香炉の使い方をご紹介!焼香炉・前香炉やインテリア・香道用など
公開日 : 2020/8/21
更新日 : 2021/1/26
香炉は三具足・五具足に含まれる仏具として使われ、香道の道具としても使われます。香炉の使い方は決まりがあるので、しっかりと確認して先祖の供養などに役立てたいですね。そこで、香炉の使い方や種類、インテリア用の香炉などをご紹介します。
公開日 : 2020/8/21
更新日 : 2021/1/26
目次
香炉とは【茶道でも使用される】
香炉は内部に香料を入れて、加熱することで香りを発生させる器です。仏具として使用されることが多く、三具足(香炉・燭台・花立)・五具足(香炉・燭台2つ・花立2つ)の中にも含まれる仏具の必需品です。
本来は仏具として使用される香炉ですが、形の美しさや使いやすさにより茶道でも使用されるようになりました。現在では、和テイストのおしゃれなインテリア用品として使われることもあり、生活に馴染んだ道具として定着してきました。
そこで今回は、香炉杯など香炉特有の用具なども含めて、香炉の使い方を詳しくご紹介します。ぜひ、暮らしの中に香炉を取り入れてみてください。
香炉の始まり
香炉が最初に使われたのはインドです。インドは一年を通して気温が高かったため、汗をかいて体からでる匂いをごまかすために、香炉でお香を炊いて体に纏わせる習慣が生まれました。
その習慣が仏教に取り入れられて、中国を経て古来の日本に伝わり、平安時代の香りの優劣を競う薫物合せになり、江戸時代の香道にも発展してきました。現代では仏具としてだけではなく、香りを楽しむインテリアとしても香炉が使用されています。
香炉の使い方・置き方
香炉の正しい使い方をご紹介します。香炉灰やお香など、だいたいの感覚で使っていた場合は、記事を読んでしっかりと使い方を確認しましょう。
一般的な使い方【線香を立てる蓋を開ける】
香炉の一般的な使い方をご紹介します。香炉を最初に使う場合はまず香炉灰を入れます。香炉灰は、珪藻土・藁・樹木・菱の実などを焼いて作られた灰です。よく使われるのが珪藻土灰で、色が白いのが特長です。
香炉灰を香炉の8分目ぐらいまで入れたら線香を立てます。線香に火をつけて香りを立てます。線香の燃えカスが香炉灰の上に落ちるので、長時間放って置いても安全に線香を使うことができます。また、線香以外にもコーンやコイル状の線香、香木なども使うことができます。
香炉灰の代わりに香炉石を使うこともできます。香炉石は香炉がひっくり返っても掃除が楽にでき色や形のバリエーションが多いので、おしゃれなアイテムとして人気があります。香炉石はインテリア用の香炉に入れる場合が多いです。
伝統的な使い方「空薫(そらだき)」
平安時代によく使われたお香の炊き方が、空薫(そらだき)です。部屋の雰囲気を変えたり、衣装に香りを纏わせたいときなどに使われました。お香に直接火を点けないので、香木などを炊くときにも使うことができます。
空薫の作法をご紹介します。香炉によくほぐした香炉灰を入れ、その中心に炭団とよばれる炭を熱して配置します。炭団の上に香炉灰を被せ、その上に香木などのお香を置きます。お香は間接的に温められ柔らかな香りを空間に漂わせます。
高価な香木も簡単に楽しむことができておすすめの香炉の使い方です。
聞香(もんこう)
香炉を手に持ち香木の香りを楽しむ作法を聞香(もんこう)と言います。香りに耳を傾けて聞くようにじっくりと楽しみます。香炉を顔に近づけて香りを楽しむので、微妙な香りを差を感じられる香炉の使い方です。
聞香の作法をご紹介します。香炉によくほぐした香炉灰を入れ炭団を熱して配置します。炭団の上に香炉灰で山をつくり円錐形に整えます。その後、円錐の真ん中に火箸で穴を開けます。
穴の上に銀葉を配置して、その上に香木を載せます。空薫は空間に香りを漂わせますが、聞香は香炉にごく近い部分のみに香りを漂わせるのが特長です。
香炉の種類
香炉には仏壇用や焼香用、香道用などの種類があります。それぞれの特長を詳しくご紹介しますのでご覧ください。
仏壇用香炉
仏壇用の香炉は三具足・五具足の一つとして仏壇に置くために使う仏具です。普段仏様にお祈りするときに使う必需品と言えます。
前香炉
前香炉とは一番一般的な仏具としての香炉で、線香を立ててお祈りするときに使います。口の広い丸い形の金属製のものが一般的です。マッチ消しや線香立て、経本、ロウソク消しとともに経机の上に置いて使用します。
土香炉(透かし香炉、玉香炉)
土香炉は浄土真宗で使われる仏具で、青磁の香炉が一般的に使われます。唐草模様の透しが入っているのが特長でデザインの美しさにも特長があります。
土香炉は浄土真宗本願寺派では玉香炉と呼ばれ、真宗大谷派では透かし香炉と呼ばれます。浄土真宗では、線香を土香炉に折って入れるのも特長です。
