焼香台をこれから準備する方へ|種類や相場、使い方を徹底解説します
公開日 : 2021/3/19
更新日 : 2021/3/19
焼香台は葬儀や法要の際に欠かせない仏具です。焼香台にはさまざまな種類があり、また準備物も数多くあります。今回の記事では、焼香台を準備する際に知っておきたい買い方や使い方についてご紹介します。焼香台をこれから準備する方は、ぜひ参考にしてください。
公開日 : 2021/3/19
更新日 : 2021/3/19
目次
焼香台とは
焼香台とは、通夜・葬儀・法要において行なう「焼香」に用いる香炉や香合を置くための台のことです。仏壇やお墓でお線香を炊くことからも分かるように、良い香りはご本尊への捧げものであり、また故人様の供養にもなります。
良い香りを捧げることで自らの心身を清め、敬意と感謝を表す行為でもあります。また、線香やお香を焚くと煙が出るので、この煙によって仏様やご先祖様と対話をするという意味合いもあります。煙は部屋中に満ちることから、分け隔てのない仏様のお慈悲を表すともされています。
このように、焼香台は仏事に欠かせない大切なものですが、普段使わないものだけに、何をどのように準備すれば良いのか分からないという方も多いかもしれません。
今回の記事では、焼香台の選び方や入手方法、準備やお手入れの仕方についてご紹介します。これから焼香台を準備するという方は、ぜひ最後までお読みになり、参考になさってください。
焼香の方法
焼香台の選び方について解説する前に、焼香の方法を3種ご紹介します。焼香の方法によって選ぶべき焼香台が決まりますので、まずは想定される仏事において、どのような焼香をするかを考えてみてください。
立礼焼香
斎場における葬儀や法要で最も用いられることの多い方式です。祭壇の前に焼香台が置かれており、参列者は1人、もしくは数人ごとに並んで祭壇の前まで歩き、焼香を行います。
座礼焼香
座ったまま移動して焼香を行う方式です。畳のある部屋で葬儀や法要を行う際に用いられます。「膝行・膝退(しっこう・しったい)」という座ったまま膝をすり足のイメージで動かす独特の移動法で焼香台のある場所まで進み、焼香を行います。席から焼香台までが遠い場合は、中腰で移動することもあります。
回し焼香
葬儀や法要を行う部屋が狭く、焼香台を置く場所や移動のためのスペースが取れないという場合は、回し焼香を行います。高齢者が足が不自由な方など、焼香のための移動が負担になる場合に採用されることもあります。
抹香や香炉などを乗せたお盆を回し、各自が自席についたまま焼香を行います。焼香盆が回ってきたら軽く会釈をして受け取り、焼香を行った後次の人に回すという流れになっています。
本来焼香は祭壇や仏壇まで近づいて行うのが正式であり、回し焼香は略式とされています。しかし、北海道などでは回し焼香が一般的であり、マナーとして焼香台の回し方を習うなど、正式な方法として認識されている地域もあります。
焼香台の種類
焼香の方法を押さえたところで、次は焼香台の種類について見ていきましょう。部屋の大きさや焼香の方法などによって、適した焼香台の種類は変わりますので、最も合うものを選ぶようにしましょう。
焼香盆
焼香盆は小さなお盆に香炉や抹香を乗せるもので、回し焼香に使われます。黒塗りもしくは朱塗りの漆器、もしくは漆器を模した樹脂製のものが多いですが、モダン仏壇に合わせた陶製や木製のものもあります。
焼香に必要なスペースが充分になくても使えること、また机や台と比べると小さいため、収納がしやすいことがメリットです。また、相場は1000~1万円程度と、机や台と比較すると安価で購入できるのも魅力の1つです。
デメリットは、お盆を座ったまま手渡しするため、重かったり手が滑ったりして落としてしまうことがある点です。特に高齢の方が多い場合は注意が必要です。
お盆の両端に持ち手がついている、滑り止め加工をしているなど、落としにくい工夫をしてあるものを選びましょう。サイズは大小ありますが、落としにくいという点では小さくて軽い方が良いでしょう。
回し焼香台
先ほどご紹介した焼香盆はコンパクトであるというメリットはあるものの、回し焼香の際に落としてしまう危険性があります。心配な場合は、この回し焼香台を使うと良いでしょう。
