曹洞宗の仏壇とはどんなもの?揃えるべきものや飾り方を解説

公開日 : 2020/10/16

更新日 : 2020/10/16

曹洞宗の仏壇とはどんなもの?揃えるべきものや飾り方を解説のサムネイル画像

仏壇は宗派によって、飾るものや飾り方が異なっています。今回は、曹洞宗の仏壇に必要なものや、それぞれの飾り方についてご紹介します。仏壇はご先祖様の魂のよりどころになるものです。正しい飾り方をして、ご先祖様の魂に安らいで頂けるようにしましょう。

公開日 : 2020/10/16

更新日 : 2020/10/16

目次

曹洞宗とは?

曹洞宗は日本における仏教の宗派の種類で、鎌倉仏教の1つに数えられます。本山は福井県の永平寺と、横浜市の總持寺です。もともとは中国発祥の教えであり、日本の僧・道元が中国で学び、1226年の帰国とともに伝えられましたが、「曹洞宗」という名称になったのは13世紀後半~14世紀前半のことです。

 

曹洞宗は釈迦を本尊としており、座禅によって悟りを得ることを教えとしています。曹洞宗の葬儀は儀式が多く、内容も独特であることが特徴ですが、仏壇に関しては決まり事や作法が明確ではありません。そのため、曹洞宗の仏壇の飾り方に迷う場合もあります。そこで今回は、曹洞宗の仏壇の飾り方について解説していきます。

仏壇について

仏壇には2つの意味があります。1つ目は、仏様の住む世界をかたどった祭壇である、ということです。仏壇には本尊や仏具を飾ることで、仏様の住む世界を再現しています。いわばお寺の仏壇を小型にしたものであり、家の中の小さな寺院でもあるわけです。

 

2つ目は、ご先祖様の位牌を納めて、その魂を供養するためのものです。現代ではこちらの意味合いの方が一般的でしょう。仏壇は本来、前述のように、本尊をお祀りすることが目的です。しかし人は亡くなると仏になると考えられているため、位牌を安置することでその魂を供養するという目的も、間違いではありません。

 

いずれにしろ大切なのは、仏壇に手を合わせてお参りすることです。仏壇に手を合わせることで、故人を身近に感じたり、自分の心を見つめながら仏様と対話したりすることができます。そういった意味で、仏壇とは、人々の心のよりどころになる存在だといえるでしょう。

曹洞宗の仏壇はどの種類がよい?

仏壇には主に「唐木仏壇」「金仏壇」のほか、洋間にも調和しやすい「モダン仏壇」があります。曹洞宗において、仏壇の形や大きさ、色にはとくに決まりがありません。よって、仏壇の種類は自由に選ぶことができます。ただし、曹洞宗を信仰する家庭では、唐木仏壇やモダン仏壇を選ぶことが多いです。

 

唐木仏壇は最も伝統的な仏壇で、木目を生かしたシンプルなデザインです。一方モダン仏壇は家具調仏壇ともいわれ、シンプルなものから凝った材質・デザインのものなど、種類が豊富です。家具調仏壇の名前のとおり、インテリアの1つとして飾ることができ、どんな部屋にも溶け込みやすいという特徴があります。

 

ちなみに金仏壇とは、全体に黒の漆塗りがされ、内部には金箔が張られた、とても豪華な見た目の仏壇です。金仏壇は浄土真宗でよく選ばれていますが、そのほかの宗派が使ってはいけないという決まりはありません。しかし曹洞宗では華美を敬遠する傾向があること、また浄土真宗との区別化のために、金仏壇を選ばない傾向が強いです。

 

唐木仏壇やモダン仏壇以外に、ミニ仏壇といった省スペース型の仏壇を選ぶ家庭も多いです。曹洞宗には仏壇の種類についての決まりはないため、個人の好みや自宅の雰囲気、設置スペースにあわせて、自由に選んでみるとよいでしょう。

