一周忌にはなにをする?法要のマナーや注意点をくわしく解説
公開日 : 2020/6/30
更新日 : 2020/9/9
年忌法要の中でも一周忌は節目の儀式といわれ、とくに重要視されています。一周忌を行うには、いったいどんな準備や心づもりが必要なのでしょうか。以下に一周忌の行い方や準備すべきこと、さらに参列者側のマナーについても解説していきます。
公開日 : 2020/6/30
更新日 : 2020/9/9
目次
一周忌とは?
一周忌は故人が亡くなってから1年後の命日を指します。故人が亡くなった日~一周忌までが喪の期間といわれており、親族は一周忌を済ませることで喪が明けます。そのため、喪中の間に控えていた正月行事や慶事は、一周忌を済ませると行うことができます。
このように一周忌は節目の日に当たるため、親族のほか、故人の知人や友人を招いて法事法要を行うのが一般的です。ここからは一周忌の行い方について、注意点やマナーをご紹介していきます。また参列者側のマナーについても触れていきます。
一周忌・一回忌・祥月命日のちがい
一周忌に加えて、「一回忌」や「祥月命日」といった言葉もよく耳にします。先に述べた通り、一周忌とは故人が亡くなった翌年の命日を指しますが、一回忌や祥月命日とは具体的にどのような日を指すのでしょうか。まずは、それぞれの違いについてご説明していきましょう。
一回忌
「一回忌」は「一周忌」とよく似た言葉ですが、意味はまったく異なります。一周忌が亡くなった翌年の命日を指すのに対し、一回忌は命日そのものを指します。こういった年忌法要では、亡くなった日を1年目として、数え年でかぞえていきます。
そのため亡くなった命日を一回忌と呼びます。翌年の命日は厳密には二回忌となりますが、二回忌とは言わずに「一周忌」と数えるのが一般的です。この「周忌」という呼び方は、一周忌にのみ適用されています。
祥月命日
祥月命日とは、故人が亡くなったのと同じ月日に当たる日です。たとえば1月30日に亡くなったのなら、翌年からの毎年1月30日が祥月命日になります。ご存じの通り、翌年の祥月命日は「一周忌」に当たります。
一周忌の法要ってどんなもの?
一周忌には僧侶を招いて法要や法事を行うのが一般的です。一周忌は遺族の喪が明ける日でもあり、また故人の魂が極楽に行くために重要な日でもあります。故人の魂は死後、あの世で裁判を受けて転生先が決まりますが、一周忌にはふたたび死後の裁判が開始されます。
この日に合わせて遺族が功徳を積むと、たとえ地獄に落ちた魂でも、許されて極楽に行くことができます。そのため現世の人々は、故人の冥福のための法要を執り行うのです。ちなみに、こういった故人の供養のために行う行事を「追善供養」と呼びます。
納骨を行うことも
一般的な納骨は四十九日に行うものですが、一周忌にあわせて納骨を行うこともあります。たとえば悲しみが深く、四十九日後も遺骨を手元に置いておきたい場合などが考えられます。納骨を行う日に決まりはありませんが、気持ちに区切りをつける意味で、喪が明ける一周忌に納骨を行うのも1つの方法です。
一周忌の次に行う法要は?
