カトリック葬儀の流れとは?マナーや費用などについても解説
公開日 : 2020/7/31
更新日 : 2020/9/10
日本でカトリックの葬儀に参列する機会は少ないかもしれません。ですが、いざカトリックの葬儀に参加しなければならなくなった場合、流れやマナーを知らないと恥ずかしい思いをしてしまいます。そこで具体的な流れやマナーについて解説します。
公開日 : 2020/7/31
更新日 : 2020/9/10
目次
カトリックの葬儀の流れ
日本でカトリックの葬儀に参列する機会は、決して多くありません。そのため、いざカトリック式の葬儀に参列しなければならなくなった時、流れがわからなくて慌てることがあるでしょう。 そこで、カトリック葬儀の一般的な流れについて紹介します。流れを知っておくと慌てなくて済みますから、ぜひ参考にしてください。
終油(塗油)の秘跡
カトリックでは、臨終を迎える前から神父に立ち会ってもらいます。ここからすでに葬儀は始まっているのです。
カトリックの葬儀に、生きている間に犯した罪を神様に許してもらうという儀式があります。それが「終油の秘跡」または「塗油の秘跡」と呼ばれている儀式です。
具体的には、臨終を迎えようとしている人の額に聖油を塗ります。生きている間に犯した罪の赦しを請うとともに、安らかな旅立ちができるようにという願いも込めて、神父が額に聖油を塗ります。
聖体拝領~臨終の祈り
故人となる人が臨終を迎えた後は、聖体拝領という儀式を行ないます。具体的には神父が遺族にパンとワインを与えます。この行為はキリスト教の聖書に描かれている最後の晩餐に基づいています。
聖体拝領が終わると、神父が臨終の祈りを捧げます。ここまでが故人の自宅で行なわれる儀式です。臨終の祈りが捧げられるまで、故人の遺体を移動させることはできません。
納棺式
ご遺体が教会に運び込まれた後、水でご遺体が清められ、棺に納められます。ここまでの一連の作業が納棺式です。
納棺式が行なわれた後は、棺の中を生花で埋め尽くします。この時、主に使用されるのは真っ白の生花です。真っ白の生花には浄化や純潔という意味があります。故人の遺体を浄化するとともに、純粋な状態で天に召されるようにという願いも込められているのです。
通夜の祈り(集い)
納棺式が終わると、次に通夜の祈りが行なわれます。通夜に遺族や故人と親しかった人が集まるところから、「通夜の集い」という呼ばれ方をする場合もあります。
具体的には神父と共に聖歌を歌います。その後、神父が聖書を朗読します。神父によってはその後、お説教が行なわれることもあります。
その後、通夜の祈りに参列した一同で祈りを捧げ、献花を行ないます。献花は仏教でのお焼香のようなものだと考えると良いでしょう。最後に遺族の代表者が挨拶をして終了です。
ここまでが仏教でのお通夜にあたります。
葬儀
ここからは葬儀になります。通夜の祈りからは一夜明けていますから注意してください。カトリックの葬儀の本番はここからと言っても良いでしょう。
カトリックの葬儀はまず入堂聖歌から始まります。参列者が聖歌を斉唱し、その中を神父とご遺族と棺が入場します。教会によっては、聖歌隊が入堂聖歌を歌うケースもあります。
棺が安置されると神父が聖水をかけ、開式が宣言されます。開式の挨拶は遺族の代表者ではなく、神父が行ないます。
挨拶が終わると、葬儀のミサの始まりです。まず言葉の典礼という儀式が行なわれます。具体的には神父が聖書朗読をし、その後お説教が行ないます。
次に感謝の典礼が執り行なわれます。遺族が祭壇にパンとワインを捧げ、それを神父が参列者に配るという儀式です。
告別式
次に行われるのが告別式です。葬儀の時と同様に、入堂聖歌が歌われ、その中を神父と遺族が告別式会場に入場します。
神父と遺族が告別式会場に入場した後、参列者全員で聖歌を歌います。この時主に歌われるのはレクイエムです。その後、告別式が開始されます。
最初に故人の生前の活躍などが紹介されます。教会との関係や信仰の経歴などは必ず盛り込まれます。また、信者として特徴的なエピソードがある場合は、それも語られます。故人の生前についての話が終了すると、弔辞や弔電が読み上げられます。
出棺式
告別式が終われば、次は出棺式です。出棺式でメインとも言えるのが献花です。献花には順番と手順があります。まず献花は喪主から始まり、遺族や親戚を経てその他の参列者という順番です。
自分の順番が回ってきたら、祭壇に向かって進みます。途中で係の人が花を渡してくれるので受け取りましょう。受け取る時、花の部分を右手の側にし、右手は上を左手は下を向けます。
祭壇に一礼した後、献花台に花をお供えします。この時、花を回して茎の方を祭壇側にしてお供えしましょう。最後に黙とうして遺族に一礼し、自分の席に戻ります。
