日蓮宗の仏壇の飾り方とは?選び方や仏具、開眼供養の方法も解説
公開日 : 2020/12/4
更新日 : 2020/12/4
仏壇は、宗派によって仏具や飾り方に決まりがあります。また、仏壇を新しく購入した場合には、開眼供養が必要です。今回は、日蓮宗の仏壇に必要な仏具や、仏壇の飾り方、さらに開眼供養の大まかな流れや準備方法についてもご紹介していきます。
公開日 : 2020/12/4
更新日 : 2020/12/4
目次
日蓮宗とは
日蓮宗とは、日本の仏教の宗派です。鎌倉仏教の1つにも数えられ、「法華経」と呼ばれることもあります。日蓮宗の名称は、開祖の日蓮商人に由来しています。日蓮宗では、日蓮が説いた本尊・題目・戒壇を3段秘法とし、題目である「南無妙法蓮華経」を唱えることを重視しているのが特徴です。
仏壇とは
仏壇は、ご先祖さまや故人の位牌をお祀りするものだというイメージが強いです。しかし本来、仏壇とは、お寺の本堂を小さくしたもので、ご本尊さまをお祀りするための場所です。仏壇は仏教徒として仏様に礼拝を行うためのものであり、簡単に言えば、家の中のお寺というわけです。
もちろんご先祖さまや故人を祀る役割もあります。ただし、仏壇の中心はあくまでご本尊さまです。ちなみにご本尊さまは宗派によって違いがあります。よって、信仰している宗派によって仏壇の飾り方も異なります。
日蓮宗の仏壇の飾り方とは?
日蓮宗では、日蓮宗原ならではの仏壇の飾り方はとくにありません。ご本尊さまと脇侍、三具足といった仏壇の基本的な飾り方ができていればよいでしょう。仏壇の種類にもとくにこだわりはなく、安置場所やインテリアの事情にあわせて、自由に選んでかまいません。
日蓮宗の仏壇の種類
日蓮宗の仏壇の選び方にはとくに決まりはありません。ちなみに仏壇の種類は、主に以下のようなものがあります。
唐木仏壇
唐木仏壇とは、木目を生かしたデザインの仏壇です。最も伝統的な仏壇で、多くの宗派で用いられています。日蓮宗でも唐木仏壇を使用することが多いです。唐木仏壇には、黒檀や紫檀といった高級な木材を使用したものが多くあります。一方で輸入木材を使用したものもあり、そちらは手ごろな値段で購入することができます。
唐木仏壇は美しい木目を生かした見た目であり、落ち着いた印象ですので、どんなインテリアのお部屋にも調和しやすいです。とくに仏壇の選び方にこだわりがないという場合は、唐木仏壇を選ぶことが多いです。
モダン仏壇
モダン仏壇は家具調仏壇ともいい、その名の通り、家具のようなおしゃれなデザインが特徴です。木目を生かしたデザインのものが多いですが、ガラスなどの材質を使った仏壇もあります。スタイリッシュなデザインものが多く、洋風のインテリアのお部屋にもなじみやすいです。
モダン仏壇のもう1つの特徴として、コンパクトサイズのものが多いという点があります。上置きタイプや壁掛けタイプが豊富であるため、仏壇の安置場所をあまり広く取ることができないという場合にもおすすめです。
ミニ仏壇
ミニ仏壇は、省スペースで安置できる小さな仏壇です。主にモダン仏壇に多いタイプです。上置きタイプのものが多く、棚の上やテーブルに安置できるため、安置場所をあまりとれないお宅にも安置しやすいでしょう。
ミニ仏壇には上部に囲いがあるものや、逆に上部が空いているものなど、さまざまなタイプがあります。一見は写真立てのようなデザインのものもあり、住宅事情や供養の方法にあわせて選ぶことがあります。
金仏壇はほとんど使用しない
金仏壇は、唐木仏壇と並んでもっとも伝統的な仏壇の1つです。落ち着いたデザインの唐木仏壇とは対照的に、外側には漆を塗り、内側には金箔をほどこしており、とても豪華な見た目なのが金仏壇の特徴です。
金仏壇はおもに浄土真宗で用いられています。ほかの宗派でも金仏壇を用いることは禁止されていません。ただし一般的には、浄土真宗以外の宗派では金仏壇はあまり使用されていません。理由は、浄土真宗との区別をつけるためです。
そのため、日蓮宗でも金仏壇を用いることはほとんどありません。ただし仏壇の選び方は寺院や僧侶によって考え方が異なるため、場合によっては日蓮宗でも金仏壇を用いることはあります。
日蓮宗の仏壇に飾る仏具
日蓮宗では、仏壇の飾り方にとくに決まりはありません。ただし、日蓮宗では信仰するご本尊さまと脇侍は決まっています。その点だけ注意していれば、あとは基本的な仏壇の飾り方でかまいません。それでは、日蓮宗の仏壇に必要な仏具について、主だったものをご紹介していきます。
本尊と脇侍
日蓮宗の本尊は「大曼荼羅」です。大曼荼羅とは、「法華経」の真理を文字で表したもので、法華経に出てくる仏・菩薩や法華経を守護している神々の名を記したものです。簡単にいえば、仏様を漢字や梵字で表した絵図です。
ほかの宗派ではご本尊さまは仏像や仏さまの掛け軸をお祀りことが一般的ですので、この点は日蓮宗独特の飾り方といえます。また、日蓮宗の脇侍は「大黒天」と「鬼子母神」です。大黒天は家内安全の神様です。一方、鬼子母神は子供や安産の守護神です。
