線香をお供えするのにはどんな意味が?供える作法や目的は?

公開日 : 2020/12/13

更新日 : 2020/12/13

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線香とその意味にについてご紹介します。線香の意味と効果、線香の種類、線香を選ぶポイント、線香を供えるしきたりなどをまとめました。弔問やお墓参りなど、線香を供える機会があれば、作法どおりに線香を供えられるよう、参考にしてください。

公開日 : 2020/12/13

更新日 : 2020/12/13

目次

線香の由来

香を用い始めたのは紀元前3000年ごろのメソポタミアで、香りのする樹脂や香木を神事で焚いていたのが始まりだったと言われています。

 

のちにインドに伝わり、仏教が生まれた地域であり、香料の産地として材料も豊富だったインドで香は親しまれ、心身を清めるために用いられるようになりました。

 

日本にも飛鳥時代に香が伝わり、奈良時代に仏教を広めた鑑真が、仏の教えとともに香料や調合方法などを人々に伝授し、香を広めていきました。現在と同じ形の線香は16世紀ごろから使われていたようです。

線香の意味と効果

線香は仏壇やお寺、お墓などに供えられます。線香にはどういった意味や役割があるのでしょうか。

線香の意味

「仏さまにお供えする」線香について改めて考えてみましょう。線香をたくとよい香りが広がり、気分も落ち着きますが、次のような役割もあります。

浄化

線香には人や場のけがれをはらい、浄化する力があると言われています。けがれた心身やけがれた場で、故人や仏さまにご挨拶するのは失礼な行いにあたります。お香をたいて心身や場を浄化させてから故人や仏さまにご挨拶します。

故人にとっての食べ物

線香は故人にとって食べ物になるとされています。いわれは、4~5世紀ごろに著された『倶舎論(くしゃろん)』という書物の、「生前よいことをした故人にはよい香りが食物となる」という記述だといわれています。

 

四十九日まで線香をともし続けるのは、「食香」といい、故人の食べ物である線香を四十九日まであげ続けるという風習が現代でもなお残っています。

 

亡くなった日から四十九日までの間を「中陰」または「中有」と言い、7日間ごとに故人が生前犯した罪について裁判が行われ、次はどの世界で生まれ変わるかが決められるとされています。故人は中陰の間にいわば旅をし、極楽浄土にたどりつくと言われています。

あの世とこの世をつなぐ

線香の煙は細く長く天上へ向かってたなびくので、自分と仏さまの心をつなぐものとされています。心がつながった仏さまとの対話ができるのです。

線香の効果

心身や場を清めるためだけでなく、アロマテラピーの精油のような効果もあります。

リラックス

よい香りには心を落ち着かせる効果が期待できます。リラックスしたいときは白檀や花の香りの線香を焚くとよいでしょう。部屋中にふんわりとした香りが広がり、香りを楽しむために大きく呼吸するので、リラックス効果を高めることが期待ができます。

浄化

線香などのお香には除菌や殺菌効果があると言われています。特に浄化香と呼ばれるものには白檀や薬草などが調合されており、煙の広がりに伴って除菌や殺菌効果が広がり、部屋の空気が文字通り浄化されます。

消臭

よい香りが部屋中に広がり、部屋の中の臭いを消してくれます。生活臭や煙草臭、ペット臭などを消臭する線香もあります。備長炭の木酢液が配合されているものは、消臭、除湿、抗菌効果があり、花粉症対策にも使えます。

虫除け

一般的な線香に配合されている白檀や桂皮、丁子に防虫効果があると言われています。渦巻き状の蚊取り線香には除虫菊に含まれる「ピレトリン」やピレトリン系成分が練り込まれています。蚊取り線香の虫除け効果のある成分は除虫菊の成分です。

線香の種類

線香にも様々な種類があります。材料で分けて主に2種類、形状で分けると主に4種類となります。

 

沖縄で使われる特別な線香「平御香(ヒラウコー)」のこともご紹介しています。本州との風習の違いが興味深いです。

 

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材料で分ける

線香を材料で分けると、椨(たぶ)で作られた「匂い線香」と、杉で作られた「杉線香」などがあります。それぞれに特徴があるので焚く場所や焚く目的に合わせて選んでください。

匂い線香

匂い線香は椨(たぶ)という木の樹皮を粉状にし、伽羅や沈香、白檀といった香木や香料を混ぜ合わせて作る線香です。室内で焚けるよう、香りや煙を抑えてあるので、最もポピュラーな家庭用の線香だと言えるでしょう。