曹洞宗の仏壇に必要なもの

曹洞宗の仏壇に飾る仏具についてご紹介します。仏具は、仏壇の大きさや形にあわせて変えてもかまいません。ただし、どんな仏壇を使うにしろ、必ず揃えるべき仏具もあります。絶対に必要な仏具、基本的に揃えたい仏具、できれば揃えたい仏具の3段階の重要度に分けて、それぞれの仏具についてご紹介していきます。

必須のもの

まずは曹洞宗の仏壇に必須の仏具についてご紹介します。コンパクトな仏壇を選ぶ場合は、最低限、以下の仏具はそろえておくようにしましょう。

本尊

仏壇には本尊が絶対に必要です。曹洞宗の本尊は釈迦如来です。ただし、曹洞宗であってもお寺によっては阿弥陀如来を本尊としている場合もあります。詳しくは、菩提寺に相談してみるとよいでしょう。

 

本尊は仏像が一般的ですが、掛け軸を用いることもあります。仏像は木製やブロンズ製のほか、サイズもさまざまあります。掛け軸も同様です。基本的に仏壇のサイズや雰囲気にあわせて選んでかまいませんが、気を付けたいのが脇侍との兼ね合いです。本尊は仏壇の中心であるため、脇侍よりも大きいサイズである必要があります。

位牌

位牌がある場合は、仏壇に必ず飾りましょう曹洞宗では位牌の種類にはとくに決まりがありません。黒塗りの位牌や唐木の位牌など、さまざまな位牌がありますので、菩提寺と相談しながら選ぶのがおすすめです。

灯立

灯立とはロウソク立てのことで、仏具における三具足の1つです。灯立は三具足の場合は1つ五具足の場合は2つ必要です。曹洞宗ではとくに材質や形に決まりはありませんので、仏壇の大きさやデザインにあわせて選ぶとよいでしょう。ただし、金色の灯立は浄土真宗専用の仏具であることが多いため、曹洞宗の仏具としては避ける傾向があります。

 

灯立は「火立」ともいい、仏様に灯をお供えするための仏具です。単純に線香に火をつけるためだけのものではないので、仏壇には必ず必要です。ちなみに、仏様に火をともすことは「燈明」といい、供養の1種とされています。

 

最近は防災のため、電子ロウソクを選ぶ家庭も増えています。日常的なお参りには電子ロウソクをや電子線香を用い、法事などの際には、灯立を用いるなど、使い分けをしてもよいでしょう。

花立

花立は花を飾るための仏具です。灯立とおなじく三具足に数えられ、三具足の場合は1つ、五具足の場合は2つ必要です。こちらも選び方に決まりはないため、デザインや大きさを考えながら自由に選ぶとよいでしょう。ただし灯立と同じく、金色の花立は選ばないという傾向があります。

香炉

香炉は香を焚くための仏具で、仏様に良い香りをお供えするために用います。三具足の中でももっとも大切な仏具でもあります。香炉にはいろいろな種類がありますが、曹洞宗では前香炉を用いるのが一般的です。ただし寺院によって異なることもあるので、詳しくは相談するのがおすすめです。

 

香炉・灯立・花立をあわせて三具足と呼び、灯立と花立をそれぞれ一対揃える場合は、五具足という呼び方になります。三具足は、曹洞宗に限らず、多くの宗派で基本の仏具とされています。仏壇のサイズにもよりますが、できれば仏壇に飾りたい仏具です。

そろえるのが望ましいもの

続いて、本尊・三具足の次に重要度の高い仏具をご紹介します。基本的に以下の仏具も仏壇に必須のものです。仏壇に飾るスペースがあるなら、ぜひ揃えてください。

脇侍

より本格的に祀りたい場合は、本尊の両側に脇侍をお祀りします。曹洞宗では、脇侍は常陽大師と常済大師であることが一般的ですが、一部の寺院では異なることもあります。本尊と脇侍をあわせて「一仏両祖の三尊仏」を呼びます。常陽大師と常済大師は必ず一対であり、どちらか一仏だけを飾ることはできません。

 

