魂抜きとはどういうもの?対象や準備などについても詳しく解説
公開日 : 2021/3/17
更新日 : 2021/3/17
『魂抜き』という言葉を聞いたことがありますか?『魂抜き』とは仏壇やお墓がある家庭にとって覚えておきたい儀式です。しかし、どういったものなのか分からない方も多いですよね。そこで今回は、『魂抜き』について対象となるものや準備などについて解説いたします。
公開日 : 2021/3/17
更新日 : 2021/3/17
目次
魂抜きとはどんな儀式?
昨今では、それぞれの事情から仏壇やお墓を処分する方も増加傾向にあります。また、お墓を移動する場合もあるでしょう。そうした時には、魂抜きという儀式をする必要があるのです。今回は、魂抜きについて解説します。
お墓のある方や仏壇が自宅にある方は、覚えておきましょう。もし移動や処分をすることになった時の参考にしてみてください。
仏壇には仏様の魂が宿っている
仏教では、大体の宗派において仏壇や墓石に“魂を入れる”あるいは『魂を魂を抜く』という考え方をします。元から、仏壇やお墓を購入する際には僧侶に“魂入れ”をしてもらうことで、手を合わせて拝む対象に変化するとされているのです。
このような魂が宿った仏壇やお墓をそのまま処分することは、禁忌とされています。僧侶にお経を上げてもらい、仏壇やお墓に宿った魂を抜く儀式が魂抜きです。仏様の魂を抜いてから、墓石撤去などの工事が行われます。
『魂抜き』には色々な呼び方がある?
『魂抜き』は、通常は『たましいぬき』と呼ばれるものの、『たまぬき』あるいは『こんぬき』と呼ばれるケースもあります。そして他の言い方としては、『閉眼供養』や『お精根ぬき』、『お精抜き』、『抜魂』というものもあるのです。
また、『撥遣供養(はっけんくよう)』と呼ぶこともあるでしょう。どの呼び方も、仏様の魂を抜くという意味です。
宗派により儀式の違いなどはあるのか
仏教には『浄土真宗』という宗派はありますが、『浄土真宗』では“魂”という考え方そのものがありません。よって、『魂抜き』という言葉を使うことがないのです。とはいえ、仏壇やお墓を処分する際などの儀式を、しなくて良いというわけでもありません。
浄土真宗では、魂入れあるいは魂抜きの代わりとして『入仏法要』と『遷仏法要』があり、読経をする儀式を行います。
どうして魂抜きをするの?
続いては、魂抜きをする意味についてその理由をお伝えいたします。魂抜きは、ただ何となく行われるものではありません。しっかりとした意味があることを知っておくようにしましょう。そうすることで、より心を入れて魂抜きの儀式に臨むことができます。
魂抜きが行われる意味を理解して、仏壇やお墓を処分する際の儀式を行うようにすることが大事です。
魂が宿ることを信じない人もいる可能性がある
魂とは見ることのできないものであり、仏壇やお墓に魂が宿っていることを信じ難いという方もいます。また、実家などの仏壇を片付けるといった時に、片付ける方が仏教を信仰していないケースもあるかもしれません。
信仰は人それぞれですし、色々な考えの方がいるでしょう。もし仏教を信仰されていない方であっても、魂抜きの儀式は行うことが望ましいです。
ご先祖が宿っている
仏教を信仰していない場合でも魂抜きの儀式を行うことが望ましいのは、先祖代々の仏壇あるいはお墓には先祖の魂が宿っているとされているのが理由です。仏教形式で供養を続けてきた仏様への感謝の意を表すのです。
そのためにも、魂抜きの儀式は大事とされています。仏壇やお墓は、きちんと魂抜きをしてから移動や処分をしましょう。
魂抜きをする対象とシーンとは?
