【神式葬儀】玉串料ってどんなもの?その書き方は?【マナー】
公開日 : 2020/1/23
更新日 : 2020/9/10
お葬式には仏式や神式、キリスト教式など様々なものが存在します。玉串料というのは神式の葬儀で使われる言葉です。では、玉串料というのはどんなもので、どんな書き方をすれば良いのでしょうか?こちらで詳しく解説しているので参考にしてみてください。
公開日 : 2020/1/23
更新日 : 2020/9/10
目次
玉串料とはどんなもの?
まずは玉串料(たまぐしりょう)というのがどんなものなのかについて簡単に解説してみましょう。
玉串料とは?
玉串料というのは、玉串(たまぐし)という言葉に基づいています。玉串というのは、神様にお供えするお米や魚、野菜、お酒などのことを表しています。現在では玉串料といった場合には、元々の玉串という意味とはあまり関係なく、神道の儀式で一般的にやり取りされるお金のことを示しています。
玉串料はお通夜やお葬式の場面で用いられる他、七五三やお宮参り、結婚式などの際にも使われます。すなわち、おめでたい時にもおめでたくない時にも使えるのが玉串料という言葉です。この玉串料という言葉はお葬式の際には、仏教の香典の代わりとして用いられます。
簡単に言えば、お葬式やお通夜の際にご遺族の方にお渡しするお金の表書きに書くのが、「玉串料」という言葉です。「玉串料」に「御」という字をつけて、「御玉串料」と書かれる場合もあります。いずれにしても、神式の葬儀の場でお金をやり取りする際に最も一般的な言葉が「玉串料」です。
初穂料との違いは?
それに対して、神道の儀式に関する言葉では初穂料(はつほりょう)という言葉もあります。初穂料の初穂というのは、初めて穫れる穀物という意味であり、やはり神様にお備えするものとなっています。
こちらは、おめでたい席でのみ使われる言葉となっています。例を挙げると、七五三やお宮参り、地鎮祭、交通安全祈願や合格祈願の場合などです。ただし、通夜やお葬式など、おめでたくない席では初穂料という言葉が使われることはありません。ですから、香典の代わりとして初穂料という言葉を使ってはいけません。
また、玉串料と似た言葉に神饌料というものがあり、こちらもお葬式の際に使用することが出来ます。神饌というのは、玉串と同じく神にお供えするお米や魚、野菜、果物、塩、水、お酒などのことです。神饌料は初詣などのおめでたい席でも使用することが出来るので、玉串料とは若干区別が必要です。
玉串料は誰に渡す?
玉串料というのは、亡くなった方のご遺族に渡すものです。通常は喪主の人や、葬儀の受付係の人に渡すことになります。しかし、言葉の本来の意味では、亡くなった方やそのご遺族の方を通して、神主さんや神社にお金を捧げるものとなっています。
ただし、現在では一般的に言って、故人のご遺族の方にお渡しするものが玉串料だと思っておいて良いでしょう。仏式の葬儀の場合ではお香典をお渡しすることになりますが、神式の葬儀の場合であれば玉串料をお渡しするということになるわけです。
また、玉串料という言葉は結婚式や七五三など、おめでたい席でも使われる言葉です。そのため、こうした場合には玉串料は結婚式や七五三を挙げる当人にお渡しするということになります。このように、場面場面で玉串料をお渡しする相手というのは変わってくるので、その点には注意するようにしてください。
玉串料はいつ渡す?
玉串料はいつ渡せばよいか、という点ですが、これは仏式葬儀の香典の場合と同様です。ご遺族の方にお渡しする機会は二回あります。一回目はお通夜の時で、二回目は葬儀式の時です。なお、神式の葬儀のことは「神葬祭」と呼ばれています。
通常、玉串料はお通夜の時か葬儀の時、どちらか一回渡せば良いことになっています。故人と親しい間柄にあった人や親族などはお通夜にも招かれることもありますが、玉串料をお渡しするのは一回だけでかまいません。もし、葬儀が多くの人を招いて行われるようであれば、お通夜の際に玉串料をお渡ししてしまっても問題ありません。
また、神式の葬儀では法事というものはありませんが、その代わりに霊祭(れいさい)というものがあります。とくに、死後50日目に行われる霊祭のことは「50日祭」と呼んでいます。この場合にも、ご遺族の方に玉串料をお渡しすることがあります。
玉串料の書き方
では次に、玉串料の書き方について解説していくことにしましょう。
玉串料は何で書く?
