神棚の配置場所とは?神具やお供え物、タブー行為についても解説
公開日 : 2021/2/18
更新日 : 2022/5/25
神棚の設置には配置や向きなどの決まりがあり、そこに祀る神具なども揃える必要があります。また、普段や行事の際にお供えするものや、神棚にお供えしてはいけないものなど、分からないことも多いですよね。そこで、今回は神棚の配置場所からタブー行為まで様々にご紹介します。
公開日 : 2021/2/18
更新日 : 2022/5/25
目次
神棚はどこに配置すればいい?
そもそも神棚とは、神様を祀るお宮そしてそのお宮を置くための棚のことです。各家庭において神棚が祀られるようになったのは、江戸時代の初期であるとされています。
仏壇の場合は本尊あるいはご先祖様を祀りますが、神棚では日本古来の神々を祀るのが特徴です。ここでは、神棚を祀る場所や向きについて解説します。
神棚を祀る場所および向き
神棚を祀る場合には、自宅の中でも清潔で家族皆にとって親しみやすい場所に祀るのがポイントです。毎日拝み、お供えもしやすい場所を選ぶのが重要です。配置の高さについては、目線よりも高い位置に祀るようにしましょう。
また、神棚の下を潜り抜けられるような場所は避け、方角については神棚の正面が南もしくは東を向くようにしてください。この方角については太陽と風水が大きく関わっており、東と南向きは運気が上がり、良いことが起こりやすくなると考えられています。
神棚を祀るのに不向きな場所
神棚を祀るのに適さない場所があります。その例として挙げられるのが、仏壇と向かい合う場所です。どちらかを拝んでいる間、一方に背やお尻を向けることになり、とても失礼にあたります。基本的に仏壇と神棚を同室にするのはタブーなので、別室に配置しましょう。
また、出入り口付近あるいは階段の下に配置するのもよくありません。さらに、2階建ての住宅の場合、1階に設置する際に真上がトイレや廊下になるのも適さないとされています。神棚を祀るなら上記のような場所は避けるようにしましょう。
初めて神棚を祀る場合
初めて神棚を祀る場合、場所を決めてから壁に棚を取り付けます。この神棚の棚は、「棚板」もしくは「つり棚」と呼ばれています。天井から吊るすケースもありますし、鴨居を利用するなどして棚を取り付けてから、お宮を設置するのです。
ネジを使い壁に支柱を固定して添え木を取り付けることもあるため、賃貸住宅であれば壁に穴を開けるという点に関しては注意しましょう。また、2階建ての場合、1階に設置する際は神棚の真上の天井に『雲』と書かれた紙を貼ることもあるので、覚えておくと便利です。
これには、『この上には何もない』という意味があります。文字の向きには決まりはありませんが、雲が象られた模様の入った『雲板』が設置されることもあります。
神棚に祀る道具などの基本
神棚の設置後は、続いて「神具」と呼ばれる道具を祀る必要があります。神具とはどういったものを用意して祀れば良いのでしょうか。ここでは、神棚に祀る道具やお札について解説します。神具を祀るのはとても大事なことなので、間違えることのないように覚えておきましょう。
神棚に飾るもの
神棚に祀る神具としては、まず土器セットを用意します。御神酒用の瓶子2本・お水用の水玉1つ・お米用の高杯1つ・お塩用の平皿1枚を用意してください。また、お供えものを載せる“三方”類も用意しましょう。
三方には、通常の三方・遠山三方・折敷・長膳・長折敷など各種類があります。中には朱塗りの三方もある点が特徴です。その他、神棚には御神鏡や榊を立てるための榊立(角型や丸形などがある)も必要です。
それ以外にも、灯明や蝋燭(ろうそく)も忘れてはいけません。ローソク立てがあると便利でしょう。より丁寧に祀るとしたら、真榊や御神幕や御簾(みす)なども順次用意しておく方法もあります。
お札はどのように並べるのか
神棚にはお札も祀ります。これには、一社宮と三社宮とで祀り方がやや異なる点を覚えておいてください。また、お札には祀る際の作法もありますので、忘れないようにしておきましょう。お札も神棚にはとても重要なものなので、疎かにしないように扱ってください。
納め方は神棚の形により異なる
神棚の中のお札をおさめる場所を、「内陣」といいます。一社宮の場合は、社の中に1つのスペースが設けられているのが特徴です。そして、三社宮では社の中に3か所の内陣があります。お札を横に並べておさめるなら、中央に神宮大麻、向かって右には氏神様を祀ります。