長香炉
長香炉は細長い四角形をしているのが特長です。線香を立てずに寝かせて炊く使い方ができます。また、大きな仏壇に置くときにバランスがいい香炉でもあります。黒檀調や紫檀調の高級感のあるデザインのものが多い香炉です。
電子香炉
電子香炉は火の代わりに電気を使ってお香を温める香炉です。火を使わないので、お年寄りでも安心して使うことができます。前香炉として仏壇に置く他、空薫や聞香用の香炉としても使うことができます。
電子香炉は専用の香材を使う場合と、一般的な香材を使う場合があります。専用の香材なら電気で香りが立ちやすくなっているので便利に使うことができます。風情という点で昔ながらの香炉を好む方が多いですが、賃貸のマンションやアパートなどで火事の心配がいらないのでおすすめです。
焼香用香炉【香炉灰とお香のセット】
焼香用の香炉は焼香炉とも呼ばれます。焼香がしやすいように作られた香炉で、香炉灰とお香を入れる容器がセットになっています。香炉灰が左側、お香が右側にあるのが一般的です。
仏壇の前に置く焼香用角香炉
一番一般的な焼香用の香炉が、焼香用角香炉です。長四角の形で左側に焼香灰、右側にお香を入れて使います。6寸や8寸などの大きさが一般的で、香炉灰を入れる容器にはふたが付いている場合が多いです。
電気式の焼香用角香炉もありコンセントを差し込むだけなので使い方も簡単です。火事などが心配な方はこちらを検討されてはいかがでしょうか。
法要の参列者に廻して使う廻し香炉
法要の参列者に、香炉を廻して焼香をすることを廻し焼香と言います。参列者が多い場合や、法事の場所が狭くて動きにくい場合などに便利な焼香方法です。廻し焼香はお盆の上に載せた焼香用角香炉を座ったままの参列者に一人ずつ廻して焼香をします。
焼香用角香炉は廻しやすいようにコンパクトなものを使います。誤って香炉灰をこぼさないようにふたが付いたものを選ぶと使いやすいです。
墓地での法要に便利な手提げ香炉
墓地での法要が行われる際に便利なのが手提げ香炉です。焼香用角香炉に持ち手が付いていてぶら下げて持ち運ぶことができます。香炉灰を落とさないようにふたが付いているものが使いやすいです。
浄土真宗で使われる火舎香炉
浄土真宗で使われる真鍮製の香炉は火舎香炉と呼ばれます。火舎香炉は金色に光る真鍮でできていて幅の広い縁が付いています。ふたには煙を出すための穴が空いています。
在宅で使われるものはコンパクトなものが多く実用的ではありませんが、浄土真宗の寺院で使われる火舎香炉は大きく僧侶が焼香をするのに使われています。
香道用香炉
香道とは香木の香りを楽しむ芸道です。聞香や組香という楽しみ方で、手元に香炉を持ってきて香りを楽しむ使い方をします。香道用の香炉はふたのないコンパクトなサイズのものを選びます。
一般的に聞香用として販売されているものを購入しましょう。香道用の香炉も仏具の香炉を同じように香炉灰が必要です。香炉とセットで揃えましょう。
香立て【お香を立てる土台】
香立とはスティック香を差す土台、香皿はそれを受けるお皿のことです。セットで販売されているもありますが、それぞれ、好きな組み合わせで使うこともできます。
シンプルなデザインの香立から、デザイン性のあるおしゃれな香立まで様々な形があり、香立とお皿が一体化したものもあります。お部屋の空間に合わせてお選びいただけるのも香立を選ぶ楽しさの一つです。
香炉に入れるお香の種類
香炉に入れるお香にはスティック型・コーン型・コイル型・香木があります。それぞれの特長をご紹介します。
スティック型・長い線香【香皿に立ててアロマとして使用】
線香に代表されるスティック型は細長い形で燃焼時間が長いのが特長です。立てて使用したり折って使用したりすることができ、寝かせて使用することもできます。仏具として使用するものは濃い緑色をしていることが多いです。
スティック型のお香には他にも、紫やベージュなどの色があり、自分の部屋の色に合わせてインテリアとして楽しむこともできます。香炉に入れて使う他にも、香皿に立ててアロマとして使うこともできます。燃える面積が一定なので長時間同じ香りの強さが保てます。
コーン型
コーン型は円錐形で見た目がかわいいので、インテリア用として人気があります。小さいので比較的短時間、香りを楽しむのに向いているお香です。下にいくほど燃焼する広さが増えていくので、時間が経つほど香りが強くなるのが特長です。
灰が下に落ちずに円錐状の形のまま残るのも特長です。灰が散らばらないので、片付けやすく見た目にもきれいで使いやすいお香です。香炉の他に香皿に置いて使用することもできます。
コイル型【おしゃれなインテリアとして】
