お通夜の受付は何をするの?【仕事内容・マナー・受け答え・注意点】
公開日 : 2021/3/4
更新日 : 2024/11/18
お通夜の受付は、儀式を滞りなく行うための大切な仕事です。しかし実際にどんなことをすればよいのか、疑問に思う人もいるでしょう。この記事ではお通夜の受付を頼まれてもきちんとした対応ができるよう、受付の仕事内容やマナー、受け答え、注意点などを詳しく解説します。
公開日 : 2021/3/4
更新日 : 2024/11/18
目次
お通夜の受付を頼まれたら
お通夜に参列する際には、遺族や他の参列者への配慮などが必要とされ、緊張する人も多いでしょう。そんなお通夜で受付の仕事を頼まれ、極度の緊張と失礼があってはならないという不安な気持ちでいっぱいになる場合もあります。
まず、受付はどんな人が適任なのか、また頼まれたらどう返事をすればよいのか、詳しくお話していきましょう。
受付を行うのは誰?
基本的に受付を行う人に決まりはなく、誰でも構いません。とはいえ、親族は弔問客を迎えたり他にもいろいろとやることが多いため、受付係を行うのは難しいのが現状です。
一般的には、故人との血縁関係が直系(祖父母、親、子、孫など)以外の親族や、会社関係の人または友人などが受付を行います。受付は香典も扱いますので、きちんと信頼できる人であるのはもちろん、マナーがあり気配りができる人が適任です。
また適任者が見つからなかったり、小さな家族葬を行う場合は、葬儀社などの受付代行サービスを利用することもできます。
受付を行う際は、1人ではなく、必ず2名以上で対応します。盛大なお通夜で弔問客が多い場合などは、規模に合わせて受付の人数も増やすのが通常です。
受付を依頼されたときの返事は?
受付を依頼された時、即答をする必要はありませんが、遺族もいろいろな準備に追われているため、なるべく早く返事をするのがマナーです。
引き受ける場合は「私でよろしければ、お手伝いさせてください」というような、簡単かつ受付を引き受けるという意思がはっきり伝わる返事をするのが良いでしょう。
もしやむを得ない理由があって受付を断るのであれば、「体調がすぐれず長時間の受付業務が出来ない」「入院中でベッドから起き上がれない」など、具体的な理由を伝える必要があります。
「ちょっと都合が悪いので」「大変心苦しいのですがお引き受け出来ません」など、あいまいだったり、明確な理由を述べない断り方は失礼です。今後の人間関係にも影響が出ますので、注意しましょう。
お通夜の受付の仕事内容
受付は、ただ立っていれば良いというわけではありません。お通夜の間はもちろん、始まる前や後にもやることが多いため、事前に全体の流れを把握しておく必要があります。
受付の準備をする
まず受付となるテーブルや台の上に必要なものを揃えます。弔問客の名前を記入するための「芳名帳」、香典を受ける「香典盆」、名刺を受ける「名刺盆」のほか、筆記用具が必要です。
弔問客が続けて来てもスムーズに対応できるよう、芳名帳の向きやトレーの配置に気を付け、自分の携帯電話などの私物は受付台の上に置かないよう注意しましょう。
香典を受け取る
お通夜が始まり、弔問客が受付に来たら香典を受け取ります。香典受けに直接香典が置かれた場合は、一呼吸をおいて香典受けから香典を受け取るのが丁寧です。
直接手渡しされた場合は、必ず両手で受け取ります。受付係はあくまでも香典を預かっている立場で、実際に受け取るのは遺族です。そのため香典受取の際に「ありがとうございます」と述べることのないようにしましょう。
受け取った香典は袋やカバンにひとまとめにしておきます。トイレに立つ時などは、他の受付係に自分が受付を離れることをきちんと伝え、香典の管理を徹底させることが大切です。
記帳をお願いする
香典を受け取ったら、必ず弔問客に記帳をしてもらうようにお願いをします。以前はノート型が主流でしたが、最近は管理しやすい面からカード式の芳名帳が使われることも多くなりました。
記入してもらう内容はおもに住所と名前ですが、芳名帳によっては故人や喪主などとの関係(会社・学校・友人・一般など)を記入する欄もあります。記入漏れがあると、誰が参列してくれたのかが分からなくなることもあるので、弔問客が記帳を行う際は、全て記入がされているか、毎回確認することが大切です。
苗字だけしか記入されていない場合などは、丁重にフルネームの記入をお願いしましょう。
