おりんの選び方や使い方はどうすればいい？今時のおりんもご紹介！

おりんは梵音具（音を出す仏具）の一つで、一般的には金属のお椀のような形状をしています。これをりん棒と呼ばれる棒で叩くと、澄み切った美しい「チーン」、「リーン」というような音がします。

おりんが放つこの音は、人々の邪気をはらい、浄土の国へと祈りの気持ちを届ける力を持つと言われています。また、お経の調子を整える働きも持っています。

今回の記事では、おりんの選び方や使い方についてご紹介します。これからおりんを買うという方も、おりんを持ってはいるけれど使い方が分からないという方も参考になる内容です。ぜひ最後までお読みください。

一口におりんといっても、様々な種類があります。色や材質はどのようなものを選べばいいのか、また珍しい用途に使われる面白いおりんについてもご紹介します。

おりんの色で最も多いのが金色です。また、銀色や黒のおりんも良く見られます。最近ではモダン仏壇に合わせ、ピンク色や紫色、また柄が入ったものも販売されています。

仏壇や仏飯器、茶湯器などは宗派によって色が決まっている場合がありますが、おりんに関しては決まりはありません。仏壇や好みに合ったものを選んで大丈夫です。

おりんは良く伸びる澄み切った音を出すために、金属からできているものが主流です。中でも一般的なのが真鍮です。真鍮は酸化して黒ずみやすいという欠点がありますが、表面を金メッキやセラミック加工しているものであれば黒ずむ心配もなく、お手入れも乾拭きだけで大丈夫です。

また、シルジン青銅もおりんの材質としては一般的です。真鍮より硬く弾力性があり、おりんの残響を出すのに最も適していると言われています。

高級な材質としては、金や砂張（さはり）があります。金は純金より18金の方が好ましく、澄んだ音が途切れなく長くたなびきます。砂張は銅・錫・鉛の合金で、非常に響きの伸びが良いですが、割れやすいのが難点です。

おりんで最も大切なのはやはり音の美しさです。実際に仏具店に足を運ぶなどして、実際のおりんに触れ、音を聞いてみることが選ぶ際の重要なポイントです。

おりんと言えば金属の鉢のようなもの、というイメージがありますが、他にも様々な種類のおりんがあります。ちょっと変わったおりんや、かわいいおりんについてお話します。

おりんは仏壇に置くものと考えられがちですが、実は携帯用のおりんもあります。それが印金（いんきん）という梵音具です。

印金は持ち手の上に小さな座布団とおりんがついており、なんだかハンドベルのような見た目をしています。お墓参りや法事、法要、厄除けの行事、八十八か所の巡礼など、普通のおりんを持ち運ぶのが難しい時に使われます。

モダン仏壇、洋風仏壇が普及するに従って、仏具もおしゃれなデザインのものが増えてきました。おりんもその例外ではなく、様々なデザインのものを手に入れることができます。

りんごや鳥の形を模したもの、クリスマスのオーナメントのようにキラキラしたもの、一部がガラスや木と言った異素材となっているものなど様々です。仏壇に合わせて、好みのものを選ぶのも楽しいものです。

ペットも大切な家族の一員です。亡くなった後はきちんとお参りをしてあげたい、という方はペット用にメモリアルコーナーを作ってはいかがでしょうか。ペットの写真や愛用品、好物、お水、そしておりんを置くようにします。

ペット用のおりんも多数販売されています。印金のような小さいものや肉球マークがついているものなど、ちょっと変わったデザインのものが多く見られます。毎朝おりんを鳴らして挨拶をすれば、かわいいペットがそばにいてくれるかのような穏やかな気持ちになれるでしょう。

続いて、おりんの一般的な置き方についてご紹介します。宗派によって多少違うところもありますので、詳しくはお寺の方に聞いてみてください。

基本的には、仏壇の最下部、もしくは経机の上におりんを置きます。ミニ仏壇などを使っており置く場所がない場合は、仏壇の手前側に置きます。また、おりんを鳴らすためのりん棒はおりんの右側に置きます。

一般的にはおりんはりん台の上にりん布団と呼ばれる座布団を置き、その上に置きます。りん布団には衝撃を吸収するという役割があります。

りん布団は丸くて真ん中が少しへこんでおり、おりんを置きやすい形状をしています。多くの宗派ではこの丸いりん布団が使えますが、浄土真宗本願寺派のみ、りん台もりん布団も六角形のものにします。

また、真宗大谷派では、おりんを金襴輪という金属の輪型の台に置き、角形のりん台に置きます。りん布団は使いません。

モダン仏壇用のコンパクトなおりんは、りん台かりん布団どちらかしかない、もしくはどちらもないというものもあります。ないといけないというものではありませんので、これも仏壇や好みに合わせて構いません。

せっかく良いおりんを選び、正しい置き方をしても、使い方を間違えると台無しです。また、無理な使い方をするとおりんが壊れてしまう恐れもあります。おりんの使い方は宗派によって異なりますが、一般的なものをご紹介しましょう。

りん棒を弾ませるようにして、おりんの横を優しく叩きます。おりんのふちの部分を叩く人がいますが、おりんが壊れる原因となりますのでやめましょう。基本的にはりんの外側を叩きますが、内側から叩く宗派・地域もあります。お寺や同じ地域に住む年配の方に聞いてみると良いでしょう。

読経の際には基本的に最初、途中、最後におりんを鳴らします。鳴らす回数は宗派によって様々です。

お参りの際におりんを鳴らすときは、線香をあげ、合掌する前に鳴らします。回数は1～3回が一般的ですが、宗派によって異なります。例えば真言宗では2回鳴らします。1回目は強く、2回目は弱く鳴らすようにします。また曹洞宗では3回鳴らすというお寺と、内側を2回鳴らすというお寺があります。

また、浄土宗と浄土真宗では、読経を伴わないおつとめや合掌の際にはおりんを鳴らさないのが正しいしきたりです。最初にお話しした通り、おりんは読経の調子を整えるためのものであり、むやみやたらに鳴らしてはならないというのが全宗派共通のルールです。

おりんについてご紹介しました。その美しくたなびく音色は気持ちを落ち着かせ、邪気を祓い、故人様を呼ぶチャイムであるかのように、懐かしく優しく心に響きます。自身の好みに合ったおりんを置き、その音色を楽しんでみてはいかがでしょうか。