仏壇の扉は開けっ放し?閉めることはある?仏壇の扉について解説

公開日 : 2021/1/15

更新日 : 2021/1/15

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亡くなったご先祖様や親族をお祀りする仏壇。宗教色の強い仏壇についての取り扱い方に迷ってしまうことも多いでしょう。特に仏壇の扉は常に開けるのか?閉めるのか?についてしっかりと知っていますか?地方や宗派、年代によって作りも異なる仏壇について詳しく知りましょう。

公開日 : 2021/1/15

更新日 : 2021/1/15

目次

そもそもお仏壇とは?

みなさんの家にはお仏壇は置いてあるでしょうか。今住まれているお家にある方、実家にならある方様々でしょう。新しく購入された方もいれば、昔から先祖代々受け継がれてきたものを大切にされている方もいらっしゃるでしょう。

 

日本の家庭なら特に珍しくないお仏壇ですが、宗教的な意味合いが強いため取り扱い方に迷ってしまうことがよくあります。そもそもお仏壇とは何か、迷ってしまいがちなお仏壇の扉の開閉について見ていきましょう。

 

 

 

 

仏壇とは何をするためのもの?

そもそもお仏壇とは2つの意味を持つものです。ひとつめが「仏教における仏様をお祀りするためのもの」、ふたつめが「ご先祖様を大切にお祀りするためのもの」です。

 

ひとつのお仏壇で仏様とご先祖様をお祀りする家の中にある小さなお寺のような意味を持つのがお仏壇というわけです。そのためお仏壇に向かってお経をあげたり、お仏壇の前にお供え物を捧げたりするというわけですね。

仏壇の由来とは?

仏教においてとても大切な意味を持つお仏壇ですが、仏教の生まれた国であるインドには日本のようなお仏壇は存在していません。お仏壇は仏教と一緒にインドから伝わったものではなく、日本で独自に発展を遂げ定着した文化のひとつと言うことができます。

 

日本では仏教が伝わる以前から「魂棚(たまだな)」と呼ばれる祭壇を作る習慣があったとされています。その魂棚と仏教が混ぜ合わさったことによって今の仏壇へと変化したとする説があります。

 

その後江戸時代に発令された「寺請制度」により市民全員がどこかの寺の檀家となることが義務付けられ、朝夕のお祈りやお盆などを一般の家庭でも行うようになり広く浸透して行きました。

伝統的な仏壇は2種類

伝統的な仏壇の種類は「金仏壇」と「唐木仏壇」の2種類です。

 

「金仏壇」とはその名の通り、内側に金箔を張られたデザインの仏壇です。浄土真宗を信仰する方のご家庭に置かれていることが多いとされていますが、その他の宗派の方でも選ばれることもあります。対して「唐木仏壇」は外部・内部の両方が木目調になった仏壇です。

 

近年では「モダン仏壇」と呼ばれるインテリアに溶け込むようなおしゃれな作りのお仏壇も増えています。昔の日本家屋のようにお仏壇を置く十分なスペースがなくても置ける壁掛けタイプや、小さな家具調のものがあり形も様々です。

 

伝統的な仏壇であっても、モダン仏壇であっても同じように取り付けられているのが「扉」です。次は仏壇の扉について見ていきましょう。

仏壇の扉の種類とその由来

伝統的な金仏壇、唐木仏壇はもちろんモダン仏壇の多くに共通しているのが扉がつけられていることです。お仏壇は仏様、そしてご先祖様の住む家という扱いなので扉が付けられているのが一般的です。

 

お仏壇の扉にも種類があり、二重扉になっているもの、一重扉になっているもの、蛇腹式になっているものなどがあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

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日本家屋を模した二重扉

伝統的なお仏壇で最も多いものが二重扉になっているものです。この二重扉は日本家屋を模したもので、外側の扉は「雨戸」、内側の扉は「障子」と呼ばれています。外側の扉を「大戸(おおと)」、内側の扉を「戸軸(とじく)」と呼ぶこともあります。雨戸、障子は現代の建築にも存在しているのでイメージがしやすいですね。

 

古き良き日本家屋の窓は外側に雨戸が、そして内側には障子が取り付けられています。仏様、そしてご先祖様の家であると考えられるお仏壇はこの日本家屋の作りと同じようにするべき、との考え方からお仏壇にも二重扉が採用されました。

 

お仏壇を家だと考え、細部にまでこだわる細やかな気遣いの結果生まれたものですね。

 

 

近年は一重扉の物も

伝統的な仏壇の扉は二重扉が一般的ですが、近年のモダン仏壇では一重扉が主流になっています。家の大きさ、仏間の広さに合わせて簡素化されていき、より置きやすく扱いやすくなった結果一重扉へと変化していきました。