そして、向かって左にはその他の信仰する神社のお札を祀るのがポイントです。さらに1つにまとめて祀るなら、1番手前を神宮大麻として、その後ろに氏神様、最後にその他の神社のお札を祀りましょう。
お札は毎年取り替える
お札は取り替える必要があるのか、取り替える場合はどういった周期がベストなのでしょうか。お札は毎年取り替えるのが鉄則です。特別な御神体あるいは御分霊などについては、取り替える必要はありません。
取り替えたお札については、氏神様もしくはお札をいただいた神社でお焚き上げをしてもらうのがポイントです。神棚の扉は、開けていても閉めていても問題はないでしょう。
神具などの設置について
神棚には、しめ縄や神鏡などを設置する必要があります。“神様の前にお供えをする道具”という意味があるからです。続いては、神棚に重要となるしめ縄や神鏡の設置方法について解説します。
この設置方法を間違えてしまうと、神様に対して失礼にあたるかもしれません。神様へ失礼にならないように、正しい設置方法を知っておきましょう。
しめ縄を供える
神棚の前面には、しめ縄がかけられるのが一般的です。しめ縄は神様の領域と我々人間のいる現世を分け隔てる、“結界”の意味があります。不純なものが入ってきてしまうのを、防止する役割を果たしているのです。
このしめ縄は、紙垂(しで)を下げてから太い方が右に、細い方が左になるようにして飾るのがコツです。
神鏡を供える
神棚に飾られる、ガラスあるいは青銅で作られた鏡が「神鏡」です。神鏡は神聖なものとされており、三種の神器でもある八咫鏡(やたのかがみ)も神鏡に含まれます。神鏡は、日光を反射して光り輝くことから、神様の力を映していることや、太陽の象徴とも言われています。
神鏡を祀る際には、神様の依代(よりしろ)であることから中央の扉の前に飾ります。依代とは、神霊が寄り付く物という意味です。
お供え物を配置する
神棚には、日々お供え物をします。このお供え物は、神様へ感謝の気持ちやお礼を伝える意味があるため、神様に喜んでいただけるものや神様の力となるものをお供えする必要があるのです。
神棚にお供えをする際には感謝の気持ちを持ち、神様に喜んでいただけるようなものを用意する必要があります。ここでは、どういったものを供えれば良いのか説明します。
基本的なお供え
神棚には、基本的に上述のように水・塩・お米を供えます。置き方については、中央の奥にお米を置いて向かって右側の手前に塩、左側の手前に水を置くのが通常です。また、神様へのお供えは神饌(しんせん)と呼ばれます。
生ものは生饌(せいせん)、調理したものは常饌(じょうせん)と呼ばれます。神饌は三方もしくは折敷(おしき)に盛ってお供えするのが基本です。三方や折敷は台が付いており、上に神棚用の器を載せることができるようになっています。
さらにお米に関しては、多くのケースで生のお米が用いられるものの、炊いたご飯であっても問題はないでしょう。お酒については毎日供える必要はありません。
月次祭でのお供え
月次祭となる1日と15日には、神棚へのお供えもいつもに比べて豪華にします。従って、1日や15日には御神酒も用意するようにしましょう。この際の御神酒は、お猪口もしくは徳利に入れて供えるのが通常です。
この際の配置については、横一列に並べるなら向かって左から水・酒・米・塩の順番で置くようにします。御神酒の徳利が2本の場合は、中央の奥に米を置いてその左右の手前に御神酒を置きます。
そして、向かって右の手前に水を置いて左の手前に塩を置きます。毎月の1日や15日だけでなく、家庭でお祝い事があった際にも同様の供え方をするので、覚えておきましょう。
正月にお供えをする場合
正月は、新年を迎えるので1年の中でも重要な日です。当然、神棚にも特別なお供えをする必要があります。正月には、普段と異なる飾りなどを神棚に施すことがあります。その点を覚えておいて新たな年を迎える際には神棚にお供えをしてみるのも一案です。神様を敬うためにも、ぜひ実践してみましょう。
正月飾りを取り付ける
正月には、しめ飾りや鏡餅を供えます。しめ飾りはしめ縄に取り付けるようにし、鏡餅は中央に供えるのが一般的です。正月飾りの取り替え時期に関して悩む方もいるかもしれません。
正月飾りは、12月28日・12月30日に取り替えるのが望ましいです。なぜ29日が含まれないのかというと、29日だと“二重苦”や“苦待つ”といったことを連想させるためです。縁起が良くないというのが理由です。
