【葬儀】火葬場までの流れ|出棺から参列・骨拾いでのマナーを解説
公開日 : 2020/2/19
更新日 : 2020/9/10
火葬場は、日本に住んでいる限り一度は訪れる場所です。日本の葬儀において欠かせない火葬ですが、実際にはどのようなマナーがあるのかを知っている人はあまり多くはありません。火葬場を利用する際の注意点を解説しながら、日本の火葬について解説していきたいと思います。
公開日 : 2020/2/19
更新日 : 2020/9/10
目次
火葬場・焼き場とは
日本は世界的に見て、火葬大国とも呼ばれている国です。そのため火葬場は人生に一度は訪れる場所でもあります。そんな火葬場が、どのような場所であるかを詳しく説明できる人はそう多くはありません。故人を火葬するだけでなく、重要な役割を持っています。
火葬場を簡単に説明すると、遺体を火葬する場所や施設のことを指します。この火葬場での一連の流れは、故人との最後の別れでもあり、同時に故人が安全にあの世へ渡れるようにする儀式でもあります。
文字通り遺体を焼き、残った骨を葬る火葬場にもマナーが存在します。喪主や遺族だけでなく、参列者も気をつけるべき作法があります。故人を送り出すためにも、重要なことなので、しっかりと把握しておきましょう。
火葬はどこでやるのか
日本において死者を送り出す一般的な儀式の火葬ですが、どこでも好き勝手に火葬をしていいというわけではありません。定められた場所以外での火葬は国の法律によって禁止されています。その定められた場所というのが火葬場です。
火葬場は「公営の火葬場」と「民営の火葬場」で分かれています。公営は自治体が運営し、民営は民間によって運営されている場所のことを指します。遺体を火葬する際は、これらが運営している火葬場を利用しなくてはなりません。
ただ、故人によって指定の場所はありません。一般的には、故人の住民票が登録されている場所でおこなうことが多いようです。もしくは故人が生まれた場所や、生前に過ごしてきた場所を選ぶこともできます。
火葬場でやること
火葬場は、故人の亡骸を火葬する場所のことを指します。また、同時に故人と顔を合わせる最後の場所でもあります。手で触れることや、実際に見ることができるのも、この火葬場が最後の場所です。
火葬場は葬儀の後に訪れ、故人と最後の別れを済ませ、遺体を火葬、そして骨拾いを行うまでが主な流れとなっています。単純な作業ではありますが、最後の別れという重要な意味があります。しっかりとマナーを守って故人を見送りましょう。
そして火葬場では、喪主と喪主ではない人で、必要な準備が異なります。火葬場を使用するための必要な手続きもあるので、故人が安心してあの世へ渡ることができるよう、事前に確認しておき、しっかりと準備を進めておきましょう。
喪主の場合
火葬場において喪主は、参列してくださった遺族や親族、故人と親しかった知人や友人に対して、お礼の挨拶をします。また、点火のスイッチを行うだけでなく、事前に火葬を行う際の手続きの必要があります。
葬儀後、喪主は火葬場にて「埋火葬許可証」を係員に提出しましょう。埋火葬許可証は場合によって葬儀社が代行してくれるので、事前に確認をしておきます。また、参列者に対しては火葬の際に挨拶をします。挨拶をするタイミングとして一般的なのが、出棺の時と精進落としの時です。
出棺時を除いて精進落としは火葬中、もしくは火葬後に行われます。よくある例として、参列者に振る舞う食事での献杯時に挨拶を行います。地域の習慣によっては、決められている場合もあるので、こちらも事前に把握をしておきましょう。
喪主以外の場合
喪主は火葬場の手続きや参列者に対して挨拶をするなど、全ての儀式を終えるまでは気を抜くことはできません。遺族や親族も場合によってはサポートに入ることがあります。しかし、血縁関係のない参列者の場合は、特にすることはありません。儀式開始まで静かに待ちましょう。
ただし、火葬場に同行するにあたり、事前に喪主の許可が必要な場合があります。地域や場所によっては当日の同行であっても問題がない場合がありますが、喪主の負担などを考慮すれば、事前に参列することを伝えておくのがいいでしょう。
また、告別式の後であれば問題はないかと思いますが、火葬に参列するにあたり骨拾いを行います。自分の服装が適しているものか、骨拾いを行う順番や作法があっているのかどうかを確認して、故人や喪主に失礼のない対応をしましょう。
火葬場に参列できる人は?