杉線香

杉線香の原料は、その名のとおり杉の葉を乾燥させたものです。杉特有の香りと、煙が多く出るので戸外でお墓参りに用いられることが多いです。匂い線香に比べれば香りは劣りますが、価格は匂い線香よりも安いです。

形状で分ける

線香は形でも分けられます。線香と言えば、一般的な細長い形の線香を思い浮かべますが、一般的な線香以外にも渦巻き型や束線香、円錐形のものなど豊富に種類があります。

渦巻き線香

蚊取り線香のように渦巻き型になった線香です。人が亡くなると、先ほどご紹介したように四十九日までは線香を絶えず焚いていなければなりません。渦巻き線香なら燃焼時間が長いので、線香の交換の回数が少なくてすみます。

竹ひご線香

杉を使って作られます。竹ひごに麩糊を縫って杉粉をムラのないように塗り、乾燥させてもう一度杉粉を塗ります。杉粉を均一につけるのは至難の業で、熟練したベテランでないと難しいようです。

 

東南アジアで作られていますが、香りが濃密で、竹ひごも一緒に燃えてしまうので室内では使えません。日本以外の東南アジアの国々で使われています。

束線香

束になった線香を墓参した人で分け合って供える場合が多いようです。束ごと供えても分けて供えてもよいとされており、決まりはないようです。

円錐型

線香には円錐型のものもあり、コーン型とも呼ばれます。香りの広がりが早く、徐々に香りが強くなっていきます。円錐の先端に火をつけて置いておくと円錐型の形どおりに灰が残り、片付けが簡単です。

 

燃焼時間は10分程度でお香立てなど道具が必要でないため、カジュアルに使われています。

平御香

沖縄独特の線香で「ヒラウコー」と呼ばれます。黒い線香で、1本の線香同士が平たく6本くっついており、簡単に分割できます。

 

使うときは必要な本数に割って使います。供える本数に細かい厳密な決まりがあり、沖縄の方々でも何本必要なのかわからなくなってしまうのだそうです。

線香の長さ

線香は長さによっても分類されます。一般的な線香を「短寸」と呼んでいます。長尺線香は寺院などで使うためもあまり見かけないかもしれません。

 

長尺線香の長さは様々で、33cm、39cm、55cm、73cmなどがあります。燃焼時間も長さに伴って長時間になります。寺院で使われ、一般家庭で使うことはほとんどないといえるでしょう。

短寸線香

短寸線香はだいたい14cmぐらいの長さの細い線香をいいます。燃焼時間は20分前後で、家の中で仏壇に供えられることが多いです。

長尺線香

長尺線香は寺院などで使う、長いもので70cmにもなる線香です。寸法が長いため、燃焼時間も長く、燃え尽きるまで2時間半~7時間ぐらいの時間がかかります。

 

仏壇や仏さまに供える意味もありますが、座禅を組んだり経文を唱えたり、線香が燃え尽きるまで行うといういわばタイマーの役割をすることもあるようです。

ミニ線香

長さ約7~8cmと、短寸線香の半分くらいの短い線香です。時間のない朝でも燃焼時間が短いので火の元を気にせずお仏壇に手向けられます。出かけるころには燃え尽きています。食事の後の匂い消しにも使われます。

線香を選ぶポイント

ネットで「線香」を調べると、線香はパッケージ、香り、普段使い用、進物用など候補がたくさんあがり、どれを選べばいいのかわからなくなりそうです。線香を選ぶ際は何をポイントにして選べばいいのでしょうか。

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一般的な住宅のお仏壇に供えるなら、短寸線香でよいでしょう。長さは約14cmで燃え尽きるまでの時間は、25~30分といわれています。ちょうどお経を1回唱える長さなのだそうです。

煙の量も多いものから煙がほとんど出ないものまで様々です。杉線香のように煙が多くたつものは屋外で使います。杉線香は墓参りに供えることが多いです。

 

家のなかではあまり多く煙が出ないほうがよいでしょう。火災報知器が作動してしまうこともあるようなので煙は控えめな線香を選んでください。

香り

室内用には匂い線香、屋外用には杉線香を選ぶとよいでしょう。匂い線香にも香りの種類がたくさんあります。香りにしきたりはないので、自分が好きな香りや故人が好きだった香りをえらぶとよいでしょう。

 

伝統的な白檀や沈香、伽羅などの香りもありますし、フルーツの香りやラベンダーなどの植物のよい香り、チョコレートやコーヒーの香りなど斬新な線香もあります。

線香の道具と消耗品

線香を焚くには道具と消耗品が必要です。円錐形(コーン型)のお香なら灰が散らばったりしないので、お皿に置けば使えますが、細長い線香は灰が散らかるのでそれなりの道具が必要になってきます。

