【通夜から葬儀まで】失敗しない喪主挨拶|言葉のマナーや例文も
公開日 : 2020/10/22
更新日 : 2020/10/22
葬儀で喪主を務める場合、挨拶の文面を考えるのもひと苦労になるでしょう。この記事では、臨終から火葬までの流れ、喪主挨拶のタイミングとポイント、挨拶の文例、使ってはいけない忌み言葉などをご紹介していきます。滞りなく無事に終えられるよう、参考にしてみてください。
公開日 : 2020/10/22
更新日 : 2020/10/22
目次
逝去から火葬までの流れ
故人が亡くなられてから火葬までどのような流れで進んでいくのでしょうか。ほとんどの方が喪主は初めての経験になるでしょう。右も左もわからない中で、やらなければならないことが多く、パニックになりかねません。一連の流れだけでも知っておくと、落ち着いて対処できるはずです。
現在は自宅で亡くなるよりも、入院先・搬送先の病院で亡くなる方が多いようです。故人が病院で亡くなったと仮定して臨終の後の流れをご紹介します。
臨終から枕飾りまで
医師が臨終を宣告してから故人を安置するまでを順を追って解説します。末期の水、清拭、着替え、死化粧といった故人を棺に納める前にしておく儀式をご紹介します。
危篤、臨終
医師が臨終を宣告すると、病院のスタッフが病室から出ていく時間があります。その間に遺族は故人と最期のお別れをします。この時、「末期の水」という儀式を行います。故人があの世にいってものどが渇かないように、という願いから行う儀式で、臨終に立ち会った遺族が湿らせた脱脂綿などを故人の唇にそっと押しあてます。
その後看護師が清拭をして故人を清める「エンジェルケア」をしてくれ、医師が書いた死亡診断書を受け取ります。死亡診断書は後々手続きに必要になるのでなくさないように注意して管理しておいてください。
遺体搬送
故人を病院から自宅や葬儀社の霊安室に運びます。遺体搬送用の車があるので、葬儀社や病院に紹介してもらいましょう。車は故人を乗せて安置の場に向かいます。
故人の安置
故人を納棺まで寝かせておくことを安置といいます。自宅に搬送したのであれば、北枕にした布団で休んでもらいます。
納棺までに行う儀式
納棺までに故人には「清拭・湯灌」、「着替え」、「死化粧」の儀式が行われます。清拭・湯灌はエンジェルケアの一環として病院で行っていることが多いですが、清拭・湯灌を安置場所で行うなら、業者の湯灌用の道具で行います。
着替えは白い浴衣か、故人が好んで着ていた服に着替えさせます。死化粧は、うっすらとメイクをし、髪を整え、男性ならばヒゲを剃り、生前の雰囲気に少しでも近づくように仕上げます。
枕飾り
本式の祭壇ができるまで、慰問客が手を合わせるための小さな仮り祭壇とも言える枕飾りをしつらえます。小さめの台に香炉、線香、燭台、お鈴を置き、しきみなどを花立てに供えます。置くものや大きさなどは宗教や宗派で違うので、葬儀社の指示を仰ぐとよいでしょう。
納棺から火葬まで
納棺、通夜、葬儀、火葬と、いよいよ故人とのお別れの時がやってきます。喪主の務めも佳境を迎えます。
納棺
清拭や湯灌で清めた故人を「死装束」に着替えさせます。亡くなると体を扱うのが難しくなるので、納棺師に手伝ってもらい、棺に納めます。遺族は合掌して棺を閉めます。
通夜
帰依しているお寺があれば、連絡を取り、お経をあげてもらいます。特に懇意にしている寺がなければ、葬儀社に頼めば手配してくれます。お経の間、参列者は順次焼香を行います。読経が終わり、焼香が終わったら、喪主は挨拶をし、参列者に通夜ぶるまいの案内をします。
葬儀
僧侶にお経をあげてもらい、焼香を行います。焼香が終わったら、家族は故人と最期のお別れをし、棺が閉められ、出棺します。
火葬
火葬場に行き、故人を火葬します。火葬中、参列者は待合室で終わるのを待ちますが、火葬中に「精進落とし」をふるまうこともあります。火葬が終わったら、遺骨を骨壺に納めます。
喪主の決め方
配偶者がいれば配偶者に、いない場合は故人ともっとも縁がある人が務めます。喪主の序列は配偶者、長男、直系男子、長女、直系女子の順になります。喪主はできるだけ早めに決めておきましょう。僧侶や葬儀社との打ち合わせなど、代表者がいないと話がまとまりません。
挨拶のタイミング
通夜から葬儀、火葬までの間、喪主は遺族を代表して要所要所で何度か挨拶をします。大勢の人の前で話すのですから、誰もが緊張するものです。
喪主挨拶
