お墓参りにはどんなお花がいいの?選ぶポイントやタブーについて解説
公開日 : 2020/7/16
更新日 : 2020/9/9
お墓参りに必ず持参するのがお花です。霊園に行くと、色とりどりのお花がお供えされているのもよく見かけます。お墓参りにはどんなお花が良いのでしょうか?お墓参り用のお花を選ぶ際のポイントはもちろん、タブーや疑問点についても解説します。
公開日 : 2020/7/16
更新日 : 2020/9/9
目次
お花を供える意味とは?
お墓参りに行く時、必ず多くの人たちが持参するのがお花です。どうしてお墓参りの際にはお花をお供えするのでしょうか。 お花を供える意味や由来について調べましたので、ご紹介します。
動物除けのため
現在、日本で執り行なわれているほとんどの葬儀は火葬です。ごく一部の地域では土葬の習慣が残っていますが、土葬で葬儀を行なう場合は役所で許可証を発行してもらわなければいけません。
ですが、火葬での葬儀が義務付けられるようになったのは1970年代になってからです。それまでは、日本全国各地で土葬での葬儀が行なわれていました。
土葬とは文字通り、亡くなった人のご遺体を土に埋める方法です。昔は土葬をすることで亡くなった人が土に還り、再びこの世に舞い戻ってくると考えられていました。また、死んでから焼かれるのは怖い、と考えた人も多かったようです。
土葬にすると、その遺体を狙ってさまざまな野生動物が集まってくるというデメリットがありました。そのような動物から遺体を守るため、土葬されたお墓の周りに毒性のある「樒(しきみ)」という植物をお供えします。
これがお墓参りの際にお花をお供えするという習慣が生まれた最初だと言われています。
お釈迦様が起源という説
お墓にお花をお供えするようになったとされる由来には複数の説があります。お釈迦様が起源になっているという説も、そんな由来の一つとされています。
その昔、当時若かったお釈迦様は仏の道を極めるため、熱心に修行をされていました。毎日熱心に修行をするお釈迦様をご覧になった仏様はたいそう感心され、お釈迦様の前に降り立ちました。
当時のお釈迦様にとって仏様は、空に浮かぶ雲ほど遠くて尊い存在です。そのような方が自分の目の前に現れたことを大変嬉しく思うと同時に、恐縮されました。
喜びの気持ちと尊敬の念を示すため、お釈迦様は仏様に何か差し上げたいと考えます。ですが、毎日熱心に修行をしていたお釈迦様には仏様に差し上げるものが何もありません。
その時、お釈迦様は近くに咲いていた美しい花に目をとめます。お釈迦様はその美しい花を摘み、目の前に現れた仏様にお供えしました。
これが、お墓にお花を供えるという習慣の始まりだと言われています。
故人の食べ物
亡くなった人の魂は、すべてが天国に行くとは限りません。現世で悪事の限りを尽くした人は、亡くなった後は天国へ行かずに地獄へ行くというのが一般的な考え方です。
その地獄の中に、飢餓道というものがあります。飢餓道とは、お腹が空いているのに目の前にあるご飯が食べられず、終わりのない上に苦しむとされている地獄です。この地獄に落ちた魂は、いつもお腹を空かせた状態で苦しんでいます。
ただ、飢餓道に落ちた魂でも、唯一食べられるものがあります。それは、お供えされるお線香の煙とお花の香りです。遺族がお墓にお供えしてくれたお花の香りやお線香の煙だけは、食事の代わりに食べても良いとされています。
お墓にお花をお供えするのは、もしかしたら飢餓道に落ちてしまったかもしれない故人の魂の飢えを癒すためのもの、と言われています。生花をお供えすることで、故人の苦しみが和らぐと考えられているのです。
一般的なお墓参りのお花
お墓参りの際にはどのようなお花を用意すると良いのでしょう。まずは一般的なお墓参りで良いとされているお花についてご紹介します。
仏花として売られているお花
霊園の近くにあるお花屋さんなどでは、仏花という名前で売られています。また、スーパーや一般的なお花屋さんでも物価が売られていることが多くなりました。
仏花とは、お仏壇やお墓参りの際にお供えすることができる一般的なお花を一つにまとめた花束のようなものです。主に仏教で良いとされているお花が用いられています。お墓参りの際にはこの仏花を持参してお供えすると安全です。
特に霊園などの近くにあるお花屋さんでは、さまざまな種類の仏花をたくさん取り扱っています。お供えするお花に迷った場合は、霊園近くのお花屋さんで仏花を購入すると良いでしょう。
故人が好きだったお花
最近は、故人が好きだったお花をお墓参りの際にお供えするという人も増えてきています。中には、故人が生前育てていた花をお墓参りの時にお供えする人もいるようです。
仏花として売られているお花は、どちらかと言うと地味です。華やかな花を使用していないため、見た目が寂しいと感じる人も多くいます。また、いくつかの種類があってもどれも見た目が同じで、オリジナリティに欠けると感じる人もいるでしょう。
故人が好きだったお花をお墓参りでお供えするのは、一般的にはマナー違反にならないとされています。見た目も華やかになりますから、特別に好きだったお花がある場合は、お墓参りでお供えすると良いでしょう。
季節のお花
お墓参りに訪れるタイミングは、月命日やお盆・お彼岸、年末年始などが挙げられます。これらは季節で見るとさまざまです。
そのため、季節のお花をお供えするという人も増えつつあります。お盆の時には春に満開になるお花をお供えし、お彼岸の際には秋を表すお花や植物をお供えします。
季節のお花をお墓参りの時にお供えすることで、亡くなった人や仏様にも季節を感じてもらおうという気持ちが込められています。また、季節のお花をお供えすることで、故人との思い出に浸る人も多いようです。