本尊と脇侍は仏壇の一番上の段に飾ります。真ん中がご本尊さまで、向かって右側に鬼子母神、向かって左側に大黒天をお祀りします。ただし、脇侍は地域や寺院の考え方によって逆になることもあります。詳しくは菩提寺などに相談してみてください。
高さに注意する
日蓮宗の本尊は大曼荼羅という絵図であるため、本尊は掛け軸を飾ります。あわせて脇侍も掛け軸をお祀りすることが多いです。掛け軸を飾るときは、本尊と脇侍の大きさや高さに注意しましょう。
あくまで仏壇の中心はご本尊さまですので、大曼荼羅をいちばん高い場所にお祀りする必要があります。脇侍は、それぞれ大曼荼羅より低い位置に飾るようにしましょう。また、脇侍のサイズが本尊より大きくなるのは避けてください。
日蓮聖人
日蓮宗の仏壇には、本尊である大曼荼羅とあわせて、日蓮上人の像を納めることが一般的です。日蓮上人の像は木造やブロンズ製のものがあり、材質や大きさはさまざまです。飾る場所は、仏壇の一番上の須弥壇です。
ちょうど大曼荼羅の前にあたります。このとき、日蓮上人の像は、大曼荼羅が見えるくらいのサイズを選ぶことが大切です。小さい仏壇なら省略することもできますが、基本的には日蓮宗の仏壇には本尊・脇侍・日蓮上人像を飾ることを覚えておいてください。
位牌
ご本尊さまや脇侍のそばには、ご先祖さまや故人の位牌を安置させていただきます。位牌はご本尊さまより一段低い壇に飾るのが一般的です。仏壇に向かって右側が上座であるため、古い位牌を右から順番に並べていきます。
位牌には主に塗位牌と唐木位牌の2種類がありますが、日蓮宗ではどちらの位牌でもかまいません。ただし、サイズには注意が必要です。位牌がご本尊さまや脇侍より大きくなったり高くなったりしてはいけません。位牌のサイズは、本尊や脇侍の7~8割程度を目安にしましょう。
三具足
三具足は仏具の最も基本的な仏具です。具体的には、香炉・灯立・花立です。香炉は線香をお供えするための仏具です。いろいろな種類がありますが、日蓮宗では「前香炉」を使用するのが一般的です。
灯立はロウソク立てのことで、花立は花瓶のことです。三具足はどんな宗派の仏壇にも飾られるものであり、仏具の中でも特に重要です。仏壇が小さい場合でも、最低限三具足は準備したいところです。
三具足は本尊や位牌より一段低い場所に飾るのが一般的です。あるいは、経机などに飾ることもあります。置き方は、真ん中に香炉・右側に灯立・左側に花立です。
あるいは五具足
五具足は、三具足の灯立と花立を一対ずつにしたものです。三具足の場合と同じく、本尊や位牌より低い壇か、経机に飾ります。置き方は、中心が香炉、その両側に灯立、さらにその両側に花立です。
三具足よりも五具足の方が丁寧ですが、飾るためにはそれなりのスペースが必要です。仏壇が大きい場合には五具足をそろえるのがおすすめです。
リン
リンは盆音具の1種です。盆音具とは音を出す仏具のことで、リンや木魚などが代表的です。リンは高く澄んだ音が特徴で、極楽の仏さまの耳にも届くといわれています。また、リンの音は人の邪念を払うともいい、礼拝のときにリンを鳴らすことで、仏さまやご先祖様への純粋な思いだけを載せることができるとも考えられています。
日蓮宗でも、仏壇にお参りするときにはリンが必要です。できれば三具足と一緒に飾りたいところです。リンを飾るのは、仏壇の一番下の段であることが多いです。飾るときは、三具足の邪魔にならないよう、端のほうに置くのが一般的です。基本的にはお参りのときに叩きやすい場所がおすすめです。
茶湯器・仏器
茶湯器と仏器は、それぞれお茶とごはんをお供えするための仏具です。基本的にはご本尊様・脇侍・位牌の数だけセットでそろえますが、スペースなどの問題がある場合は、1セットでもかまいません。
仏器と茶湯器を飾る場所は、ご本尊さまや位牌より下の段です。三具足などと並べて飾ることもあります。茶湯器のお茶は毎日取り換えましょう。また、ごはんも毎日炊き立てをお供えします。
高坏
高坏は足のついたお皿のことで、お菓子や果物などをお供えするための仏具です。基本的に一対で使用しますが、ミニ仏壇などの場合は1個でも十分です。高坏を使用するときは、懐紙などを皿の上に敷いて、その上にお供え物を置きましょう。
中型以上の仏壇に飾るときは、本尊や位牌より下の段で、中段くらいに飾ることが多いです。ミニ仏壇などの場合は、一番下の段でもかまいません。お菓子や果物などの贈り物をいただいたときは、まず仏壇にお供えした後に、いただくのがよいとされています。
仏壇には開眼供養が必要
日蓮宗に限らず、仏壇を購入した場合などには、僧侶を招いて「開眼供養」を行います。開眼供養とは、仏壇や位牌に魂を込めるための儀式です。反対に魂を抜く儀式を「閉眼供養」と言います。
仏壇や位牌は、魂を宿す前は単なるものでしかありません。開眼供養を行って魂を込めることで、はじめて礼拝の対象となります。そのため、仏壇の大きさや形態にかかわらず、新しく仏壇を購入したときには、使用前に開眼供養を行う必要があります。
開眼供養はいつ行う?
