失礼のない香典の渡し方を解説【香典袋・言葉・シーン別・宗教別など】
公開日 : 2021/2/18
更新日 : 2021/2/18
葬儀や法事に参列する際に持参する香典は、どのようにすればよいのか悩んでしまう人も多いでしょう。この記事では、失礼のない香典の渡し方について、香典袋の書き方や金額、かける言葉、注意点など、シーン別・宗教別にも詳しくお話していきます。
公開日 : 2021/2/18
更新日 : 2021/2/18
目次
香典の渡し方の基本マナー
香典の渡し方は、いつどこで渡すかによって異なりますが、基本的なマナーに相違はありません。どんな場合でも共通しているポイントを見ていきましょう。
袱紗を使う
香典は、必ず袱紗に包んで持参するのがマナー。袱紗は儀礼の際に持参する金品を包む、絹やちりめんでできた布を言い、慶事には赤やえんじの暖色系、弔事には紺や紫などの寒色系を使用します。
包み方は順番があるものの、覚えてしまえば簡単です。ダイヤの形になるよう裏向きに袱紗を広げ、中央よりやや右よりに香典袋を置き、右・下・上・左の順に追って包みます。渡す際には、この逆の順番で袱紗を開き、袱紗の上に乗せて渡しましょう。
くれぐれも香典袋むき出しのままバッグに入れて持参することのないよう、注意してください。
香典袋の向き
香典は受付や直接親族に渡す場合、相手から見て表書きが読める向きで渡します。片手で渡すのは失礼になりますから、必ずもう片方の手を添えて、両手で差し出すのが丁寧です。
また仏前に香典を供える場合は、香典の表書きを自分の方に向けたままにします。誰に手渡すかによって香典の向きも変わりますので、覚えておきましょう。
香典の金額
香典の金額は少なすぎても多すぎても失礼にあたるため、自分の立場に合った金額を入れることが大切です。
年齢や故人との関係性によって金額に幅がありますが、年齢が上がるにつれて高くなり、故人との血縁関係が近かったり生前に付き合いの多かった人などは多く包むのが一般的。
いくら包むにしても、お札の枚数は奇数にして、お札の肖像画が下になるように向きをそろえます。また新札ではなく折り目などのついた古いお札を使用しましょう。
参考までに、法要別に香典額の相場をまとめました。あくまでも目安ですので、不安な場合は状況に合わせて、周りの人のアドバイスを受けることをおすすめします。
通夜・告別式
故人が両親であれば5~10万円、祖父母だと1~3万円、兄弟姉妹は3~5万円、叔父・叔母は1~2万円が相場です。
また友人や会社関係者の場合は、親族の場合よりも少し金額が下がり、5千円~1万円程度。ただし自分が会社の上司や社長だった場合、金額は上がり1~10万円程度とされています。
通夜と告別式のどちらかに参列する場合も、両方に参列する場合も、香典の金額に変わりはありません。ただし両方参列の場合は、1度だけ告別式で香典を渡すのが望ましいと言えます。
最近は通夜の考え方が変わり、通夜に参列する人も増えたので、通夜で香典を渡しても失礼にはあたりませんが、本来通夜は親族や親しくされていた人が参列するもので、それ以外の人は告別式に参列するのが一般的と考えられていました。
「2回渡したい」と考える人もいるかもしれませんが、香典を2度渡すことは、マナー違反です。ご遺族に気を使わせてしまうばかりか、「不幸が重なる」という意味にもとれるので絶対に避けましょう。
四十九日
四十九日法要は、セレモニーホールや菩提寺で、納骨法要と合わせて行われることもあります。持参する香典の額は、通夜・納骨式に比べて少なめです。
故人が両親の場合は3千~1万円、兄弟・姉妹は1~5万円、祖父母は5千~3万円、叔父・叔母だと5千~3万円、友人の場合は3千~1万円が相場。
もし香典辞退の申し出があった場合は、基本的にはご家族の意思を尊重し従うようにします。しかしどうしても弔意を示したい場合などは、後日にお線香や日持ちのするお菓子などを渡すのも良いでしょう。
一回忌・三回忌
1回忌・3回忌の法要でも香典はもちろん必要です。地域や会食の有無によっても金額が変わりますが、地域の相場は年配者などにたずね、会食がある場合は相場の1.5倍ぐらいを目安にします。
両親・兄弟・姉妹の場合は、1~5万円、祖父母は5千~3万円、叔父・叔母は5千~1万円、友人の場合は3千~1万円が相場です。
十三回忌
年忌法要の場合、年月が経つにつれて香典の金額も下がっていきますが、十三回忌は最後の法要となるため、盛大に行われることもあります。そのため、一回忌や三回忌よりも多めに包むこともありますので、周りの人にたずねると良いでしょう。
故人が両親・兄弟・姉妹の場合は1~3万円、祖父母・伯父・叔母だと5千~3万円、友人は3千~1万円程度が相場です。
