仏壇の向きに決まりはある?宗派による違いや置く場所のポイントも解説
公開日 : 2020/4/21
更新日 : 2020/9/9
仏様やご先祖様をお祀りする仏壇。昔は仏間があるご家庭も多かったですが、現在では少なくなっています。そこで仏壇の置く場所を考える際には、その向きも気になるところではないでしょうか?今回の記事では、仏壇の向きについて、その考え方や宗派による違いなどについてご紹介します。
公開日 : 2020/4/21
更新日 : 2020/9/9
目次
仏壇の向きの考え方について
現代では当たり前のようにある仏壇ですが、江戸時代から庶民の間で広く普及したものです。時代が進むにつれて、家の中に小さなお寺としてご本尊をお祀りして、信仰の対象とされてきました。そして、現代では亡くなったご先祖様もお祀りするようになっています。
そんなご先祖様や仏様をお祀りする仏壇ですが、仏壇の向きについては厳密に決まっているわけではありません。仏様は十方どの方角にもいるとされているので、仏壇を安置する向きは、方角に吉凶はありません。また、宗派の考え方によっても異なり、それぞれに意味があります。
今回の記事では、仏壇の向きの考え方や、宗派による違いなどについて解説しています。また仏壇を置く場合に気を付けるポイントなどもご紹介します。
十方浄土
仏様は十方どの方角にもいるとされているので、仏壇はどの方角に安置してもよいとされていますが、昔から仏壇の向きには以下の様に諸説あります。どの説をとるかで、仏壇を置く方向が決まりますが、基本的に仏壇はどの方向に置いてもかまわないと考えられています。
また昔から住宅には、日差しを確保するために南側に大きめの窓をとる構造が一般的でした。そこに仏壇を置いてしまうと、日差しが入りにくく、風通しが悪くなります。このような理由からも、昔の人は仏壇を北向きに置くことをよしとは考えていませんでした。
ただし、現代では住宅構造も変化しており、日差しや換気に差し障りがなければ、仏壇の向きが北向きでも問題ないとされています。
南面北座説
「南面北座説」とは仏壇を南に向け、北を背にして仏壇を配置する考え方です。中国では王様や高貴な人は南を向いて座る風習があり、日本もそれに倣ったため南向きに置きます。
この向きにすると、仏壇に直射日光が当たらず、風通しも良いので、家の中で最適な仏壇の安置場所となり得ます。この点からも、仏壇の北向きはよくないと言われるようになったとされています。
本山中心説
「本山中心説」では、仏壇の前に座って拝む時に、拝む延長線上に宗派の総本山がある方向に仏壇を置きます。仏壇を通して、総本山に正対して拝むという形になります。
西方浄土説
「西方浄土説」は、極楽浄土である西方浄土の方向である西側向かって拝むように、仏壇を東向きに設置します。仏壇を通して西の方角の仏様を拝むということになります。
宗派による仏壇の向きの考え方
日本の仏教に存在するすべの宗派が仏壇をどの方角にすればよいか決めているわけではありません。ここでは、できればこの方角がよいとされている宗派の例をご紹介します。
仏壇の向きを南に向けて置く宗派
曹洞宗や臨済宗などでは、仏壇の向きを南に向けて置くことがあります。これは、古来の中国では高貴な人が南を向いて目下の人と接する風習があり、それを倣ったことによるものと考えられています。
また、仏様が説法をする場合に南を向いていたとする説もあり、そのことも関連していると考えられています。
仏壇の向きを東に向けて置く宗派
天台宗や浄土宗、天台宗などは、日の出を意識して、東に向けて仏壇を安置することもあります。この3つの宗派は、ご本尊として阿弥陀如来を祀っています。
阿弥陀如来は西方浄土に存在しているとされていることから、その方角に向かって祈ることになるため、東面西座説である東向きが良いとされています。東向きの仏壇を拝むことで、自然と西を向き、ご本尊様と向き合うことになります。
宗派の本山に向かって拝む
真言宗では、本山中心説が良いと考えられています。この説によると、拝む方向の延長線上に総本山があるように、仏壇を安置します。ちなみに真言宗の総本山は、和歌山県にある高野山金剛峯寺です。
仏壇を置くのに適した場所と適さない場所とは?
仏壇の向きについて見てきましたが、ここからは、仏壇を置く場合に適した場所と適さない場所について解説していきます。
仏壇を置くのに適した部屋
仏壇を置くのに適した部屋の一つに、床の間のあるような場所が挙げられます。家の中で最も立派な部屋で、お客様をお通しする部屋に置くという考え方です。
そしてもう一つは、普段、家族が長く過ごす居間やリビングような部屋を選ぶという考え方もあります。家の中で、落ち着いて礼拝でき、家族が集まりやすく毎日おまいりしやすい場所です。
仏壇を置くのに適さない場所
仏壇は、仏様やご先祖様の位牌を安置する場所であると共に、繊細な細工が施された木製の工芸品です。そういった意味から考えると、仏壇を傷めやすいような場所は仏壇を安置するのに適さない場所です。
具体的には、湿気の多い場所や、直射日光の当たる場所が挙げられます。また冷蔵庫や電子レンジのような熱を持つ電化製品の上や、テレビやオーディオ機器など、音の振動が伝わる電化製品の上に置くのは避けた方が良いでしょう。
仏壇を置く場合に気を付けるポイントは?
ここからは、仏壇の向きの他にも、仏壇を配置する際に気を付けたいポイントをご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
神棚がある場合
日本は古来から神仏習合として両方の宗教を尊重してきました。現在でも「神宮寺」と呼ばれる、神社に付随しているお寺も存在します。ですから、家の中に仏壇と神棚を置く場合も、それ自体はまったく問題ありません。
ですが、家の中での向きは注意をする必要があります。仏壇を置く部屋に神棚がある場合、仏壇と神棚が向かい合わせにならないように配置しましょう。というのも、片方を拝む際、もう片方にお尻を向けることになるのを防ぐためです。
また、仏壇と神棚を同じ向きにして配置する場合は、神棚の真下に仏壇がくることがないように、ずらして安置してください。神様も仏様も、どちらの方が上ということはないためです。
仏壇を設置した際のご本尊の高さ
仏壇を置く場合に気を付けたいことに、仏壇を設置した際のご本尊の高さも挙げられます。 座ってお参りする場合は、ご本尊が目線よりも少し上にくるように配置します。また、立ってお参りする場合には、ご本尊が胸の高さよりも上になるよう配置しましょう。
なお高さの低い上置きタイプの仏壇は、ご本尊を見下ろす形で拝むことにならないように、床に直接置くことはぜずに、台の上や机の上などに乗せて安置するのがよいでしょう。
仏壇の向きは拝みやすい向きに配置しよう
今回は仏壇の向きについてご紹介してきました。仏教では仏様は全世界どこにでもいらっしゃるとされているので、仏壇の向きについて特に決まりはありません。仏壇は自分の家の中で、拝みやすい向きにして配置すれば問題ないでしょう。ただし宗派により推奨される方角はありますので、可能ならば考慮するとよいでしょう。
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