喪中の間は神社へ出かけてはダメ?喪中と神社の関係を徹底解説!

公開日 : 2021/1/26

更新日 : 2022/6/14

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家族が亡くなると最大で1年間の間を喪中と呼びます。喪中にはお祝い事や華美なことは控えるべき、とされていますが神社への参拝はどうなのでしょうか。神社、及び神道と人が亡くなることとは一体どのような関係があるのか、他の喪中に控えるべきことと合わせて見ていきましょう。

公開日 : 2021/1/26

更新日 : 2022/6/14

目次

喪中には神社を訪れてはいけない?

大切な家族ともいつの日か必ず別れが訪れます。身内が亡くなるとその家は「喪家(そうか)」となり、約1年間の間喪に服す「喪中」の期間となります。

 

喪中とは亡くなった家族の冥福を祈り、残された家族は大切な人を失った悲しみを癒して乗り越えていく期間のこと。できるかぎり普段の生活を行いながら、故人を偲んでいく時間となります。

 

喪中の間は結婚式や新年を迎えるお祝い事などの華やかな催し物はできるだけ控えるべきとされています。しかし、私達日本人にとって日常生活の一部ともいえる神社への参拝も控えるべきと言われるのはどうしてなのでしょうか?喪中の間は神社への参拝も本当にタブーなのでしょうか?神社に行ってしまった…と悩む前に正しい知識を身に着けましょう。

喪中の期間の神社参拝はマナー違反ではない

多くの方がなんとなく持っている「喪中の間の神社への参拝は避けるべき」というのは、実は誤った情報です。

 

仏教・神道両方の宗教的にも、昔から受け継がれてきた日本の習慣、スピリチュアルな側面から見ても喪中に神社へ参拝することは何ら差し支えありません。日本の神社の中で最も格式の高い伊勢神宮であっても、喪中期間の参拝は認められています。

 

ではどうして「喪中の間は神社を訪れてはいけない」という誤った情報をよく耳にするのでしょうか?これには、仏教における「喪中」そして「忌中」の考え方が深く関係しています。

神社参拝を控えるべきなのは「忌中」

身内が亡くなった後、神社への参拝を控えるべきとされる期間は一般的には四十九日の間続く「忌中(きちゅう)」と呼ばれる期間です。喪中とはとても良く似た言葉ですし、言葉の示す内容も似ているため混同しやすく「喪中の間への神社参拝は避けるべき」という誤解へと繋がってしまったのでしょう。

 

四十九日を終えると「忌中」が開ける「忌明け」となり、続いて「喪中」の期間へと入ります。喪中の一部、身内が亡くなった直後の49日間のことを忌中と呼ぶのが正しい認識です。現代では四十九日法要が終わると忌明けとなり、神社への参拝が可能となるという考え方が多く採用されています。

 

しかし実は喪中も忌中も亡くなった故人との関係性や宗派によって期間が異なったり、喪中・忌中そのものがなかったりもします。

忌中の期間について

忌中の期間は一般的には四十九日法要が済むまでの間とされています。正確には仏式では49日間、神式では50日間とされることが多いです。現代の日本では仏式のお葬式を行う方が多くなっているので四十九日を目安とすると良いでしょう。ご家庭や地方によって忌中の考え方が変わることもあるので、迷った場合はご家族や僧侶にアドバイスを求めるのも手です。

 

江戸時代には「服忌令(ぶっきりょう)」と呼ばれる法令によって、忌中の期間が細かく定められていました。父母が亡くなった場合は50日、夫の場合は30日、妻の場合は20日、孫から見た祖父母の場合は30日といった具合に忌中の長さは故人との関係に左右される複雑なものでした。

 

現代ではこの服忌令は廃止されているものの、参考にされている方やご家庭もあるので注意しておきましょう。

 

喪中の期間について

喪に服す「喪中」の期間は一般的には亡くなってから1年後に行われる一周忌法要までが一般的です。こちらも忌中と同じく、過去には服忌令によって細かく期間が定められていました。現代では約1年間、もしくは13ヶ月間と考える方が多くなっています。

忌中に神社参拝を控える理由とは?