仏式葬儀の場合と同じように、お葬式の際の玉串料の表書きや中袋などは筆と薄墨を使って書きます。薄墨というのは通常よりも濃さの薄い墨のことです。この薄墨を使うことには理由があるのですが、葬儀に関する一般的なマナーだと思っておいてください。
正式には、玉串料は筆と薄墨を使って書くことになっています。しかし、現代では筆ペンを使ってしまっても問題ありません。文房具店などに行くと薄墨の筆ペンと呼ばれるものが売っているので、自宅に筆や薄墨がないという人はこうした薄墨の筆ペンを使うようにすると良いでしょう。
表書きの書き方
玉串料の表書きには、「玉串料」または「御玉串料」と書きます。お葬式の場合であれば、「御榊料」や「神饌料」と書くこともあります。いずれの書き方でも、故人やご遺族の方を通して、神主さんや神社に捧げるものである点は、覚えておくようにすると良いでしょう。
また、玉串料の表書きには名前も記載します。この場合、玉串料を出す人数などによっても書き方は変わってくるので、後の節で詳しくご説明することにします。ただし、最も一般的な書き方としては、玉串料を入れる不祝儀袋の真ん中、水引の部分に苗字と名前のフルネームで名前を記載するようにします。
中袋の書き方
玉串料を入れる袋のことは不祝儀袋(ぶしゅうぎぶくろ)と呼ぶのですが、この袋は外袋と中袋の二重になっています。外袋の表書きの書き方については、上で述べた通りです。では、中袋のほうはどんな書き方をすれば良いのでしょうか。
玉串料の中袋には、その表面に中に入れたお金の金額を、裏面に自分の住所と氏名を書くようにします。金額については、基本的に旧字体の漢数字で書くようにしてください。一例を挙げれば、一万円のお金を包んだ場合には「金壱萬円」や「金壱萬圓」と書くようにします。また、金額の後ろに「也」という字を付け加えることもあります。
金額の書き方
中袋に書く金額については上に書いた通り、旧字体の漢数字で書くようになっているのですが、いくつか見本を書いておきましょう。なお、旧字体の漢数字のことは「大字」とも呼ばれているので、覚えておくと良いかもしれません。
・3,000円の場合 「三千円」「参阡円」「参仟円」「参阡圓」「参仟圓」など
・5,000円の場合 「五千円」「伍阡円」「伍仟円」「伍阡圓」「伍仟圓」など
・7,000円の場合 「七千円」「七阡円」「七仟円」「七阡圓」「七仟圓」など
・10,000円の場合 「一万円」「壱万円」「壱万圓」「壱萬円」「壱萬圓」など
・30,000円の場合 「三万円」「参万円」「参万圓」「参萬円」「参萬圓」など
・50,000円の場合 「五万円」「伍万円」「伍万圓」「伍萬円」「伍萬圓」など
・100,000円の場合 「十万円」「拾万円」「拾万圓」「拾萬円」「拾萬圓」など
旧字体については、インターネットで調べられますから、事前に書き方を調べてみても良いでしょう。また、どうしても旧字体の漢数字が分からないようであれば、新字体の漢数字を用いてしまっても問題ありません。旧字体の漢数字で書くということはあくまでもマナーですが、絶対に守らなければならないわけではないので、安心してください。
名前の書き方
名前の書き方については、一人で玉串料を出すのか、複数人で玉串料を出すのかによって変わってきます。一人の場合は簡単で、外袋の表書きの水引の下の部分にフルネームを書きます。この際、見やすい大きな字で書くように心がけてください。
二人の連名の場合
夫婦の連名など、二人で玉串料を出す場合には、不祝儀袋の真ん中に二人の名前を並べて書くようにします。夫と妻の場合であれば夫の名前を右に、妻の名前を左に書きます。なお、夫婦の連名の場合には「〇〇家」と家名を書いたり、夫の名前だけを書いてもOKです。
また、友人同士や会社関係者などの場合には、年長者や目上の人を右に、年少者や目下の人を左に書くようにします。
三人の連名の場合
玉串料を連名で書く場合、3人までは表書きに連名で書いても良いということになっています。その場合も、やはり年長者や目上の人は一番右側に、年少者や目下の人は左側に書くようにします。位置に関してですが、一番年長の人の名前が不祝儀袋の真ん中に来るようにしてください。
四人以上の連名の場合
4人以上の連名の場合には、代表者名のみを表書きに書くようにします。代表者名の名前の上に「代表」という言葉を書いておくと、受け取ったほうでも連名での玉串料だということが分かりやすくなります。
残りの人については、別紙を用意してそこに住所氏名を書いて不祝儀袋の中に入れます。やはり、年長者や目上の人は右側に、年少者や目下の人は左側に来るようにしてください。
友人一同や会社名で書く場合
友人一同や会社名で玉串料を書く場合には、代表者名や会社名のみを表書きに書いてもOKです。この場合には、やはり別紙を用意してそこに玉串料を出した人の住所と氏名を書くようにしましょう。また、友人らの有志で玉串料を出し合っている場合には、「友人一同」などと書くこともできます。
水引はどうすれば良い?
