【お仏壇やお位牌に魂を入れる開眼供養】代表的な儀式の流れについて
公開日 : 2020/4/21
更新日 : 2020/9/10
お仏壇の購入やお墓を建立した時に行うのが「開眼供養」です。開眼供養は慶事として行い、儀式は宗派により違いがあります。四十九日法要や納骨式と同日に執り行うこともあれば、開眼供養のみを行うなど様々です。開眼供養の代表的な流れや準備についてみていきます。
公開日 : 2020/4/21
更新日 : 2020/9/10
目次
開眼供養とは
開眼供養(かいげんくよう)とは、開眼法要(かいげんほうよう)、お性根入れ(おしょうねいれ)、入魂式(にゅうこんしき)、魂入れ(たまいれ)、霊入れ(たまいれ)、仏壇開きとも呼ばれる慶事です。お仏壇や御本尊、お位牌を購入したり、お墓を建てたりした際に執り行われます。
開眼供養をする前は、それぞれ木の札や置物、石そのものです。開眼供養をすることで魂が宿り、礼拝の対象へと変わります。
開眼供養はいつ行うのか
開眼供養を執り行う時期に決まりはありません。一般的には、「四十九日法要」「一周忌法要」「お仏壇の購入時」「転居でお仏壇の移動が必要な時」「家の中でお仏壇を別の部屋へと移動する時」に開眼供養をします。
これからお仏壇を購入する場合は、これらのタイミングに合わせると良いでしょう。開眼供養を四十九日や一周忌の法要と合わせて執り行えば、親族や親しい知人の皆様も参列しやすくなります。生前にお墓を建立されていない場合、お墓の準備も必要です。お墓の準備には時間がかかりますので、こちらも合わせておくのが無難でしょう。
また、開眼供養は生前にお墓を建てる「寿陵(生前墓)」でも執り行います。お墓が完成した時に行うのが一般的です。最初の納骨時に行うこともありますので、お寺に相談することをおすすめします。
開眼供養はどこで行うか
開眼供養を執り行う場所は、お仏壇を設置するお部屋、またはお寺です。お寺で開眼供養を行っていただく場合は、位牌に魂入れのみをします。日時は僧侶の都合もありますので、事前にお寺に相談しておきましょう。
開眼供養の依頼先
開眼供養では、読経を僧侶に行っていただきますので通常は菩提寺に依頼をします。菩提寺が遠いため依頼が難しい場合は、菩提寺に相談して同じ宗派のお寺を紹介してもらうようにしましょう。
また、お寺とのお付き合いが無い場合は、家の宗派と同じ宗派のお寺に依頼してください。葬儀社や墓地、石材店の方などにお寺や僧侶を紹介していただく方法があります。
開眼供養の準備
四十九日法要と開眼供養を同日に執り行う場合の準備を見てみましょう。一般的な流れは次の通りです。宗派やお寺、地域の習わしによって異なることがありますので、菩提寺に確認してください。
先ず、日程の調整をします。僧侶に読経をしてもらいますので、1ヶ月前までにはお寺に日程の相談をしてください。予定が合えば、日時を決定します。
次に行うのは、開眼供養に参列していただく方への連絡です。案内状を準備して送ります。案内状には、開眼供養と四十九日法要を同日に行うことを記載しておきましょう。出来上がった案内状を参列していただく親戚や故人と縁が深かった友人や知人に送り、出欠確認をしてください。
参列者の人数が確定したところで、会食を手配します。会食は、開眼供養が終わった後に僧侶や参列者と共に過ごす席です。開眼供養を行うご自宅を会場にすることが多いでしょう。別の場所に移動が必要な場合は、バスやタクシーの手配をすることも忘れないようにしてください。
当日、お渡しするものの準備も必要です。僧侶にはお布施を、参列者には引き出物をお渡しできるよう準備してください。
開眼供養の代表的な流れ
開眼供養の代表的な流れを見てみましょう。こちらも四十九日法要を同日に執り行う場合を例とします。四十九日法要は開眼供養の後に執り行われます。気をつけるのは、準備するものや流れは、宗派や地域の習わしによって異なることがある点です。事前に開眼供養をお願いする菩提寺や僧侶に確認しておくことをおすすめします。
開眼供養の当日は、参列者の方々や僧侶が到着する前に、お供物などを用意してください。用意するものは、慶事である「開眼供養」と、弔事である「四十九日法要」の双方で必要なものです。お仏壇(仏具一式)、お位牌、朱ろうそく、お餅、お赤飯、海の幸(ワカメや乾燥昆布)、山の幸(栗や乾燥しいたけなど)里の幸(くだものや野菜など)。