儀式には、何等かの対象があるものです。それは魂抜きの場合も同様であると考えられます。続いては、魂抜きの対象となる物事や魂抜きをするシーンについてご紹介いたします。魂抜きがどういったものを対象としているのか、どういったシーンで行われるのかについて、覚えておきましょう。
仏壇の魂抜きをする
仏壇の魂抜きが、良く行われる行事です。仏壇を廃棄する際や移動させる時、引っ越しをする時には、魂抜きをするのかどうかについては仏教での宗派により異なります。お寺によっては、仏壇のみであれば魂抜きをしなくても良いと考えているところもあります。
仏壇の魂抜きについて不明な点や不安な点があれば、菩提寺に相談をすることが得策です。事前に、魂抜きが必要かどうかを確認しましょう。
遺影の魂抜きをする
仏壇を処分する際に、遺影の処分が問題に挙げられます。壁に飾られていた遺影や、押し入れなどから出てきたご先祖様の遺影を見つけることがあります。仏壇などと一緒に遺影も処分するのであれば、そうした点もまとめてお寺に相談しましょう。
遺影は、本来の仏教の考え方とはあまり関係がないものです。仏教が開かれた頃とは異なり、今では仏壇に故人の写真を飾ることも多く、それに手を合わせて拝んで供養をするようになっています。そうしたことから、遺影にも故人の魂が宿っていると考える方もいます。
仏像の魂抜きをする
仏像も魂抜きをすることがあります。仏像は、作られる段階で製作者である彫り師の魂が込められると考えられています。また、仏像を購入する際に魂入れをしてもらうケースもあるでしょう。さらに、仏像も人々の供養の対象として祀られます。
このことから、破棄をする際には魂抜きをしなければいけません。引っ越しなどの移動により、どうしても扱いを丁寧にするのが難しい時にも、仏像の魂抜きをしておくのが望ましいです。新しい場所に落ち着いてから、また魂入れをして魂に戻ってきてもらうのです。
掛け軸の魂抜きをする
掛け軸も、魂抜きの対象です。仏壇の中に掛けられた掛け軸は、仏像と同様の意味があります。仏壇をどのように飾るのかは、その宗派により変わってくるものの、掛け軸を本尊として祀ることや仏像の左右に掛け軸を掛けるケースもあります。
掛け軸を処分することや引っ越しなどをする場合には、魂抜きをしましょう。そうすることで、掛け軸も無事に処分したりすることが可能です。
人形の魂抜きをする
人形も魂抜きをする必要があることを知っておきましょう。仏壇に関するものであれば設置時に魂入れをして、日々拝むことで魂がこもるとされています。また、人が大切にしていた物に対しても、想いがこもるものです。
大切にしている人形がある方もいるかもしれませんが、人形などに関しては移動させる場合や引っ越しをする際に丁寧に扱うようにして、何等かの理由で処分するなら魂抜きをするのが大事です。
位牌の魂抜きをする場合にはどうする?
ご先祖の位牌を仏壇に祀っているご家庭も多いかもしれません。この位牌は処分をすることはできるのか、処分できるのであればどういった方法があるのか気になる方も多いはず。次に、位牌の処分や造り替えリフォームについて解説いたします。位牌の取り扱いに悩んだ場合には参考にしてみてください。
位牌の処分をする場合
まず位牌とは、故人の戒名あるいは法名、没年月日、享年などが記された木札のことです。仏壇に位牌を安置する場合、魂入れをするために開眼供養をします。そのため、何らかの理由により位牌を処分することになった時には、位牌の魂抜き(閉眼供養)をする必要があります。
位牌を造り替える場合
位牌を造り替えるというケースもあるかもしれません。位牌には2種類あるのをご存知でしょうか。1つ目は白い木でできたものであり、仮位牌や内位牌、野位牌と呼ばれることもある位牌です。この位牌は簡易的なものであり、葬儀の際に用いられるのが特徴です。
また、表側に故人の戒名、裏側に没年月日と享年が記されます。そして、一般的には四十九日法要まで据え置かれてからお焚き上げが行われます。
もう1つの位牌には、本位牌といって四十九日法要以降に用いられるものがあるのです。例えば、塗り位牌・唐木位牌・繰出位牌などが該当します。仮位牌から本位牌へと造り替える際にも、魂抜きが必要です。
お墓の魂抜きをする場合とは?