 

住宅事情の変化に伴い形を変えたモダン仏壇は一見すると家具と何ら変わりありません。一重になった扉を閉めると食器棚のように見えたり、インテリアデザインの一部のように見えるため置きやすいのが特徴です。

 

扉を閉めることでリビングにも置きやすく、仏間がなくてもお仏壇が欲しいという新しいニーズに答えた形となっています。

モダン仏壇には扉がないものも

新しいライフスタイルに沿う形でお仏壇も進化を続けています。和室や仏間のないご家庭でもお仏壇を置けるように、コンパクトなこのモダン仏壇の中には扉がないものも珍しくありません。

 

小さな壁掛けタイプのものやタンスの上などにも置きやすい幅30センチ、奥行き15センチ以下のミニタイプも充実しています。扉のないモダン仏壇は作りも伝統的なものとは異なったものが多く、形も丸や曲線を利用しスタイリッシュな雰囲気です。洋風のリビングにも違和感なく溶け込むので取り扱いもしやすく人気を集めています。

仏壇の扉を開閉するタイミングは?

伝統的な大きなお仏壇であっても、新しい形のモダン仏壇であっても共通して迷ってしまうのがその扉についてでしょう。一年中開けっ放しにしておくべきなのか、閉めておくべきなのかは判断が難しく、頭を悩ませている方も多いはず。仏様、そしてご先祖様を祀る大切なものだからこそ判断は間違いたくないですよね。

 

次はお仏壇の扉は開けるべきなのか、閉めるべきなのか?という疑問を解決していきましょう。

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実は開閉に明確なルールはない

いつ開けるべきなのか、閉めなければいけないタイミングがあるのかと疑問の尽きないお仏壇の扉ですが、実は扉の開閉についての明確なルールは存在しません。

 

日常生活においては朝扉を開けて、夕方には閉めるという意見が多いようです。生活に合わせて朝起床後に扉を開け、夕方には閉めるというリズムでお祀りするのが一般的と言えるでしょう。お仏壇は仏様、ご先祖様の住んでいる家という考え方に照らし合わせてみるとしっくり来る方法ですね。

 

普段の生活では朝に開けて夕方に閉めるという考え方で問題はありません。お仏壇の扉をずっと開けっ放しにしておくと埃が溜まりやすくなりますし、ずっと閉めっぱなしにしておくと湿気によってお仏壇が傷んでしまう可能性もあります。定期的に開け閉めを繰り返すようにすると良いでしょう。

こんな時はどうする?お仏壇の扉の開閉

はっきりとしたルールの存在しないお仏壇の扉の開閉ですが、開けておくべき、または閉めるべきとされるタイミングがいくつか存在しています。

 

地方の習慣や宗派によって異なる場合もあるので一概には言えませんが、一般的に開けておくべきタイミングと閉めるべきタイミングを見ていきましょう。

葬儀の際

身内が亡くなり、葬儀が執り行われる際にはお仏壇の扉は開けておくのが一般的です。しかし中には「閉めるべき」とされる意見やご家庭の習慣もあるため、無理に開ける必要はありません。

 

「閉めるべき」とされる意見や風習は、日本の「神道」が基になっていると考えられます。神道において、死は穢れと考えられています。そのため、身内が亡くなってから50日間の忌中の間は神棚に半紙などを貼る「神棚封じ」が行われます。この神道における神棚封じの習慣が、葬儀の際はお仏壇の扉を閉めるべきという考え方に変化していったのでしょう。

 

しかし、仏教においての死は神道の考え方とは異なります。日本の仏教の多くの宗派では、人は亡くなった後は仏様のお導きによって極楽へ行くと考えられていますので、どちらかというとお仏壇は開けておくべきという考え方が浸透しています。

宗派による違い

お葬式やお通夜の際の仏壇の扉については、宗派で開けるのか閉じるのか差があります。

 

浄土真宗、浄土宗、日蓮宗などでは、お経はお仏壇の中の御本尊に向かって唱えるものという考え方であるため、葬儀の際もお仏壇の扉は開いたままにすると言われています。

 

一方、天台宗、真言宗、曹洞宗、日蓮宗などでは亡くなったご本人に向かって手を合わせ、お経を唱えると考えるため仏壇の扉を閉めることが多いとされています。

 

どちらか迷ってしまった場合はお坊さんや葬儀関係者にたずねてみるのが良いでしょう。家庭によっては浄土真宗であっても扉を閉める、ということも起こります。また地方によっても異なるため、葬儀関係者から「扉は閉めた方が良い」とアドバイスをされることもあります。