喪主が決まったら、喪主は施主側の代表となります。大小合わせてやらなければならないことがたくさんありますが、通夜から火葬までの流れの中で、何度かある喪主挨拶も考えておきます。ここからは、喪主挨拶について掘り下げていきます。
一般的な葬儀の場合
喪主挨拶は、通夜から精進落としの閉会まで、少なくとも5回あります。通夜終了、通夜ぶるまい終了、出棺、精進落とし開会、精進落とし閉会の5回です。挨拶文を5パターン作らなければなりません。文章が得意でない人なら苦労されるでしょう。のちに文例をあげますので、参考にしてみてください。
家族葬の場合
身内だけで見送る場合は家族葬を行います。親、配偶者、子どもなどごく親しい家族だけで行う場合と、親戚や故人と親しかった友人などにも知らせて参列してもらう場合とあります。喪主挨拶は前者の場合は必要ありませんが、後者の場合は通夜終了時と出棺時に喪主が挨拶を行います。
挨拶のコツ・マナー
通夜や葬儀の要所で喪主が会葬者に挨拶を行います。大勢の人の前で立って話をするのですから緊張もするでしょう。ご紹介するコツとマナーを参考にして緊張を緩めましょう。
3分以内で感謝を伝える
何より大切なのは、故人が生前お世話になったお礼、参列のお礼を伝えることです。速くしゃべれなくても大丈夫なので、ゆっくりと自分のペースで話しましょう。不安ならカンペを見ながら話しても構いません。話す時間ですが、聞いている方は長く感じるものなので、長くても3分以内にまとめます。
忌み言葉に気を付ける
結婚式のスピーチなどでも忌み言葉がありますが、不幸の際にも忌み言葉は禁句です。忌み言葉は言い換えて原稿を作りましょう。
不幸が重なる忌み言葉
「ますます」「いろいろ」「くれぐれも」「皆々様」「再び」など、同じ言葉を繰り返してはいけません。不幸が繰り返しやってこないよう、重ね言葉は使わないようにしましょう。
生死についてのあからさまの忌み言葉
「死亡」「急死」「生存」「生きる」「死ぬ」というような生死の直接的な表現は使えません。「死亡」は「逝去」、「急死」は「突然の事」、「生存中は」は「生前は」と、それぞれ言い換えます。
喪主挨拶の例文
これまで解説してきたことを頭に入れて原稿を書きましょう。挨拶するタイミングやポイント、例文をご紹介します。
通夜終了
僧侶がお経をあげて退席し、参列者の焼香も終わったら通夜終了となります。このあとは通夜ぶるまいに移ります。
ポイント
慰問に来てくださった皆様に向けて、簡単な挨拶をします。この後の通夜ぶるまいのことを案内して締めくくります。
例文
私は〇〇の息子の□□と申します。遺族を代表して故人〇〇の通夜式に参列していただきました皆様に一言御礼申し上げたいと存じます。大勢お集まりいただいて、故人もさぞ喜んでいることと存じます。故人に代わって皆様に深く御礼申し上げます。
明日の葬儀につきましては、△△時からXX寺で執り行う予定でございます。なお、ささやかではございますが、皆様への御礼として、酒宴を用意してございます。ご都合のよろしい方はぜひ故人との思い出など伺いたいと存じます。本日は誠にありがとうございました。
通夜ぶるまい終了
通夜ぶるまいは通常1、2時間程度で終わらせます。翌日は葬儀ですし、お酒が深くなって場が乱れる前に切り上げましょう。
ポイント
「乾杯」「お開き」は祝宴の時に使う言葉なので、挨拶の中で使うのは禁止です。「乾杯」の代わりに「献杯」を使います。
例文
皆様、大変お忙しい中、亡き母のためにご参集いただき、誠にありがとう存じます。母も皆様にお会いできて、さぞかし喜び、感謝していることでしょう。明日の葬儀は△△時から××寺にて執り行う予定でございますので、どうぞよろしくお願いいたします。本日は誠にありがとうございました。
出棺時
葬儀の終了後、霊柩車の中に棺を入れ、火葬場への出発の間際に、参列者全員に向けて挨拶をします。喪主と遺族は横並びになり、故人の位牌や遺影を参列者に向けて立ちます。
ポイント
火葬に立ち会うのは通常親族なので、故人の友人・知人はここが故人と最後のお別れの場となります。お世話になった参列者への感謝の言葉を中心に挨拶します。
例文
遺族を代表いたしまして、皆様に一言ご挨拶申し上げます。私は故人〇〇子の夫の□□でございます。本日はお忙しいところ、ご参列いただきまして〇〇子も喜んでいることと存じます。生前お世話になった方々、また、本日参列いただいた皆様に〇〇子に代わり厚く御礼申し上げます。
