葬儀で恥をかかない奉書紙の作法と書き方・注意点をわかりやすく解説

公開日 : 2020/3/1

更新日 : 2020/9/10

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葬儀の場で弔辞を読み上げる時に、どんな紙に書くべきかご存知ですか?何種類かある中で代表的なものが、日本古来からある伝統的な「奉書紙」です。今回は、初めて弔辞を読む方に向けて、奉書紙の概要と弔辞の書き方の基本を解説します。

公開日 : 2020/3/1

更新日 : 2020/9/10

目次

そもそも奉書紙とは

奉書紙は、古くから連絡用の紙として用いられてきました。古くは室町幕府にまでさかのぼるとされており、幕府が公文書を発行する時に使われました。命令を意味する『奉』という漢字からも、当時の名残が見て取れます。

 

昔は楮(こうぞ)を使用したものを奉書紙と呼んでいましたが、現在では厚くて丈夫な和紙のことを総称して奉書紙と呼んでいます。化学パルプを使った安価な奉書紙が出回る一方で、伝統的な製法を守る『越前奉書』といった地域ブランドも存在します。

 

A4、B5、巻紙など、さまざまなサイズ・タイプがが市販されているため、用途に応じて使い分けるのが一般的です。奉書紙になじみがある人は少ないですが、意外とどこでも入手できます。書道具店のほか、仏具店や文具店で買い求めることができます。

奉書紙を使うことの意義

ものを書く機会が減り、プリンタ印刷が主流の現代においては、便箋に手書きをするだけでも十分に丁寧です。封筒は白いものを使用すれば、便箋の折り方もこだわる必要はありません。略式でOKの葬儀・法要であれば問題なく使用できます。

 

しかし、奉書紙を使って書いた正式な弔辞が持つ高級感は、葬儀の雰囲気をより厳格なものにしてくれます。便箋や封筒に比べて少し高い金額にはなりますが、手間とお金をかけて準備をすることで故人への感謝の気持ちを示すことができます。

 

『文章を考えることが苦手だから』とお断りするのはもったいないことです。親しい友人として遺族の方に依頼されたのですから、ぜひ断らずに大役を全うしてください。文章を作るのは親友であった貴方なら難しくありません。

奉書紙とはどんなもの?

現代における奉書紙は、お布施を包んだり弔辞を書いたりといった葬儀関連のほか、ご祝儀を包んだり祝辞を書いたりと冠婚葬祭全般に活躍しています。

 

一般的な和紙である『半紙』との違いは、紙の厚みです。奉書紙は厚くてしっかりとしているため、手書きの他にもプリンタで印刷をすることも可能です。また、紙自体の弾力があります。破れたり劣化ししたりしにくいことから、和紙の中では長持ちします。

 

さらに、他の和紙と同様に裏表があります。表はツルツルしていて字を書くのに適しますが、ざらざらした裏面には書きにくく、印字にも向かないのです。奉書紙を使う前に、必ず裏表を確認して、表に書くようにしましょう。

 

 

奉書紙を使う場面

奉書紙は、結婚や葬式をはじめとした冠婚葬祭全般で使える用紙です。ここでは葬儀・法要にスポットを当てて、どのような場合に奉書紙を使うのか解説していきます。

 

葬儀・法要において奉書紙を使うタイミングは、「お布施を包む時」「弔辞を書く時」「弔辞を包む時」の3つがあります。

 

それぞれ、詳しく見ていきましょう。

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お布施を包む

【大切なものを包む】という使い方が、奉書紙の基本的な用途です。法要に関して言えば、『お布施を包む』という使われ方をされます。

 

古来からの伝統的な使い方のため、ものを包む際に様々なやり方・マナーが求められるのです。そのため丁寧に包まれた奉書紙は、丁寧漢・高級感を演出する効果があります。敷居が高そうに感じますが、慣れてしまえば簡単なものばかりです。

 

正しい包み方をされた奉書紙は、葬儀の雰囲気をより厳かなものに変えてくれます。

弔辞を書く

近年では葬式や法要に力を入れる人は少なくなり、細かい部分ではかなり簡素化されるようになりました。そのため、弔辞を便箋に書いて本番を迎えても失礼になることはありません。

 

しかしながら、一般的には弔辞は『奉書紙』か『巻紙』に書くものとされています。社葬など、個人単位の葬儀よりも形式やマナーが重視される葬儀・法要においては特に気をつけるべきです。

 

弔辞を読む機会は一生のうちに何度も訪れるものではありません。是非とも正式な書き方で臨んで頂きたいです。

 