小規模な法要の場合は、親族の場合で1万円程度でも失礼にはあたりませんが、念のため他の親族に確認しましょう。
香典袋の書き方
香典袋には自分の名前を書くのはもちろんですが、法要に合わせた表書きも必要です。どのように書けばよいのか、注意点も交えてお話していきましょう。
表書き
不祝儀袋の水引上部に表書きを入れ、下部に自分の名前を書きます。職場の同僚や上司などと1つの香典にまとめて渡す場合には連名にして、役職の高い順に右から名前を書きます。
表書きは、四十九日前の場合「御霊前」、それ以降は「御仏前」ですが、宗教によって違いがあるため、注意が必要です。とはいえ「御霊前」は宗教に関係なく使える表書きですので、故人の宗教が不明な場合などは「御霊前」としておくのが良いでしょう。
中袋には、表面中央に金額、裏面に住所と名前を左寄せで書きます。金額は漢字で縦書きが一般的ですが、横書きにする場合は算用数字が望ましいです。
注意点
基本的に香典袋には筆を使いますが、最近はペンや筆ペンが主流になっています。もちろんそれでも失礼にはあたりませんが、お通夜と告別式に限っては、薄墨を使用するのがマナー。
これは「悲しみのあまりきちんと墨がすれない」「涙で墨が薄まってしまった」という、故人の死に対する悲しみの気持ちを表していることが関係していて、薄墨の筆ペンなども販売されています。
また、表書きがすでに印刷されているご祝儀袋を使用する場合は、自分の名前だけでも手書きで書くようにするのが丁寧です。印刷された字はきれいで見やすいですが、心を込めて手書きをすることで、より気持ちが伝わりやすくなります。
香典を渡す際にかける言葉
香典を渡す際には、お悔みの言葉を添えるのが一般的です。詳細について項目ごとにお話ししていきましょう。
一般的なお悔みの言葉
どんな言葉をかければよいのか悩む人も多いですが、特別な言葉をかける必要はなく、短い言葉のほうが良いでしょう。
「この度はご愁傷さまでございます。謹んでお悔み申し上げます。」「突然の訃報にお慰めの言葉もございません。心よりお悔み申し上げます。」などが一般的ですが、目礼とともに「ご愁傷さまです」の一言でも失礼にはあたりません。
四十九日を過ぎた法要の場合は、「ご愁傷様」という言葉を使わずに、「本日は招きいただきありがとうございます。」「こちらをお供えください。」といった言葉が一般的です。
忌み言葉に注意
忌み言葉とは不幸や縁起の悪さを連想させる言葉をいい、葬式や法要の場ではタブーです。「死」「苦しい」などの言葉はもちろん、「くれぐれも」「たびたび」「まだまだ」などの「重ね言葉」も忌み言葉に入ります。
普段から使っている言葉も多いため、縁起が悪いという印象があまり持てず、うっかり口にしてしまう場合もあるでしょう。
お悔みの言葉をかける時だけではなく、葬式や法要の場で会話をする際には、細心の注意を払って忌み言葉は避けるようにすることが大切です。
シーンによる香典の渡し方
香典を渡す場所や亡くなった方との関係など、状況によって渡し方も異なります。また宗教によってもマナーが変わりますので、それぞれの状況に合わせて失礼のない渡し方を心掛けましょう。
状況別
まずはシーン別に、香典の渡し方についてお話します。絶対にこうでなければならないというルールがあるわけではありませんが、ご遺族の気持ちを害することのないよう、また自分が恥をかかないようにするために、知っておくべき点をまとめました。
葬儀や法要で渡す場合
通夜や葬儀、四十九日、一周忌などは葬儀場で行われることが多く、通常は受付が用意されています。葬儀場に到着したら受付を済ませ、受付の係の人に香典を渡すのが通常です。
先に述べたように、通夜と告別式の両方に参列する場合は、通夜か告別式のどちらかで1度だけ香典を渡します。
法要が自宅で行われる場合には、受付が設けられていないことがほとんどです。その際は到着して挨拶を済ませた後、直接ご遺族に手渡すようにしましょう。
弔問(自宅)で渡す場合
仕事などの都合で、通夜にも告別式にも参列できなかった場合、後日にご遺族のご都合を伺ったうえで自宅へ弔問する方もいるでしょう。通夜や告別式の時と同様に香典を持参し、ご仏前で手を合わせる際に供えます。
弔問の際は、ご遺族に負担がかからないような配慮が必要です。喪服を着用すると返って故人の死を思い出させてしまいますので、平服で伺うようにし、葬儀から日が経っているようでしたら、香典返しも不要である旨を伝えておきましょう。
また故人と親しくしていた方などは、通夜・告別式の前に弔問をすることもあります。その際は香典を持参すると、不幸を予測していたようにも思えますので、香典は持参せず、その後の通夜・告別式のどちらかで渡してください。
職場で渡す場合
基本的に、葬儀に招待されていない場合は香典を渡す必要はありません。しかし職場関係者のご家族に不幸があった場合は、職場の上司や同僚と一緒に香典を出す場合がほとんどです。