〇〇子は、パートで仕事をしながら家庭のこともこなしてくれ、二人の子供も順調に育ち、今では二人とも人の親となっております。これまでの〇〇子がいかに家庭や家族を支えてきたか、そして私どもがいかに〇〇子を頼っていたか、〇〇子が逝去してしたたかに思い知らされました。
私どもは〇〇子がいない現実を受け止め、前を向いて歩かなければなりません。今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。皆様にはお忙しい中、ご参集いただきまことにありがとうございます。故人とともに御礼申し上げます。
精進落とし開会
「精進落とし」とは、火葬場から葬儀場へ戻ったあと、僧侶や親族にふるまう食事とお酒のことをいいます。地域によっては火葬を待つ間の1~2時間、控室で精進落としをすることもあります。
ポイント
精進落としに招待するのは親族と僧侶です。無事に葬儀を終えられたことに対する感謝の気持ちを述べましょう。挨拶が終わったら、精進落としの始まりです。「乾杯」は祝宴のときに使う言葉なので、「献杯」と言って、周囲も静かに唱和します。
例文
皆様、本日は誠にありがとうございました。皆様のあたたかいお心により、葬儀をつつがなく終えることができました。改めて御礼申し上げます。ささやかではございますが、精進落としの御膳の準備が整いましたので、お時間の許す限りおくつろぎいただければ幸いです。本日はありがとうございました。
精進落とし閉会
精進落としの締めの挨拶をします。挨拶がないとだらだらと飲み続ける人もいるので、会食の終わりをきちんと告げます。
ポイント
つい「お開き」を使ってしまいそうですが、「乾杯」と同じく祝宴の時に使う言葉なので使ってはいけません。
例文
本日は亡き〇〇子のためにお忙しい中お時間をいただき誠にありがとうございました。もうしばらくおくつろぎいただきたいところですが、お時間となりました。皆様のあたたかいお気持ちが、我が身に深く染み入っております。〇〇子の面影と皆様のお気持ちを胸に、これからも生きて参ろうと思います。皆様、本日は最後まで本当にありがとうございました。
家族葬の場合
通夜終了時と出棺時に喪主が挨拶を行います。挨拶に対しては諸説あり、通夜終了・通夜ぶるまいの前後・葬儀の最後・精進落とし前後、の6回とする説もありますが、今回は通夜終了と出棺時の2回とする説の文例をご紹介します。
通夜終了時
参列者全員の焼香が終わり、僧侶の読経も終わったら、通夜は終了です。ここで参列者へ挨拶を行います。
ポイント
参列への感謝を述べ、通夜ぶるまいへの案内と、翌日の葬儀についての案内も織り込んだ挨拶とします。
例文
本日はお忙しい中、亡き〇〇への通夜にご参列いただきまして誠にありがとうございました。故人も、生前お世話になった皆様にお会いできてさぞ喜んでいることと存じます。皆様のご厚情に感謝し、別室にささやかながら食事を用意しておりますので、ぜひとも故人とのエピソードなどをお聞かせください。
なお、〇〇の葬儀は××寺で□□時から葬儀を執り行う予定でございます。よろしければご参列ください。本日は誠にありがとうございました。
出棺前
家族葬は遺族と親族だけなので、みんな火葬場に行くことになります。出棺前の挨拶は省略されることも多いです。
ポイント
参列および故人が生前お世話になったことに感謝し、今後のお付き合いもお願いする旨を伝えます。
例文
本日はお忙しいところご会葬、ご焼香を賜りまして誠にありがとうございました。故人に成り代わりまして御礼申し上げます。皆様のお力添えで昨夜の通夜から本日の葬儀までとどこおりなく執り行うことができました。
これからは母とともに支え合い、前向きに生きていきたいと存じます。至らぬところも多分にございますので、ご指導ご鞭撻のほどいただければ幸いです。簡単ではございますが、このご挨拶をもって、ご会葬の皆様への御礼といたしたく存じます。本日は誠にありがとうございました。
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臨終から火葬までの流れ、喪主挨拶のタイミングとポイント、文例、忌み言葉などをご紹介しました。喪主を人生のうち何回も務める人はあまりおらず、すべて初めてのことなので面食らうことでしょう。普段から多少でも葬儀の知識を頭に入れておくと、落ち着いて対処できるので、よい挨拶ができるようこの記事も役立ててください。
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