【女性必読】葬式での化粧「片化粧」とは?身嗜みの基礎を解説
公開日 : 2021/3/19
更新日 : 2021/3/19
葬式での化粧は、華美さを押さえつつも荘厳な儀式にふさわしいフォーマル感を出す必要があります。そうした葬式用の化粧を「片化粧」といいます。今回の記事では、片化粧の方法をパーツごとにご紹介します。また、併せて葬式における女性の身嗜みの基礎も解説します。
公開日 : 2021/3/19
更新日 : 2021/3/19
目次
葬式の際の化粧
化粧は女性にとって服装や髪を整えるのと同じ「身嗜み」であると同時に、楽しい「おしゃれ」でもあります。アイシャドウ・グロス・ラメなどで華やかに化粧をすると見た目も気持ちも明るく、美しくすることができます。
普段の化粧はそれで構いませんが、葬式に参列する際には服装やヘアスタイルも含め、あまりに華美さを出すのはマナー違反です。とはいえ、葬式は冠婚葬祭の儀式の中で最も厳粛なものです。化粧をしっかりしてフォーマル感を出すことは、マナーとしても故人様への哀悼と敬意を示すためにも大切なことです。
このように、葬式の際にはきらびやかさは抑えつつも、きちんとした雰囲気が出る化粧をすることがマナーです。このような葬式(弔事)用の化粧のことを「片化粧」といいます。
化粧をしないのは基本NG
葬儀の際は華やかな化粧を避け「片化粧」をすることがマナーですが、それでは逆に化粧をせずに参列するのはマナーとしてどうでしょうか。化粧をしなければ確かに華美さは抑えられますが、フォーマルな雰囲気が感じられず、荘厳な儀式の場である葬儀にはふさわしくありません。
葬儀の際には喪服を着て髪型や小物まで気を配りますが、それは葬儀という重々しい場にふさわしい身嗜みを整えるためであり、また故人様やご遺族への哀悼や敬意を示すためのものでもあります。その点から考えると、化粧をしないのはマナー違反と捉えられやすいです。
また、化粧をしないと顔色が悪く見られやすく、参列者の場合はご遺族より顔色が悪いのは、ご遺族に対して失礼であると考えられる場合があります。また、自身が遺族の場合は、顔色が悪いと参列者に心配をかけてしまいます。しかし、肌が弱くて化粧ができない、また子供や高齢者の場合は無理に化粧をする必要はありません。
遺族と参列者の違い
喪服の従来のしきたりとしては、三親等以内の親族は正喪服、それ以外は準喪服を着るというように、故人様との間柄によって異なる服装をします。しかし、化粧に関しては遺族と参列者で違いはありません。双方とも華やかさを抑えた、正式な場にふさわしい身嗜みとして片化粧を行います。
あえて違いを言うのであれば、喪主やごく近い遺族は参列者の前に立って挨拶や案内をすることが多いため、注目を浴びます。それだけに、よりマナーを守ったきちんとした化粧をすることが大切です。
家族葬など平服の場合
最近では家族やごく近しい親戚、知人のみで葬式を行う家族葬が増えています。家族葬では喪服を着ず、平服で参列するというケースも多く見られます。その場合は、化粧も普段通りで構わないと考える方もいるかもしれません。
しかし、平服とはいってもダークカラーのスーツやワンピースなど、落ち着いた色味の服装を選ばなくてはなりません。それと同様に、化粧も華やかさを抑えた片化粧にするのがマナーです。
ですが、家族葬は特に昔ながらのしきたりにとらわれないものが多いため、「故人は賑やかなのが好きだったから、華やかな服装にしてほしい」、「いつも通りの雰囲気でお別れしてほしい」と言われる場合もあります。その場合は従来のマナーにこだわらず、ご遺族や故人様の意向に沿うようにすることも大切です。
【パーツ別】片化粧の方法
葬式の身嗜みにおいて一般的なマナーとされる「片化粧」は光沢や色味を抑え、ナチュラルメイクに仕上げることに気をつければ、それほど難しいものではありません。
ただ、普段から華やかな化粧を好む方にとっては、自分がいつも使っている化粧品が、片化粧ではNGという場合もあります。パーツごとの片化粧の方法と注意点をご紹介しますので、参考にしてください。
ベースメイク
普段のベースメイクはコンシーラーで下地を整え、ファンデーションを塗ってパウダーやハイライトで光沢や凹凸を出して仕上げます。ただ、葬式の際そのようにしっかりしたベースメイクを行うと、華やかすぎる雰囲気になり、厳粛な場にはふさわしくありません。
コンシーラーやファンデーションは、ナチュラルな色のものを薄めに塗ります。ラメやパールの入っているファンデーションは避けましょう。パウダーやハイライトなど光沢感や凹凸の出るものは華美さを出し過ぎてしまいますので、葬式の際には使わないようにします。