渦巻き状になっているコイル型のお香は、コンパクトで長時間の燃焼ができ便利なお香です。スティック型のように高くならないので、香炉にふたをしても使うことができます。蚊取り線香のイメージが強いコイル型ですが、仏具以外にもおしゃれなインテリアとしても使うことができます。
緑以外の赤や青などの色を選べば新鮮なインテリアになります。途中で火を消したい時は折ったり、クリップでつまんでおけば消すことができます。
香木
香木とは良い香りを放つ木のことです。熱して香りを出すタイプと常温で香りを出すタイプの香木があります。鎮静高価があるとされるのが沈香と言われる香木です。沈香の中でも最上級のものを伽羅と呼びます。
伽羅は香りの熟成に非常に長い年月を費やすため高価ですが、複雑な香りを放つため、香道の聞香などで多く使用されます。有名な香木の白檀は常温で香りを放つため、仏像や扇子などの材料としても使われます。
短いお香
お香には、10センチ未満の短いものもあり、仏事用というよりはフルーツや花、スパイスの香りなど、いろいろな香りを楽しむものが一般的と言われています。
香炉を仏具ではなくインテリアとして使う
香炉は仏具としてだけでなくインテリアとしての使い方もできます。おしゃれな香炉の選び方をご紹介します。
洋風な部屋にあうモダンな香炉
洗練されたデザインの香炉は洋風の部屋にあわせることもできます。和のデザインが多い香炉なので、なるべくシンプルでスッキリとしたものを選んでお部屋に置きましょう。香炉と盆栽、香炉と生け花など花などと合わせて飾るのもおすすめです。
また、食事のときにテーブルの上に置いて使ったり、冬にこたつの上に置いてリラックスできるスペースをつくるのにも使えます。仏具としてだけではない新しい香炉の使い方をするのもおすすです。
高級感がある陶器の香炉
インテリアとして高級感がある香炉が欲しいなら陶器のものがおすすめです。青磁の土香炉は仏具ですが、インテリアとしても使える美しさがあります。他にも、黄色やピンクなどさまざまな色の陶器の香炉があるので、部屋のイメージに合わせて選びましょう。
変わったものでは、犬や猫の形をした香炉もあります。陶芸で自分で作った香炉で香りを楽しむこともできます。煙と香りが出る穴の空いたふた付きの陶器の入れ物なら香炉として使えるので、いろいろなものを試してみましょう。
宗派による香炉の違い
宗派によって仏具としての香炉の使い方は変わります。浄土真宗では線香を寝かせて炊きます。また、土香炉という青磁の香炉を使用します。
神道では香炉は使用せずに玉串を備えます。仏教の作法に慣れている場合は、香炉がないととまどうことがあるので覚えておきましょう。
香炉の価格
香炉の価格は安いものでは数百円、高級なものでは10万円以上になり非常に価格の幅が大きいです。一般的によく購入されるのは2千円程度〜2万円程度のものです。仏具は香炉だけではなく、花立・リン・マッチ消し・線香たてなども購入する必要があります。
仏具を全て高級なもので揃えようとすると、高額になるので香炉のみ安いもの(高いもの)にするなど予算との兼ね合いをみて香炉にかける費用を決めましょう。
香炉の大きさ
仏具としての香炉の大きさは仏壇の大きさに合わせて決めるのが一般的です。伝統的な大きな仏壇に小さな香炉ではバランスが取れないので、大きな香炉を選びましょう。マンション用などの小型仏壇には小型サイズの香炉を選ぶのが定番です。
廻し焼香や手持ちで使える香炉は、なるべくコンパクトなものを選ぶのが基本です。脚の長さによって香炉の高さも変わるので、正座したときに使いやすい高さのものを選びましょう。
香炉の必需品、香炉灰の手入れの仕方
焼香灰は香炉の中に必ず入れるものです。線香の燃えかすは焼香灰の中に落ちてくれるので、しばらくは気にせずに使い続けることができます。しかし、長く使っていると線香の燃え残った部分が焼香灰の中に溜まって見た目が悪くなります。
そこで、焼香灰の手入れが必要です。焼香灰の手入れは専用の網を使って灰の中から線香の燃えかすをとりだすことから始まります。燃えかすを取り除いたら、焼香灰を綺麗に鳴らせば完了です。
線香の燃えかすをなるべく減らすには、藁を原料とした焼香灰を使うのがおすすめです。線香が最後まで燃え尽きるので、燃えかすの量を減らすことができます。
自分の使い方にあった香炉を選びましょう
これまで、香炉の使い方をご紹介してきましたがいかがでしたでしょうか。仏具として作られた香炉ですが、現代ではインテリアとしても使うようになっています。聞香などの香道の作法を勉強して楽しむのもおすすめです。ぜひ、自分の求める使い方にあった香炉を選んで、先祖の供養や香りを楽しむのに役立ててください。
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