社員や公務員のご遺族の方に渡す弔慰金の書き方はどうすれば良い?
公開日 : 2020/2/28
更新日 : 2020/9/10
お葬式には様々なルールがあるものです。例えば、会社や役所などから故人のご遺族の方に渡される弔慰金というものが存在します。弔慰金に関するルールは香典の場合とは異なります。こちらでは、弔慰金の書き方や渡し方などを詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
公開日 : 2020/2/28
更新日 : 2020/9/10
目次
弔慰金とはどんなもの?
まずは、弔慰金というものがどんなものなのかについて解説してみることにしましょう。
弔慰金とは?
弔慰金(ちょういきん)とは、通常ある会社の社員や公務員などが亡くなった時に渡されるお金のことを言います。「弔意」には死者を弔うとともに、その遺族を慰めるという意味があり、故人本人に渡されるものではありません。会社や役所からご遺族の方に渡されるものが弔慰金です。
現在、弔慰金を渡す制度を設けている会社は、企業全体の約7割ほどあるとされています。これは、2017年の労務行政研究所の報告書に基づくものなので、実際にはより多くの会社が弔慰金の制度を設けているとも言われています。このように、弔慰金を支給するというのは多くの会社に根付いている制度だと言って良いでしょう。
弔慰金は誰が渡す?
弔慰金というのは、故人の職場の同僚や友人などではなく、会社や役所がご遺族の方に渡すものです。そのため、会社や役所の側では原則として弔慰金を経費として落とすことが可能になっています。つまり、弔慰金は給与や賞与などと同じく、会社や役所が正式にお金を支払うものであるわけです。
弔慰金を渡す相手は故人本人ではなく、原則としてご遺族の方にということになっています。そのため、通常は相続税の対象にはなりません。ただし、弔慰金の中でも退職金に該当する部分については相続税の対象となるので、弔慰金を受け取ったご遺族の方はその点に気を付けなくてはいけません。
弔慰金はいつ渡す?
弔慰金は会社や役所からご遺族の方に渡されるお金であるため、香典とは異なります。ですから、弔慰金を渡す時期についても香典とは異なっています。通常は、お通夜やお葬式の当日に弔慰金が渡されることはありません。
では、弔慰金はいつごろご遺族の方にお渡しすれば良いのでしょうか。これについては明確な決まりはありませんが、お葬式が終わって様々なことが落ち着いた頃合いを見計らって、ということになるでしょう。ただし、稀ですがお葬式の当日に弔慰金が渡される場合もあります。この場合には香典との違いがはっきりと分かるようにしてください。
弔慰金と香典との違いは?
弔慰金は会社や役所から支給されるお金であり、香典とは意味合いが異なっています。香典というのは仏教の用語ですが、元々は故人に捧げるお線香代という意味です。昔はお線香をそのままあげていたのですが、現在ではお線香代としてお金を贈る習慣になっています。
そのため、香典に関しては宗教的な意味合いがあります。会社や役所の制度である弔慰金とはその意味や意義が違っていると考えて良いでしょう。なお、宗教によって香典には様々な呼び方があり、故人が神道だった場合には玉串料(たまぐしりょう)、故人がキリスト教徒だった場合には御花料(おはなりょう)などと呼びます。
なお、お葬式の際に香典とは別にお供物料を渡す場合も弔慰金と呼ばれることがあるようです。しかし、原則として弔慰金というのは会社の社員や公務員などが死亡した際に、故人が属していた組織から贈られるお金のことです。正式な名称としては、こちらのほうを覚えておくようにしましょう。
弔慰金の書き方
次に、弔慰金をお渡しする場合の書き方について解説していくことにします。会社の人事や経理などを担当している方はよく覚えておくようにすると良いでしょう。
「弔慰金用の不祝儀袋とは?
弔慰金はご遺族の方に現金で渡される場合もありますが、振り込みで渡される場合もあります。振り込みで渡される場合には不祝儀袋(ぶしゅうぎぶくろ)の封筒には現金は入れず、目録だけを入れるようにします。現金で支給する場合には、香典と同じように中袋の中にお金を入れるようにします。
弔慰金は一般的に高額になるため、通常サイズの不祝儀袋と比べるとサイズがやや大きめになっています。弔慰金は三千円~五万円くらいの香典と比べると金額がかなり高いので、金額に合わせて様々なサイズの不祝儀袋があります。現金で弔慰金をお渡しする場合には、中に包む金額に見合ったサイズの不祝儀袋を選ぶようにすると良いでしょう。
不祝儀袋には薄墨を使う?