返戻品を渡す
香典を受け取り、記帳も済ませてもらったら返戻品を渡します。返戻品はお茶や海苔、タオルなどといった、弔問客が持ち帰りやすいサイズや重さのものが一般的です。十分片手で持てますが、渡す時には必ずもう片方の手を袋の下に添えるようにします。
返戻品の渡し忘れなどを避けるために、「香典を受け取る係」「記帳を促す係」「返戻品を渡す係」というように、受付係の中で役割分担をするのも良い方法です。
確認と片付け
お通夜が終わったら、香典袋に記載されている名前と芳名帳の名前を照らし合わせます。受け取った香典と名刺はそれぞれでまとめ、喪主や遺族に手渡しますが、場合によっては香典を開封し、金額と名前を記録したうえでお金を数えることもあります。
どこまで行うかは喪主や遺族の判断ですが、トラブルを避けるためにも、必ず何人かで行うようにしましょう。
また受付カウンターの上はもちろん、下に返戻品などの残りがないことも確認します。返戻品の残りがある場合は、香典などと一緒に喪主に渡してください。
お通夜の受付での受け答え・挨拶
受付は、弔問客を迎える立場にあるため、失礼のない受け答えや挨拶が求められます。シーンごとにどんな受け答えをすればよいのかをまとめましたので、見ていきましょう。
弔問客が来た時
斎場に到着した弔問客が受付に来ると、まずはお悔みの言葉を述べる場合がほとんどです。その際は「本日はお忙しい中お越しいただき、ありがとうございます」「恐れ入ります」などの言葉を述べ、一礼をします。
大切なのはきちんと相手の目を見て、心を込めて受け答えをするということ。また大きな声や笑顔での対応は不謹慎と思われますので、気を付けましょう。
香典を受け取る時
香典を受けとる際は、特に長々とお礼を述べる必要はありませんが、「お預かりします」「恐れ入ります」などの一言を添えるのがマナーです。
1つ注意が必要なのが「ありがとうございます」という受け答え。受付では香典を受け取りますが、預かっているという立場で、実際に受け取るのは喪主です。そのため「ありがとうございます」という言葉は適切ではないとも言われていますので、覚えておきましょう。
斎場内のことを聞かれた時
弔問客はその斎場に来るのが初めての場合がほとんどで、トイレの場所などについて聞かれることもあります。事前に斎場を把握しておき、とっさの質問に備えるのがベストです。
万が一分からないことを聞かれた場合は、適当な返事はせず「確認してまいりますので、少しお待ちください」と一言声をかけてから、斎場のスタッフに訊ねるなどし、正確な情報を伝えるようにしましょう。
お通夜の受付をする時の身だしなみ
お通夜は特別な場のため、参列者はきちんとした服装をするのがマナーです。受付ももちろん例外ではなく、お通夜にふさわしい身だしなみで弔問客を迎えますが、受付だからといって特別な恰好をする必要はありません。
では、どんな身だしなみが求められるのか、項目ごとに詳しくみていきましょう。
服装
基本的には喪服を着用します。男性の場合は喪服がなければ、黒や濃い色のスーツに黒い靴、黒いネクタイでも構いません。シャツは白が望ましく、ストライプなどの模様のないプレーンなものが良いでしょう。
女性の場合は黒のスーツ、またはワンピースが一般的です。ストッキングは20デニール以下の薄い黒がふさわしく、間違っても肌の色が透けないほどの濃いタイツを着用することのないように注意が必要です。
もし冬場などの寒い日で「薄いストッキングでは足が冷える」という場合は、まず肌に近いベージュカラーのストッキングを履いて、その上から薄い黒ストッキングを履くのがおすすめです。
受付は立っている時間も長く、動き回ることもあります。あまりヒールの高くない靴を選ぶようにしましょう。
髪型
お通夜の受付をする場合は、基本的には奇抜な色や髪型を避け、清潔感のある髪型を心掛けるのがマナーです。
男性は落ち着いた髪色に短髪で、あまりスプレーやワックスなどで髪の毛を固めすぎないようにします。もし普段の髪色が明るいようでしたら、一時的に髪を染められる市販スプレーなどを使用すると良いでしょう。
女性の髪色は少し茶色でも構いませんが、顔にかかったりバサバサすることがないよう、ヘアピンやヘアゴムできちんとまとめます。また結ぶ位置は高すぎないよう、耳より下で結ぶようにしましょう。
ヘアアクセサリーも基本は黒や濃い色のものを使用し、ラインストーンなどのキラキラするものは避けてください。