一周忌の次に行う追善供養は三回忌です。三回忌は故人が亡くなった日の2年後、数えで3年目に行う行事です。つまり一周忌の翌年の祥月命日が三回忌に当たります。これらの法要はあわせて「年忌法要」と呼ばれます。
三回忌の次は七回忌・十三回忌・十七回忌・二十三回忌・二十七回忌・三十三回忌・五十回忌となりますが、地域や宗派によっては増減することもあります。三十三回忌か五十回忌を区切りとして「弔いあげ」としますが、こちらも場合によっては百回忌まで行うことがあります。
一周忌法要の準備方法
一周忌をつつがなく執り行うためには、事前の準備をしっかりしておくことが大切です。一周忌の準備の方法について、大まかな流れをご紹介してみましょう。
日程・会場を決める
まずは法要を行う日取りを決めます。一周忌は翌年の祥月命日に行うのが望ましいですが、参列者のスケジュールの都合がつきにくいなどの理由から、直近の休日に執り行うケースが多いです。このとき、法要は祥月命日を過ぎてはいけません。
一周忌は祥月命日におこなれるあの世での裁判のために行うものですから、その日に間に合うように供養を行いましょう。日取りが決まったら、法要を行う場所を決めます。法要は菩提寺や寺院で行うのが一般的ですが、葬祭会館などを利用してもかまいません。
直前になると会場が押さえられないなどのトラブルが発生する場合があります。日取りの決定や会場の手配はなるべく早めに、法要の2カ月前をめどに行いましょう。
僧侶の手配
日程や場所が決まったら、僧侶に一周忌の依頼を行います。菩提寺の僧侶に依頼するのが一般的ですが、菩提寺がない場合は最寄りの寺院や、葬儀を依頼した葬儀社に相談してみるとよいでしょう。一周忌に僧侶をお招きするのは、故人にお経をあげていただくためです。
お布施の準備
あわせて僧侶にお渡しする謝礼も準備しておきましょう。一周忌の謝礼は「お布施」として3~5万円ほど包みます。もし納骨まで行うのなら、1~5万円ほど多く一緒に包んでください。お布施の金額は地域やお寺によってさまざまですので、もし目妥当な金額が分からなければお寺に直接尋ねてもかまいません。
もし僧侶を自宅や葬祭会館などに招く場合は、お布施とは別に「御車代」を5000~1万円ほど包みます。お金は白無地の封筒に包み、表書きはそれぞれ「お布施」「御車代」とします。法要後の会食を断られた場合は、同様に「御膳代」として5000~1万円ほど包みます。
案内状の送付
一周忌の日程や場所が決まったら、招待したい方々に案内状を送付します。急な案内では相手に迷惑がかかりますので、遅くとも法要の1カ月前には相手の手元に届くようにしましょう。また出欠の返事を受けてから準備すべきこともありますので、できれば2カ月~1カ月半前くらいまでに出すの理想的です。
案内状は返信用のはがきと一緒に封筒で出すか、往復はがきを使います。また、一周忌は葬儀や四十九日と異なり、近親者のみで故人を偲ぶ傾向が強いです。一周忌にお招きする範囲は、血縁者や生前に交流のあった親族、また故人ととくに親しかった友人知人が一般的です。家族のみでごく小規模に行うこともあります。
香典返し・引き出物の準備
一周忌では参列者に引き出物を渡すのが一般的です。引き出物には、参列者が持参する香典返のお返しの意味と、参列していただいたことへのお礼が込められています。そのため、別に香典返しを用意する必要はありません。もし高額な香典返しを頂いたのなら、後日別の形でお礼をするとよいでしょう。
金額の相場は香典の3分の1~半分が相場です。一周忌の香典の相場が1万円なので、3000円~5000円程度の品を用意しましょう。消えものを選ぶのが一般的で、お茶やお菓子などの詰め合わせのほか、洗剤、タオル類がよく利用されています。
会食場の手配
一周忌法要が終わると、僧侶を含めた参列者全員で会食を行うのが一般的です。ちなみに儀式だけを行う場合が「法要」といい、法要後に会食を行う場合を「法事」といいます。出欠の返事が出そろったら、会食を行うレストランや料理の手配をしましょう。自宅での法事なら、手料理をふるまったり、仕出し料理を頼んだりすることもあります。