仏壇に限って言えば、開眼供養は仏壇の購入後、自宅に安置してなるべく早くに行います。開眼供養を行わない限り、仏壇は礼拝の対象にはならないからです。あるいは、仏壇に新しい位牌を納めるときにも、位牌の開眼供養がおこなれます。
位牌は四十九日を境に、白木の位牌から本位牌に切り替えます。新しい位牌を作ったときにも、開眼供養は必要です。新しい仏壇を買うのは、白木の位牌から本位牌に切り替わる四十九日のタイミングというご家庭も多いです。そのため、四十九日法要と、仏壇・位牌の開眼供養を一緒に行う場合が多いです。
開眼供養の行い方
仏壇の開眼供養を行う際の、大まかな流れをご紹介します。開眼供養の準備方法や、当日の注意点については、以下の通りです。
日時の決定と僧侶の手配
まずは開眼供養を行う日時を決定します。開眼供養は家族のみで行うのが一般的です。四十九日法要と合わせて行う場合は、親族も招くこともあります。参列してほしい人をリストアップし、スケジュール調整を行いましょう。
日時が決定したら、開眼供養をお願いする僧侶に依頼をします。菩提寺の僧侶に依頼することが多いです。あわせて、参列してほしい人への連絡も行いましょう。
お布施を準備する
開眼供養を依頼する僧侶へのお礼として、お布施を準備しておきます。開眼供養のお布施の相場は3万~5万円です。四十九日法要や納骨式を一緒に行う場合は、1.5~2倍の金額を包みます。
お布施は水引のついた金封に包みます。開眼供養は慶事であるため、水引の色は「紅白」で、結び方は「結び切」か「あわじ結び」です。お布施の表書きは「開眼御礼」「開眼供養御礼」「御入魂御礼」などが一般的です。
お布施のほかに、「御車代」や「御膳代」を用意することもあります。御車代は、遠方から来ていただいた僧侶への交通費としてお渡しします。「御膳代」は、法要後の会食を辞退された場合にお渡しするお金です。表書きは「御車代」「御膳代」とし、相場はそれぞれ1万円です。
当日:仏壇の飾りつけ
開眼供養の当日は仏壇の飾りつけを行います。仏具は、先にご紹介した方法で飾りましょう。花立には花を飾り、茶湯器や仏器にお茶やごはんをお供えします。お供え物はお菓子や果物のほか、お餅を差し上げることが多いです。
また、開眼供養には赤い和ろうそくを用いることが多いです。赤色を使うのは、開眼供養が慶事だからです。しかしろうそくの色は地域や寺院によって考え方が異なるため、詳しくは開眼供養を依頼したお寺に問い合わせるのがおすすめです。
当日:服装は?
開眼供養の参列者は、基本的には礼服を着用します。開眼供養のみを行う場合は、暗い色味の落ち着いた服装であれば、平服でもかまいません。四十九日法要や納骨式を一緒に執り行う場合は、やはり礼服を着用しましょう。
当日:読経と焼香
開眼供養当日は、僧侶が到着する前に、参列者全員が集合しておきます。僧侶が到着したら、仏壇の前でお経をあげていただきます。その後、参列者全員で焼香を行います。焼香後、法要が終わったら、僧侶を招いて参列者全員で会食を行います。
ただし、最近は会食は省略されることが多いです。法要後は、忘れずに僧侶にお布施をお渡しします。
日蓮宗の仏壇には厳格な決まりはない
日蓮宗の仏壇は、本尊と脇侍以外はとくにルールはありません。自宅のスペースや雰囲気に調和するような仏壇を選んでみましょう。また、新しく仏壇を購入した際には、かならず開眼供養を行ってください。
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