喪中の神棚を封じるのは何故?その理由と方法を詳しく解説します
公開日 : 2020/4/20
更新日 : 2020/9/9
喪中には神棚を封じなければならないと聞いたことはありませんか?聞いたことがあっても喪中に神棚を封じるのは何故なのか、その理由は知らない人が多いのではないでしょうか。今回は喪中に何故神棚を封じるのかと、その方法について解説をしていきます。
公開日 : 2020/4/20
更新日 : 2020/9/9
目次
喪中とは
喪中とは「喪に服しているある一定の時間」です。昔から日本では、近親者を亡くした家族は、その死による穢れがついているとされ、穢れを他へと持ち込まないために家にとどまり、身を慎むべきとされてきました。
その名残が現在の喪中であり、現在では一般的に一年間と考えられることが多いです。ただ決まりはありません。これは江戸時代の1684年に定められた「服忌令(ぶっきりょう)」という政令が元になっています。
これは服忌令には喪中の期間がはっきりと決められていたためです。政令自体は1947年に廃止されていますが、この中には喪中にしてはいけないことなどの取り決めもあり、その一部が今の喪中にも引き継がれています。
現在では昔ほど厳格ではなく、喪中には結婚式への出席や、年賀状の欠礼、神社へのお参り、旅行などを慎みましょうといった事柄が言われていますが、強制力はありません。このように喪中には法律的な決まりはないとしても、人々の習慣として残っています。
ただ近親者を亡くした人には、亡くなった事実を受け入れ、立ち直るのに時間が必要ですし、人が亡くなった際にはしなければいけない手続きなども多くあります。喪中は故人の死で変わってしまった事実を受け入れ、日常へ戻るための必要な期間でもあるのです。
忌中との違い
喪中と似たような意味合いの言葉に「忌中」があります。喪中と忌中はどちらも喪に服す期間、という意味合いは同じですが、期間に違いがあります。一般的には喪中が亡くなってから1年間に対し、忌中は亡くなってから49日または50日です。
49日は仏式での数え方であり、50日は神道の考え方です。そのため、忌が明ける際には仏式は四十九日法要を営み、神道では五十日祭が行われます。忌中では喪中と同じように、慶事や遊興を慎みます。
喪中の神棚
喪中の神棚には「神棚封じ」を行います。神棚封じはその名前の通り、神棚を封じてしまうのです。ではなぜ喪中に神棚封じを行わなければいけないのか、その理由と方法を見ていきましょう。
神棚封じをする理由
喪中に神棚封じを行う理由は、神棚が神聖なものであるからです。神棚はその名の通り、神様を祀る場所であり、神道の神社を自宅に持ち込んだ形で礼拝をおこなう場所でもあります。
江戸時代に普及し、少し前までは比較的どの家庭にも見られました。そして神棚は神様のいらっしゃる神聖な場所なので、死という穢れが起きてしまった場合には、その死の穢れを神棚に持ち込まないように封じる必要があるのです。
神道における穢れの考え方
「死」が穢れであるというのは神道の考え方です。神道は日本古来の宗教で、神社に始まり、ありとあらゆる場所や事象に神様がいると考えます。穢れは神道の中で、「死」「血」「犯罪」などの忌まわしく思われる不浄な状態を言います。
ただし、気をつけなくてはいけないのは、この不浄がいけないものなのではなく、不浄によって気が枯れている状態を「気枯れ=穢れ」というのです。気が枯れるとは、気力を無くした状態であり、死でいえば身近な人を亡くし大きな悲しみに沈んでいる状態です。
気が枯れている状態は良いとはいえません。そのため死の穢れは神葬祭という儀式で祓われ、日常へと立ち直っていく機会があります。ただし死の穢れは大きく、完全にはらわれるには喪に服すことが必要と言われています。
神棚封じの方法
家族に亡くなった人が出た場合の神棚を封じる方法と注意点は以下の通りです。
半紙など白い紙で封じる
神棚を封じるためには、半紙を用います。半紙が無い場合は無地で白い紙であればコピー用紙などでも構いません。用意した半紙で神棚を覆いますが、全部を覆う必要はありません。何故なら神棚の大きさはさまざまで、全部を覆うには大きすぎるものもあるからです。
覆う必要があるのは神棚の扉です。神棚は神様が居る場所を守るためのものですので、基本的には扉がつけられていて、こうして穢れがある場合には扉を閉めることができるのです。半紙で覆う前に、神様に故人の死を奉告し神棚を封じる旨を告げます。
そして神棚に備えてある酒や米、榊などの供物をすべて下げてから扉を閉めます。扉を閉めたら半紙で扉を覆いましょう。神棚の扉をすべて半紙で上から下まで覆えば神棚封じの完了です。社の屋根にテープで半紙を張って垂らすと半紙が何かの拍子に取れることもありません。
扉の幅が半紙よりも大きい場合は、半紙を複数枚つなげて扉を覆うようにします。また扉の前に注連縄がある場合には、半紙は扉を覆うのではなく、注連縄にテープで留めればそれで構いません。
第三者が神棚封じを行う
神棚封じは家族ではない第三者が行うことが望ましいです。これは身近な人の死で、近親者はすでに穢れているため、その穢れを神棚に持ち込ませないためです。近隣の人や葬儀社など家族と血縁関係のない人に頼みましょう。
もし第三者がいない場合には、いる人の中で血縁関係が最も遠い人に行ってもらいます。
お参りは不要
神棚封じをしている期間中は、お参りは不要です。神様に穢れが近づかないようにするため供物やお参りは避けるべきで、半紙にも触れないようにします。神棚封じが外される期間までそっとしておきましょう。
なお、仏教でいう仏壇である神道の祖霊舎がある場合は、祖霊舎は封じる必要はありません。
神棚封じを外す時期
神棚封じの外す時期は、亡くなって神棚を封じてから50日後です。これは神棚が神道に属しているためで、いわゆる神道での忌明けに相当します。神棚を封じている半紙を外し、扉を開けます。
この時には穢れはなくなったと解釈されていますので、神棚封じを外す人は誰でも構いません。扉を開けたら神様へ忌中が終わったことを奉告し、酒・水・米や榊など神棚を封じる前と同じように供物を供え、お参りをしましょう。
喪中の神棚について
喪中の神棚は、神様の神聖な場所を穢さないために封じる習慣があります。神棚の扉を半紙で封じますが、行うのは血のつながりのなく穢れていない第三者が望ましく、神道ではそれだけ神棚が大切にされているのです。
神棚が封じられている間は、故人の死に向き合うための時間であり神様へ穢れが移らないように神棚にお参りをする必要もありません。50日の忌が明け、穢れが収まってから神棚封じを外して、神棚を封じる前の日常へと戻りましょう。
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