先ず、仏器に盛るご飯は当日、炊いたものを使用してください。次に、 花立てにお花をお供えし、朱ろうそくを燈台に立てます。料理は仏膳にお供えし、仏壇の方向に向けてお箸を置いてください。最後に、果物やお菓子を供物台や高槻にお供えします。
準備ができたら、参列者の方々や僧侶の到着を待ちます。僧侶が到着したら、お茶をお出ししてくつろいでいただきます。開眼供養が終わった後、四十九日法要を行うため、袈裟を慶事用から弔事用に僧侶がお着替えをされます。事前にお着替えの場所もご案内しておくと良いでしょう。
開眼供養を始めます。僧侶に読経を行ってもらい、読経後に参列者の方々にご焼香をしていただきます。開眼供養が終わった後は、ろうそくを朱ろうそくから白に変えてください。開眼供養のために準備したお供物もこの段階で下げます。
開眼供養、四十九日法要が終わりましたら、 席を移動して会食をします。僧侶が会食に出席されない場合は、「御善料」をお渡ししてください。
お墓の開眼供養
お墓の開眼供養は墓石に魂を入れるため、お墓で執り行われます。新しくお墓を建立した時、改装した時に開眼供養は行われます。お墓も、宗派や地域の習わしによって儀式に違いがありますので、注意が必要です。事前に菩提寺や僧侶に確認しておきましょう。
お墓の開眼供養をする事前準備は、故人の戒名を石彫をしてもらうことから始まります。必ず、当日までに石彫をしてもらってください。石材店への手配を忘れないようにしましょう。
当日の準備は、お墓の掃除から始まります。敷地内、暮石ともにきれいに掃除をして清めたら、棹石に白布を巻いてください。次に、墓前に祭壇を設置します。法具として準備燭台と花立てを置き、供花や供物をお供えし、準備完了です。
僧侶が読経する場所は、墓地の会場またはお寺の本堂です。その後、墓前に移動し読経します。棹石に巻いた白布を僧侶が取ったら、開催者から参列者へと、順にお焼香をします。開眼供養が終わりましたら、会食会場へ移動して会食をします。
開眼供養に必要な費用
開眼供養に必要な費用は、お布施、御車代、御前料が主なものです。その他は「引き出物代」、「会食の料理代」、会食の際に移動が必要であれば「移動費用」、開眼供養をお寺で行う場合は「寺院の使用料」などがあげられます。
お墓の開眼供養の場合は、「祭壇の使用料」や「墓地での会場使用料」などもかかります。また、石材店や墓地の管理者にお世話になった場合も、「お礼」をお渡しすることを忘れないようにしましょう。
お布施
お布施は白い無地の封筒に紙幣を入れるのが一般的です。表書きは「お布施」または「御布施」と黒で書き、金額は旧字体を使用して「伍萬圓」や「参萬圓」のように裏側へ書きます。中袋があるタイプの場合は、中袋の裏側に金額を書いてください。
紙幣は、銀行で新札に替えておいてください。入れ方は、紙幣の左側が封筒の底辺になるように向け、表書きの面に紙幣の肖像画があたるように入れます。紙幣の入れ方も地域によって異なることがありますので、菩提寺または僧侶に確認しておくと良いでしょう。
開眼供養のみ行う場合
お墓を生前に建立し、納骨前に開眼供養のみ行う場合は慶事とし、お祝い事として執り行われます。この場合、お寺や僧侶への謝礼となるため、「お布施」ではありません。袋は祝儀袋を使用しますので、「熨斗なしの金封」です。
水引には「紅白の結び切り」または「紅白のあわじ結び」を用います。表書きに記載する文言は「開眼御礼」や「開眼供養御礼」、または「御入魂御礼」です。「内祝」や「御礼」でも良いでしょう。金額の相場は3万円から5万円が一般的です。
開眼供養と法要を行う場合
開眼供養と四十九日法要を同日に執り行い、納骨式は一周忌などの別日に行う場合は、開眼法要のお布施を用意します。双銀結び切りの水引または黒白の不祝儀袋を用意してください。紙幣は白封筒または奉書紙に包んでから、袋に入れます。表書きは「御布施」です。
開眼供養と法要を同日に執り行う場合、金額の相場は開眼供養のみを行う場合の1.5倍から2倍と言われています。ただし、お寺や僧侶との関係によって金額が異なる場合がありますので、事前にお寺や僧侶に確認しておくことをおすすめします。
御車代
「御車代」は開眼供養のため、自宅に来てくださった僧侶にお渡しします。金額の相場は5千円です。また、遠方から来ていただく場合には、1万円から2万円をお渡しすることもあります。紙幣は白封筒に入れ、表書きは「御車代」と書いてください。
菩提寺や僧侶がおられるところが近く、歩いてお越しになったりご自身のお車でお越しになったとしても、御車代はお渡ししてください。また、お墓の開眼供養の場合も同様です。お寺の境内にある墓地ではなく、別の場所にある霊園などにお越しいただく際には御車代をお渡しします。