普段華やかなベースメイク用化粧品を使っている方は、BBクリームを用意することをおすすめします。BBクリームは、日焼け止め・化粧下地・ファンデーション・コンシーラーなどの機能を兼ね備えており、それ1つで自然な仕上がりになります。買い物など近場へ外出する際にも便利なので、1つ買っておくと良いでしょう。
頬
チークは血色を良くし、華やかな雰囲気を出すために頬に入れる化粧品です。片化粧の際には基本的には使わない方が良いでしょう。しかし、チークがないと顔色が悪くなってしまうという場合は、ベージュのような落ち着いた色味のものを、頬骨のところにほんのりと入れるのは構いません。
はっきり丸くチークを入れるのではなく、入っているかいないか分からない程度まで境界をぼかすようにしましょう。オレンジやピンク系の明るい色のもの、パールのような光沢が入っているものはなるべく使わないのが無難です。
眉
眉メイクは、アイメイクや口紅に比べると目立たないように感じられますが、意外と見られています。葬式の際の片化粧は、華やかさはもちろんのこと、あまりに流行に沿い過ぎたものも好ましくありません。眉は太過ぎず細過ぎず、流行を追い過ぎない自然な形に整えましょう。
眉が細い・毛が少ない・そり落としているという場合は、アイブロウ用のペンまたはブラシで描きます。その際も、ブラックやブラウンなどの落ち着いた色のものを選び、いかにも「描きました」というような眉にならないようナチュラルな仕上がりにしましょう。
アイメイク
付けまつげやマスカラは片化粧ではNGです。特に、マスカラは涙を流した際に溶けて顔を汚してしまうため、葬式の際にはふさわしくありません。また、ビューラーでまつげをそらせるのも避けた方が良いでしょう。ただし、逆まつげでビューラーを使わないと目にまつげが入るという場合はその限りではありません。
アイシャドウやアイライナーなどの目元メイクも葬式の際には行わないか、控えめにします。アイシャドウはベージュか薄いピンクなどの抑えた色味で、ラメやパールの入っていないものを選んでください。葬式では涙を流すこともありますので、ウォータープルーフのものがおすすめです。
口元
本来の片化粧では、口紅は使いません。これは「哀しみのあまり、紅を引くこともできませんでした」という気持ちを表しているためです。しかし、現在では口紅は化粧の基本であり、行って当然の身嗜みであるという考えもあるので、葬式の際にも口紅を引くのが一般的です。
ただし、やはり色味や光沢は抑えなくてはなりません。ピンクベージュなどの、肌の色味に近いナチュラルな色のものを選びましょう。また、リップグロスは口元に強い光沢感が出てしまうため片化粧では使いません。
仕事や外出先から葬式に参列する際の対処法
通夜では急な訃報で、会社や外出先から斎場に駆け付けないといけない場合もあります。また、葬式の場合でも仕事をしてから参列するというケースもあるかもしれません。その場合は、普段の化粧を片化粧に変える必要があります。
最も良いのは1度クレンジングで化粧を落とし、片化粧に直すことですが、それが難しい場合はポイントメイクだけでも落とすようにしましょう。1番良いのがティッシュオフです。ティッシュで目元や頬など、ポイントメイクを行っている部分を押さえることで、色味や光沢を抑えることができます。
また、光沢を抑えるマットなフェイスパウダーをはたくのも1つの手です。出先から通夜や葬式に向かうという場合は、普段のメイク道具に加え葬式用のものも準備しておくと便利です。
葬儀では避けるべきおしゃれ
ヘアカラーやネイルのようなおしゃれは、葬儀では派手な印象を受け、好ましくないとされるものがあります。自分自身は普段当然のように行っていることであるため、見落としてしまうこともありますので、特に注意が必要です。ここでは、葬式でのNGなおしゃれについて解説します。
ネイル・マニキュア
指先が華やかになり、女性らしいおしゃれを演出できるネイルやマニキュアですが、葬式の際にはふさわしくありません。葬式の前にネイルリムーバーなどで落とし、自然な爪にしておきましょう。
どうしてもネイルを落としたくないという場合は、上からベージュのネイルポリッシュを塗って隠すという手段もあります。葬式が終わった後で、専用のポリッシュリムーバーを塗って落とします。
他にもナチュラルな色の着け爪を上から貼る、絆創膏や手袋で隠すという手段もありますが、不自然に見えるためあまりおすすめはできません。やはり1番良いのは、葬式の前に爪を自然の状態に戻しておくことです。
カラーコンタクト