そのほかに準備しておくべきもの
一周忌法要には数珠や位牌を準備しておきます。遺影を持参することもあります。とくに自宅以外に出向いて法要を行うときは、位牌を忘れないようにしましょう。位牌は葬儀・四十九日までは白木位牌を用いていますが、四十九日が済むと本位牌にきりかえます。一周忌にはこの本位牌を持参しましょう。
一周忌当日の流れ
・僧侶を迎える
・施主からの挨拶
・読経
・焼香
・施主からの挨拶
・会食
一周忌当日の大まかな流れは以上のようなものです。納骨を行う場合は、会食の前に納骨式を行います。
焼香の順番
焼香は施主から始まり、故人とより近しい親族から順に、最後は友人知人の順番になります。場合によっては席順に行うこともありますので、案内や当日の流れを見ながら臨機応変に対応してください。
施主の挨拶
身内以外の参列者を招く場合は、施主からの挨拶を行うのが礼儀です。もし家族や親しい親族だけで行うのなら、挨拶は省略されることもあります。施主からの挨拶を行うのは「法要の前後」「会食の前後」の4回のタイミングですが、厳密な決まりはありません。
挨拶では、わざわざ足を運んでいただいたことへのお礼や、一周忌を無事に行うことができるという報告などを述べます。
一周忌の服装のマナー
一周忌では、親族は喪服を着用します。一方参列者は、略式の礼服や、グレー・茶等の地味なスーツの着用で構いません。女性なら同じく地味な色合いのワンピースなどを着用します。
ごく親しい人だけで行う場合は、平服が指定されることもあります。その場合もなるべく地味な色合いの服装にし、装飾過多なものや肌の露出がはげしい服装は避けましょう。
一周忌に参列する際の香典のマナー
参列者は一周忌には香典かお供え物を持参するのが一般的です。どちらか一方でかまいませんが、香典を持参する場合が多いようです。もし香典不要とあらかじめ断られた場合は、何も持参しなくてもかまいませんが、気になるようならお供え物を持っていくとよいでしょう。
香典
一周忌では香典とはいわず「御仏前」「御供物料」といった表書きを用います。金額の相場は5000~1万円が相場ですが、会食代を5000円程度上乗せして包む場合もあります。
葬儀の時と同じく、白黒や双銀の水引のついた不祝儀袋を使うのが一般的ですが、一周忌の香典では薄墨ではなく通常の濃さの墨を用います。また新札も使用できますが、気になるようなら折り目をつけて使用しましょう。
お供え物のマナー
お供え物は線香や花、ろうそくのほか、故人が生前好んでいたお菓子やお酒などがよく選ばれます。あまり重たいものやかさばるものは、遺族が持ち帰るときに大変ですので、注意しましょう。また殺生を連想させる肉や魚といったお供え物は、いくら故人が好きだったとはいえ不敵です。
一周忌は、故人の死を悲しむより、故人を偲ぶ目的がつよい行事です。そのため明るい色のお花などが好まれます。故人が生前に好きだったお花を持参してもよいでしょう。ただし、毒を持つものや、あまりに香りが強いものは不敵です。
神道やキリスト教の一周忌とは
一周忌は仏教における法要ですが、神道やキリスト教にも一周忌に相当する儀式はあるのでしょうか。それぞれについてご説明します。
神道の場合
神道では故人の祥月命日に「式年祭」を行います。故人が亡くなった翌年の祥月命日には「一年祭」を行いますが、これが仏教の一周忌にあたります。一年祭のあとは二年祭・三年祭‣五年祭・十年祭とつづき、それ以後は10年ごとに死記念祭を行います。
キリスト教の場合
キリスト教はカトリックやプロテスタントでは細かいしきたりが異なりますが、祥月命日には「昇天記念日」として追悼ミサを行うのが一般的です。とくに1年後の追悼ミサは盛大に行うことが多く、その後は数年おきに行われます。
故人を偲ぶために行うもの
一周忌は故人が亡くなってから1年経ったことを自覚し、冥福を祈るとともに、自分の気持ちに区切りをつけるために行うものです。一周忌の行い方は家庭によって異なりますが、故人を偲ぶ気持ちをどうぞ忘れないでください。
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