弔慰金をお渡しする場合にも、その表書きや中入れなどは通常薄墨を使って書きます。しかし、昔ながらの和紙を使っている不祝儀袋の場合には、薄墨を使ってしまうと文字がにじんで読みにくくなる場合もあります。こうした場合には、薄墨ではなく普通の墨を使って書いても問題ありません。
薄墨を使うことには、「涙で墨が薄くなってしまった」「突然のことで墨をするのに十分な時間がなかった」という意味合いがあります。ですが、弔慰金をお渡しする時期はお葬式の期日よりも後になることが多いため、通常の墨を使って書くケースも多いです。どちらか迷った場合には薄墨を使えばOKですが、あまり深く気にする必要はないと言えます。
弔慰金用の表書きの書き方
弔慰金の表書きは、現金でお渡しする場合と振り込みでお渡しする場合とで異なっています。現金でお渡しする場合には、表書きには「弔慰金」と書きます。「御香典」や「御霊前」「御仏前」などと書くことはないので、注意してください。
また、振り込みでお渡しする場合には、その目録のみが入った封筒をお渡しすることになります。この場合には、表書きに「目録」と書くケースもあるようです。なお、弔慰金は宗教的な意味合いを持つものではないため、故人の宗教や宗派による違いなどはありません。
弔慰金用の中袋の書き方
弔慰金の中袋には、中に包んだお金の金額を書くようにしてください。この場合、基本的に旧字体の漢数字で書くことは香典と同じです。なお、旧字体の漢数字についてはインターネットでも調べることが可能です。くれぐれも算用数字で書くことのないように気をつけてください。
また、金額の上には「金」という文字を書きます。これも香典を書く場合と同じです。金額の下には「也」という字を入れることがありますが、これは入れても入れなくてもかまいません。
弔慰金用の中入れの書き方
弔慰金の不祝儀袋の中に入れる目録のことを、「中入れ」と言います。この中入れについては、弔慰金専用の不祝儀袋とセットになっているケースが多いです。普通の不祝儀袋を使う場合には、奉書紙などを使うようにすると良いでしょう。
中入れの書き方ですが、まず一番の右の部分に「弔慰金」と書きます。その次に包んだ金額を大きく書きます。さらに、弔慰金を渡す期日と会社や役所の名前を書き、一番左側には亡くなった方の氏名を書くようにします。
名前の書き方
弔慰金は香典とは異なり、会社や役所が用意するものです。ですから、香典をお渡しする場合のように個人個人の名前を書くということはありません。書くのは、会社名ということになります。これは中入れの中に書くことになっているので、正確な会社名や役所名を書くようにしましょう。
金額の書き方
金額の書き方ですが、これは「弔慰金用の中入れの書き方」というところでご説明した通りです。原則として、旧字体の漢数字で書きます。しかし、旧字体の漢数字が分からない場合や、紙ににじんてしまってうまく書けない場合には、新字体の漢数字で書いても差し支えありません。以下に、金額の書き方の例を挙げておくので、参考にしてみてください。
20,000円……「二万円」「弐萬円」「弐萬圓」
30,000円……「三万円」「参萬圓」「参萬圓」
50,000円……「五万円」「伍萬圓」「伍萬圓」
100,000円……「十万円」「拾萬円」「拾萬圓」
300,000円……「三十万円」「参拾萬円」「参拾萬圓」
1,000,000円……「百万円」「佰萬円」「陌萬圓」
2,000,000円……「二百万円」「弐萬円」「弐萬圓」
振り込み日が異なる場合
先にご説明したように、弔慰金の中入れには弔慰金をお渡しする期日を書くのですが、場合によっては不祝儀袋を渡す日付と振り込み日が異なっている場合があると思います。振り込み日と同日に渡す場合であれば問題ありませんが、振り込み日が異なっているような場合には実際に弔慰金が振り込まれる日の日付を書くようにすると良いでしょう。
水引はどうすれば良い?
弔慰金の水引きに関しては、基本的に香典を贈る場合と同じだと考えてください。銀色の水引きが付いているものか、黒色と白色の水引きが付いているものを用います。ですが、地域によっては黄色と白色の水引きを用いる場合もあります。
水引きの結び方についても同様です。基本的な結び方としては、あわじ結びか結びきりにします。これは水引きをほどけにくくする結び方なので、インターネットなどで結び方を調べて覚えておくようにすると良いと思います。
弔慰金の渡し方
では、弔慰金の渡し方についてはどうなっているのでしょうか。弔慰金用の不祝儀袋は、普通の封筒とは違って郵送には適さないため、ご遺族の方に直接お会いしてお渡しするようにすると良いと思います。
弔慰金を振り込みで渡す場合
弔慰金を振り込みでお渡しする場合ですが、この場合には中入れ(目録)のみが入った不祝儀袋のみをお渡しします。中入れについては無地の封筒である中袋の中にいれ、それをさらに外袋の中に入れます。なお、中袋は中包みと呼ばれることもあります。外袋についてはきちんと水引きを付けるようにしてください。
弔慰金を現金で渡す場合
一方、弔慰金を現金でお渡しする場合には、中袋の中にお札と中入れ(目録)を入れて直接お渡しします。中袋をさらに外袋に入れることは、振り込みでお渡しする場合と同じです。また、外袋に水引きを付けることも同様です。なお、水引の色は金額大きい順に銀色、黒色と白色または黄色と白色、という順になっています。
弔慰金はどんな風に包む?
