葬式で着用する略礼服のマナーや喪服との違いについて徹底解説
公開日 : 2021/1/20
更新日 : 2021/1/23
略礼服は冠婚葬祭に対応しており、兼用することができます。喪服との違いについて知らない方も多いため、礼服と喪服の違いや略礼服を着用するときの基本的なマナーをご紹介します。葬式に参列する予定がある方は、マナーを事前にチェックしましょう。
公開日 : 2021/1/20
更新日 : 2021/1/23
目次
略礼服とは
略喪服は簡略された礼服で別名、インフォーマルウェアと言います。準礼服よりも格式が下がり、お通夜やお別れ会・法要で着用することができます。一般参列者が着用するものであり、法要は三回忌以降のみ着用できるので気を付けましょう。
略喪服はダークスーツやワンピースでカジュアルにならない地味な色を選ぶのが基本です。女性は小物類を調整すると慶事でも使用でき、年齢に合ったデザインの略礼服を選ぶのがおすすめです。着用できる洋服の幅が広がりますが、基本的なマナーは守らないといけません。
礼服の種類について
礼服とは、葬式・結婚式・入学式・式典など冠婚葬祭で着用する正装のことで、シーンに合わせて着こなし方が異なります。略礼服以外にも種類がありますのでご紹介します。
正礼服
正礼服は礼服の中で最も格式の高い正装で、主に遺族や親族の他、喪主など主催者側が着用する礼服です。一般の参列者は遺族よりも格式の高い正装をしないため、着用しません。正礼服で男性は、後ろを長く斜めにカットされた独特なデザインのモーニングコートを着用します。
女性は黒無地のワンピースやアンサンブル・ツーピースを着用します。和装の紋付の羽織袴・黒無地着物(黒喪服)・黒留袖なども格式の高い礼服に入るため、葬式に参列する際は、洋装・和装どちらを着用するか遺族で話し合っておきましょう。
準礼服
準礼服は正礼服の次に格式が高い正装で、セミフォーマルウェアとも言い、遺族も一般の参列者も着用することができます。近年、葬式で遺族の方も準礼服を選ぶようになってきています。準礼服で男性はブラックスーツ・女性はワンピースを着用します。
準礼服は葬式の他、お通夜・法要でも着用することができます。和装は一つ紋または三つ紋の黒やグレーなどダークカラーの着物を選びます。正礼服よりも素材やデザインが緩和されているのが特徴です。
平服
平服は普段という意味がありますが、いつもと同じ服装と鵜呑みして参列すると恥をかいてしまいます。「平服でお越しください」は、「正礼服と準礼服よりも少しだけカジュアルな服装」を意味しており、男性も女性も略礼服を着用するのが基本的なマナーです。
礼服と喪服の違いについて
礼服と喪服は見た目が似ているため、混同している方も多いです。礼服は、冠婚葬祭で着用する正装のことで、葬儀や法事の際に着用するものを喪服と言います。喪服は礼服の一種であり、礼服という広いくくりの中に入っています。
礼服や喪服は黒のスーツのイメージが強く、ビジネススーツを代用することができると考える方もいますが、ビジネススーツと礼服のブラックスーツとは定義も材質も異なるので気を付けましょう。ブラックスーツは光を反射せず、重厚感があるのが特徴です。
礼服を1着持っておくのは、社会人としての最低限のマナーであり、葬儀だけでなく、結婚式などにも着用できる上質なブラックフォーマルを準備しておくようにしましょう。高額になるほど黒の色合いが濃くなるという特徴があり品質もよいため、長く使用できます。
略礼服の正しい服装マナー
略礼服を着用するときの正しい服装マナーについてご紹介します。男性・女性・子供の服装を解説しますので、一緒にチェックしていきましょう。
男性の略礼服
略礼服を男性が着用するときは、スーツ以外にも気を付けなければいけない服装マナーがあります。スーツだけに気を取られず、細かい点までマナーを意識しましょう。
スーツの種類について
男性の略礼服でスーツは、基本的にブラックスーツを着用します。濃紺や濃いグレーなどのダークスーツも略礼服として着用することが可能です。無地かそれに近い地味を選び、素材は光沢がないものを選んでください。ビジネスシーンで着用しているスーツはマナー違反です。
スーツのデザインで気を付けなければいけないことは、ジャケットの後ろにスリットがないノーベントがないデザインを選ばないといけません。ズボンは折り返しのあるダブル仕上げは、「不幸を繰り返す」という意味合いがあるため、シングルが基本です。
スーツのボタンでシングルかダブルで悩んでいる方は、どちらを選んでも問題はありません。正礼服であるモーニングやタキシードでもダブルのデザインが取り入れられています。体型を気にされている方は、ダブルのスーツを選ぶのがおすすめです。
