打敷の使い方は?宗派毎の違い、買い方、お手入れ法を詳しく解説

公開日 : 2020/8/28

更新日 : 2020/9/10

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仏壇の卓に敷く仏具である打敷。四角いものと三角のものがあり、素材や模様、価格も様々です。宗派や季節や次期による正しい選び方や購入のポイント、具体的な使いかた、お手入れ方法、処分の方法など、打敷に関する詳しい情報をお伝えします。

公開日 : 2020/8/28

更新日 : 2020/9/10

目次

打敷とは?

打敷は、「うちしき」と読み、仏壇を飾る荘厳具のひとつです。内敷、打布、内布と呼ぶこともあります。仏具を飾る前卓に掛けるもので、宗派の紋章の刺繍をあしらうなど、きらびやかな布です。 常に敷き続けるわけではありませんが、法事やお彼岸やお盆、家族の大切な行事のとき、敷きます。 打敷がどんなものなのか。その由来や、形、色、模様、素材、サイズなど、基本的な知識をご紹介します。

打敷の由来

打敷は弟子からのお釈迦様への敬愛と気遣いの気持ちが由来になっています。お釈迦様は、道端や木の下で説法されました。椅子があるわけではなく、地べたに直接腰を下ろして説法されていたのです。 そこで、弟子たちはお釈迦様がお座りになる場所に、きれいな布や花を敷きました。それが打敷の形で今も残っているのです。 よって、一般的に打敷は特別な敷き物で、一年中かけっぱなしにはしません。お彼岸、お盆、正月、葬儀、四十九日の法要、結婚式などに敷きます。

打敷の形

打敷には逆三角形のもの(三角打敷)と、四角いもの(四角打敷)があります。どの形を選ぶかは、仏教の宗派に決まるので、確認したうえで購入しましょう。

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打敷の模様、色

打敷の模様や色は様々で、好みのものを選んでもかまいませんが、宗派を表す宗紋、家紋を施したものについては気をつけて選びましょう。 また、四十九日まで用いる専用の打敷、夏用、冬用で異なるので、ご紹介します。

葬儀から四十九日までの打敷

亡くなってから四十九日の法事までは、遺骨や遺灰を安置するための祭壇、後飾り(中陰壇)を設けます。後飾りは、故人の供養のためだけではなく、弔問してくれた方がお参りするための特別な祭壇です。 そのため、打敷が必要ですが、この時期は白い打敷を使用します。普段仏壇に使用している打敷を裏返しにして白い部分を敷くこともあります。

季節によって変わる打敷

打敷は季節によって使い分けることもあります。 ・夏用限定の打敷 6月頃~9月の彼岸の入りまでは涼しげな白や薄い水色を基調とした打敷を使います。金紗の刺繍の繊細な印象のものが多く、薄手です。 ・夏以外の打ち敷 9月の彼岸の入りから5月くらいまで、つまり、夏以外の時期は、はっきりとした濃い色味の打敷が使用されます。厚手で華やかな刺繍が施されています。 こちらのほうが多く出回っており、品質も商品によって様々。1.000円ほどのものから、西陣織や伝統工芸品はかなり高価なものもあります。

打敷の素材

打敷の素材には以下のようなものが挙げられます。

人絹

化学繊維で、レーヨン長繊維とも呼ばれています。人工的に製作した絹糸ですが独特の光沢があるのが特徴です。日本でも1918年から作られた素材で歴史があり、高級品であった天然の絹の代用品として開発されました。 天然の絹よりも安価で吸水性が優れているのがメリットですが、水に弱いので気をつけましょう。シワになりやすく、縮みやすい素材でもあります。 人絹の打敷の場合、1,000円前後とかなり手ごろです。頻繁に買い替えたい場合は、お勧めです。

正絹

「きぎぬ」あるいは、「すずし」と読みます。蚕の繭から取った糸である生糸を織った 精練織物。シルクとは異なり、精錬していることが特徴です。絹100%で作られており、高級な着物に使われることが多いです。 蚕を育てるところから始まり、非常に製造に手間がかかるのでとても高価です。 独特の光沢感、見た目の美しさは特別ですが、日興に弱く、手洗いすらできないので耐久性は低い素材です。しかし、打敷の役割を考えれば、自然の恵みである正絹はふさわしい素材といえそうです。

金襴

金箔を巻き付けたり、細く切ったりして織り込んだ布地を金襴と呼んでいます。 織物の中でも最高級の布地で、普段着で使うようなことはありません。雛人形の衣装や僧侶の衣や掛け軸などに使うことが多いです。 正絹の場合は、手洗いもできず、取り扱いに気をつける必要があります。

綿

打敷の素材として最もお手頃なのは綿です。優れた耐熱性をもち、吸水性も高いので扱いやすいです。 他の天然繊維よりはお手入れがしやすいですが、弱アルカリ性洗剤で優しく洗うようにしましょう。