御膳料
開眼供養の後に行われる会食に、僧侶が出席されない場合にお渡しするのが「御前料」です。表書きは「御前料」と白封筒の上部中央に書きます。「御斎料」や「御酒肴料」と書いても良いでしょう。会食に見合う金額、5千円から1万円程度が相場です。
開眼供養当日の服装と対応
開眼供養の服装は、四十九日法要や納骨式と同時に執り行う場合は喪服を着用してください。葬式や通夜と同様に、アクセサリーはパールを身につけるのが妥当です。持ち物は、数珠をお持ちになってください。
開眼供養のみを執り行う場合は、慶事とみなすので礼服を着用します。開催者側の男性は礼服と白ネクタイ、女性は礼服または無地の着物です。洋服であれば落ち着いた色のものを着用してください。参列者は礼服または落ち着いた色の洋服を着用し、アクセサリーも控えめのものを選びます。それぞれ、数珠を持って行きましょう。
開眼供養のお祝いをいただいた場合
開眼供養のお祝いをいただいた場合は、半返しを目安として品物を送ります。「志」や「御礼」または「内祝」として、消耗品をお返しとて選ぶことが多く見受けられます。昨今ではカタログギフトの利用も増えていますので、検討してみると良いでしょう。
開眼供養に参列するときの心得
開眼供養に参列する際には、香典を用意します。金額は、回忌法要や年忌法要と同様です。親族や親戚の場合は、会食の有無に関係なく1万円程度を包むのが一般的です。知人や友人の場合は、会食が用意されていれば1万円程度、会食が用意されていない場合は3千円から5千円程度が一般的とされています。
開眼供養のみ行われる場合は、熨斗のない赤白の祝儀袋に紙幣を入れます。表書きは「開眼御祝」または「開眼供養御祝」です。同日に開眼供養と納骨式が行われる場合は、不祝儀袋に紙幣を入れます。表書きは「御仏前」です。
また、生前にお墓を建立した寿陵の開眼供養の場合は、おめでたい慶事として行います。表書きは「御建碑御祝」または「建立御祝」、「建立祝」や「祝建碑」と書いてください。
宗派による違い
開眼供養は、宗派により準備するものや儀式の進め方などに違いがあります。お仏壇やお位牌、お墓に魂を吹き込むのが開眼供養ですが、ご本尊に魂を入れるのも開眼供養です。ご本尊も宗派により違いがありますので、見ておきましょう。
天台宗、浄土宗、浄土真宗本願寺派、浄土真宗大谷派のご本尊は、阿弥陀如来です。天台宗では、ご本尊に阿弥陀如来を置き、脇侍に伝教大師と天台大師をお祀りします。浄土真宗本願寺派もご本尊は阿弥陀如来ですが、脇侍右側に親鸞聖人、脇侍左側に蓮如聖人をお祀りする点が違います。
浄土真宗本願寺派はご本尊として、仏像または掛け軸を飾りますが、掛け軸の場合は後光の数が8本のものを選ぶのが決まりです。浄土真宗大谷派の場合は後光の数に違いがあり、6本のものを選ぶ必要があります。
真言宗は大日如来です。ご本尊に大日如来、脇侍に弘法大師と不動明王をお祀りします。臨済宗と曹洞宗は釈迦如来がご本尊です。曹洞宗はお寺によりそれぞれの考え方が反映されるため、釈迦如来をご本尊とするお寺もあれば、阿弥陀如来や観音菩薩をお祀りすることもあります。
臨済宗も宗派が多いため、それぞれお祀りする形式に違いがあります。菩提寺や僧侶に確認してください。他の宗派と大きな違いがあるのが日蓮宗です。日蓮宗のご本尊は大曼荼羅のため、掛け軸を飾ります。設置する位置や日蓮聖人をお祀りする際の配置などの気配りが必要です。
開眼供養をしない宗派
開眼供養をしない宗派もあります。浄土真宗です。他の宗派と違い、浄土真宗は個人の魂をお位牌やお墓に宿す考え方がないので、開眼供養ではなく「御移徙」や「建碑式」「入仏法要」と呼ばれる法要を行います。
心を込めて供養を
開眼供養を行い、お仏壇やご本尊、お位牌、お墓に魂を入れることによって、礼拝の対象として初めてお祈りができます。特にお仏壇は個人宅にあるお寺として捉えられ、魂を入れ安置されているお位牌は、見た目は同じでも全く違うものです。
宗派や地域の習わしなどにより、開眼供養の儀式には様々な形式がありますが、供養する気持ちは同じです。感謝の気持ちを込めて開眼供養を準備し、行ってください。また、安心して開眼供養の儀式を執り行えるよう、事前にお寺や僧侶に相談するようにしましょう。
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