神社への参拝を控えるべきとされるのは「喪中」の期間ではなく「忌中」の間だということが分かりました。では続いて、なぜ忌中の期間には神社への参拝を控えるべきなのか、その由来を探って行きましょう。

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神道の考え方によるもの

そもそも忌中、そして喪中という考え方は日本古来の神道に由来しています。神道では人の死を気が枯れる「気枯れ(きがれ)」とし、大切な家族を亡くした人も亡くなった方と同じく「気」が枯れている状態にあると考えています。

 

この「気枯れ」が「穢れ」と言われるようになり、神道は「死」そのものを嫌うと言われるように変化して行きました。決して神道が死自体を不浄なものと考えているという訳ではないので誤解のないように注意をしましょう。

 

そしてこの気が枯れた状態で神様のご鎮座している神社へと参拝するのは失礼に当たるという考え方から、忌中の間は神社への参拝は避けるべきといわれるのようになったのです。

 

 

お寺への参拝は問題ない

忌中の間は穢れのある状態だ、というのは神道の考え方に基づくものです。そのため神社への参拝は制限されますが、お寺への参拝はまったく問題がありません。

 

仏教は人の死を穢れとは考えません。特に浄土真宗は忌中・喪中そのものの考え方が存在せず、浄土真宗を信仰しているのであれば忌中・喪中であっても行動を制限されることはないと考えられています。

昔は感染症などの予防のためだった

現代の「忌中」は神社への参拝は控える、お祝い事の席には出席しないなど、いくつかの避けるべき出来事があります。しかし忌中の間も仕事に出かけたり、親しい人と会ったりすることは禁じられていません。

 

しかしその昔、忌中の間は家に閉じこもり身を謹んでいたとされています。神社への参拝を控えるだけではなく、家から出ることも禁じられていました。家の中でも喪服を着用し、身を謹んで過ごす時間だったのです。

 

実はこの慣習は流行病を防ぐためだったとする説もあります。今ほど医療が発達していない時代のこと、亡くなった方の死因が分からないことは多くあったと言われています。死に触れた家族から病が他人へと移らないよう、家に閉じこもらなければなりませんでした。

 

この慣習が時の流れとともに変化し、神社への参拝は控えるべきだという考え方だけが現代にも残っているというわけです。

忌中・喪中のシチュエーション別の過ごし方

神社への参拝を避けるべき期間である忌中。しかし、中には忌中であってもどうしても神社へと参拝したい、お祓いを受けたい、お札やお守りをお返ししたい、七五三などでの祈祷を予約しているなど事情が重なることもあるでしょう。

 

忌中の間はいかなる場合であっても神社へと参拝することは取りやめるべきなのでしょうか?初詣や結婚式などの場合はどのように対応すれば良いのでしょうか。

 

神道は私達日本人の生活に根付いた宗教だからこそ、忌中・喪中の間には神社参拝以外にも気を配るべきことがあります。しっかりと知識を蓄え、マナー違反にならないように気をつけましょう。

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忌中の神社参拝は基本的には避けるべき

忌中の期間に自宅近くの神社へと出かけたい、参拝をしたいと感じることもあるでしょう。特に家族を亡くして心が疲れている時には、心の落ち着く神社は足を運びたくなる場所のひとつです。しかし、忌中の場合は基本的には神社への参拝は遠慮するべきこととされています。

 

受験が近い、お宮参りをしたい、七五三のご祈祷を受けたいなど様々な理由が考えられますが、忌中であるのならやはり神社へ赴くのはタブーとされています。お宮参りや七五三のご祈祷などは忌が明けるまで延期をするのが一般的です。喪中の場合はお宮参りや七五三などで神社へ参拝することもマナー違反とはなりません。

 

どうしてもという場合は神社へと相談してみましょう。神社によっては鳥居の外でまずお祓いをし、その後お参りやご祈祷が許されることもあります。

 

「鳥居をくぐらなければ大丈夫」は間違い

忌中であっても鳥居をくぐらなければ大丈夫だという話を耳にすることもありますが、これは間違った情報です。

 

鳥居は神社にとっての玄関のようなもの。この先は聖域だということを示す境界線の鳥居をくぐるのが神社参拝の際の正式なマナーです。鳥居をくぐらなければ神社に参拝したことにならない、という意味でこのような噂が広がっているのですが、これは明らかなマナー違反となってしまいます。

 

忌中以外の時期であっても鳥居をくぐらずに神社を参拝するのはマナー違反。忌中に鳥居をくぐらずに参拝するのは二重のマナー違反となってしまうので注意しましょう。

家の神棚は「神棚封じ」をする

神社へ参拝するのが趣味だという方や、古くからある家に代々住み続けているという方の中にはお家に神棚があるという方もいらっしゃるでしょう。家の神棚は小さな神社だという考え方に基づいて、家族が亡くなった時には「神棚封じ」をしなければいけません。

 

「神棚封じ」とは神様に死の穢れが及ばないよう、神棚の扉を閉めて更に半紙で封をすることです。神様のいらっしゃる神棚から、こちらの動きがまったく見えないようにするという意味を込めて行われる風習です。

 