打敷の模様

打敷には家紋、宗紋があしらわれることが多いです。宗紋の場合、一種類ではなく、二種類の宗紋が並んであしらわれるデザインが多くみられ、華やかな印象があります。一種類の家紋や宗紋が中央にあしらわれているものは、気品があり、落ち着いた印象です。 家紋や宗紋以外には、鳳凰、花、華紋柄、竜、天女など、様々な柄があります。多くの場合は、宗教色の強い、荘厳な雰囲気の重々しいものですが、花の模様などは明るく可愛らしい印象の場合もあります。

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打敷のサイズ

打敷を選ぶ際に迷うのはサイズです。打敷のサイズ展開や、選び方を紹介します。

打敷のサイズ展開

打敷は卓に敷くので卓のサイズに合わせたものが販売されていて、かなりサイズは幅広いです。 三角打敷の場合、サイズの単位は「代」で、30代から200代までのサイズがあります。最小の30代の巾は27.3㎝ほどですが、200代の場合は、91.0㎝ほどです。大きさも3倍以上ですが、金額も3倍以上です。 四角打敷の場合、サイズの単位は「寸、尺」で、8寸から2.1尺までのサイズがあります。最小の8寸の巾は24.2㎝ほどで、2.1尺は65.1㎝です。四角打敷のほうが金額に幅があり、一番高いものは安いものの7倍ほどのこともあります。

打敷のサイズの選び方

打敷を選ぶ際は、仏壇の卓のサイズを確認しましょう。四角打敷の場合は、サイズ9寸の卓なら9寸の打敷を使用します。三角の場合は、40代が適しています。 ネット通販でもサイズ表があることがありますが、分からない時は購入するお店に問い合わせてみるのもお勧めです。 三角打敷のほうが、サイズ展開が細かいです。お手持ちの仏壇に合うように、定規で計るなどして購入するのがおすすめです。買い替えの方の場合は、今まで使っていた打敷のサイズを参考にしましょう。

ミニ仏壇の打敷のサイズ

核家族が増え、最近では先祖代々の大きな仏壇を引き継がずに、狭いスペースに飾れるようなミニ仏壇を置いて供養する方が増えています。 ミニ仏壇の場合、だいたい幅が25㎝~40㎝ほどで、高さや奥行きもかなり小さいです。一般的に市販されている打敷でも、場合によっては大きすぎることもあるでしょう。 そのため、人によっては、仏壇のサイズにちょうど良いように手作りする方もいます。

宗派別の打敷の選び方

打敷を選ぶ際、まず確認しなくてはいけないのは仏教の宗派です。以下のように、宗派によって三角のものなのか、四角のものか選択します。

浄土真宗の打敷は三角

鎌倉仏教のひとつで、親鸞が祖である浄土真宗の打敷は卓の前に垂れる部分が三角形のものを使います。 また、同じ浄土真宗でも十派に分かれているので、宗派の宗紋を施したものを使う時はきちんとその部分も確認してください。 最も所属寺院の多い本願寺派は下り藤、次に多い真宗大谷派は八つ藤が良いと言われています。

浄土宗、曹洞宗など、浄土真宗以外の打敷は四角

浄土真宗以外の宗派の場合は長方形の打敷を使用します。 浄土宗の宗紋は、月影杏葉、葵紋。曹洞宗の宗紋は、五七の桐、久我竜胆です。

打敷の値段の相場

現在では仏具屋に出向かなくても打敷はインターネットで購入可能です。インターネット上にはたくさんの打敷の画像があるので、それを見てゆっくり選ぶと良いでしょう。打敷の価格は、安価なものと非常に高価なものがあります。 素材が人絹で、金属糸を使っているような手ごろな商品の場合は、50代くらいのサイズでも1,500円弱。もっと安価な商品もあります。 正絹の打敷の場合は、同じサイズで5,000円前後のものが多いです。西陣織の打敷は本物の金を織り込んだ高級品で、40万円以上のものがほとんどでした。価格的に、立派な家系代々の仏壇で、ずっと受け継がれ続ける打敷と言えるでしょう。

打敷を掛ける手順

打敷を使用する機会は多いわけではありません。いざという時のために、打敷を掛ける手順をご紹介します。 1仏壇から前卓を取り出す 打敷を掛ける前卓は通常の場合、仏壇の中にしまわれているので、まずは花立や蝋燭立を別の場所に置き、作業しやすい場所に取り出してください。 前卓は重さがあるものが多いため、仏壇に入れたままの場合、落として傷になってしまったり、怪我をしてしまったりすることもあります。 2上部の板を外す 前卓には下須板、あるいは、天板と呼ばれている上部の板があります。それを外し、別の場所に置いておいてください。板は固定されていないので、工具がなくても外れます。 3打敷を押さえる 打敷の白い部分を卓の上に敷き、その上から板を置き、挟むようにします。その時、ちょうど打敷が真ん中にくるようにしましょう。 両端のはみ出した部分は斜めに織ることで形が整い、打敷が幕のように広がったようになります。

