華鬘って何?どのように使うの?その意味や使い方を説明します!

公開日 : 2020/5/15

更新日 : 2020/9/10

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華鬘(けまん)と聞いてそれが何なのかわかる人は少ないでしょう。ところが華鬘は仏具としてはとても重要な物なのです。この記事では華鬘が何であるのか、その由来や使い道を詳しく説明するので、華鬘について知りたい方は是非ご覧ください。

公開日 : 2020/5/15

更新日 : 2020/9/10

目次

華鬘って何?

華鬘(けまん)という仏具になじみがある人はあまりいないと思います。まず華鬘が何であるのか、その由来について知りましょう。そして華鬘の使い道、どんなデザインがあるのか、注意すべき点について調べて行きます。

華鬘は仏堂における荘厳具

華鬘はお寺の仏堂で使用する荘厳具です。花鬘、花縵とも書きます。荘厳するとは仏教用語の一つで、仏堂や仏像を飾るという意味です。その意味の通りで、華鬘は仏像を装飾するために使用されます。

 

華鬘はうちわのような楕円形をしていて、その下にいくつかの房状の飾りが吊るされています。タコのような形に見えるかもしれません。材質は金属を使うことが多いです。キラキラしていて、これをお寺の本堂で上から吊るすことで、煌びやかな雰囲気が演出されます。

 

なお華鬘は「吊仏具」の1つと言われ、吊仏具は他には瓔珞、吊灯篭といったものもあります。今回は華鬘に絞って説明をしましょう。

華鬘の由来

華鬘という言葉は仏教の梵語の「クスマ・マーラー」を漢訳した「倶蘇摩摩羅」が元になっています。倶蘇摩が花、摩羅が髪飾りの意味の蔓で花と漫、それが変化して華鬘と言われるようになりました。髪飾りと言っているように、華鬘は大元はインドの花の髪飾りが由来なのです。

 

そして仏様にも花の髪飾りを飾るようになり、それがいつしか仏像を飾る華鬘という仏具になったのです。華鬘を吊るしておけば、毎日のように生花を飾る必要が無いということです。

 

なお華鬘の由来は上記以外にも、貴人の帳(とばり)を飾る紐が元になったという説もあります。帳の紐と華鬘に吊るす飾りの形状が似ていることが根拠ということです。

 

ともかく華鬘はその由来がはっきりしないくらいに昔から存在する、長い伝統のある装飾用の仏具ということですね。

華鬘はどのように使うの?

華鬘がどのような物か、そしてその由来もわかりました。では華鬘はどのように使用される物なのでしょうか。具体的な使用方法や使用する場所について見て行きましょう。

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華鬘は仏様の顔の正面に吊り下げる

華鬘は仏像の顔の前に吊るします。仏様の顔が見えなくなってしまいますが、それが狙いです。華鬘を吊るすと仏様の顔が見えないため、お祈りをする人は、自然と身をかがめて仏様の顔を仰ぎ見る姿勢をせざるを得ません。そうすることでおのずと仏様に敬意を払う形になるのです。

 

また仏様は伏し目になっているので、その姿勢の方が仏様と目を合わせることができます。華鬘を敢えて仏像の顔の前に吊るすのは、そういった目的があるのです。

お寺だけでなく自宅の仏壇にかけてもよい

華鬘は基本的にはお寺の本堂のご本尊で使用するものですが、個人の自宅で使用することもできます。仏壇に仏像がある場合は、小さめの華鬘を吊るすことが出来ます。仏具店でもお寺用の高額な華鬘だけでなく、個人向けの数千円の華鬘も販売しています。

 

ただし日蓮宗の仏壇の本尊は仏像でなく曼荼羅の掛軸であることが多いので、仏壇の中に仏像が無ければ華鬘を使用することはありません。

華鬘にはどんなデザインがあるの?

華鬘はどのようなデザインがあるのでしょうか。華鬘は装飾具のため、複数のタイプがあってバリエーションが多いのです。

宝相華

宝相華(ほうそうげ)の華鬘は唐草模様に似たデザインになっています。宝相華は、牡丹、シャクナゲ、芙蓉などの5つの植物を組み合わせた空想上の花です。中国では唐の時代、日本では奈良時代から平安時代に装飾文様として用いられました。

 

宝相華の華鬘は凝ったデザインで見た目にも美しく、仏殿や仏壇を綺麗に飾ってくれます。

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迦陵頻伽

迦陵頻伽(かりょうびんが)とは仏教に登場する空想上の生き物です。上半身が人で下半身が鳥になっていて、とても美しい声で歌うとされています。現代人からすると不気味な印象もありますが、迦陵頻伽は極楽にいるとされ、キリスト教で言えば天使のような存在です。

 

華鬘には迦陵頻伽が2対描かれていてユーモラスな印象を受けます。このデザインが気に入った人は是非購入されると良いでしょう。

蓮の花

蓮(はす)の花のデザインの華鬘は最も多く見られます。蓮の花は仏教では尊い花とされ、如来像の台座も蓮の花のデザインになっています。また一蓮托生という言葉は仏教徒が往生した後に、同じ蓮の花の上で生まれ変わるという意味で、それほど仏教では蓮は重要な存在なのです。

 

仏教において蓮の意匠を使用した仏具は多いので、華鬘もそれが多いということですね。

華鬘で他に知っておくべきことは?

華鬘についてその由来やデザインなどがわかりましたが、それ以外に華鬘を使用するうえで注意すべき点は何でしょうか。それについてこれから説明しましょう。

華鬘の材料について

華鬘の材料は金属製が主です。キラキラと輝いて、仏殿の荘厳さを演出します。仏殿は極楽浄土を模した場所なので、華鬘の黄金の輝きは仏殿に欠かせないものです。

 

ただし金属以外にも、木製革製の華鬘もあります。自宅の仏壇で使う小さめの華鬘は木製の物が多く、価格も安くなっています。それ以外の素材としては、絹製水晶製もあります。

 

素材によって値段も変わってきますが、場所にあった華鬘を選びましょう。

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良い華鬘を見分けるには

金属製の華鬘の品質の見分け方は、覆輪(ふくりん)と言われる華鬘の外枠をチェックすることです。覆輪は中が空洞になっていますが、これを内側に巻き付ける時に、表面がなめらかで、見栄えの良い光沢が出ている品が良い華鬘と言えます。

 

もちろん仏具店の店員に聞いてみれば、おすすめの品を教えてくれることでしょう。自分一人だけで判断しないことも大切ですね。

有名な華鬘について

華鬘は芸術的価値が高いため、有名な華鬘も存在します。京都・東寺にあったとされる「迦陵頻伽文牛皮華鬘」は牛皮華鬘の代表の作とされ、東京国立博物館が所有しています。古いのでいたみはありますがその精巧な作りは素晴らしく、国宝とされています。

 

また中尊寺金色堂の「金銅宝相華文透彫華鬘」は現存する平安時代の華鬘の中でも、意匠と技法の両面で最も優れた作品と言われいます。これも国宝指定です。

 

このように国宝とされるほどの華鬘も存在しますが、華鬘についてもっと知識を得れば、より深く興味を持つことが出来るようになるのではないでしょうか。

華鬘についてのまとめ

華鬘について説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。多くの家では華鬘を飾ることはあまり無いと思いますが、菩提寺の仏殿で吊るされている華鬘についてある程度の知識を持っていた方が、法事を退屈に感じずその中身に興味を持つことが出来るようになると思います。