靴やネクタイについて
略礼服に合わせる靴やネクタイは黒が基本です。光沢のない黒無地のネクタイを選び、目立たない刺繍や柄でも避けましょう。葬式や法事では装飾品は付けないのがマナーのため、ネクタイピンは不要です。ネクタイの結び方はプレーンノットやウィンザーノットが一般的です。
ディンプルを作るのはマナー違反になるため、ネクタイを結び慣れていない方は練習してから参列するようにしましょう。略礼服に合わせる靴は、黒の地味な革靴を選ぶのが一般的で、装飾が付いていないシンプルなデザインにしましょう。
男性の革靴にも様々なデザインがあり、ウィングチップはカジュアルな印象を与えてしまうため、プレーントゥやストレートチップを選ぶようにしてください。葬儀など厳粛な場においてマナーを意識するなら、黒の内羽根式ストレートチップがマストアイテムです。
ベストは着用しない
略礼服はベストがセットになった3ピースを購入する方もいます。正礼服のモーニングではベストを着用しますが略礼服の場合、ベストは不要です。ベストは装飾品の一つとして考えられているため、葬儀の場にはふさわしくありません。
葬儀にベストを着用するのがマナー違反ではありませんが、カジュアルでファッション性が高い印象を与えてしまいます。周りの方に服装のマナーを指摘されないようにするためにも、略礼服を着用するときはベストは避けるようにしましょう。
女性の略礼服
女性が略礼服を着用するときは、男性よりも服装マナーで気を付ける点が多いです。葬儀の場にふさわしい服装マナーについてご紹介します。
服装マナーについて
略礼服で、女性はワンピースやアンサンブル、スーツなどの洋装を着用するのが基本です。黒以外に濃紺やダークグレーなどのダークカラーを着用することができます。略礼服の素材は光沢のないものを選ぶようにしてください。他にも、サイズ感や露出度にも気を付けましょう。
葬式や法事の場では、肌の露出は控えないといけないため、袖丈は夏でもひじが出ない七分がおすすめで、スカートの丈はひざ下からふくらはぎくらいのデザインを選んでください。女性は男性よりも略礼服のデザインは多くあるため、年齢に合わせたものを着用しましょう。
30代や40代は、シンプルなデザインがおすすめであり、オールシーズン着用できると便利です。50代や60代は、礼服を着用する機会が増えてくるため、高い礼服を用意し着心地が良く動きやすい礼服を選びましょう。動きやすさを重視するならパンツスーツもおすすめです。
小物類の基本的なマナー
略礼服を準備するとき、女性は小物類などにも気を付けましょう。靴やバッグは黒無地が基本です。葬式や法事の場でふさわしい靴はスクエアトゥやプレーンであり、ヒールの高さは3~5cm程度が一般的です。靴のヒールが低すぎるとカジュアルな印象を与えます。
ヒールが高すぎると華美な印象を与えるため、中間の高さを選びヒールは太めで安定感のあるものを選ぶようにしましょう。バッグは大きすぎずコンパクトなサイズを選ぶのが基本です。お手伝いでエプロンなど荷物が多い場合は、黒の布製のサブバッグを用意しましょう。
バッグの素材は革やアニマル柄など「殺生」を連想させるものはマナー違反になるため、気を付けてください。略礼服であっても小物類は葬儀の場で使用するものと同様のものを使用します。葬儀の場はおしゃれの場ではありませんので、黒でシンプルなデザインが無難です。
メイクやヘアスタイルのマナーについて
葬儀の場で女性はメイクやアクセサリーにも気を配らないといけません。メイクは、ナチュラルで控えめにするのがポイントです。ノーメイクはマナー違反になるため、最低限のメイクは行うようにしましょう。ベースメイクをしっかりと行えば、自然な雰囲気を出すことができます。
チークは基本的に必要はありません。肌の血色をよくしたい方は、肌に近い色を薄くぼかすのがおすすめです。口紅はつけないと不健康に見えてしまう可能性があるため、ベージュ系のナチュラルなものを使用すれば、問題はありません。
アクセサリーは一連のパールのネックレスやピアスが基本です。二連は不幸を繰り返す意味があるため、葬儀の場にはふさわしくありません。結婚指輪もハーフエタニティは宝石が多く華やかな指輪で派手な指輪を着用していると判断されやすいので避けましょう。
子供の服装について
略礼服を大人が着用する際、子供はどのような服装がふさわしいか悩む方は多いです。子供には特に正喪服や準喪服など格式の定めはありません。黒やダークグレーなどの地味な色を使ったフォーマルな格好であれば大丈夫です。