それに大晦日である12月31日の場合は、一夜限りとなり神様に対して失礼となってしまうというのが、取り替えの日として避けられる理由です。
通常に戻すタイミング
正月が終わり、正月飾りを取って通常に戻すタイミングとしては、1月7日が一般的です。これにはそれぞれの地域や慣習によっても違いがあるため、お住まいの地域でどのようにしているのかを確認してから行いましょう。
ちなみに、しめ縄は一般的に正月飾りとする際に新しいものと取り替えます。正月飾りとして取り付けたしめ縄を、1年間使用します。
その他にも供えるものがある
神棚には、これまでご紹介してきたもの以外をお供えすることもあります。続いては、上記以外の神棚へのお供え物について解説します。魚や野菜などをお供えする際の配置は、どうなっているのでしょうか。
魚や野菜などのお供えにも決まった配置方法があるので、食べ物をお供えする際の参考にしていただければ幸いです。
魚
魚をお供えする場合には、川魚であるか海の魚であるかによって変わります。川魚であれば、背中の方が神様に向くようにしてお供えします。海の魚の場合は、お腹の部分が神様の方を向くようにお供えをするのです。
下げるタイミングについては、生ものはお供えをした次の日には下げましょう。少なくとも、鮮度が落ちてきたなと感じたならお供えは下げるのが肝心です。
野菜
野菜や果物をお供えするなら、花の咲く野菜を正中向きに配置するのがポイントです。右側に置く際はやや左向きにするようにし、反対に左側に置く場合は少し右向きにするようにします。
またお供えをする際には、できるだけ新鮮な野菜を選びましょう。見るからに鮮度が落ちているような野菜をお供えするのは、神様に対して失礼です。そして、いくら新鮮なものであってもニンニク・ネギ・ニラといった匂いの強いものは避けるようにします。
神棚にお供えしてはいけないもの
神棚にお供えしてはいけないものとして、金運のご利益欲しさに宝くじや預金通帳などを置くのはNGです。神棚は願い事を叶えてもらうためのものではなく、神様に日々平穏に暮らせていることを感謝するために祈るものです。
神棚にしてはいけないこと
神棚を設置する場合には、してはいけないNGの事項が存在します。神様に失礼になってしまうこともあり、神様に見守ってもらうことができない可能性もあります。ここでは、NG事項について説明します。神様の失礼にならないよう、NG事項を把握しておきましょう。
掃除をしない
神棚にしていけないこととして、1番に挙げられるのが掃除をしないことです。神様は、汚れのない綺麗な場所を好みます。神社も、常に清掃がされているため清々しい雰囲気がありますよね。
神棚は年に2回大掃除をするものですが、宮型あるいは棚板に埃が付いていたならこまめに拭くなどして掃除をしましょう。また、朝と夜の御参りをしないことや、お供え物をしないなどもNGです。
不要なものを置く
神棚には、祭祀とは関係のないものはできるだけ置かないようにするのがベストです。神様からご利益を得たいからといって、宝くじなどを供えるケースもありますが、神棚は神様への感謝を捧げるという祈りの場です。
よって、宝くじなど余計なものは置いてはいけません。昇進の内示であったり、賞状などは神棚に上げても問題はないでしょう。神様に感謝の意を伝えることができるからです。
神棚に足を向ける
神棚は、リビングルームや和室などに配置するケースが多いかもしれません。そうした場所で、家族の団らんやくつろぐ時間もあるでしょう。その際に、家族の足が神棚に向かないように気を付けてください。
神様に足を向けるというのは、不敬になってしまいます。バチが当たらないように気を付けるのが大事です。
神棚の配置にはタブーや方角を意識しよう
神棚を設置する際に、どの配置にすれば良いのか分からず悩むこともあるかもしれません。神棚はどこに設置しても良いわけではなく、神様へ失礼にならないような場所や方角を覚える必要があります。
また、神棚だけでなく神具やお供え物も重要になるため、お祀りする神具やお供え物の選び方も把握しておかなければなりません。この記事を参考に、ぜひ神棚を設置して神様へ感謝の気持ちを表しましょう。
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