神棚封じをする期間は、神道の忌明けに当たる50日間とされています。故人が亡くなってから50日目に半紙を剥がしてお供え物をし、封を開けるのが正しい作法です。

 

忌中はお供えやお参りもしない

神棚封じをした家の神棚にも、50日間に及ぶ忌中の間は一切お供え物や参拝などもしないのが正式なマナーです。神社への参拝を遠慮するのと同じように、神棚へのお参りもしないように気をつけましょう。

 

神棚へのお参りが習慣になっている方にとっては「失礼にあたるのではないか」と感じてしまいますが、穢れのある状態で神棚に触れるのは避けるべきです。現代ではあまり気にされていませんが、実は神棚封じ自体も忌中にある家族が行うのではなく第三者が行うべきとされる意見もあります。

 

神道と人の死の関係がこれほど厳しく取り決められているのには、神道の神様を心から大切に考えていた昔の人々の心遣いが込められています。神様に失礼に当たる行動を取らないように、現代でもできる限りのマナーは守りましょう。

初詣はどうするべき?

忌中、喪中の間に新年を迎えることも考えられます。その場合のお正月飾りや初詣などはどう対応するべきなのでしょうか?

 

お正月に行われる行事は慶び事と考えられます。忌中の場合は神社へと赴く初詣はもちろん、しめ縄や鏡餅などのお正月飾り、お年玉、おせち料理なども控えるべきと考えられています。新しい年を迎えるのにお正月をお祝いできないのは少し後ろめたい気持ちになりますが、忌中の場合はお祝いをすることなく慎ましく過ごしましょう。

 

一方で喪中の間にお正月を迎える場合は、通常と同じように初詣やお正月飾りなどをしても問題ないという考え方が一般的です。

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結婚式に招待されている場合はどう対応するべき?

忌中の間に結婚式に招待されている、という場合は遠慮させていただくのがマナーです。結婚式は神前式、キリスト教式に問わず人生に一度の慶び事の席です。華やかな場への参加は避けるべきですし、忌中の間は穢れをまとった状態ですのでお相手の考え方次第ではトラブルになりかねません。

 

お断りをする場合も「忌中ですので」や「身内が亡くなったので」とお伝えすることは避けましょう。慶び事の席に水をさすことに繋がってしまいます。この場合は「どうしてもやむを得ない事情で」と伝えるようにするのがマナーです。

喪中の間の参加は主催者の承諾を得る

喪中の間に結婚式へ招待されているのなら、主催者側の承諾を得た上で参加することができます。

 

喪中期間の結婚式への参加は、現代では特に禁止されていません。しかし諸手を挙げて歓迎されるべきことでもなく、主催者の考え方に大きく左右されます。お相手のご家庭の中にしきたりを重んじる方がいらっしゃったり、主催者の宗教に関する考え方などから喪中であっても参加するべきではないされる場合もあります。

 

ご自分一人で判断するのではなく、必ず主催者側に相談をして決めるようにしましょう。

自分が結婚式を予定している場合はどうするべき?

ご自分の結婚式を予定している最中に家族が亡くなってしまい、忌中・喪中になってしまったという場合も十分に考えられます。友人たちや職場の関係者に招待状を送ってしまった、キャンセル料が発生するなどの複雑な事情が重なった場合はどう対処をするべきなのでしょうか。

 

自分が結婚式の主催者であり、忌中になってしまった場合には結婚式は延期をしたほうが良いと考える方が多いです。忌中期間の挙式は一般的なできごとではなく、人によっては「絶対に延期をするべき」という考え方もあります。

 

しかし様々な事情が重なる中、両家の話し合いによって挙式をすると決める方もいます。その場合は招待者の理解も得られるよう「故人のたっての希望で挙式をすることを決めました」という事を挨拶などに含めることが大切です。

喪中の結婚式も両家の話し合いで決める

忌中の結婚式は延期をするべきという考え方が多数を占める一方、喪中の結婚式については意見が分かれます。昔は延期をするべき、喪があけるまで待つべきという考え方が一般的でしたが現代では喪中の結婚式は特に問題がないと考える方も多くいます。

 

これも信仰や両家の考え方によって左右されるため、家族や親族の意見を求めて決めるようにしましょう。

忌中・喪中の神社参拝は配慮が大切

忌中・喪中という通常とは異なる状態の際には周囲への配慮が必要です。宗教上の考え方や捉え方は人や家庭によって異なるため、神社参拝についても慣習や周囲の意見を大切にし、できるだけ慎ましく過ごすようにしましょう。

 

どうしても神社に参拝したいという場合は、必ず事前に神社に相談をすることをおすすめします。故人を思い、冥福を祈る忌中・喪中の期間を慣習を守りながら失礼なく過ごせるように配慮をしましょう。