仏壇の魂入れ・開眼供養とは?魂入れは必要かなどお布施やマナー解説
公開日 : 2020/4/25
更新日 : 2020/9/10
仏壇の魂入れとは、新調した仏壇に祀る位牌や本尊に対して僧侶が魂を入れる儀式です。また、仏壇の魂入れは弔事ではなく慶事になるため、香典袋は使わず、ご祝儀袋を使います。この記事では、仏壇の魂入れ(開眼供養)に関連する疑問やお布施の相場、マナーについて解説します。
公開日 : 2020/4/25
更新日 : 2020/9/10
目次
仏壇の魂入れとは
仏壇の魂入れとは、お仏壇、位牌などを新しく購入した時に、僧侶に魂入れをしていただく儀式です。仏壇だけではなく、お墓を建てた時にも開眼法要(かいげんほうよう)として行われます。地域や宗派によっては、入魂式、御性根入れ(おしょうねいれ)、仏壇開きなどいろいろな呼び方があります。
仏壇の魂入れは、仏壇に対して行う儀式と勘違いしている方もいますが、御本尊、掛け軸、お位牌に対して開眼供養を行うのが正しい解釈です。魂入れを行うまで、ご本尊や仏壇は単なる木の彫り物でしかなく、この儀式を行うことで、魂が宿り礼拝する対象となるのです。
仏壇の魂入れ(開眼供養)は、奈良時代から行われてきた伝統的な仏教行事です。浄土真宗においてはお墓や仏壇に魂入れの教えはなく、魂入れという儀式は行わず、御移徙(おわたまし)という法要として行われます。
仏壇の魂入れの時期
仏壇の魂入れは、購入時に行うだけでなく引っ越しや仏壇を別の部屋に移動させる場合にも必要です。また、四十九日や一周忌の法要と合わせて行われる場合もあります。ここではそれぞれのケースをみていきましょう。
仏壇を購入したとき
仏壇の魂入れは、自宅で四十九日法要と一緒に行うのであれば、祭壇に仏像や掛け軸、本位牌、白木位牌を飾っておき、僧侶に開眼供養を行ってもらいます。また、一周忌法要の場合は、すでに祭壇がないため、仏壇に飾って開眼供養を行うのが一般的です。
お寺で行う場合にも、上記の仏像や掛け軸、本位牌、白木位牌をお寺に持参し、魂入れを行ってもらいます。その時に白木位牌は、四十九日までの仮の位牌であるため、お寺で引き取ってもらいましょう。
引っ越し・別の部屋に仏壇を移動させる場合
仏壇の魂入れは、引っ越しや別の部屋に移動させた場合にも、仏壇の魂入れを行います。移動する前には、「魂抜き」を行い、転居先や移動した部屋に安置した時に「魂入れ」を行います。同じ部屋で移動させる場合は、魂入れや魂抜きの儀式は不要です。
本尊や位牌を変えてなければ、仏壇魂入れは不要
仏壇の魂入れは、前述の通り本尊や位牌に対して行うものであり、仏壇の買い替えだけであれば、行う必要はありません。また、古い仏壇を処分する際には、お寺や専門業者に仏具や遺品や人形などをお寺や神社で焼いて供養する「お焚き上げ供養」を行ってもらい処分します。
焚き上げ供養には費用もかかるため、粗大ごみとして出して処分もできますが、仏具をゴミとして処分するのは、おすすめできません。処分については、家族や親族と話し合ってから処分方法を決めましょう。
仏壇の魂入れは行うべきか?
仏壇の魂入れは、仏教においては大切な儀式のひとつです。ただ、仏壇が安置されれば、そのまま使えるような気持ちになるのも確かであり、僧侶を呼んで供養を行うのは時間も費用もかかるため、近頃では省略する家庭もあります。
やはり、祖先を祀る側の気持ち次第にはなりますが、仏壇に祀られている位牌や本尊に先祖の魂を宿らせるという意味では、大切な儀式であることも事実です。先祖を大切にお祀りしたい気持ちがあれば、仏壇の魂入れは行うべきでしょう。
仏壇の魂入れは菩提寺に依頼する
仏壇の魂入れの依頼先は、法要をお願いした菩提寺で問題はありません。ただし、最近は菩提寺がいない、菩提寺があったとしても疎遠になり、依頼しにくい場合もあるでしょう。その場合は、インターネットでも手配してくれるサービスもありますので検討してみましょう。
仏壇の魂入れ準備すること
仏壇の魂入れ(開眼供養)を行うにあたり、準備しなければならないことが、いくつかあります。基本的に法要と似たような内容ですが、ここでは項目でみていきましょう。
お寺への連絡
仏壇への魂入れを行う場合は、お寺に日時を伝えスケジュールを確認します。会食まで準備するなら、僧侶に会食の参加の可否を確認しておきます。また、僧侶の送迎がいるのか、お布施で包む金額の目安なども直接確認しても良いでしょう。
参列者へ連絡
四十九日や一周忌と同時に行うなら、参列者への連絡も必要になります。参列者が集まりやすい休日に設定し、ある程度の人数を呼ぶなら、案内状の作成と郵送も必要です。会食の準備もあるなら、遅くても1週間前には返事をもらいましょう。