火葬場には、誰でも参列できるというわけではありません。地域や葬儀の規模によって参列できる人の人数が制限されているので、小規模で行うのが一般的です。また、移動する手段や手配をしなくてはいけないので、基本的には喪主と遺族のみでおこないます。
しかし、故人と親しかった知人や友人も最後の別れの場である火葬場にて見送りをしたいと思うのは当然です。遺族や親族のように血縁関係がなくても、気持ちの面で故人を思うのは同じでしょう。
もしどうしても参列したい場合は、事前に喪主に参列できるかどうかを確認してみましょう。場合によっては参列することができるので、当日の申し出でないなら、火葬に参列することができるかもしれません。
基本は親族のみ
葬儀が終わり、出棺後に火葬場までに立ち会うことができるのは、基本的には故人の親族のみです。故人と血縁的に近く、直接の遺族と親戚が集まります。親戚は特に付き合いのあった方達が代表として付いてくるのが一般的です。
故人の親しい知人や友人
故人との血縁関係がなくても、生前に親しくしていた知人や友人も火葬の場に参列ができます。ただし、例え親しい間柄であったとしても、その場で参列ができるわけではありません。喪主に参列できるかの有無を事前に確認するか、もしくは喪主から参列をお願いされた場合に限り同行が可能です。
火葬に参列する際に気をつけること
火葬場に参列できるのは、基本的に喪主と遺族、親族のみです。血縁関係のない知人や友人は基本的にさんれつすることはできません。しかし、事前に参列する有無を伝えれば、例え血縁関係になくても同行することが可能です。
また、故人との生前の付き合いを喪主も把握している場合、喪主から参列をお願いされる場合もあります。自分の都合と相談することにもなりますが、その時は出棺後の火葬へと同行することができます。
もし火葬場に参列したい場合、または参列を喪主からお願いされた場合、どのような点に気をつければいいのかを以下の項目より解説しています。葬儀や告別式において、喪主は負担が大きいので、迷惑のかからないようにしましょう。
事前に同行することを伝えておく
故人と血縁関係にない、親しい知人や友人であれば、故人を見送る火葬場へと同行ができます。しかし、喪主の許可が下りなければ参列はできません。事前に喪主や遺族に同行できるかどうかの確認をしておきましょう。
当日に同行したいという申し出があっても、火葬場までの車の手配や、食事の用意が必要となってしまいます。喪主に負担をかけないためにも、事前に連絡することだけは忘れないようにしましょう。
同行を願われた場合
故人と血縁関係にない友人や知人の方で、喪主や遺族に同行を願われる場合があります。もし参列できるようであれば、葬儀後の案内に従って同行しましょう。もし、都合がつかない場合、その際は丁寧にお断りをすれば問題はありません。
ただし、やむを得ない事情がない限り、当日にお断りはしないでください。食事の用意や移動する際の手配が必要になるので、できるだけ早めにお断りをしておくのが、相手のためにもなります。
火葬場に同行した際は、喪主や遺族以外の参列者は後ろに控えていましょう。基本的には喪主や遺族が故人の近くに立つので、後方で静かに控えておくのがマナーです。また、骨拾いも喪主や遺族を優先させ、血縁関係のない参列者はその後に行いましょう。
火葬場でのマナー
どのような場面であれ、マナーとは存在します。葬儀や告別式に限らず、その場にふさわしい作法を行うことで、相手へ思いやりの心を与えることができます。普段から言葉や身なりに気を遣いましょう。
葬儀、告別式を終え、出棺の儀式を終えた後に故人が訪れる火葬場は、故人が現世から旅立つ場所と言われています。最後の別れの場なので、後悔のないように故人を送り届けてあげましょう。
そして、火葬場に参列する際にもマナーが必要になります。故人だけでなく、自分達にとっても重要となる場所です。故人を正しく送り出すためにも、火葬場でのマナーを事前に確認し、参列しましょう。
参列者(男性)の服装
火葬場に参列する男性の場合、上下は黒系のスーツを着用しましょう。スーツの下は白いシャツに黒いネクタイを締めるのが基本です。足元の靴や靴下も黒で揃えるのがマナーです。光沢で目立ってしまう金属製の腕時計、ネクタイピン、靴の金具は避けるようにします。
また、結婚指輪以外の装飾品は着用しないように気をつけましょう。もし眼鏡をかけている人ならば、できるだけ派手でない柄を選ぶようにします。季節によってはコートを羽織ることもありますが、火葬炉の前に立つ時は脱いで参列します。
参列者(女性)の服装
火葬場に参列する女性の場合、黒系のスーツやワンピースを着用します。足元は黒のパンプスなどを履き、ストッキングも黒色を選びます。また、髪が長い人の場合、髪飾りやヘアゴムは黒でまとめるようにしましょう。
