ご芳名の意味やマナーとは?メールや葬儀での消し方・招待状の返信など
公開日 : 2021/1/15
更新日 : 2021/1/15
ご芳名は相手の名前に対する敬語です。ご芳名の欄に自分の名前を記載する場合はご芳を消すのがマナーですが、結婚式や葬儀で注意する点は異なります。ご芳名帳やご芳名カードに書く場合も変わってきます。ご芳名の意味や消し方に関するマナー、招待状の返信方法などをまとめました。
公開日 : 2021/1/15
更新日 : 2021/1/15
目次
ご芳名(御芳名)の意味や使い方について
ご芳名は葬儀や結婚式、ビジネスなどのフォーマルな場所で使われる言葉です。ご芳名と書かれた欄に自分の名前を書くことになるのですが、名前を書くだけでなく様々なマナーが求められます。ご芳名帳に記載する場合や招待状に返信する場合でも変わってきます。
ご芳名の一部を消す必要があるなど、どうしたら良いかわからない人も多いのではないでしょうか?ご芳名帳やご芳名カードなど、ご芳名に関連した用語も多いです。ご芳名の意味や消し方などのマナー、関連用語などについて解説します。
「ご芳名」の読み方
ご芳名の読み方は「ごほうめい」です。「ごぼうめい」などは間違いなので注意しましょう。全て漢字で書くと御芳名となりますが、ご芳名の方が柔らかい印象になるので御をひらがなで書くのが一般的です。
「ご芳名」は相手の姓名を敬って言う言葉
ご芳名は、端的に言ってしまうと相手の名前のことです。氏名・姓名を丁寧にした表現なので目上の人に対して使います。結婚式や披露宴などの招待状・案内状の返信ハガキで名前を書く欄にご芳名が使用されています。
招待状にご芳名が使われるのは、招待する相手に対して敬意を払っていることを意味します。ビジネスシーンの招待状などでもご芳名が使われることは多いです。葬儀や結婚式の受付では、ご芳名帳に氏名と住所を記載します。
「ご芳名はかねてより伺っております」という言い回しもありますが、これはご芳名という言葉には名声という意味もあるためです。この場合は、ご尊名などで言い換えることもできます。
「ご芳名」は二重敬語でも正しい
芳という言葉は、良い香りを表すかんばしいという意味があります。これが転じて評判が良いという意味があり、芳名だけで相手に敬意を込めた敬語に当たります。ご芳名は二重敬語に当たるので、文法的には誤った言い方とされることが多いです。
しかし、二重敬語が必ずしも間違っているわけではなく、慣用的に使わる表現もあります。ご芳名は慣用句になっているので正しい日本語です。二重敬語になるからといって、ごを抜いて芳名とするほうが失礼に当たります。
芳名と書いたり、ご芳名の「ご」だけ消したりするのは失礼に当たるので注意しましょう。
ご芳名は相手の名前に使うので言葉なので自分には使えない
ご芳名は氏名・姓名に近い意味の言葉ですが、相手に対して使う敬語なので自分に対して使うことはできません。招待状などにご芳名と書かれているのは、受取人の名前に対して敬意を示していることになります。
自分の名前を記載する場合に、ご芳名と書かれていると自分自身に敬語を使っていることになります。ご芳名と書かれた欄に、そのまま自分の名前を書くことはできないのです。
「ご芳名」の正しい消し方について
招待状への返信などで、自分の名前を書く際にご芳名と書かれた欄に自分の名前を書くことになります。自分の名前を書く際は、ご芳名のご芳を消して名のみにする必要があります。ご芳名の正しい消し方などについてご紹介します。
「ご芳名」を消す理由
ご芳名と書かれた欄に自分の名前を書いてしまうと、自分自身に敬語を使うことになるのでそのままでは使えません。そこでご芳名から「ご芳」の部分を消して、名だけに書き換えます。こうすれば敬語ではないので、自分の名前が書けるようになります。
注意したいのは名だけだと不自然だということで、「ご」のみを消して芳名を残してしまうと間違いになることです。芳名のみでも敬語になってしまうので、問題があります。「ご芳」をしっかりと消すのが正しいマナーです。
以前はご芳を消した後に氏名と書き足すのが一般的でしたが、現在は名の一文字にして返信するのが一般的になっています。
「ご芳名」の正しい消し方
ご芳名の消し方には、正しいマナーがあります。招待状に書かれたご芳名あるいは御芳名の中から、ご芳・御芳の二文字を直線の二重線で消すのがマナーです。線を引く時は定規などを使って、まっすぐな線を引くようにしましょう。