玉串料の水引の色は、祝儀であるか不祝儀であるかによって変わってきます。祝儀というのはおめでたいことがあった時に渡すお金のこと、不祝儀というのはおめでたくないことがあった時に渡すお金のことです。お葬式の場合には、後者の不祝儀にあたります。
不祝儀袋の水引は、通常は銀色か黒と白の二色のものを使います。地方によっては、黄色と白の二色のものを使うところもあるようです。なお、水引は不祝儀袋に印刷されている場合もありますが、こうした不祝儀袋を使ってもOKです。
なお、印刷されていない場合の水引きの結び方ですが、これには二つの種類があります。一つは結び切りというもので、もう一つはあわじ結びというものです。どちらの結び方も簡単には解けない結び方なので、これ以上不幸が重ならないように、という意味が込められています。
玉串料の包み方
では、玉串料の包み方や渡し方についてはどうなっているのでしょうか。こちらで詳しく解説しているので参考にしてみてください。
のし袋について
玉串料に使うのし袋ですが、これは文房具店などで売っています。先に書いたように、のし袋の種類に関しては不祝儀用の銀色または黒と白の水引のついたものを使うようにしてください。不祝儀袋については、コンビニエンスストアや100円ショップなどにも売っています。
しかし、不祝儀袋のなかにはあらかじめ「御霊前」や「御仏前」という文字が印刷されているものもあります。神式葬儀の場合、「御霊前」という言葉を使っても決して間違いではないのですが、あまり一般的ではありません。やはり、「玉串料」や「御玉串料」と書かれているものを使うか、無地のものに「玉串料」や「御玉串料」と書いて使うようにしてください。
玉串料はどんなふうに包む?
玉串料の包み方ですが、中袋のなかにお金を入れ、さらに中袋を外袋の中に入れます。水引きが印刷されていない場合には、外袋を水引きを使って結びます。また、相手にお渡しする際にはあらかじめ袱紗(ふくさ)というものに入れておいて、そこから取り出して渡すのが正式なマナーとなっています。
袱紗というのは、のし袋を包む小さな風呂敷のようなものです。祝儀を渡す際にも、不祝儀を渡す際にもこの袱紗に包んでおいてお渡しするというのが正式です。ただし、袱紗については相手に渡すことはせず、自分で持って帰ることになっているのでその点には注意してください。
玉串料のお金の入れ方
玉串料のお金の入れ方にもやはりルールがあります。中袋の中にお金を入れる際には、中袋を開けた時にお札の表面が見えるようにします。もう少し具体的に説明すると、金額が書かれているほうとお札の表面を合わせるようにしてください。
また、不祝儀に使うお金については旧札を使うという決まりがあります。これは、新札を使うことで新たな不幸を招いてしまうという迷信があるためだとされています。玉串料をご遺族の方にお渡しする際には、なるべく綺麗な旧札を使うか、新札に折り目を入れて使うようにしてください。
玉串料の金額の目安は?
玉串料の金額の目安は年齢や相手との関係によって変わってきます。一応の目安としては、お葬式の際に玉串料を渡す場合には、20代の人は3,000円から5,000円くらい、30代以降の人は1万円から3万円くらい、親族であれば5万円から10万円くらいが相場だとされています。なお、お葬式の後に会食がある場合には、その分を少し上乗せするようにしてください。
玉串料を書く時の注意点とポイント
最後に、玉串料を書く時の注意点やポイントなどについてまとめてみることにしましょう。
玉串料を書くときの注意点
玉串料を書く場合には、お通夜やお葬式の場合と、七五三や結婚式などの場合とでのし袋の種類や包む金額の目安などが異なってきます。まず注意したいのは、のし袋の種類です。お葬式で玉串料をお渡しする際には、必ず銀色か黒と白の水引がついた不祝儀袋を使うようにしてください。赤と白の水引がついているものを使うことは絶対にNGです。
また、お通夜やお葬式の際には基本的に薄墨を使って書くことになっています。「玉串料」や「御玉串料」という言葉が印刷されている場合であれば問題ありませんが、自分で書く際にはやはり薄墨を使うようにしてください。ただし、薄墨であれば筆ペンを使ってしまってもかまいません。
玉串料を書く時のポイント
玉串料を書くことは、要点さえ覚えてしまえば簡単です。ポイントとなるのは、金額の書き方や名前の書き方などでしょう。その具体例については、すでに詳しくご説明しましたが、金額は旧字体の漢数字で書くこと、名前は目上の人や年長者が右側に来ることなどを覚えておくと良いでしょう。
また、玉串料を遺族の人にお渡しする場合、地方によっては中袋なしで直接外袋にお金を入れてお渡しすることもあります。こうした地域ごとの風習なども覚えておくと良いと思います。また、「玉串料」や「御玉串料」以外の書き方としては、「御榊料」や「神饌料」といった書き方をすることもあります。
玉串料の表書きについてのまとめ
玉串料というのは、神道の儀式でお金をやり取りする際に表書きに書く言葉の一つです。主にお葬式や結婚式、七五三の際などに用いられます。とくにお葬式の際には、玉串料は薄墨を使って書くことがマナーとなっているので、こうした点をよく覚えておくようにすると良いでしょう。
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