学生の場合は、基本的に制服が正装であり、派手な色がどこかに使われていても失礼になりません。学校に通うときと同じようにリボンやネクタイなど明るい色を着用しても大丈夫です。だらしない格好は葬儀や法事で失礼になるため、着崩すさずに着用しましょう。
制服がない子供の場合、男の子は黒や濃紺などの地味な色のジャケットに半ズボンがおすすめです。地味なものであればチェックなどの柄が入っていても大丈夫です。女の子は紺やグレーのワンピースやスカートとブラウスの組み合わせにして上品でフォーマルにまとめましょう。
葬式・法事に参列するときの持ち物
略礼服を着て葬式や法事に参列する際の持ち物にもマナーがあります。服装の準備も大切ですが、持ち物についても一度チェックをしておきましょう。
香典を持参する
葬式や法事には香典を持参するのが基本です。故人の霊前に供える現金であり、お線香の代わりや葬儀で支出の多いご遺族にお役に立ててほしいという気持ちを表すために持参します。香典袋にも種類があり、宗教によっても使用するものが異なります。
香典袋の表書きは仏教で葬儀・お通夜・告別式であれば「御霊前」、四十九日以降は「御仏前」と書きます。浄土真宗は「御仏前」と書き、神道は「御神前」・「御玉串料」・「御榊料」、キリスト教でカトリック・プロテスタントの両方で使えるのは「御花料」です。
香典は、年齢や故人との関係性によって金額相場が異なります。一般的な金額相場に合わせることで、相手に気を遣わせる心配もありません。地域の風習によっても金額や香典袋に使用する水引きの色が異なったりするため、事前に確認をしておきましょう。
数珠の種類に気をつける
葬式や法事に参列する際に、数珠も忘れてはいけません。故人に合掌する際に手にかける仏具であり、宗派によって本式数珠の種類は異なります。男性用の数珠はひとつひとつの珠が大きいのが特徴で、女性は数珠はひとつひとつの球が小さめに作られています。
数珠には本式数珠と略式数珠の2種類があり、前者はその宗派でのみ使うことができる二重の数珠です。後者はどの宗教でも使用することができ、片手念珠とも言われます。若い方は略式数珠を使うことが多く、年を重ねてから本式数珠を準備されることが多いです。
知人のお葬式などに参列する際は、略式数珠を使うのが一般的で、自分の家でのお葬式や法事・法要と使い分けるようにしましょう。数珠は人それぞれのお守りという考え方があるため、貸し借りはタブーです。お持ちでない方は早めに数珠を購入しておきましょう。
袱紗の色について
葬式や法事に香典を持参する際は、袱紗に包むのがマナーです。弔事に袱紗を使う際、色に気を付けましょう。緑やグレー・紺色などの寒色系の色が一般的であり、冠婚葬祭で兼用できる色は紫です。袱紗がない際は、ハンカチや風呂敷を代用品として使用できます。
ハンカチの色やデザイン
ハンカチは白か黒の無地を持つのが一般的で、派手でカジュアルなものは避けてください。女性のハンカチはレースや刺繍が施されているデザインもありますが、葬儀や法事に持参しても問題はありません。タオルハンカチはカジュアルな印象を与えるので避けましょう。
略礼服がないときの対応法
略礼服がない時は、量販店で購入したり、レンタルをする方法があります。青山などのスーツ専門店に行くと、シーンに合わせた略礼服を準備することができ、シャツやネクタイなど葬儀の場に必要なものを揃えることができます。
お値段を押さえたい方は、イオンなどの大型スーパーでも購入することができます。香典袋や筆ペンなども買い物ついでに、一緒に準備することができるため、時間のない方に向いています。サイズやデザインも種類が豊富で、裾を上げるなどの対応もしてくれます。
略礼服を着用する機会が少ない方であれば、レンタルをする方法もあります。シャツや靴・ベルトなどをセットでレンタルすることが可能ですが、届くまで日数がかかることを想定して早めに手配しないといけません。
略礼服の正しい知識を学んでから葬式に参列しよう
略礼服を着用するときは、今回ご紹介した服装マナーに沿って準備を進めていきましょう。男性はスーツの色の他にも気を付けなければいけない点があり、女性はアクセサリーやメイクなど細かい点まで気を付けるようにしましょう。
葬式や法事にふさわしい服装で参列しないとマナー違反になるため、慌てないためにも礼服を1着準備しておいてください。平服の意味にも気を付けて、シーンにふさわしい服装で参列するようにしましょう。
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