浄土真宗の仏壇に置く仏具は何を選べばいい?どんな意味がある?

公開日 : 2020/5/15

更新日 : 2020/9/10

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浄土真宗は他宗派とは異なる独特の考え方から、仏具の種類や扱い方も他宗派と違う点がいくつか見られます。浄土真宗の教えを知ることで、仏具一つ一つの意味も理解することができます。浄土真宗の教えの特徴や仏具の選び方、その意味についてお話します。

公開日 : 2020/5/15

更新日 : 2020/9/10

目次

浄土真宗とはどんな宗派?仏具は何を用意すれば良い?

浄土真宗は鎌倉時代の僧である親鸞が、浄土宗の開祖法然に師事し、その教えを受け継ぎ展開させた宗派です。多数の宗派がひしめく日本仏教において、最も寺院・信者の多い宗派の一つです。浄土真宗はさらに細かくいくつかの宗派に分かれますが、浄土真宗本願寺派(西本願寺)と真宗大谷派(東本願寺)の二派が多数派です。

 

浄土真宗の教えは他宗派と大きく異なる点もあり、仏器にもその教えを反映したものがいくつか見られます。浄土真宗の教えとその仏器についてご紹介します。

浄土真宗の教え

まずは浄土真宗の教えについて簡単にご紹介します。その教えは仏壇や仏具にも反映されていますので、後のお話の理解を深めるためにも、基本的なところを押さえておきましょう。

他力本願

他力本願は阿弥陀仏を信じることで、誰もが浄土に行くことができるという教えで、宗派ごとに教義の差はありますが、浄土信仰に基づく宗派に共通して見られる思想です。

 

浄土真宗での他力本願とは、阿弥陀仏を一心に信じ念仏を唱えることで、その慈悲の心に頼るという意味合いを持っています。そのため、浄土真宗では「祈る」ことしません。祈るというのは自らの希望を伝え願うということだからです。

 

浄土真宗では自らの願いを伝えるのではなく、阿弥陀仏の大いなる慈悲の心にすがり、受け入れるという考え方をします。ですから、浄土真宗では「ご冥福をお祈りいたします」というお悔やみの言葉は述べません。

往生即成仏

往生即成仏とは、亡くなったらすぐに阿弥陀如来に導かれ、仏になるという意味です。仏教の多くの宗派では、人は亡くなると49日間此岸と彼岸の間をさまようと考えられています。しかし、浄土真宗ではこのような考え方はなく、四十九日までの期間は故人を偲び、信心を深める期間と捉えられています。

 

浄土真宗では死後の世界をさまようこともないため、死装束や一膳飯を準備する必要はありません。また、他宗派では葬儀のお香典は「御霊前」、四十九日過ぎて後の法要のお香典は「御仏前」と表書きを書きますが、浄土真宗では即成仏し霊という概念がないため、葬儀のお香典も「御仏前」と書きます。

 

亡くなった方は仏となって浄土の世界から私たちを見守っている、という考え方から、お墓や仏壇に魂が宿るという考え方はしません。そのためお墓や仏壇を新しく設置した時は、「開眼供養」ではなく「入仏式」もしくは「御移徙(おわたまし・ごいし)」という儀式を行い、ご本尊を新しくお迎えしたことをお祝いします。

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迷信を否定

葬式を友引にしてはならない、閏年に仏壇を買ってはならないといういわゆる俗信、迷信は浄土真宗では否定されています。日や方位の吉兆を占ったり、厄除けをしたりする習慣もありません。俗信や迷信に惑わされず、ただ一心に南無阿弥陀仏を唱えていれば、阿弥陀仏のお慈悲によって極楽浄土に行けるというのが浄土真宗の教えです。

浄土真宗の仏具

それでは、浄土真宗の主な仏具についてお話します。他の宗派では使う仏具も、浄土真宗では用いない場合もあります。それも併せてご紹介していきます。

御本尊・脇侍

仏壇の最上段、中央部にはご本尊を安置します。仏像の場合は浄土真宗本願寺派は頭光と光背のある西阿弥陀、真宗大谷派は頭光のある東阿弥陀を飾ります。掛軸の場合は、浄土真宗本願寺派は後光が8本ある阿弥陀如来、真宗大谷派は後光が6本ある阿弥陀如来の描かれたものを飾ります。