 

弔辞を包む

弔辞を包む紙も、正式には奉書紙を使用します。特に弔辞自体を奉書紙に書いた場合は、包む紙も弔辞と同じ奉書紙にするべきです。特に社葬など、厳格なマナーを求められる葬儀においては奉書紙を使うのが鉄則です。

 

なお、略式でも良い場合は、便箋に書いた弔辞を封筒で包むこともマナー違反にはなりません。葬儀の形式(厳かな式なのか、簡単に済ませる式なのか)によって、紙を使い分けると良いでしょう。

 

ただし、封筒に包む場合は、茶封筒ではなく、白封筒にしてください。茶封筒だと、ラフすぎると思われてしまいます。奉書紙への包み方は後ほど解説しますが、難しいものではありません。正式な奉書紙で包んでいかれることをおすすめします。

 

奉書紙への弔辞の書き方

せっかくお金を出して奉書紙を買ったのですから、正しい書き方のマナーで弔辞を作成しましょう。そのほうが、より丁寧な印象を周囲に与えることができるからです。

 

「自分は字が下手だから」と思ってしまうかもしれませんが、字の上手さは気にしなくても大丈夫です。緊張する本番で読みやすいように、大きく分かりやすい字で書くようにすれば問題ありません。

 

ここでは、奉書紙を使った弔辞の書き方を解説します。

 

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薄墨で縦書きする

これは、用紙の種類に関係ない弔辞を書く際の大原則です。通常の黒墨で書くのはNGなので覚えておいてください。書く方向も、縦書きが原則です。便箋に書く略式な弔辞であっても、縦書きのルールは守って書くことが望ましいとされます。

 

また、書く内容に迷うこともありますが、ネットで探せるテンプレートな文章は避けてください。遺族の方から弔辞を依頼される時は、『親しい間柄だったあなたとのエピソードを話してほしい』という想いが込められています。

 

多少の文法間違いなどは気にせずに、自分なりの言葉でまとめるのが弔辞の鉄則です。

右端に空白を作る

書き始める前に、まず奉書紙の裏表を確認してください。裏面はざらざらして字を書くのに適さないため、つるつるした表を上にしてから書き始めます。裏表が確認出来たら、次に書き始めの空白を考えます。

 

奉書紙に弔辞を書き始める時は、右端に少し空白をあけて書きはじめるようにしてください。具体的には、右端から10センチ程度の余白があることが望ましいです。空白のスペースの左側に『弔辞』と書いてください。

 

また、『不幸が重ならないように』という意味で1枚の奉書紙で弔辞をまとめる必要があります。そのため、書き始める前に全体の構成を考えておいてください。余白を10センチとっても余裕をもって1枚に収まる文章量になるようにしてから書き始めましょう。

行間を大きめに空ける

弔辞を書いていくうちに故人との思い出が頭をよぎり、伝えたいことがたくさん出てくるかもしれません。そんな時はついつい書きすぎてしまう時があるかもしれませんが、文字の詰め込みすぎは避けたほうが良いでしょう。読み間違いの防止のためです。

 

行間をあけずにビッシリと書いてしまうと、途中で『今どこを読んでいるか』が分からなくなってしまうことがあります。葬儀の本番で悲しみや緊張などで普段通りに口が回らず、頭が真っ白になってしまうこともあるでしょう。

 

行間を開けてスッキリした文章にしておけば、格段に読みやすくなって読み間違いを防止できるのです。

 

忌み言葉を避ける

弔辞には、使わないほうが良い言葉、使ってはいけない言葉があります。中でも気を付けなければいけないのが【忌み言葉】です。縁起が悪いとされているため、忌み言葉が弔辞に含まれていないか何度も確認してください。

 

忌み言葉には、以下のようなものがあります。

【人の生死を表す言葉】死亡、死去、生存、存命の頃、など

【繰り返しを表す言葉】次々、まずまず、つねづね、日に日に、など

【語感として縁起が悪い言葉】消える、壊れる、廃れる、迷う、嫌い、忙しい、など

【遺族に対する励まし】いつまでも悲しまず、あなたがしっかりしないと、など

【一般常識的なNGワード】最後に、ぶっちゃけ、ヤバい、頑固者、など

 

これらのほか、宗派や宗教によって忌み言葉となるものもあります。例えば、神道やキリスト教では『成仏』『往生』『冥福』のような仏教用語が忌み言葉です。このほかにも宗派単位で忌み言葉が変わる時もあるため、心配な時は葬儀会社に確認してみましょう。