回し焼香台はキャスターがついており、台を移動させて回し焼香を行います。祭壇や仏壇の前に置き、立位焼香や座位焼香に使うこともできます。高さはさまざまですので、立ったまま使うか座って使うかで選ぶと良いでしょう。また、高さが調節できる便利なタイプもあります。
高齢の方でも負担なく扱えるのが回し焼香台のメリットです。ただし、キャスターが壊れていると事故の原因になりますので、使う前にしっかりチェックしましょう。相場は2~5万円です。
経机・焼香机
立位焼香、もしくは座位焼香において仏壇や祭壇の前に経机や焼香机を設置し、そこに香炉や抹香を置いて焼香を行うこともできます。経机は仏壇の前に置く高さ20~30センチくらいの小さな机で、経本を読む際に使いますが、お鈴や香炉などの仏具を置くこともあります。背が低いため、座位焼香に適しています。
焼香机は焼香用の香炉や抹香を置く専用の机で、基本的には立位焼香に用いられます。普段は収納しておける折り畳み式のものや、お供えものを置く「お供え机」と兼用できるタイプのものが便利です。
価格はかなり幅があり、安価なものであれば数千円程度で購入できますが、塗や彫刻などが施された豪奢なものであれば10~50万円程度費用がかかります。
焼香に必要なもの
焼香台の中には、香炉や抹香など焼香に必要な物一式が含まれた「焼香台セット」もありますが、台だけで販売されていることもあります。その場合は自分で焼香に必要な物を揃える必要があります。また、焼香に必要な物の中には消耗品も含まれていますので、何が必要なのか把握しておきましょう。
香炉
仏具としての香炉は仏壇用、焼香用とあり、焼香用の多くは「焼香用角炉(しょうこうようかくろ)」と呼ばれるものです。長方形の香炉に仕切りがあり、右にお香、左には灰と炭を入れて使用します。
浄土真宗では「火舎香炉」を使います。火舎香炉は三脚がついた幅広い縁の炉の上に、宝珠形のふたを乗せたもので、ふたには煙出し用の穴が開いています。
香合(香入れ)
香合(香入れ)とは、お香を入れる蓋つきの小さな入れ物のことです。香炉とセットで販売されているものを買うと統一感が出ます。
香炉灰
香炉の中に入れて使う灰です。昔は自然灰が一般的でしたが、現在ではそれに加え、ガラスビーズや、アメジストやローズクォーツといった天然のさざれ石を香炉灰として使うこともあります。
ビーズや天然石は自然灰と異なり風によって散りにくく汚れにくいこと、洗浄して何度でも清潔に使えることがメリットです。特に決まりはありませんので、好みに応じて選ぶと良いでしょう。
抹香
焼香で使われる抹香とは、香木を刻んで混ぜ合わせた供香のことです。火種にくべて炊くほか、火種そのものとして使われることもあります。混ぜ合わせる香木としては、基本的なものでは白檀(びゃくだん)、沈香(じんこう)、丁子(ちょうじ)、鬱金(うこん)、龍脳(りゅうのう)の5種類があります。
火種
焼香を行う際火をつける火種のことを焼香炭といいます。現在一般的に販売されている焼香炭は棒状をしており、切込みが入っています。その切込みで折って、一塊、もしくは二塊に分けて使います。
物によって燃焼時間が違いますので、葬儀や法要の時間によって適した物を選びましょう。また、保管は高温、多湿を避け、特に小さなお子さんのいる場合は誤って口にしないように気をつけることも必要です。
ろうそく(もしくはマッチやライター)
焼香を行う際には、事前に火種もしくは抹香に火をつけます。正式には「仏様から火を頂く」ということで、仏壇のろうそくでつけます。ろうそくを置いていない場合は、マッチもしくはライターでつけても構いません。
灰ならし
灰ならしは焼香によって乱れた灰を整えるための道具で、熊手もしくはヘラのような形をしています。また、灰ふるいやゴミを拾うためのピンセットなど、香炉の灰のお手入れに使う道具全般を灰ならしセットと呼ぶこともあります。
香炉の灰が汚れていると印象が悪くなってしまいますので、焼香後には灰ならしを使ってお手入れをしておきましょう。
焼香台の入手法
焼香台は普段あまり目にすることはありませんが、さまざまなお店で購入することができます。また、場合によってはレンタルも可能です。焼香台の主な入手方法をご紹介します。
仏具店