カラーコンタクトはおしゃれの意味合いが強く、派手な印象を与えるため葬式にはふさわしくありません。普通のコンタクトレンズ、もしくは眼鏡をかけて参列しましょう。
香水
香水は目に見えないため、葬式につけて行っても分からない、差し支えないと思う方もいるかもしれません。しかし香水も華やかなイメージを与えるため、葬式の場にはつけていけません。
それに加え、葬儀場は密閉された空間の中、お香の香りが立ち込めています。その中で香水の香りを漂わせていると、香水とお香の香りが混じりあい、他の参列客に不快な思いをさせてしまうこともあります。香水だけでなく、香りの強いシャンプー・ヘアスプレー・ヘアワックスなどもなるべく避けましょう。
ヘアカラー
おしゃれや白髪隠しのため、ヘアカラーによって髪を染めている人も多くいます。しかし、葬式の場ではあまり明るい髪の色は好ましくありません。ブラックもしくはダークブラウンに留めておくのが良いでしょう。
できれば葬式の前に美容院に行き、髪を染め直してもらうのが理想的ですが、難しい場合はヘアチョークやワックス、専用のスプレーなどを塗って、葬式の日だけ髪色を変えるという手段もあります。
ただし思うように色が染まらなかったり、むらなく色を変えるのが難しかったりすることもあります。事前に使い方を確認し、手伝ってくれる人を確保しておくと安心です。
こちらも押さえておきたい、葬儀の身嗜み
せっかく化粧がきちんとできても、服装やヘアスタイルが整っていなければ台無しです。最後に、葬儀の際に女性がすべき身嗜みについて簡単にご紹介します。頭から足先まで葬式にふさわしくきっちり整え、大人の女性としての品格と真剣な哀悼の意を示せるようにしましょう。
服装
特に規定がない場合は喪服を着ます。形はアンサンブルやワンピースなどさまざまありますので、自分に合ったものを選びましょう。スカート丈はひざ下からふくらはぎ程度までのものにし、椅子に座った際に膝が出ないように気をつけましょう。
冬場は上着を着て行っても構いませんが、ジャンバーなどカジュアルな雰囲気のもの、光沢のある素材や殺生を連想させる毛皮の上着などは避け、手持ちの中から抑えた色味のものを選ぶようにしましょう。
ヘアスタイル
葬式では清潔感のある上品なヘアスタイルにしましょう。ショートカット、ロングヘアに関わらず、顔に髪がかかる場合はヘアピンで留めます。ロングヘアは1つ結びもしくはお団子でまとめます。ポニーテイルや高い位置でのシニヨンなどは、華やかな印象を与えてしまいますので、耳より下の低い位置でまとめるようにしましょう。
髪をまとめる際には、黒やブラウンのヘアゴム・バレッタ・ヘアクリップなどで留めます。飾りの付いていないシンプルなものを選びましょう。シュシュはヘアアクセサリーとしてはカジュアルな部類に入りますので、葬儀の際には使わない方が良いでしょう。
アクセサリー
アクセサリーは着けなくてもマナー違反にはなりません。着ける場合は真珠、もしくは黒真珠のネックレスが定番で、一粒イヤリングと併せて持っている方も多いでしょう。2連のものは「悲しみが重なる」とされ、葬式では着けてはいけません。
また、ピンクや黄色などの色が華やかなものや、いびつな形のバロック真珠なども葬式の場にはふさわしくありません。真珠以外ではオニキスやジェットなど、落ち着いた黒色の宝石を使ったネックレスやイヤリングも身に着けることができます。
靴、ストッキング
葬式の場において、女性の身嗜みとして最も適している靴は黒のパンプスです。かかとは細過ぎず、3~5センチ程度の低めのものを選び、つま先がとがっているものやつま先が露出するオープントゥは避けましょう。光沢が強過ぎるものや大きな金具がついているものも好ましくありません。
ストッキングは必ず無地の黒色を選びます。厚手のものはタイツのように見え、カジュアルな印象を与えてしまいますので、適度な透け感のあるものにしましょう。
葬式の化粧についてまとめ
葬式の際の化粧を始め、女性の身嗜みについてお話しました。化粧は女性にとって身嗜みの1つであり、自身を美しく見せ自信をつけるための大切なおしゃれでもあります。
しかし、葬式の場においては美しさよりも清楚さやフォーマル感を出すことが大切です。華やか過ぎる化粧は葬式の荘厳な雰囲気に合わず、ご遺族や他の参列者に不快な気持ちを持たせてしまうことがあります。
化粧やヘアスタイル、服装をきっちり整えることで、哀悼や敬意を示すことができます。それこそが葬式においての女性らしい心遣いであり、最高の「おしゃれ」であると言えるでしょう。
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