適切な弔辞の長さとは

弔辞を読む人は1人とは限りません。一般的には故人と関係が深かった3~5人が読むことが多いです。そのため、1人が長々と読んでしまう展開は避けるべきです。弔辞の長さを、葬儀の進行を妨げない程度に抑えるようにする必要があります。

 

一般的に、弔辞の適切な長さは『2分~3分』です。1,000~1,200文字(A4の原稿用紙3枚くらい)程度の字数に抑えると、ちょうど3分くらいで読み終わります。本番はどうしても早口になってしまうため、葬儀の前に何度か声に出して練習してみましょう。

 

できるだけゆっくりと語りかけるように読む上げるのがコツです。読む練習をしながら、氏名や経歴、日付などに間違いがないか確認をしておきましょう。

 

弔辞の大まかな構成

弔辞には決まった定型文がありません。読む人の自由で問題ありませんが、イチから1,000文字書き上げるのは大変です。そこで、一般的に使われている弔辞の構成を紹介します。

 

基本的な流れは、「導入」「亡くなった人に対する悲しみ気持ち」「故人の人柄、エピソード」「現在と今後の想い」「故人への別れの言葉」という順に進んでいきます。

弔辞を書く時の注意点

導入では、「山田〇さんのご霊前に、お別れの言葉を捧げます」のようにフルネームで、故人に語りかける、呼びかけるように読み始めます。故人と会話しているようなイメージで、ゆっくりと読み上げて下さい。

 

また、丁寧な書き言葉よりも話言葉を使うことをおすすめします。「~でしたね」のように、話し言葉を使うと親しみがこもった文章にできます。

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文の最後に日付と署名を書く

余白を十分に取りながら、一行ごとに改行していくと格段に読みやすい弔辞になります。できあがったら、最後に日付と署名をします。

 

本文を書き終えたら、一度改行してください。次に、本文より少し下げた位置に日付を記入します。この時、月日だけでなく年まで正確に記入してください。

 

また、日付を書いたら、もう一度改行してください。日付より更に下がった位置に署名をします。

パソコンで作って印刷も可能

弔辞は毛筆で手書きするのが望ましいです。ただ、『字が上手くないから』と悩んでしまう人もいるでしょう。そんな時は、パソコンのワープロソフトで作成してもOKです。奉書紙は厚みがあるため、プリンタでの印刷でも耐えることができます。

 

また、ワープロソフトで作るときはフォントに気を付けてください。明朝体などの普通の文字ではビジネスっぽい感じになってしまうため、やめておきましょう。おすすめのフォントは毛筆です。誰も簡単に雰囲気のある弔辞を作できます。

 

また、つるつるした表面に印字されるように、プリンタに入れる向きに注意してください。

 

奉書紙が足りないなら継ぎ足しも可能

字を書きすぎて奉書紙が埋まってしまった場合は、2枚に分けずにつなげて1つにしてください。2枚、3枚と分けるのはマナーとしてNGですが、繋げてしまえば1枚になります。

 

まず、2つの紙を重ね合わせます。書き終わった方が上、新しい紙が下です。のりしろは、左側の紙に5~8ミリ程度使います。継ぎ足し部分が谷になるように、カッター等で切り口を丁寧に整えてください。

 

その後、丁寧に糊付けすれば完成です。

表包みにも奉書紙を使う

無事に弔辞が書けたら、『上包み』で包みます。弔辞と同じ奉書紙で包むのが正しい作法です。

 

まず、弔辞を三つ折りで包めるくらいの大きさに奉書紙を切り取ります。弔辞を真ん中か少し右に置いた後、右側→左側と三つ折りにしていきます。この時、通常の折り方と逆になっている点に注意してください。

 

三つ折りにできたら、上下の端を裏面に向かって織り込みます。最後に、上包みの中心に『弔辞』あるいは『弔文』と表書きをして完成です。

こだわらない場合は封筒でも可

表包みにも奉書紙を使うことがマナーですが、そこまでの厳格さを求められていない場合もあるでしょう。その場合は、封筒に弔辞を入れる形でも問題ありません。葬儀・法要の形式や参列者に応じてケースバイケースで書き分けるといいでしょう。

 

ただし、使用する封筒は茶封筒はNGです。封筒にするとは言っても、色が白い封筒に入れるようにしましょう。

伝統的な奉書紙を使って故人の冥福を祈りましょう

今回は、奉書紙の概要と書き方・包み方の基本を解説しました。

 

お世話になった個人への感謝・別れの時間をより格別なものにするためにも、奉書紙を使って弔辞・お布施を包むようにしましょう。