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道具

線香を焚くには香炉や香立て・香皿といった道具や、香炉に入れる灰が必要になります。

香炉

香炉は湯呑に蓋と足がついたような形をしており、中に香炉灰を入れて香炉灰の中に線香を立てるようになっています。線香を焚いている間は蓋を開けておきます。

香立て、香皿

多くは立体的な物に線香をさす小さい穴が開いているものを香立てといいます。香立てを置くお皿が香皿です。香皿を置かないと灰がおちて汚してしまうので、香立てには必ず香皿を使いましょう。

香炉灰

香炉灰は定期的にきれいにして、時々新しいものと取り換えたほうがよいでしょう。その意味では消耗品といえるので、コスパが良いものを選ぶようおすすめします。

珪藻土

DIYなどで耳にすることもある珪藻土を香炉の中に敷き詰めて線香を立てます。珪藻土とは珪藻という植物性のプランクトンが長い間海底や湖底に堆積して化石になったものです。

珪砂

珪砂はガラスの原料になる砂の一種です。砂と言っても花崗岩などが風化して細かい粒になったものをいいます。珪石を人工的に粉砕したものもあります。

天然石

粒状の天然石が灰の代わりをするものです。赤やグリーン、ピンクなど石の色が映えてきれいです。洗って何度でも使えます。

線香の供え方

毎日の暮らしの中で線香は、いつ、何回くらい供えるものなのでしょうか。線香のあげ方にも宗派によって決まりがあります。なるべく正しく線香を供えたいものです。

お香をあげるタイミング

先にご紹介したように、よい香りは故人の食事になるものです。自分たちの三度三度の食事と同じタイミングで供えるとよいでしょう。朝晩2回でも構いません。

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宗派によってしきたりがある

仏教にも様々な宗派があり、それぞれの宗派によって線香の供え方が違ってきます。宗派のしきたりに沿ってお線香を供えて心身を整え、落ち着いた心情で仏さまにご挨拶してください。

 

浄土宗、日蓮宗では1~3本を香炉に立てて供えます。臨済宗は供え方に特に決まりはありません。浄土真宗は1本を数本に折って火をつけ、寝かせて供えます。この時、火のついたほうが左側になるように置いてください。

 

曹洞宗は1本を立てて供えます。真言宗、天台宗では1本を手前に立て、残りの2本を仏壇側に立てます。線香立ての中で線香を頂点とした三角形を描くように立ててください。

お線香のあげ方

数珠は左手に持ちます。仏壇を正面にして、仏壇の前に置かれている座布団に座ります。一礼して合掌し、ろうそくに火をつけます。ろうそくの火で線香に火を移し、合掌をして一礼します。座布団からおりて遺族に一礼します。

線香とろうそく

線香と切り離せないのがろうそくです。仏壇にもお墓にも線香とともに必ずろうそくを灯します。ろうそくにはどのような役割や意味があるのでしょうか。

ろうそくの意味

仏壇には右と左両端にろうそくが供えられていますが、それぞれ呼び名と意味があります。ろうそくは「灯明」といわれ、左右それぞれを「自灯明(じとうみょう)」「方灯明(ほうみょうとう)」といいます。

 

自灯明は己を頼りとすること、方灯明はほんとうに正しいこと(真理)を頼りにすることを表しています。

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ろうそくの役割

線香を供えるときにはろうそくに火をつけて、その火を線香に移して供えます。ろうそくには線香とよく似た二つの役目があります。明るい灯は周囲のけがれを払い浄化して、場を清らかにします。周りを明るく照らし、煩悩の闇に光を当てるという役目です。

 

もうひとつの役目は、あの世とこの世をつなぐ橋になってくれることです。ご先祖さまが迷わずに帰って来てくださるよう、周囲を明るく照らし、私たちの顔がご先祖さまによく見えるようにしてくれる、という役目です。

ろうそくの消し方

線香やろうそくは息を直接吹き付けて消してはいけません。俗世の人間の口はけがれているので、けがれた息を仏さまやご先祖さまに吹き付けるのはご法度です。ろうそくも線香も手で仰いで消すのは多くの人がご存知でしょう。息を吹きかけて消さないようにしましょう。

大切なのは故人を思う気持ち

線香についてご紹介しました。線香の由来、線香の意味、線香の種類や供える際のしきたりなどを取り上げました。

 

しきたりを知っておくことに越したことはありませんが、いちばん大切なのは故人に対する気持ちです。気持ちがなければしきたり通りに線香を供えても意味がありません。敬虔な気持ちで故人と向き合いましょう。