お供えにかけるのしにもマナーがある!正しいルールを大解説
公開日 : 2020/11/3
更新日 : 2020/11/3
弔事の際、お供え物に必ずかけるのがのしです。こののしには一定のマナーやルールがあります。お供え物の顔の役割も担っているのしのルールやマナーを知っておくと、社会人として恥ずかしい思いをせずに済むでしょう。詳しく解説しますので参考にしてください。
公開日 : 2020/11/3
更新日 : 2020/11/3
目次
お供え用ののしの表書き
お供え用ののしで一番目立つのは表書きです。表書きとは、水引きの上部に書く文字のことです。この表書きは、式別や弔辞によって異なります。 それぞれの状況などに合わせた表書きについて紹介します。具体的な解説も行いますので、参考にしてください。
式別ののしの表書き
のしの表書きと言っても、仏式や神式などのような式によって書く言葉は異なります。同じ意味を表しているのですが、それぞれの宗派などによって書く言葉が決まっているのです。 ここでは「仏式」「神式」「キリスト式」の3つに分けて、それぞれの表書きについて解説します。
お寺などの仏式の場合
お寺などの仏式の場合にお供え物をする際には、のしの表書きは以下のような言葉を書くのが通例です。
- 御供
- 御供物
- 御仏前
- 御佛前
仏式では、お供え物は仏様に捧げるものでもあります。そのため、表書きには「御仏前」や同じ意味の「御佛前」と記します。
神社などの神式の場合
神社などの神式の場合にお供え物をする際の、のしの表書きは以下の通りです。
- 御供
- 御供物
- 御神前
- 奉献
- 奉納
神式では、神様にお供え物を献上する、または奉るという考え方があります。そのため、のしの表書きには「御神前」や「奉献」「奉納」などと書くのが通例です。
「御供」や「御供物」は、仏式と同じです。これらは「お供え物」の丁寧な言い方なので、表書きの際にも使用します。仏式か神式かわからない場合は、「御供」や「御供物」と表書きに記すと良いでしょう。
キリスト教式の場合
キリスト教式の場合にお供え物をする際には、表書きとして以下のような言葉を記すのが通例です。
- 御花料
キリスト教では、仏式や神式のようにお供え物をするという習慣はありません。その代わり、神様や亡くなった人に花を捧げます。そのため、表書きにも「御花料」と記します。
ただし、キリスト教式ではのしはほとんど使用しません。のしを使用するのは仏式や神式のみです。キリスト教式だった場合には、のしの表書きとして「御花料」と書くことはほとんどないでしょう。
ただ、花束や花かごを送る際には、のしの代わりに名前などを書いた紙を添付します。その際に「御花料」などのように記すことがあります。
弔事別ののしの表書き
のしの表書きが変わるのは、仏式や神式などのような形式だけではありません。弔事ごとでものしの表書きは変わります。 そこで、次に弔事別ののしの表書きについて紹介します。
命日の場合
命日の際にお供え物をする場合、のしの表書きには以下のような言葉を書くのが一般的なマナーとされています。
- 御供
- 御仏前
「御供」は仏式にも神式にも使用できる表書きの言葉です。しかし、「御仏前」は「仏」という文字が入ってるように仏様にお供えするという意味があります。神式で使用すると不自然になるので、仏式のみで使用するようにしましょう。
仏式なのか神式なのか、事前にわからない場合は、「御供」と表書きに記せば良いでしょう。どちらでも使用可能な言葉なのでおすすめします。
お盆の場合
お盆の際にお供え物をする際、のしの表書きに記す言葉は以下の通りです。
- 御供
- 御供物
お盆は亡くなった人の魂だけではなく、ご先祖様や神様も一緒にいらっしゃると考えられています。そのため、命日のように「御仏前」という言葉は表書きとして使用しません。
「御供」や「御供物」は、神様と亡くなった人の両方にお供えをしますという意味が込められています。幅広い意味があるため、お盆の際にはこれらの言葉をのしの表書きとして使用するのが通例です。
三回忌などの法事の場合
三回忌などの法事の場合には、お供え物として捧げる中身によってのしの表書きが異なります。以下は、食べ物などをお供え物とする場合に、のしに書く表書きの一例です。
- 御仏前
- 御供物
仏式の場合には「御仏前」、神式の場合には「御供物」と書きます。ただ、「御供物」に関しては仏式の場合でも使用可能です。
お供え物が食べ物などではなく、お金だった場合はのしの表書きに書く言葉が変わります。その一例がい以下の通りです。
- 御仏前
- 御供物料
- 御香典
また、お金をお供え物にする場合には不祝儀袋というものを使用します。一般で売られているものはすでに表書きが書かれているものも多いので、迷うことはないでしょう。