脇侍は、本尊と同じく仏像か掛け軸を選択できます。一般的には、スペース上の問題から、本尊を仏像とし、脇侍は掛け軸にすることが多いです。いずれにしろ、脇侍は本尊よりも大きいサイズを選ぶことはできません。また掛け軸にする場合は、本尊より低い位置になるように吊るすため、掛け軸の丈に注意してください。

 

 

仏器

仏器は仏飯器ともよび、仏様にご飯をお供えするための仏具です。三具足の次に重要度の高い仏具ですので、ぜひ揃えたいところです。仏器は本尊の前に配するため、基本的に1個あれば十分ですが、仏壇にスペースがある場合は、2個飾ります。また、脇侍や位牌の数だけ揃えることもあります。曹洞宗では仏器の材質や色に決まりはないため、自由に選ぶことができます。

茶湯器

茶湯器は仏様にお茶をお供えするための仏具で、仏器とセットになっています。一般的な仏壇なら基本的に1つあれば十分ですが、スペースに余裕があるなら脇侍の前にも仏器とともにお供えすることもあります。仏器と同じく、材質や色に決まりはありません。

高坏

高坏は、果物やお菓子などのお供え物をするときに用いる仏具です。仏器や茶湯器ほど重要度は高くありませんが、スペースに余裕があるなら飾るのがおすすめです。高坏は、足の形やデザインなどがさまざまで、曹洞宗ではとくに選び方に決まりはありません。仏壇のデザインや仏器などの兼ね合いで選ぶとよいでしょう。

過去帳

過去帳とは、その家の先祖代々の俗名・戒名・没年月日・年齢を記したもので、いわば家庭ごとの系譜です。お経や和本の形をしているものが多いです。過去帳は、年忌法要などのスケジュールを立てるときに役立ちます。材質やデザインはさまざまで、曹洞宗では選び方に決まりはありません

リン・リン台・リン棒

リンは漢字で「鈴」と書き、リン棒でたたくと澄んだ音を出す仏具です。リンは多くの宗派で用いられていますが、もともとは禅宗が発祥の仏具といわれています。リンの澄んだ音は、人々の邪念を払うと当時に、供養の祈りを極楽浄土に届ける役割があります。

 

リンは仏具の中でも知名度が高いことから、現在ではさまざまなデザインのものが販売されています。曹洞宗では選び方にとくに決まりがないため、基本的に自由に選んでかまいません。あわせてリン棒やリン台もそろえておきたいところです。デザインはもちろん、音の好みで選ぶ方法もあります。

 

ちなみに、リンの選び方は自由ですが、リンの叩き方や回数は宗派によって厳密な決まりがあります。

ご不明点は、ぜひ
ご相談・お問い合わせください
お客様にピッタリの斎場探しをお手伝いさせていただきます。
見積もりページへ飛ぶ見積もりページへ飛ぶ
freecall-bannerfreecall-banner

そろえておきたいもの

最後に、あまり重要度は高くないものの、できれば揃えておきたい仏具について、主だったものをご紹介します。仏壇のサイズや飾るスペースを考えながら、揃えてみてください。

線香立・マッチ消し

線香立ては、線香を立てて保存しておくための仏具です。マッチ消しは、火を消したマッチを入れるための仏具です。重要度は高くありませんが、日常的にお参りするときに、あると便利な仏具です。

見台

見台は、過去帳を広げておくための仏具です。なくてもかまいませんが、あると過去帳が見やすくなります。見台の選び方にとくに決まりはありませんが、金色のものは浄土真宗でよく使われるため、曹洞宗では避ける傾向があります。また、ツメがあるものを選ぶと、過去帳を広げたまま固定できるため便利です。

曹洞宗の仏壇の飾り方

次に、曹洞宗の仏壇の飾り方を解説していきます。仏壇は4段のものを用いるのが正式ですので、今回も4段の仏壇を例にとってご紹介します。ただし、どんな仏壇を用いる場合であっても、仏壇の中心は本尊であるお釈迦様です。このことを念頭に置いて、飾りつけを行って下さい。