二重線ではなく、×や斜め線で訂正するのはよくありません。修正ペンやテープを使ったり、黒く塗りつぶすのもマナー違反になります。文字が縦書きの場合は縦の二重線、横の場合は横の二重線と文字の方向に合わせて線を引くようにしましょう。
ただし、縦書きの場合、1文字を縦線で消すと文字の縦線と重なって訂正が分かりにくくなります。そのため、1文字を消す場合は斜めの二重線で消したほうが良いといわれています。
「ご芳名」を消す際の筆記用具について
ご芳名を消す際に使う筆記用具は、何を使うのがよいのでしょうか?毛筆や筆ペン、万年筆を使うのがマナーですが、ボールペンでも大丈夫です。鉛筆やシャープペンシルなど消せる筆記用具は使えません。
ボールペンの色は基本的に黒で、青やグレーなどの色は使えません。ただし、結婚式では赤いボールペンを使っても大丈夫とされています。乾くのが遅いと文字がにじんで読みにくくなるので、早く乾くインクのボールペンがおすすめです。
「ご芳名」以外の消し方について
招待状やゲストカードには、氏名以外にも記入する欄があります。ご芳名を消す以外にもそれらの欄に関しても訂正する部分があるので、注意しましょう。ご芳名以外の消し方についてまとめました。
「ご住所・宛名」を修正する
招待状やゲストカードには、ご芳名以外にも、「ご」「貴」「様」などが使われています。「ご(御)住所」「貴(自分の名前)」「(自分の名前)様」などを訂正しないで返信するのはマナー違反です。自分に関して記載する部分は全て二重線を引いて修正します。
注意したいのは宛名の部分です。「宛」「行」と書かれていますが、返信する際は正しい敬称をつける必要があります。個人の場合は「様」、企業など団代の場合は「御中」と訂正してから返信するようにしましょう。
「ご出席・ご欠席」の修正を忘れない
招待状やゲストカードの訂正で忘れやすいのが、出席と欠席の部分です。ご芳名と同様に、「ご出席・ご欠席(御出席・御欠席)」と書かれています。出席か欠席に〇かチェックを付けるので、「ご」の部分が見落とされやすいです。
「ご」を二重線で消した後に、出席・欠席に〇かチェックを入れましょう。
「ご芳名」のシーンごとの消し方
ご芳名を消す際の基本的な考え方は同じですが、葬儀や結婚式、ビジネスなどシーンごとに異なる点もあります。メールの場合は、紙に書くわけではないので注意点も多いです。シーンごとのご芳名の消し方についてまとめました。
葬儀はご芳名帳とご芳名カードの違いに注意
葬儀では、受付で名前や住所を記載していきます。全員の名前を1冊に書くご芳名帳が一般的でしたが、1人1人が個別に記入するご芳名カードも増えています。受付で記入する場合は、ご芳名を消さなくてもマナー違反ではないという考え方も増えています。
ただし、マナー違反にならないとはっきり決まっているわけではありません。「ご芳」やご住所などの「ご」は、できるだけ消しておいた方が無難です。ご芳名欄が個別になっていない場合は消さなくても良いとされていますが、個別に書くご芳名カードの場合は注意しましょう。
結婚式は返信の宛先に注意
結婚式でご芳名が使われるのが、招待状・ゲストカードです。返信前にご芳名の「ご芳」を消して、行き・宛を様に修正します。メッセージを書き込む欄があるので、お祝いのメッセージを忘れないようにしましょう。
結婚式は慶事なので、訂正する際に寿消しという方法もあります。宛・行きの部分に二重線を引いて訂正する代わりに、上に「寿」の文字を書いて訂正することも可能です。寿ではなく、「賀」の文字も使えます。
単純に訂正するのではなく、おめでたい気持ちを伝えることができます。ただし、黒いボールペンで上に文字を書くとつぶれて見えるので、赤いペンで書くのがおすすめです。きれいに書くのは難しいので、文字を書くのに自信のある方向けの方法です。
ビジネス
ビジネスシーンでは、個人ではなく企業として対応することも多いです。そのため、ご芳名の代わりに、「貴社名」が使われることも多くなります。基本的な考え方は同じで、貴を消して社名とするか、貴社名を消して弊社に書き換えるのがマナーです。
ビジネスでも、出席・欠席や住所など記入に関する考え方は変わりません。ご住所・ご出席・ご欠席のの「ご」を消して、出席か欠席にチェックを入れます。
アンケート
さまざまな場所でアンケートを記入する機会がありますが、アンケート用紙に「ご芳名」や「ご住所」と記載されている場合があります。フォーマルな場所ではありませんが、アンケート用紙のご芳名やご住所も修正しておいたほうが良いでしょう。
日常的にご芳名やご住所を修正する習慣を作っておくことで、いざというときにも慌てずに修正できるようになります。
メールの場合は二重線は使わない