女性の装飾品は、結婚指輪以外の装飾品は基本的につけません。ただし、ネックレスは真珠の一連だけであればつけることが可能です。男性に比べて女性は身につけるものが多いので、普段から身につけているものも改めて見直しましょう。
火葬場・火葬までの流れ
告別式では、故人の遺族や親族に限らず、故人の知人や友人も参列することができます。葬儀のメインとなる儀式ですので、故人と関わりのある人は、基本的に参列するのが決まりです。読経や焼香、喪主の挨拶まで一通りの流れが終わった後、火葬場へと向かいます。
火葬場へ参列できるのは、限られた人数のみです。血縁関係のない人でも、事前に喪主に参列する有無を確認する必要があります。また、火葬場に参列しない人は、出棺時の立ち会いが、故人との最後の別れになります。
火葬に同行しない人は、出棺時の見送りを最後まで見届け、故人を祈りましょう。火葬場へ向かう人は、故人が安心してあの世へ渡れるように適切な姿勢で臨む必要があります。火葬に参列する人としない人では、その後の流れが違うので、参列するにあたって事前に把握しておきましょう。
葬儀の後に最後の別れ
告別式を終えた後は遺体を火葬場に運ぶので、火葬場に同行しない人は、これが最後の別れとなってしまいます。この際、遺体の周りを飾る「別れ花」を行います。別れ花を送る事ができる人と送る順番に関しては以下をご覧ください。
別れ花に参加できる人
出棺の前に行われる別れ花は、故人の棺の中に入れて飾る花のことを指します。この別れ花に参加できる、送ることができるのは、故人の遺族や親近者だけというのが一般的です。しかし、遺族の要望があれば、一般の参列者であっても別れ花を送ることができます。
別れ花を送る人の順番
故人に送る別れ花には順番があります。故人に近い喪主が最初に入れ、その後に喪主の配偶者、親兄弟、子ども、孫の順で手向けていきます。基本的にはこの段階で終了ですが、喪主や遺族の要望があれば、その後に血縁関係にない一般の参列者が花を送ることができます。
別れ花以外に入れていい物
別れ花とは別に、生前に使用していた故人の愛用品などを入れることもできます。ただし、何でも入れていいというわけではありません。いくつか制限があり、主に金属やガラス、プラスチックなどが該当します。
これらが火葬で一緒に燃やされてしまうと、遺骨に色が移ってしまう恐れがあるので入れることはできません。火葬に入れても問題ないものは、手紙や寄せ書き、たばこ、洋服などが挙げられます。もし心配であれば、火葬場の職員に入れてもいいかどうかを事前に聞いておくのがいいでしょう。
ご遺体の出棺
重量がある棺は、遺族や葬儀社担当者の数人で寝台車まで運び入れます。階段などの坂道があるところでは、遺体が棺の中で動いてしまわないように、傾けずに運びましょう。これら一連の作業が終わり次第、火葬場に同行しない人は解散となり、参列する人は火葬場へと向います。
出棺の際の棺の向き
出棺の際、運び出す時も寝台車に入れる時も、棺の向きは足が先に来るようにします。この作法についてはいくつか理由がありますが、主に故人が現世に戻ってこないようにする意味があります。棺を寝台車に運び入れたら、喪主は参列者に挨拶を行います。ただ、場合によっては出棺の前に行います。葬儀社と事前に打ち合わせておくのがいいでしょう。
位碑を持つのは
位碑や遺影を持つ人は特に決まりはありませんが、一般的なのは喪主以外で血縁関係が近い人が運びます。4人家族(夫・妻・長男・次男)で夫が亡くなった場合、喪主は妻か長男が務めます。喪主を除いた二人が持つので、妻が喪主を受け持つのであれば、残された長男と次男で位碑と遺影を持ちます。
遺影を持つのは
故人との血縁関係が深い人から順に持つ人を決めます。ただ、絶対にその人物でなければならないという決まりはありません。怪我で持ち運べる状態の場合は、近親者の中から代表を選ぶことも可能です。
火葬場への搬送
火葬場に向かう際は、自家用車、もしくはバスやタクシーを事前に手配して向かうのが一般的です。この時に喪主だけは寝台車に乗って火葬場へと向かいます。火葬場に参列しない人はこの場で解散となり、一部火葬場へは同行しなくても、留守番役として数名だけ残しておくこともあります。
火葬
火葬場に到着後は「納めの式」を行います。火葬炉の前に棺を置いた状態で行われ、故人と遺族、参列者の最後の別れを指します。納めの式が終わると、棺を火葬炉へ入れ、喪主によって「点火スイッチ」を押します。この際、他の参列者、特に故人と血縁関係にない友人や知人は、遺族より下がった場所で待機しておきましょう。
火葬にかかる時間
火葬は、遺体の年齢や体型によっても変動しますが、点火スイッチを入れてから1時間から2時間程度の時間を要します。その間は控室、もしくは一度葬儀会場に戻って会食を行います。喪主は火葬場に参列していただいた方にお礼を述べ、その後の案内を行いましょう。