前節と前々節でもご説明しましたが、弔慰金の包み方は振り込みでお渡しする場合と現金でお渡しする場合とで異なっています。振り込みでお渡しする場合には、中袋の中には中入れのみを同封します。現金でお渡しする場合には、中袋の中に現金と中入れを同封します。
中入れについては、読みやすく折りたたむようにしてください。弔慰金用の不祝儀袋のサイズは様々なので、中入れの折り方はちょうど中袋のサイズと合うように折る必要があります。通常は三つ折りまたは四つ折りにすれば良いと思います。
弔慰金のお金の入れ方
次に弔慰金のお金の入れ方についてご説明します。弔慰金を振り込みでお渡しする場合には、もちろんお金を入れる必要はないのですが、現金でお渡しする場合にはそれなりのマナーがあります。これは葬儀全般に言えることですが、弔慰金にお金を入れる場合には、封筒を開いた時にお札の表側が来るように入れてください。
現金で弔慰金をお渡しする場合には、中に入れるお札についても注意するようにします。葬儀関連では、僧侶にお布施を贈る場合などを除いて、旧札を用いることがマナーとなっています。しかし、相手側に対して失礼に当たると思った場合、綺麗な旧札が用意できない場合などには、新札に折り目を入れて包むようにすると良いでしょう。
弔慰金の金額の目安は?
弔慰金の金額の目安ですが、これは業務中に死亡した場合と、業務外で死亡した場合とで異なっています。また、勤続年数でも違いが出てきます。ですが、香典などと比べるとその相場はかなり高くなっています。
業務中に死亡した際の弔慰金の目安は次のようになっています。
・勤続年数1年……2万円~2000万円
・勤続年数5年……5万円~2000万円
・勤続年数10年……5万円~2000万円
・勤続年数20年……10万円~2200万円
・勤続年数30年……10万円~2300万円
業務外で死亡した場合の弔慰金の目安は次のようになっています。
・勤続年数1年……2万円~400万円
・勤続年数5年……2万円~400万円
・勤続年数10年……2万円~ 800万円
・勤続年数20年……2万円~ 800万円
・勤続年数30年……2万円 ~ 800万円
弔慰金の金額の目安は故人が働いていた会社や役所によって大きく異なります。これは、弔慰金として支払われる金額については会社や共済組合の規定で定められているためです。なお、会社によっては故人の基本給を元にして弔慰金の額が決定される場合もあります。
弔慰金を書く時の注意点とポイント
最後に、弔慰金を書く時の注意点やポイントについて解説してみたいと思います。全体のまとめ的なご説明になっているので、ぜひ参考にしてみてください。
弔慰金を書くときの注意点
まず、弔慰金を書く際の注意点ですが、外袋や中袋、中入れには必要なことだけを書き、それ以外のことば書かないようにしましょう。弔慰金を書く場合、基本的に不祝儀袋の表書きの下に会社名を書くことはありません。会社名や役所名については中入れの中に記載するようにしてください。
また、遺族に対してはお悔やみの言葉などを述べたいと考える方もいるかもしれません。しかし、これも弔慰金の不祝儀袋の中には入れないようにしてください。故人やそのご遺族の方に対する思いが強い場合には、葬儀の場で弔辞として述べるか、後でご遺族の方に手紙などを贈るようにしましょう。
弔慰金を書く時のポイント
次に弔慰金を書く時のポイントですが、不祝儀袋についてはなるべく大きいサイズのものを用いるようにしてください。これは中に現金を入れるからという理由もありますが、中入れに必要事項を書いて同封しなくてはいけないためです。中入れを直接外袋の中に入れるということはないため、中袋なしということは基本的にありません。
また、弔慰金を書く時に重要なことの一つが、その日付の書き方です。これは実際に弔慰金が支払われる日付を書くようにしてください。現金でお渡しする場合にはその日付を、振り込みでお渡しする場合には振り込み日の日付を書くようにしましょう。弔慰金は高額になることが多いため、水引については印刷されているものよりも、実際に結ぶタイプのものを使用するほうがベターです。
弔慰金とは社員や公務員の遺族に渡すお金のこと
弔慰金というのは、会社や役所などに勤めている人が亡くなった時に、ご遺族の方にお渡しするお金のことです。表書きの書き方には二種類あり、現金でお渡しする場合には「弔慰金」、振り込みでお渡しする場合には「目録」と書きます。また、会社名は中入れに書くようにしましょう。
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