 

 

四十九日を迎えるまでの間

四十九日を迎えるまでの間も、葬儀と同じように宗派によって差があります。お葬式の間に扉を開けておく宗派であれば、四十九日の間も扉は開けておくようにしましょう。

 

お葬式の間は扉を閉める宗派である場合は四十九日が終わるまで扉は閉めたままにする場合が多いとされています。これはお葬式、お通夜が終わった後もしばらくは慌ただしい日々が続き、御本尊に背中を向けて座ってしまったりお仏壇の前を横切ってしまう可能性があることなどへの配慮だとも言われています。

 

ただし、「開けておかないとなんだか故人が浮かばれない気がする」場合や「開けておくことで自分自身の心が落ち着く」といった場合は無理に閉める必要はありません。

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日々のお供えやお参りの際

お仏壇は家の中に存在する小さなお寺という扱いです。そのため本来であればお寺と同じように毎朝お仏壇の前に座りお水やご飯、お花などのお供え物をして手を合わせるのが伝統的なお参りの方法です。

 

しかし忙しい現代において、朝は十分にお参りの時間が取れないということも少なくありません。忙しいながらも起床後、出かける前などにお仏壇にさっと手を合わせる習慣がある方も多いでしょう。お仏壇に手を合わせる際には扉を開けるのが基本的な方法です。

 

お昼間に家を留守にする場合は朝のお参りが済んだら扉は閉めても構いません。お仏壇の前に座り、手を合わせる際には扉を開けるのが一般的な考え方です。

お盆や法事の際

ご先祖様の魂が帰ってくるとされるお盆、亡くなられた方の冥福を祈る法事・法要の際にはお仏壇の扉は開けておくのが基本です。お盆や法要の際はお供え物が多くなったり、手を合わせる方も多くなるため基本的には開けっ放しにしておきましょう。

 

しかし常に開けておかなければいけないという訳でもありません。親族や家族が集まって外出する際や、お掃除の際、食事の際などに開けっ放しにしておくのが気になるのであれば閉めても構いません。お盆の時期であっても夜に就寝する前には扉を閉めても構いません。

お正月

一年の始まりの大切な時期であるお正月。日本では古くからお正月には歳神様をお迎えして、一年の安寧を祈るという考え方があります。この歳神様、農耕の神様や田んぼの神様とも言われていますが、実はご先祖様だという考え方も存在します。歳神様=ご先祖様という考え方に基づいて、お正月にはご先祖様をお迎えするためにお仏壇の扉はやはり開けておくのが一般的です。

 

お正月を迎える前にはお仏壇もきれいに手入れと掃除をし、扉を開けて「五供(ごくう)」と呼ばれる基本的な5つのお供え物をしましょう。五供は

 

  • 線香
  • お花
  • お水
  • ご飯
  • ろうそく

 

です。お正月はとても大切な行事ですので、この五供に加えて故人やご先祖様の好きだったものなどをお供えするのも良いでしょう。

 

お正月といえどもお盆と同じく常に扉を開けっ放しにしておく必要はありません。状況に応じて扉の開け閉めをするようにしましょう。

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来客が手を合わせる可能性のある時

お家に大きなお仏壇があり、さらに来客の予定がある際にはどうするべきなのでしょうか?この疑問は「来客がどのような関係の方か」「お仏壇のある部屋に通すかどうか」によって左右されます。

 

来客が親戚や遠い身内であったり、家族が亡くなった後で故人の知り合いだった方の訪問であったりとお仏壇に手を合わせる可能性の高い時には扉は開けたままにしておきましょう。来客がお仏壇に手を合わせる可能性のない間柄の方でも、お仏壇のあるお部屋へとお通ししないのであれば開けたままで問題はありません。

 

来客がお仏壇に手を合わせる可能性がなく、なおかつお仏壇のあるお部屋へと通す際には扉は閉めておきましょう。

 

お仏壇は心を込めて取り扱いましょう

今回はお仏壇の持つ意味や由来、そして迷いやすい扉の開け閉めについて解説しました。明確な線引きが難しいお仏壇の扉についてのマナーですが、宗派による違いは少しあるものの基本的には「お参りをしたい」「お仏壇を大切にしたい」という気持ちが何よりも大切です。

 

お仏壇は仏様、そしてご先祖様の住む家であるという古来からの考え方を尊重した上で、現代のライフスタイルに合わせて開け閉めをすれば問題はありません

 

お仏壇に手を合わせるととても心が落ち着きます。ぜひ家の中の小さなお寺に手を合わせる習慣を持ちましょう。