お供え用ののしの名前の書き方
お供え用ののしで重要なのは表書きだけではありません。表書きの下に書く名前も重要なポイントです。のしに書く名前には正しい書き方があります。 基本的な名前の書き方はもちろん、連名の場合の名前の書き方についても解説します。
基本はフルネーム
名前はのしの下半分に書きます。位置は表書きの真下あたりです。表書き同様に名前ものしの顔のような役割を担っているので、しっかり丁寧に書くことが重要です。
のしに書く名前は基本的にはフルネームです。これは名字だけでは誰から頂いたものかわからない場合があるからです。同じ苗字の人が複数いた場合、誰から頂いたお供え物かわかりません。
また、お供え物は神様に捧げるものでもあります。そのような神聖なものに名字だけを記載するのは失礼に当たる、という考え方も影響しています。そのため、必ずフルネームで書きましょう。
連名の場合
お供え物は一個人で行う場合だけではありません。複数人で一つのお供え物を送るというケースも多々あります。その場合には、名前はどのように書けば良いのでしょう。
連名でお供え物をする場合、名前の書き方は連名の人数によって異なります。また、連名の間柄によっても異なる場合があるので注意が必要です。
具体的な連名の書き方を、2名の場合、3名の場合、4名以上の場合に分けて詳しく解説します。
2名(夫婦など)の場合
夫婦などのような2名の連名でお供え物をする場合、基本的に名前はどちらもフルネームで書くのがマナーです。ただし、二人が血縁関係などに当たる場合は異なります。
夫婦などのような同じ苗字の場合は、夫の名前を書く際にはフルネームで書きます。妻はその左隣に下の名前だけを書くのが通例です。兄弟姉妹の場合も同じです。兄や姉に当たる人の上に名字を書き、弟や妹に当たる人は左隣に下の名前だけ書きます。
血縁関係にない2人が連名でお供え物をする場合は、年齢が高いまたは地位が上の人が右側に名前を書きます。そして右隣にもう一人の名前を書くのがマナーです。
3名の場合
3名でお供え物を送る場合、地位や年齢が高い人が右側になるように名前を書いていきます。一番地位や年齢が高い人が一番右側になり、左に行くほど年齢や地位が下がるということです。
友人などのような年齢や地位に差がない場合は、右側から五十音順で書くのが通例です。ア行の苗字の人が右側になるように書き、左に向かって順番に名前をフルネームで記します。
4名以上の場合
4名以上の連名でお供え物を送る際には、のしには代表者1名の名前のみを書くのが通例です。4名以上になると見た目が悪くなるため、代表者1名の名前をフルネームで書きます。そしてその左隣に「○○一同」などのように記します。
ただ、代表者1名の名前だけを書いたのでは、他の3名が誰なのかがわかりません。そこで、連名者の名前を別紙に記載し、お供え物の中に入れるようにします。この時、名前は右から順番に地位や年齢が高い、または五十音順で記載するようにしてください。
お供え物用ののしに印刷されている水引き
お供え物用ののしには、あらかじめ水引きが印刷されています。この印刷された水引きにはさまざまな色や形があり、それぞれに大切な意味が込められています。 そこで、お供え用ののしに印刷されている水引きに注目して、色や形について解説します。
水引きの色
のしに印刷されている水引きには、黒や黄色、赤や水色などのような様々な色があります。わざわざ水引きに色がついているのは、水引きの色に大切な意味が込められているからです。 そこで、弔事別に使用すべき水引きの色について紹介します。誤ると失礼に当たる可能性もあるので充分注意してください。
通夜や葬儀の場合
通夜や葬儀の場合には、黒と白の水引きが印刷されたのしを使用します。これは黒と白に悲しみや故人を悼む気持ちが込められているからです。
黒と白の水引きは、もともとは京都の文化から発展したと言われています。明治以降、西洋文化が日本に浸透し、黒は喪に服す色という考え方も同時に広まったため、通夜や葬儀の場合には水引きの色は黒と白が良いとされるようになりました。
法事の場合
法事の場合には、黒白や双銀や青白といった組み合わせの水引きを使用します。これらの水引きの色にはそれぞれ重要な意味があります。
黒白の組み合わせは、通夜や葬儀の場合に使用する水引きと同じです。悲しみや故人を悼む気持ちを表すという意味で、法事の場合にも黒白の水引きが使用されます。
双銀も弔事の際に使用される水引きなのですが、使用する場面が他とは異なります。双銀は女性がお供え物をする場合やキリスト教などで使用される組み合わせです。また、多くのお金をお香典として包んだ際にも使用されます。