仏具店であれば、間違いなく焼香台を購入することができます。焼香盆、回し焼香台、経机、焼香机いずれも取り扱っています。香炉や香合といった焼香に必要な物を併せて購入でき、また香炉灰や焼香炭のような消耗品の買い足しもできます。
また、仏具専門のスタッフがいて不明点を相談できたり、不要な仏具を回収してくれたりといったサービスを行っている仏具店もあります。初めて焼香台を買うという場合は、まず仏具店に行って相談すると良いでしょう。
ホームセンター
仏壇や仏具を取り扱うホームセンターも増えています。仏具店より種類は少ないものの、付属品や消耗品と併せて購入が可能です。気軽に足を運べる点もホームセンターの大きな魅力です。
オンラインショップ
Amazonや楽天市場といった総合ECサイトや、仏具店が運営しているオンラインショップで焼香台を購入することができます。多種多様なラインナップから選べること、自宅にいながら購入できることがオンラインショップの大きなメリットです。
しかし、実際に見たり手に取ったりすることができないため、届いてから材質やサイズが思っていたものと違う、ということも起こりえます。購入前に商品詳細をしっかり読むこと、また口コミやレビューを確認することも大切です。
レンタルも可能
斎場で葬儀や法要を行う場合は、他の仏具と併せて焼香台をレンタルすることが可能です。霊園で法要を行う場合もレンタルは可能ですが、特に土日やお盆など法要が立て込む日は借りられないこともあります。料金や焼香台の種類と併せて、早めに確認しておくと良いでしょう。
また、自宅での法要用に仏具のレンタルを行っている業者もあります。焼香台や焼香セットだけではなく、祭壇や五具足、僧侶用の座布団など、普段使わない仏具を併せて借りられるため便利です。
焼香台の準備とお手入れ
焼香の方法に合った焼香台や焼香セットを購入できたら、いよいよ準備に移ります。焼香セットの配置や火のつけ方を把握し、正しく準備ができるようにしましょう。
配置
焼香台もしくは焼香盆に焼香セットを置く際には、左右を間違えないように気をつけましょう。焼香台の場合は向かって左側に香炉を置き、その右に香炉のふたを置きます。香合は向かって右側に置きます。焼香盆の場合は左側に香炉、右側に香合を置きます。
浄土真宗の火舎香炉のような、三脚の金香炉を使う場合は、3本足の1本を正面にするように置きます。香炉に紋が入っている場合は、紋が正面に来るように置きましょう。
準備
焼香の準備として、香炉に香炉灰を入れます。焼香台の上で行うと灰が飛んで汚れてしまう恐れがありますので、灰を入れてから焼香台の上に置くようにします。灰の量は多過ぎず、少な過ぎず、7分目を目安に入れましょう。
法要直前に火を入れると、法要が始まった時点で火が充分についていない場合があります。法要が始まる15分前には火をつけておきましょう。焼香炭に仏壇のろうそく(もしくはマッチかライター)で火をつけて香炉灰の上に置きます。この際、火のついた部分を下にしてしまうと火が消えてしまいますので、必ず上向きに置くようにしましょう。
先ほどご紹介した通り、焼香炭は燃焼時間が決まっています。法要の所要時間はおよそ45分間ですので、法要の間火が消えないよう、焼香炭の量は調節しておきます。
掃除
焼香セットや焼香台は灰などで意外と汚れるものです。法要が終わったらきれいに掃除をしましょう。焼香台や香炉のお手入れ法は材質によって異なります。
基本的には乾いた柔らかな布で拭くようにします。金属製の香炉は、真鍮やアルミ製のものであれば専用の金属磨きで磨くことができますが、金メッキのものははがれる恐れがありますのでやめましょう。汚れがひどい場合は水洗いができる材質のものもあります。必ずお手入れ法を確認してください。
また、焼香セットの中で最も汚れやすい香炉は、特にきれいにお手入れをする必要があります。灰の状態を確認し、ピンセットで灰の塊やゴミを取り除きます。汚れがひどい場合はふるいでふるうか、新しい灰と交換します。
焼香台についてまとめ
焼香台の選び方や付属物の内容、準備やお手入れの方法についてご紹介しました。普段使うものではない焼香台ですが、香りや煙を通じて仏様や故人様と向き合い、感謝や敬意を表すための大切な仏具です。正しく選び、正しく使えるようにしましょう。
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