化粧・アクセサリー
男性は、結婚指輪や腕時計などのアクセサリーは構いませんが、その他のアクセサリーは外すのがマナーです。
女性の場合、結婚指輪や腕時計はもちろん、ネックレスやイヤリングの着用もマナー違反には当たりません。ただし、輝きのある宝石のついたものは避け、シンプルなアクセサリーに限ります。
お通夜や告別式で真珠のアクセサリーを着けている人を見かけますが、これは真珠が「涙の象徴」とされているため。小ぶりな真珠のネックレスやイヤリングは葬儀の場にふさわしく、故人や遺族に対して弔意を表すことができます。
化粧はあくまでも薄く、ナチュラルな仕上がりが良いです。アイシャドウはブラウン系、口紅は鮮やかな色は避け、落ち着いた色を選ぶようにしましょう。逆に化粧を全くしないのも失礼に当たりますので、注意してください。
お通夜の受付をする時の注意点
失礼のない対応でスムーズに受付の仕事を行うためには、どのような点に気を付ければよいのでしょうか。いくつかポイントをまとめたものを見ていきましょう。
時間前に到着をする
受付は他の弔問客が来る前にやらなければならない仕事もあります。そのためお通夜の開始時刻よりも前に斎場に到着しなければなりません。
弔問客の中には早くに到着する人もいますので、だいたい開始時刻の1時間前到着を目安にすると良いでしょう。
当日は交通渋滞や電車の遅延などの予期せぬトラブルも考慮し、時間に余裕を持って自宅を出るようにしてください。ぎりぎりの時間だと心配のあまり気持ちも乱れ、受付業務がきちんと行えなくなる可能性もあります。
焼香をきちんと済ませる
弔問客が受付に来る時間は決まっておらず、開始時刻前に来る人もいれば、終了時刻間際に来る人もいます。そのため、受付は常に待機していなければならないので「タイミングを逃して焼香が出来なかった」ということもあります。
焼香が始まったら、弔問客が少ない時間帯を見計らい、なるべく早めに焼香を済ませることが大切です。受付は何人かで行う仕事ですので、1人ずつ交代で焼香をすれば受付の仕事にも支障が出ることはありません。
また斎場によってはスタッフから声を掛けられたタイミングで焼香を済ませる場合もありますので、打ち合わせの際に確認をしておきましょう。
受付係の中で対応を合わせる
何人かで行う受付だからこそ、受付係の中で対応を統一させるのはとても大切なことです。受付係の中で言っていることや行っていることに違いがあると、混乱やトラブルを引き起こすことにもなりかねません。
特に喪主の意向により、香典を辞退する時は注意が必要です。香典辞退の場合でも「誰からも受け取らない」「親族からのみ受け取る」「どうしてもと言われた場合のみ受け取る」など、状況によって変わることもあるからです。
事前の打ち合わせでどのようにすれば良いのかをしっかり確認し、受付係全員で同じ対応をするようにしましょう。
おしゃべりをしない
弔問客が斎場に到着して、一番最初に迎えるのが受付です。お通夜の場の静粛な雰囲気を壊すことのないよう、受付には落ち着いた姿勢が求められます。
大きな声でおしゃべりをしたり、笑ったりするのはとても不謹慎です。間違っても受付同士でおしゃべりをしながら、弔問客に対応することのないように注意してください。
また周りに弔問客がいなくても、静かな斎場内では想像以上に遠くまで声が響くものです。なるべく私語はつつしみ、静かに弔問客を待つようにしますが、どうしても他の受付係と必要事項を確認しなければならない場合は、小さな声で会話をするようにしましょう。
携帯電話はマナーモードにしておく
お通夜では、携帯電話の電源を切っておくのはマナーです。特に受付の場合は、弔問客に対応中に電話が鳴るようなことは絶対に避けなければなりません。
携帯電話を時計の代わりとして使っていたり、どうしても連絡を取り合う必要があるという場合は、マナーモードにして、ポケットやバッグにしまっておきましょう。くれぐれも受付カウンターの上に置くようなことがないように注意してください。
受付は正しいマナーで
受付は慣れない仕事で緊張もしますが、仕事内容やマナーを事前に知っておくことで、当日はスムーズに仕事をやり遂げることができます。弔問客や遺族に失礼のない、マナーのある受付を心掛けましょう。
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