宗派別のお墓参りのお花
一般的なお墓参りの際にお供えするお花については解説してきました。ですが、宗派によってはお墓参りでお供えするお花に決まりがあるケースがあります。 そこで、次は宗派別でのお墓参りのお花についてご紹介します。
仏教の場合
仏教の場合、お墓参りでお供えするお花には特に決まりはないとされています。お花屋さんで売られている仏花は、仏教の儀式などで用いられることが多いお花を花束にしたものです。
仏教のお墓参りでは、お花をお供えすることそのものに意味があります。それは故人の苦しみや悲しみを癒すためであったり、仏様への尊敬の念を表すものであったりします。
故人や仏様を尊ぶ気持ちが何より大切ですから、お墓参りでお供えするお花に決まりはないのです。それよりも、心を込めてお花を選んでお供えすることが大切です。
神道の場合
神道の場合、お墓参りでお供えするお花は、榊や玉串と決まっています。これらは神道で神事を執り行なう際に用いられる植物です。
神道では、基本的にお花を使用しません。神道でのお墓参りも神事の一環として考えられています。そのため、おかま入りでお供えする場合もお花ではなく、榊や玉串とされているのです。
キリスト教の場合
キリスト教の場合、お墓にお供えするお花は白い花です。キリスト教において、白は「純粋」や「浄化」という意味があります。お墓に白い花をお供えすることで、亡くなった人の魂が穢れないようにという願いが込められています。
また、花の大きさも小さめのものが良いとされています。真っ白の大きなユリなどは、見た目が華やかすぎるため、お墓にお供えするお花としては良くないと考える人がいるのです。
ただ、最近は白い花なら良いとする人も増えつつあります。また、白い花が多く使われていれば、差し色程度に他の色の花が入っていても良いと考える人もいます。
キリスト教では、亡くなった人はこの世のしがらみから解放された素晴らしいことと考えています。祝福の気持ちが含まれていることもあるため、お墓参りでお供えするお花についても柔軟に考えられているのです。
お墓参りでタブーのお花
お墓参りでお花を用意する場合、一般的にタブーとされているお花があります。タブーのお花とされている理由についても解説しますので、参考にしてください。
匂いが強いお花
お墓参りでお供えするお花では、匂いが強いものはタブーとされています。最近は香りが強くなるように品種改良されたお花も多く売られています。そのようなお花はあまり良いとは言えません。
お花の香りは、亡くなった人の魂にとっての食事の代わりになると解説しました。それなら匂いが強いお花の方が良いと考える人もいるでしょう。
ですが、匂いが強いお花は、虫がたくさん寄って来るというデメリットがあります。仏教などのような精神世界でのお話ではなく、現実的なデメリットとしてタブーとされているのです。
蔓状のお花
お墓参りでお供えするお花の中では、蔓状のお花もタブーとされています。これは蔓状のお花をお供えすると、生きている人まで連れて行かれると考えられているからです。
蔓状の植物は、他の植物などに絡まって成長していきます。その姿が、亡くなった人が元気で生きている人にまとわりつくと連想させるのです。
また、蔓状の植物が亡くなった人の魂に絡まって苦しめる、という説もあります。安らかに眠ってもらいたいという思いとは正反対になるため、タブーとされています。
棘があるお花
棘があるお花も、お墓参りのお花としては不適切とされています。棘が地獄にある針山地獄を思わせるからです。
地獄には鋭い針が無数に伸びている針山地獄があります。棘がある花をお供えすることで、針山地獄で受ける苦痛を与えてしまうと考えられています。
お墓参りのお花の疑問
お墓参り用にお花を準備する時、さまざまな疑問を抱く人もいるでしょう。そのような疑問の中でも、特に多くの人たちを悩ませている疑問について解説します。
赤いお花
お墓参り用のお花として、最近では故人が好きだったお花をお供えする人も増えてきています。その場合、もし故人が好きだったお花が赤いお花だった場合は、どうすれば良いのでしょうか。
仏教では、四十九日を過ぎるまでは白いお花をお供えするのが一般的とされています。ですが、それを過ぎればどのようなお花を供えても問題ありません。もちろん、赤いお花をお供えしても良いのです。
ただ、地元の風習などで赤いお花がタブーとされているところもあります。お墓参りで赤いお花をお供えする場合は、地元の風習について確認した方が良いでしょう。
造花
お墓参りに訪れる時期は、いつも良い季節とは限りません。真夏の時もあるでしょう。真夏にお墓参りに訪れた場合、生花をお供えするとすぐに枯れてしまいます。そんな時、増加をお供えしても良いのかと考える人はかなり多くいます。
お墓参りでお供えするお花は、厳密に言えば生花でなければならないと決まりはありません。なので、造花をお供えしても問題ありません。
大切なのは、お花をお供えする時の気持ちです。故人や仏様を思う気持ちを持ってお供えすれば、造花をお供えしても失礼に当たりません。しっかり気持ちを込めてお供えしましょう。
お墓参りのお花は基本的には決まりがない
お墓参りのお花は、基本的に決まりがありません。それよりも重視されているのは、お花をお供えする時のその人の気持ちです。 ですが、宗派や地域によってはタブーとされているお花もあります。お墓参り用のお花を用意する際は、宗派や地域ごとのルールについても確認しておくと良いでしょう。
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