打敷を購入する際の注意点

一般家庭で打敷を購入する機会は限られています。仏具店で購入すれば、的確なアドバイスがもらえますが、ネットで注文する場合は、選び方が分からない方も多いでしょう。 打敷を購入する際の注意点をまとめておきます。

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出番は多くないことを踏まえて購入

打敷は一年中敷き続けるわけではありません。お盆やお彼岸、法事、お正月などだけで、家庭によってはほとんど使う機会がないこともあるでしょう。あまり高額なものだと、後でもったいなかったと感じるかもしれません。 しかし、特別な機会に敷くものなので、あまり貧相なものもふさわしくありません。値段的に自分でバランスの良いと思える商品を選びましょう。

宗派の違いを踏まえて購入

打敷は宗派によって形が異なりますし、宗紋があるものは注意が必要です。 最近では、檀家制度が衰退しつつあり、場合によっては、宗派の違うお寺のお墓に入っている仏様の位牌も同じ仏壇に置くこともあるでしょう。 そういう可能性がある場合は、宗紋の刺繍された打敷は避けたほうが無難です。

汚れたら買い替えの必要がある

打敷を前卓の下に敷いている場合もあるようですが、それは打敷が汚れてしまうのでやめましょう。 打敷の由来は、お釈迦様が説法される時に座っていた場所に敷いた敷き物なので、常にきれいに保つ必要があります。よって、目立つ汚れがついたり、黄ばんでしまったりした場合は、買い替えるべきです。 ずっと使い続けるものではなく、場合によっては買い替えの必要があるものとして購入しましょう。

打敷のお手入れ、修理、作り方、処分

打敷は良質な生地が使われ、豪華な刺繍が施されています。打敷のお手入れ法、修理、処分についてご紹介します。

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打敷は洗濯できない

打敷の素材の品質は商品によって異なりますが、安いものでも人絹、高級品は正絹で作られています。 そのため、一度洗濯してしまうと、縮んだり、よれよれになってしまったりすることがあります。そして、そうなってしまうと、新品の状態には戻すことは難しいです。 打敷の上には花立やお供えを置くので、花粉や汁などで汚れてしまうこともあります。しかし、洗濯はできませんので、なるべく汚れないように配慮するようにしてください。因みに、他の仏具も汚れが落ちにくいものも多いので気をつけましょう。 汚れが心配な方は消耗品であると考えて購入すると良いでしょう。

打敷の作り方、修理

今は既製品を購入するのが一般的ですが、昔は打敷をオーダーメイドで仕立てて、思う通りのものを作ることもありました。打敷自体は単純な形なので、打敷にふさわしい布をさえあればミシンがなくても、手縫いでも作ることは可能です。 もう使っていない帯の布地を素敵な打敷に仕立てた例もあるので、お気に入りの和服で使用していないものがあればリメイクするのも良いでしょう。 打敷のなかには、西陣織や伝統工芸品など、非常に品質の高い素晴らしいものや、家族に代々受け継がれた歴史ある大切なものもあります。そうしたものは金糸の輝きも長年使用していても変わらず、他に代わるものはなかなかないです。 そこで、汚れてしまったり、刺繍が崩れてしまったりした場合は、修理を請け負っている仏具店もあります。専門的な知識が必要な作業となるので、その場合は、実績のある仏具店に依頼するようにしましょう。

打敷の処分

汚れてしまったり、黄ばんでしまったり、不要になったり、打敷を処分したいこともあるでしょう。 打敷は大切な仏具のひとつなので、家庭ゴミとして出すのはまずいのではと考える方もいることと思いますが、実際は捨ててしまっても問題ありません。仏具はあくまで道具で、魂が宿っているという考えはないからです。 もう使えない場合は、捨ててしまうしかありません。 それでも、どうしてもゴミとして捨ててしまうことにためらいのある方は、一度お寺に相談してみるのも良いでしょう。宗派にもよりますが、お寺でしかるべき供養をしてくれる場合があります。

仏壇の全体の印象を決める打敷

仏壇は多くが木製で彫刻をあしらっているものも多いですが、色味に華やかさはないので、打敷によって印象が大きく変わります。打敷が華やかで立派な場合、仏壇全体もそのように見えるでしょう。 しかし、弔いの考え方はその家族でそれぞれです。今ではインターネットでも手軽に多くの打敷が選べるので、気に入るものを探してみることがお勧めです。