 

ご本尊の両脇には脇侍(わきじ・きょうじ)を置きます。浄土真宗本願寺派は向かって右に浄土真宗の開祖親鸞上人、向かって左に本願寺中興の祖である蓮如聖人の掛軸を掛けます。

 

真宗大谷派では、向かって右に十字名号(帰命盡十方無碍光如来)の書かれた掛軸を、向かって左に九字名号(南無不可思議光如来)の書かれた掛軸を掛けます。

花立

花立、火立、香炉(火舎香炉)を総じて三具足と呼び、特に欠かせない仏具とされています。花立は花を供えるための花瓶のようなもので、浄土真宗本願寺派では宣徳色(赤みがかった焦げ茶色)、真宗大谷派では金色の物が一般的です。

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火立

火立は三具足の一つで、ロウソクを立てるための台です。真宗大谷派では、蓮の花をくわえた鶴が亀の上に乗っている独特の形状のものが使われます。浄土真宗本願寺派の火立も、伝統的な物では鶴と亀の意匠が施されています。中央あたりについている一対の鶴は、片方が口を開け、片方が閉じている「阿吽」の形となっています。

香炉

お線香を炊く時に使う香炉は、浄土真宗本願寺派では「玉香炉」と言います。青磁で下り藤の紋が入っているものが正式です。真宗大谷派では「透香炉」といい、同じく青磁で、花の透かしが入っています。いずれも線香は寝かせて炊きます。

 

お焼香をするときに使う火舎香炉は、いずれも真鍮製です。浄土真宗本願寺派では宣徳色、真宗大谷派では金色の物が良く使われます。なお、焼香の回数は浄土真宗本願寺派が2回、真宗大谷派が1回で、いずれも額に押し頂かずに行います。

仏飯器

仏飯器は仏様に差し上げるご飯を盛りつける容器です。足のついたお椀のような形をしており、色は浄土真宗本願寺派では黒っぽい色、真宗大谷派では金が一般的です。

 

他宗派では仏飯の盛り方にルールはありませんが、浄土真宗本願寺派では蓮のつぼみに見立てて尖った形に、真宗大谷派では蓮の実に見立てて円柱形に盛りつけます。円柱形に盛るのは難しいため、盛槽(もっそ)という専用の型を使います。

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供花

供花(くげ)は主に法要などで供物の小餅などを置く台のことです。台の上が蓮の花のように開いており、そこに供物を置いて使用します。浄土真宗本願寺派では六角の、真宗大谷派では八角の供花を使います。

華瓶

浄土真宗では仏壇にお水やお茶をお供えしません。先ほどご紹介した通り、浄土真宗ではお仏壇に亡くなった方の霊が宿るという考え方はしません。お仏壇はご本尊を祀る場所と捉えられています。

 

仏様の住まわれる浄土の池には「八功徳水」(はっくどくすい)というありがたい水が満ち溢れていますので、お水やお茶を供える必要はありません。

 

代わりに華瓶(けびょう)という花瓶のような容器に樒を挿して飾ります。これは八功徳水を象徴したもので、仏の教えが清らかな水のように私たちの間を流れていることを意味しています。華瓶は左右対称に置きますので、2つで一対です。

りん

浄土真宗本願寺派では六角形のりん台の上にりん布団を敷き、そのうえにりんを置きます。真宗大谷派ではりん布団は使わず、代わりに金襴輪という金襴を巻き付けた輪を四角形のりん台の上に乗せ、その上にりんを置きます。なお、浄土真宗ではりんは読経の時にだけ鳴らし、お参りだけの時には使いません。

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過去帳・見台

浄土真宗では仏壇に位牌を置きません。位牌に霊が宿り、それを追善供養していくという概念がないからです。

 

故人を記録するものとして、位牌の代わりに過去帳を置きます。過去帳には法名(浄土真宗において没後に授けられる名前)、俗名(本名)、死亡年月日、年齢を書き、見台(けんだい)と呼ばれる譜面台のようなものに立てかけて仏壇に置きます。

浄土真宗の仏具についてまとめ

浄土真宗の仏具についてお話しました。普段何気なく使っている仏具にも、浄土真宗の思想にのっとった意味があります。その意味を理解し、仏壇や仏具を扱う中で、浄土真宗の教えに対する理解を深めましょう。