少額のお布施を包む場合です。裏面の左下方に、住所、氏名、金額の順に横並びに記載します。
施餓鬼法要のお布施の包み方
お布施を入れる袋は、正式にはお金を半紙で包み、さらに奉書紙(ほうしょし)と呼ばれる紙に包むのが一般的でした。しかし、現在ほとんどの方は封筒を使っています。
奉書白封筒と呼ばれる白い無地の封筒、または「お布施」、「御布施」、「施餓鬼料」など印刷されている専用の包みが市販されていますので、これらを使用して問題ありません。
お布施には、一般的に水引は不要です。しかし、地域により異なる場合があります。また、専用の封筒を用意しているお寺もありますし、大規模な施餓鬼法要の場合は、お布施を裸のまま受付で渡すところもありますので、事前に確認することをおすすめします。
施餓鬼法要のお布施のお札の入れ方
お札の入れ方には決まりがあります。中袋の表とお札の表を同じにし、お札の顔が書かれている部分を袋の上部にくる向きに入れます。この入れ方は慶事の際の入れ方です。お布施はお寺に対するお礼として渡すものであるため、香典とは異なり慶事の入れ方と同様です。
また、お札は新札でも旧札でも問題ありません。できれば、お礼として渡すものですので新札で用意できると良いでしょう。ちなみに遺族に渡す香典の場合は、あらかじめ用意していたという印象を与えるのは失礼にあたるため、旧札または新札に折り目をつけます。
施餓鬼法要の服装
施餓鬼法要の服装は喪服や礼服ではなく、平服(略礼服)で問題ありません。平服(略礼服)といってもピンとこない方もいるかもしれません。平服(略礼服)とは、「礼装、礼服でなくても良い」服装になります。
具体的には、男性はスーツ、女性はワンピースにジャケットを羽織るかスーツになります。色については、やはり黒またはダークカラーのものにしましょう。
お寺のイベントとして盛大に行う場合、お盆の特に暑い時期ですので、あまり派手でない普段着で参加する方も最近では多く見受けられます。
他マナーと同様服装についても、お寺や宗派、地域で考え方が異なります。身近に参加したことがある方がいれば聞いてみましょう。もし迷う場合は、直接お寺に確認することをおすすめします。
施餓鬼法要は自身を見つめ直す良い機会
今回の記事では、施餓鬼法要とはどういったものか、お布施の相場、書き方、包み方、服装まで詳しく紹介しました。
施餓鬼法要は餓鬼への施しとして食べ物や飲み物を供え、供養を行います。この餓鬼というのは、無縁仏や、餓鬼道に堕ちた霊だけではなく、私たち人間誰しもにある欲深い心でもあります。
法要に参列する際はマナーに気を付けつつ、自身の日頃の行いについてもゆっくり見つめ直してはいかがでしょうか。
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