お供え物の準備
魂入れの儀式(開眼法要)で必要なお供えものは、おめでたい儀式のため、朱ろうそくや、お花、お線香、お供え物(餅、赤飯、お餅、果物、お菓子など)とするのが一般的です。
四十九日や一周忌と一緒に法要を行うなら、仏事のため白いろうそくに変え、お供え物も入れ替えの可能性があることを、念頭に置いておきましょう。
会食の準備
法要が終わった後に会食を行う場合、参列人数と予算に合わせた会場を選択して、早いうちに会場を予約しましょう。自宅で仕出し料理を出す場合は、配膳など支度は全て施主側で行うため、手伝ってもらう親族には、前もって連絡をしておきましょう。
お返しの品
参列者から祝儀(または香典)は、法要へ参列していただいたお礼として、お返しの品を渡すのが一般的です。お返しに使用する熨斗(のし)は、開眼供養のみを行うなら、慶事として紅白の蝶結びの熨斗(のし)です。表書きは「御礼」「内祝」で構いません。
また、開眼供養(慶事)と仏事(弔事)をあわせて行う場合は、弔事を優先します。よって、黒白の結び切り(関西は黄白の結び切り)の熨斗(のし)を使います。表書きは「志」や「粗供養」と書きます。渡す品としては、日持ちがする消耗品が好まれます。
僧侶に渡すお布施の相場
仏壇の魂入れ(開眼供養)のみで包むお布施の金額は、3~5万円くらいが相場です。四十九日や一周忌の法要で一緒に行う場合は、こちらも単独で3~5万円あたりが相場です。それぞれの相場を踏まえて、地域やお寺によって異なるため、親族や地域の方に相談するか、お寺に確認してみましょう。
表書きの書き方と祝儀袋・不祝儀袋の選び方
仏壇の魂入れ(開眼供養)と法要を合同で行う場合に注意しなければならないのは、お金を包む袋がそれぞれ異なることです。仏壇の魂入れ(開眼供養)は慶事であり、四十九日や一周忌法要は弔事になるため、一般的に分けるのがマナーです。ここでは祝儀袋、不祝儀袋について説明します。
仏壇の魂入れ(開眼供養)のみを行った場合
開眼供養は慶事になるため、紅白の水引の祝儀袋に入れて渡します。祝儀袋は表面についている右上の熨斗(のし)がついていないものを選びます。そして、表書きには「開眼供養御礼」と書きます。名前はフルネームでも苗字だけでも構いません。
また、浄土真宗の場合は、魂を入れるという教えがないため、開眼供養を使わず、表書きには「入仏式」「御移徙御礼」「御遷仏法要」と書きます。
法事とあわせて行う場合
仏壇の魂入れ(開眼供養)と法要を同時に行った場合は、前述の通り、紅白の水引がついた開眼供養の祝儀袋とは別に、法要の謝礼として白いお布施袋を用意してお金を包みます。
これは、慶事と弔事を同時に行ったため、ご祝儀とお布施も別にして渡すのがマナーになるのです。地方によって作法が異なる場合があるので、関係者にも確認しましょう。
お布施以外にも謝礼は必要
開眼供養や法要においては、お布施以外にも必要な謝礼があります。こちらもお布施とは別に渡すようにしましょう。これらは開眼供養と法要を合わせて行った場合は、1回分の金額で問題ありません。
御車料
御車料とは、僧侶をお寺から呼んで来てもらった場合に渡す交通費です。地域によってことなりますが、およそ3千円~1万円が相場です。お寺で法要を行ったり、施主側が送り迎えをしたり、タクシーを手配すれば御車代は渡す必要はありません。
御膳料
御膳料とは、法要で僧侶を供養の後にもてなす会食(お斎)に参加されない時に渡す食事代になり、相場は5千円~1万円です。事前に僧侶が会食に参加されるかを確認しておきましょう。
仏壇の魂入れの服装は?
仏壇の魂入れの服装は、喪服でなくダークスーツなどの平服でも問題はありません。女性の服装も喪服でなく、黒系のワンピースやツーピースで問題はありません。ただし、女性は夏場などノースリーブなどの出来る限り肌の露出を抑えた服装を着用しましょう。
仏壇の魂入れは先祖を祀り感謝するための大切な儀式
この記事では、仏壇の魂入れについて解説しました。仏壇の魂入れは、弔事ではなく慶事であることを初めて知った方も多かったのではないでしょうか。また、仏壇の魂入れは、仏壇ではなく、位牌や本尊に対して魂を入れるということも覚えておきましょう。
また、仏壇の魂入れは、現代では省略されるご家庭があるのも確かです。しかし、先祖を大切に思うなら、仏壇の魂入れを行わないとただの木工品に過ぎず、合掌する対象とは言えません。そういう意味でも仏壇の魂入れも軽視できない儀式といえるでしょう。
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