墓じまいなどでお墓を処分することもあります。その際にも、魂抜きが必要です。お墓にはご先祖が眠っていることから、丁重に魂抜きの儀式をする必要があるでしょう。いずれ墓じまいをすることになるかもしれないので、今のうちに魂抜きについても知っておきましょう。
墓じまいをする場合
墓じまいをする際にも魂抜きの儀式をすることが必要です。昨今では少子高齢化社会となってきているため、お墓を守っていく人がいなくなってきている現状にあります。そのため、墓じまいを検討する方も多くなっています。
後を継ぐ人のいないお墓は、最後には無縁墓として撤去処分をされて、遺骨に関しても無縁仏となってしまいます。墓じまいをする場合はきちんと遺骨の確認を行い、お墓自体にも魂抜きの儀式を行うことが大事です。
お墓の改装リフォームなどをする場合
お墓を改装やリフォームをすること、移転する際には魂抜きをしてもらいましょう。改装やリフォーム、移転の作業の際にはお墓を丁寧に扱ってもらえるかどうか、分かりませんよね。粗末に扱われてしまうこともないとは限りません。お墓にも魂抜きを行い、改装や移転を終えてから再度魂入れを行なってください。
魂抜きは誰に依頼する?
魂抜きをしてもらおうと考えても、いざという時にどこに頼めば良いのか分からないこともありますよね。魂抜きはどこで取り扱っているのか、前もって知っておくことが必要です。続いては、魂抜きをやってくれる依頼先についてご説明いたします。魂抜きをする必要が出た時のために、ぜひ参考にしてください。
魂抜きの相談先とは?
魂抜きをする際には、付き合いのあるお寺に相談をする方法があります。普段から付き合いのあるお寺であれば、信頼できますし安心して依頼をすることができるでしょう。また、仏壇を新たに買い替えることもあるものです。その際には、一般的に仏壇仏具店で引き取ってくれて仏壇仏具店の関係先であるお寺で供養してくれます。
色々なケースで相談先がある
その他の魂抜きの依頼先としては、仏壇仏具店に直に相談するか人形の供養専門業者に相談する方法もあります。そして、もし家族あるいは親戚が亡くなり自宅の片付けをする際、自宅ごと処分をする場合もあるでしょう。
その場合には、遺品整理業者に相談するのも一案です。色々とある魂抜きの依頼先の中から、適した方法を選ぶようにしてください。
魂抜きの準備をする
魂抜きについて、対象となるものや依頼先について解説しました。続いては、魂抜きの準備やその流れについてご紹介します。魂抜きをするなら、どういった準備が必要なのでしょうか。また、どういった流れによって魂抜きの準備が行われるのかについても、しっかりと今のうちに覚えておきましょう。
魂抜きの準備で必要な事項
まずは、魂抜きの準備に必要な事柄についてご説明いたします。魂抜きは、いつ行っても良いというものでもなく、何も用意しなくても良いというわけでもありません。魂抜きに適した時期や用意すべき物などの確認が必要です。魂抜きをするなら。前もって日程にも気を配って調整をするようにして、必要な物に関しても忘れずに用意しましょう。
魂抜きを行う時期
冠婚葬祭において、六曜に気を配り行われることが多く、葬儀などは友引を避け仏滅に行われる風潮があります。それは、法事の場合も同様です。ところが魂抜きである閉眼供養は弔辞ではないことから、一般的には六曜は関係がありません。
それでも、縁起を気にするケースでは閉眼供養も仏滅に行う場合もあります。ただ実際には、魂抜きをするなら家族や親族との話し合いが大事です。親族の方には、改装が必要な理由や工事はどういった内容になるのかを伝えましょう。
さらに、魂抜きというのは身近な親族の立ち合いにより行われるものです。そのため、親族が皆で立ち会うことのできる日程で行うようにすることが重要です。
用意する物
魂抜きの儀式では、おりん(お経の合間に鳴らす鈴)・香炉・線香差し・ロウソク立て・花立・読机・座布団・マッチもしくはライターなどが必要です。さらに木魚(もくぎょ)も必要ですが、木魚は一般家庭には置いていないと考えられます。
ご家庭に木魚がない場合は、あらかじめ僧侶に相談しましょう。木魚が必要であるかどうかは、僧侶の判断によることも多いです。ちなみに、浄土真宗の場合は木魚は使用しません。
その他にも、線香・ロウソク・生花・お供えも用意します。生花は一対二束をセットとして、花台に活けるようにします。また、お供えに関しては、故人が好きであったお菓子あるいはお茶などを用意するのです。
魂抜きでの準備の流れとは?