青白の組み合わせは、双銀の代わりと言われています。銀は光の加減で青く見えることがあります。その銀の代わりに青白の組み合わせの水引きを使い始めました。
お盆の場合
お盆でお供え物をする際には、黄白や青白の組み合わせの水引きが印刷されたのしが使用されます。黒白の組み合わせは多くの弔事で使用されますが、お盆は弔事とは言い切れない一面もあるため、お供え物の際には使用しません。
なお、黄白の組み合わせの水引きは関西や北陸地方などで多く用いられます。関東などでは青白の組み合わせの水引きが多く見られます。
ただ、近年はお盆のお供え物にはのしをつけないケースも増加しています。その傾向からか、特に青白の組み合わせの水引きは年々減少しています。
水引きの結び方と本数
水引きの違いは色だけではありません。じっくり水引きを観察してみるとわかりますが、水引きの結び方や水引きの本数も異なります。結び方や本数が異なるのは、それぞれに意味があるからです。
次に水引きの結び方と本数に注目して解説していきます。知らないと恥ずかしい思いをすることになるポイントですので、ぜひ参考にしてください。
結び方
水引きの結び方には大きく分けて、蝶結びと結び切りの2種類があります。2種類のミス美方があるのは、それぞれに意味があるからです。
弔事の場合には、結び切りの水引きを使用します。結び切りは「これっきり」という意味があり、悲しい出来事が続かないようにという願いも込められています。また、悲しみや悼みを断ち切るという意味もあると言われています。
一方の蝶結びは慶事の際に使用する水引きです。蝶結びには「繰り返す」という意味があります。嬉しいことや楽しいことがこれからも何度も起こりますようにという願いを込めて、蝶結びの水引きを使用するのです。
今回紹介しているのしはすべて弔事の際に使用するケースばかりです。悲しい出来事の際に使用する水引きなので、必ず結び切りのものを使用しましょう。
本数
水引きは細いひも状のものを重ねて作られています。この本数も数えてみると異なっていることがわかります。
弔事で使用される水引きの本数は、2本や4本や6本が通例です。弔事では偶数が良いとされているため、水引きの本数も偶数で作られています。
一方の慶事で使用される水引きの本数は、3本や5本や7本です。慶事では奇数が良いとされているため、水引きの本数も奇数で作られています。
お供え用ののしの墨色
お供え用ののしに表書きや名前を書く際、墨で書くのが通例です。ただ、どんな墨の濃さでも良いというわけではありません。 そこで、薄墨で書く場合と濃墨で書く場合の2パターンに分けてそれぞれ解説します。
薄墨で書く場合
のしの表書きや名前を薄墨で書くのは、お通夜や葬儀の場合のみです。わざわざ薄墨で書くのには理由があります。
1つ目の理由は、薄墨で書くことで「取り急ぎ」という気持ちを表すためです。本来の墨は硬い墨を硯の上に滑らせて用意します。色を濃くするためには大変な時間が必要です。薄墨にすることで、「急いで駆け付けました」という意味を表しています。
また、「悲しみのあまり墨が薄くなってしまった」という気持ちも込められています。涙で濃かった墨が薄くなってしまったということです。薄墨にすることで、悲しみの気持ちを表しています。
濃墨で書く場合
お供え用ののしの表書きや名前を濃墨で書くのは、四十九日や初盆などのような法事の場合です。故人が亡くなってから時間が経っているため、わざわざ薄墨にする必要はないという理由が挙げられます。
お供え用ののしの豆知識
お供え用ののしにはちょっとした豆知識があります。これから紹介する豆知識を知っておくと、何かの時に役立つかもしれません。
はすのし
通常ののしは水引きが印刷されたものがほとんどです。しかし、はすのしというものがあるのをご存知でしょうか。水引き以外に蓮の花が印刷されたのしのことです。
はすのしは、葬儀や法要の時に使用されます。と言っても葬儀や通夜の際に使用されるのしではありません。主に香典返しや法要の際の引き出物に使用されます。
名前なしでも大丈夫
のしには表書きと名前をフルネームで書くことが通例とされています。しかし、実は名前に関しては絶対に書かなければならないわけではありません。
表書きのみを記し、名前なしでお供え物をしてもマナー違反にはなりません。お返しが必要ない場合には、あえて名前なしでお供え物をするケースもあります。
のしはお供え物の顔に当たるのでマナーを覚えておこう
のしはお供え物の顔に当たる部分でもあります。誰もが注目する部分なので、マナーをしっかり覚えて正しい書き方やのし選びをして、お供え物をしてください。
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