全員分を一つの香典にまとめ、代表者が告別式で渡すこともあれば、葬式には参列せずに職場でそれぞれ、または連名で後日に渡す場合など、会社によって異なります。
香典を職場で渡す場合は、あまり日が経ってしまうのは良くないので、不幸があった方が出社してきた日に渡すのが良いでしょう。
まずは同僚や仲間に相談し、金額も含めてどのような形で香典を渡すかを決めるのがベストです。後で職場の人間関係に影響を及ぼすこともありますので、絶対に独断で香典を渡すことのないように注意してください。
親族として渡す場合
身内が亡くなった場合でも、親族として香典を渡すのが望ましいと言えます。最近は参列者が少ない家族葬も増えたため、遺族にかかる金銭的な負担を考慮して、相場よりも多めに渡すことが多いのが現状です。
他の場合と同様、袱紗に包み、受付で渡します。ただし、身内ですのでお悔みの言葉は「ご愁傷さまです」などの言葉より、「お疲れ様です」といったような労いの言葉のほうが望ましいでしょう。
ただし、喪主が香典の受け取りを辞退する場合は、事前に用意はしておき、辞退を告げられてから取り下げるようにするのがマナーです。
代理人が渡す場合
どうしても都合がつかず、葬式に参列出来ない場合は、代理を立てて香典を渡すことも可能です。たとえ代理人が故人と面識がなくてもマナー違反にはなりません。
ただし、代理人は受付で誰の代理で参列するのかを告げる必要があり、記帳は頼まれた人の名前を書き、代理人が代わりに参列した旨が分かるよう、(代理)の文字も忘れずに書く必要があります。
後は他のケースと同じく、袱紗に包んで持参した香典を、向きに気を付けながら渡しましょう。
宗教別
今度は宗教別に香典の渡し方を説明します。故人の宗教が不明な場合は、周りの人に事前に聞いておくと良いでしょう。
仏式
仏式の場合、香典袋は無地、または蓮の花が描かれたものを使用し、通夜・告別式では表書きに「御霊前」と薄墨で書きます。四十九日以降は「御仏前」とすることを忘れないようにしましょう。
浄土真宗
浄土真宗では、亡くなるとすぐに仏になると考えられ、「霊」という認識がありません。そのため、四十九日前でも香典の表書きは「御霊前」ではなく「御仏前」とします。
通夜・告別式に持参する香典は薄墨で書くという点や、その他のマナーは仏式の場合と同様です。
神式
神式では、亡くなった人は50日後にその家を守る「守護神」になると考えられています。50日間は「霊」であるので、香典の表書きには「御霊前」と書いてもマナー違反にはなりません。
他には「玉串料」「御榊料」などと書くのも一般的で、蓮の花模様が入っているものは避け、白い不祝儀袋を使用します。
また五十日祭以前の場合は薄墨、それ以降は普通の墨を使うのがマナーです。
キリスト教
キリスト教は香典という言い方をせず、表書きにはお花を供える「御花料」とするのが一般的で、カトリックやプロテスタントも同様です。
キリスト教専用の十字架やユリの花の絵が入った袋が市販されていますが、なければ通常の白い熨斗袋を使用します。金額やその他のマナーは仏式と同様で、受付で手渡すのが一般的です。
とはいえ、キリスト教では「魂は永遠」という考えなので、お悔みの言葉を添える必要はありません。「安らかな旅立ちでありますよう、お祈りいたします。」というような言葉が使われます。
郵送での香典の渡し方
遠方に住んでいたり、入院中だったりと、やむを得ない理由で葬式や法要に参列出来ない場合もあるでしょう。そんな時は香典を郵送することで弔意を示すこともできます。
タイミング
葬式が行われる当日に着くよう、葬儀会場まで「気付」で郵送できますが、場所によっては現金書留の受け取りを行っていない場合もありますので注意が必要です。自宅に郵送する場合は、葬式から2~3日以内に届くように送りましょう。
お札は、不祝儀袋に入れてから現金書留封筒に入れます。表書きや自分の名前、住所なども書き忘れないように注意してください。
手紙を添える
香典を送る際には、手紙を添えると丁寧です。手紙は長文にする必要はありませんが、葬儀に参列できなかったことへのお詫びとお悔みの言葉を含めます。
手紙の場合もお悔みの言葉を述べる時と同様に、忌み言葉を使わないよう注意が必要です。手紙を書き終えたら、香典袋と一緒に書き留め封筒に入れましょう。
心を込めることが大切
香典の送り方は状況によって異なりますが、失礼のないようにする最低限のマナーがあります。とはいえ、少しの間違いはあまり気にしすぎずに、ご遺族を思いやる気持ちや故人に対する感謝の気持ちなど、心を込めて香典を渡しましょう。
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