火葬(土葬)
キリスト教での基本的な埋葬方法は土葬です。ですが、日本では法律で土葬が禁止されています。そのため、日本では火葬を行なって埋葬します。
火葬場での作法については、仏教と同じです。ご遺体が焼かれた後、骨壺に収骨します。骨壺は白木の箱に納められます。この箱には黒の十字架が描かれている場合が多く見られます。
カトリック葬儀でのマナー
カトリックの葬儀は仏教の葬儀とは意味合いが違います。そのため、一般的とされているマナーについても注意が必要です。 カトリックの葬儀に参列する際、特に気をつけておきたいマナーについてご紹介します。具体的な内容も解説しますので、参考にしてください。
服装
男性の服装は、黒のジャケットとズボンが一般的なルールです。ネクタイも黒で統一し、靴も黒を履きましょう。黒がないからと言って濃紺や濃い茶色はNGです。必ず黒を着用することがルールですから注意してください。
女性の場合は黒のワンピースを着用します。ストッキングや靴も黒です。どうしても寒い場合はタイツでも良いという例外はあります。ですが、基本的にはストッキングが一般的なルールですので注意してください。
もし、トークハットを着用する場合は、手袋の着用が必須です。ただし、カトリックの葬儀でトークハットと手袋を着用するのは、喪主や遺族のみとされています。一般参列者の場合は着用は控えた方が良いでしょう。
お悔やみの言葉は言わない
仏式の葬儀では、遺族にお悔やみの言葉をかけます。日本での葬儀は仏式が大変多いため、カトリックの葬儀でも遺族にお悔やみの言葉をかけたくなります。ですが、これはNGです。
カトリックでの葬儀は仏式の葬儀とは異なり、悲しいことではありますが、不幸なことではありません。むしろ故人にとっては俗世から離れて神様のもとへ旅立ったという考えから、大変喜ばしいこととして捉えられています。
遺族に言葉をかけるのなら、「この度はお知らせを頂き、誠にありがとうございます」としましょう。また、「安らかな眠りを心よりお祈りいたします」としても良いでしょう。悲しみを伝えるような言葉は控えるのが一般的です。
「御香典」や「御仏前」はNG
仏式の葬儀では「御香典」や「御仏前」などと書いてお金を包みます。カトリックの葬儀でもお金を包みますが、「御香典」や「御仏前」とは書きません。「御花料」としてお金を包みます。
御花料の一般的な相場はある故人との関係性や年齢によってある程度決まっています。故人との関係が両親の場合は5~10万円、兄弟姉妹や配偶者の場合は3~5万円が相場です。また、祖父母やいとこなどの親戚の場合は1~3万円と言われています。
その他に、ご近所の場合は3,000~1万円、会社関係者や友人関係の場合は5,000~1万円が相場とされています。更に嫁の実家や娘の嫁ぎ先の場合は、3~5万円が相場です。
カトリック葬儀の費用
カトリックの葬儀に参列した場合を想定して、順序やマナーなどについて解説してきました。ですが、実際のカトリックの葬儀ではどれくらいの費用が必要なのか、気になる人もいるでしょう。 そこで、カトリックの葬儀の中でも家族葬の場合と一般葬の場合の2つに分けて、それぞれ解説します。
家族葬の場合
カトリックの葬儀での家族葬とは、故人の家族はもちろん、大変親しい友人や知人だけで執り行なう葬儀のことです。仏式の家族葬と同じと考えると良いでしょう。
カトリックの葬儀での家族葬は、参列する人数が少なくなるため、規模も当然小さくなります。規模が小さくなれば当然費用も少なくなり、20~50万円が相場とされています。
仏式での家族葬の場合の一般的な相場は、50~100万円と言われています。同じ家族葬でも仏式よりもカトリックの葬儀の方が費用負担は大変少ないと言えます。
一般葬の場合
カトリック葬儀の一般葬とは、一番最初の手順で紹介した葬儀のことです。「終油の秘跡」から始まり、「火葬」までの一連の葬儀のことを指しています。
一般葬の場合は規模も大きくなり、参列者も多くなります。すると必然的にかかる費用も多くなり、50~100万円が相場とされています。100万円以上かかる場合もありますが、それは条件などにこだわった結果で生じる費用がほとんどです。
ちなみに仏式で執り行なった場合の一般葬は、190万円前後が相場と言われています。カトリックの葬儀は一般葬でも仏式に比べると大変安いと言えます。
カトリック葬儀は不幸ではなく祝福
カトリックの葬儀は仏式の葬儀とは異なり、不幸な出来事ではありません。悲しいことではありますが、故人にとっては祝福の意味も含まれています。そのことを念頭において、カトリックの葬儀に参列してください。
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