火葬中の待ち時間の過ごし方
火葬中から拾骨までの間、待ち時間があります。地域によって違いがあり、火葬場にある控室で待つか、葬儀会場に戻って会食を執り行うかのどちらかです。
葬儀会場に戻る場合は、喪主は精進落としの会食を執り行います。精進落としの席では最初と最後に挨拶をするのが決まりです。その際、参列者へのマナーとして、故人のために駆けつけてくださった参列者に感謝の意を示しましょう。
骨拾いでの作法
火葬した遺体を骨壷へ納める一連の儀式を「骨拾い」もしくは「骨上げ」と呼びます。骨拾いの内容は地域によって多少の違いはありますが、一般的に知られている作法を紹介していきたいと思います。
骨拾いの意味
火葬場にて火葬された故人の遺骨を骨壷に納める一連の儀式を骨拾いと呼びます。骨拾いの作法である「箸渡し」を行い、遺骨を骨壷へと納めます。
この骨拾いで行う箸渡しには、この世とあの世の間にある三途の川に、橋渡しをするという意味があります。「橋」と「箸」が同音であることから、この呼び名で呼ばれるそうです。箸渡しの際は、故人に三途の川を無事に渡って欲しいという願いを込めて行います。
骨拾いをする人の順番
火葬の後に行う骨拾いには順番があります。骨拾いを行う順番は、故人喪主から始まり、遺族や親族がその後に続き、生前に親しかった友人や知人は最後に行います。地域によっては、喪主と遺族だけが行う場合もあります。
骨拾い・箸渡しの作法
箸渡しでは地域によって差はありますが、2人一組の男女で行うのが一般的です。場合によっては遺骨の周りを男女が順番になるように囲い、拾い上げた遺骨を渡していくこともあります。骨拾いの際は、係員の人が骨壷へ納める骨を選別します。どんな骨でも入れていいわけではないので、係員の指示に従って行動しましょう。
骨壷へと納める順番
骨拾いの際、骨壷へ納める遺骨には順番があります。これも地域によっては差があり、一般的にはまず歯を骨壷へ収めます。その後、下半身から上半身を順番に拾い上げ、頭の骨で蓋をします。
そして喉仏の骨を一番最後に納めるのですが、骨の形が座禅を組む仏様に似ていることから、大切に拾骨をするようになりました。そのため、他の遺骨とは別に小さな骨壷へ入れる地域もあるようです。
骨拾いの際の注意点
骨拾いは故人を見送る締めくくりの儀式でもあります。頻繁に行うものではないので、当日に慌てないように事前に調べておくといいでしょう。下記の項目より、注意点を抜粋しておりますので、是非ご覧ください。
遺骨は落とさない
遺骨を骨壷へと納めるため、箸渡しの儀式を行います。この時、遺骨は地面に落とさないように注意しましょう。箸渡しには三途の川を渡らせる意味があり、遺骨を落とすことはその道を断ち切ることになってしまいます。
ただ、複雑な形状をした遺骨を拾い上げるだけでなく、使い慣れない長さの違う箸で他人の箸に渡すことは難しいでしょう。そのため、箸渡しを行う際は、火葬台になるべく近づき、箸渡しを失敗しても地面に直接落とさないようにしておきましょう。
遺骨を落としてしまった場合
落とさないようにできるだけ気を配って箸渡しを行っても、遺骨を落としてしまうことがあります。そのような時は焦らず、係員の人に対応してもらうか、落ちた地点から箸渡しを再度行いましょう。注意点として、落とした遺骨を手で拾うことだけはしないようにしましょう。必ず箸を使用してください
小さい子どもが参加する場合
もし、遺族の中の小さいお子さんが参加する場合は、サポートとして入っても問題はありません。箸渡し用の箸は普段の使う箸とは大きさも長さも異なるものなので、小さいお子さんが一人で行うには難しいでしょう。もしサポートをする際は、地面に遺骨を落とさないように、できるだけ火葬台に近づいて行うようにしましょう。
分骨する場合はどうするか
分骨をしたい場合は、事前に葬儀会社に申し出る必要があります。お墓に収めた後でも分骨は可能ですが、墓石を動かすなど、手間と費用がかかるので、できるのであれば骨拾いの際に分骨をしましょう。
分骨は、分骨用の骨壷を用意する必要があります。葬儀会社に連絡を行う際、事前に用意しておいてもらうようにお願いします。もし、将来的に納骨する必要になった場合は「分骨証明書」が必要です。分骨を申し出た時にもらうのが一般的ですが、葬儀会社に確認をしておくといいでしょう。
火葬場についてのまとめ
火葬場は、葬儀を締めくくる最も重要な儀式です。故人との最後の別れの場でもあり、また見送る場でもあります。地域によって作法に違いはありますが、作法ばかりに気を取られて、肝心の送り出すという気持ちを忘れないように気をつけましょう。
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