魂抜きの準備をするなら、その流れを把握しておかなければ段取り良く進めていくこともできません。流れを知らないと、準備に時間がかかってしまう可能性もあります。準備が魂抜きを行う日までに終わらない事態になりかねないので、今のうちから魂抜きの準備をする際の流れについても、しっかりと把握しておきましょう。
まずは親族の同意を得る
魂抜きの準備では、まず親族同士で話し合いをすることから始めます。先述もしていますが、親族に改葬が必要である理由を伝えて、同意を得なければいけません。周りの親族に相談もせずに、独断で魂抜きをすると決めるのはおすすめしません。
自分だけの考えのみで魂抜きを行い改葬をした場合には、周囲の反発を受けてしまいかねませんし、トラブルの元となってしまう可能性があります。
お墓の工事や日程の話し合いをする
親族の同意を得られたら、続いてはお墓の工事(お墓の魂抜きをする場合)あるいは日程に関して話し合いを行います。それが済んだら、次には石材店に相談を行い工事の詳細について把握してください。費用や必要なものに関しても、この時点で確認しておくことも大事ですので、忘れないようにしましょう。
魂抜きをしてもらうお寺に相談する
石材店に相談をしたなら、その後に魂抜きをしてもらうお寺に相談をして依頼をします。何をお供えすれば良いのか・服装はどうするべきか・日程はどの様になっているのかについて、確認をしましょう。
お寺での相談が済んでから、親族や石材店にもお寺で相談した事柄について、連絡をすることも忘れないでください。魂抜きに関わる皆が情報を共有してこそ、しっかりとした魂抜きの儀式が執り行われます。
魂抜きでの服装について
魂抜きの儀式を執り行う際の出席者の服装について、気になる方も多いかもしれません。仏壇やお墓が関わることのある大切な儀式ですし、喪服を着る必要はあるのだろうかと疑問に思うこともあるでしょう。ここで、魂抜きの際の服装について喪服を着る必要があるのかも含め解説します。その場に相応しい服装で出席してください。
喪服を着る必要はない
魂抜きの際には、喪服を着用しなければいけないのではないかと思われる方も多いかもしれません。一般的には、魂抜きの際に喪服を着る必要はないとされています。しかし、地域あるいは宗派次第では喪服を着るケースもあると考えられます。お住まいの地域ではどのようになっているのか、宗派では喪服を着るのかを、前もって確認しましょう。
何を着るのが相応しいか
魂抜きの際には、色合いに気を使った服装を心掛けるようにします。男性であれば、ダークスーツを着るようにして、ネクタイは黒もしくは紺のものを選ぶようにしてください。女性の場合も、色合いが大事です。
女性なら色合いが派手な服装は避けるようにして、地味目な色合いを選ぶようにしましょう。例えば黒や紺、ダークグレーなどが適しています。
魂抜きの費用はどの程度必要?
抜きをする際にもお金が必要になります。最後に、魂抜きの費用について解説します。いつか、魂抜きをする時があるかもしれません。仏壇やお墓などの処分や移動により、魂抜きをすることになった時のために、どの程度の費用がかかるのかについて把握しておくことが大事です。
魂抜きの費用相場
魂抜きの際には、僧侶に対して感謝の意味としてお布施をお渡しします。お布施の相場は宗派もしくは地域によって異なるものの、3万円から10万円程度です。僧侶にお墓まで移動してもらった場合には、お車代として5千円から1万円をお渡ししてください。上記の額を目安として、お布施をお渡しするようにしましょう。
御膳料はどうするのか
御膳料(法事などにおいて飲食の席に、僧侶が参加しない場合におもてなしとして払われる)は、5千円から1万円が相場です。魂抜きの際には会食は行わないのが通常です。それは、法事などとは異なるということもあるでしょう。
しかし、御膳料も用意しておくことが無難かもしれません。お布施の他に御膳料も1万円程度を目安に用意しておくと安心です。
魂抜きはしっかりと準備をして臨もう
魂抜きという言葉を、聞き慣れない方もいるかもしれません。仏壇やお墓などには、仏様(先祖など)の魂が宿っていると考えられています。仏壇やお墓を処分したり移動させる時には、その魂を一度抜く儀式を行わなければいけません。遺影や位牌などを処分したりする場合には、魂抜きをする必要があります。魂抜きでは、お布施や御膳料も僧侶にお渡しすることになるので、覚えておくようにしましょう。
ご相談・お問い合わせください