最上段

仏壇の最上段の中央には、本尊であるお釈迦様をお祀りします。脇侍を飾る場合は、その左右に飾りましょう。曹洞宗の脇侍の飾り方は、左側に常済大師、右側に常陽大師をお祀りします。このとき、脇侍が本尊よりも高い位置にならないように注意しましょう。本尊は仏像で脇侍が掛け軸の場合は、すこし低めの位置に掛けたり、小さめのサイズを選んだりすることが大切です。

 

位牌は2段目に飾るのが一般的ですが、最上段に本尊と一緒に飾ることもあります。その場合は、本尊や脇侍にかぶさらない位置に安置しましょう。向かって右側が仏壇の上座にあたりますので、古い位牌を右側に飾り、左側には新しい位牌を飾ります。

二段目

二段目には位牌を安置します。飾り方は最上段に飾る場合と同様、本尊にかぶさらないように安置します。位牌は右側に詰めて安置するのが一般的ですが、複数飾る場合は、右から順番に古い位牌を飾りましょう。

 

さらに2段目には、仏様へのお供え物を飾ります。中央に仏器と茶湯器を飾りましょう。飾る際は、仏器を向かって右側に飾ります。ただし茶湯器が2つある場合は、仏器を真ん中にして左右に茶湯器を配します。また、高坏を飾る場合は、仏器と茶湯器の左右に来るように飾ります。

ご不明点は、ぜひ
ご相談・お問い合わせください
お客様にピッタリの斎場探しをお手伝いさせていただきます。
見積もりページへ飛ぶ見積もりページへ飛ぶ
freecall-bannerfreecall-banner

三段目

3段目には三具足あるいは五具足を飾ります。いずれの場合であっても、香炉が中心です。三具足の場合は香炉の左側に花立、右側にロウソク立てを飾ります。五具足の場合は、香炉の左右にロウソク立てを飾り、さらにその左右に花立を飾ります。もし3本足の香炉を使う場合は、足が1本のほうが表側になりますので、こちらに表を向けて飾りましょう。

 

過去帳や見台がある場合は、3段目に飾ることが多いです。過去帳と見台は、3段目の一番右側に飾ります。

四段目

最下段には、お参りに必要な仏具を飾ります。線香差しやマッチ消しのほか、リンや前香炉などの仏具がそうです。数珠や教本も最下段に飾ります。リンは打ちやすいよう、右手側に配するのが一般的です。木魚がある場合は一番左に飾ります。

 

中央には前香炉を飾ります。前香炉の左側に線香差しとマッチ消し、右側にロウソク立てを飾ります。3段目に三具足を飾らず、最下段にこれらを飾ることもあります。教本や数珠を飾る場合は香炉の右側に配します。

お参りの仕方

仏壇へのお参りは、朝いちばん、洗面後に行うのが良いとされています。お参りの前に、お水や仏飯のお供え、お花の水替えなどを済ませましょう。

 

お参りをするときは、仏壇の前に正座し、本尊や位牌を仰ぎ見ながら、呼吸を整えて気持ちを落ち着かせます。これは、曹洞宗がもっとも大切にしている座禅に通じる作法です。次に、ロウソクに火をつけて、線香をあげます。線香は1本でかまいませんが、2~3本つけることもあります。線香に火をつけたら、両手で軽く上に押しいただき、線香立てにたてます。

 

リンを2回鳴らします。3回鳴らすこともあります。リンを鳴らすときはリン棒を親指・人差し指・中指の3指でもち、リンの側面に優しく打ち付けます。リンを鳴らしたら合掌し、一礼します。「南無釈迦牟尼仏」と念仏し、また2度リンを鳴らします。その後、合掌のまま一礼し、合掌を解きます。以上が曹洞宗の基本的な仏壇のお参りの方法です。

仏壇は心のよりどころになるもの

仏壇は人々の心のよりどころになるものです。仏壇に手を合わせる機会も減ってきていますが、折々には仏壇にお参りし、仏様やご先祖様への挨拶を忘れないようにしたいものです。