電子メールでも、ご芳名は使われます。自分が送るメールにご芳名が使えないのは、手書きの文章と同じです。ただし、手書きと違って簡単に書き換えることができます。メールの場合は、二重線で訂正しないで別の言葉に書き換えます。
メールの場合は、ご芳名を氏名や名前に変更して、ご住所を住所、記社名を社名にします。ご芳名の「ご芳」を消して「名」にするのはあくまで簡略化した方法なので、氏名や名前を使用します。
メールでも二重線で訂正することはできますが、書き直すのがメールのマナーです。メールの修正は簡単にできますが、見落としも起こりやすいのでしっかりと前文に目を通して確認しましょう。
「ご芳名」の関連語について
ご芳名はフォーマルな場所で使う言葉なので、あまり使いませんがご芳名に関連した言葉もあります。ご芳名帳やご芳名カード、連盟などご芳名の関連語について解説します。
ご芳名帳
ご芳名帳は、葬儀や結婚式などの受付で氏名・住所などを書き込むための帳簿のことです。出欠や氏名、住所の確認のために使われますが、メッセージを記入することもできます。氏名を書く欄にご芳名と書かれていた場合は、ご芳名を消して記入します。
ご芳名帳は、スムーズに記入することが求められます。そのため、ご芳名を消さずに名前を吸入してもマナー違反と考えないことも多いです。
ご芳名カード
ご芳名カードは、出席・欠席を確認するためのカードやご芳名帳の代わりに1人1人が氏名や住所を記入するためのカードのことです。ゲストカードと同じ意味ですが、葬儀の場合はご芳名カードと呼ぶのがマナーです。
基本的に記入する情報は、ご芳名帳と変わりません。受付で記入する場合は、ご芳名を消さなくてもマナー違反になりにくい点もご芳名帳と同じです。
連名の順番はなどで決まる
連名は複数人の名前を並べて記入することです。家族や同じ企業の人間をまとめて記入できるので、個別に出欠を確認する負担を減らすことができます。役職や年齢が上の人物から順に記入するか、50音順に記入します。
家族で記入する場合は夫のフルネームを先に書いて、妻は名前のみを記入するのが一般的です。未成年の子供は名前を記入しなくても大丈夫です。夫婦別姓の場合は、2人のフルネームを記載することも増えています。
ご芳名帳を用意するには?
ご芳名帳が必要な場合はどうしたら良いのでしょうか?葬儀で必要な場合は、葬儀社でご芳名帳を用意してくれることがほとんどなので心配いりません。葬儀プランの中にご芳名帳が含まれていることが多く、通夜と葬儀で別々のご芳名帳がある場合もあります。
ご芳名帳は文房具店やネット通販などでも購入できるので、自分で手に入れるのも簡単です。インターネットには無料のテンプレートもあるので、自分でご芳名帳を作ることもできます。
「ご芳名」の消し方を間違えた場合について
ご芳名を消そうとして、書き損じた場合はどうすれば良いのでしょうか?はっきりとしたルールがあるわけではありませんが、気を付けたほうが良い点があります。ここでは、消し方を間違えた場合の注意点についてまとめました。
修正ペンなどを使用しない
ご芳名の修正に失敗した場合は、どうすれば良いのでしょうか?修正ペンを使いたくなるかもしれませんが、修正ペンは余分な部分まで消したり、紙を汚してしまう場合もあります。そのため、修正ペンは使わないほうが良いとされています。
キレイでわかりやすくなるようにする
ご芳名を消そうとして間違った場合に、決まったマナーなどはありません。結婚式の場合は寿を書いて消す方法や親しい相手の場合は、シールやイラストで訂正しても良いとされています。ただ、こういった方法は葬儀では使えません。
大切なのは、見やすくわかりやすい修正を心がけることです。二重線を書くのを失敗した場合に、二重線を更に書くと見づらくなるので避けましょう。違うペンで書いたりする必要もありません。
ご芳名などの消し間違えがどうしても気になるなら、後日メールなどでお詫びの連絡をしておくと良いでしょう。
ご芳名はルールだけでなく考え方を理解することも大事
ご芳名の意味やマナーなどについてまとめました。ご芳名に関するマナーはかなり細かいですが、自分の名前を書く場合は自分に対して敬語を使わないという考え方があります。決まり事を覚えるだけでなく、消すことの意味を理解するようにしましょう。
なぜ、消すのか理解すれば、1つ1つを個別に覚えなくてもまとめて覚えられるようになります。ご芳名の意味やマナーをしっかりと理解して、使いこなせるようにすることが大切です。
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