葬儀のアクセサリーについて、マナーや選び方をご紹介します
公開日 : 2020/6/19
更新日 : 2020/9/7
葬儀の際には服装から持ち物、足元に至るまで、作法に従ってきちんとしたものを揃えなければなりません。アクセサリーに関しても同じことですが、そもそも葬儀にアクセサリーは必要なのでしょうか。葬儀のアクセサリーのマナーと、着ける際の選び方をご紹介します。
公開日 : 2020/6/19
更新日 : 2020/9/7
目次
葬儀のアクセサリーマナー、どれだけ知っていますか?
葬儀の際には服、バッグ、靴に至るまで全て黒で統一します。人によっては、黒づくめで寂しいのでアクセサリーを着けた方がいいのではと感じるかもしれません。また、親や年上の親戚に「大人になったら葬祭用に真珠の一揃いを準備するのがマナーである」と言われた方もいらっしゃるかもしれません。葬儀におけるアクセサリーの扱いは曖昧で、必要ないという方もいれば、マナーとして着けるべきという考え方の方もいらっしゃいます。
結論から言いますと、基本的には喪服にはアクセサリーは必要ありません。特に和装の場合は、結婚指輪以外のアクセサリーは着けてはいけません。和装の喪服を着る際には髪を結いあげますが、かんざしは着けず、目立たないようにピンでまとめます。帯留めもつけません。慎ましやかに故人様を見送るという葬儀の本質から外れないように気を付けなければなりません。
しかし、洋装の喪服の場合はアクセサリーを着けても構いません。これは洋装が、「アクセサリーを着けて初めて完成する」と考えられている服装だからです。地域や家柄によっては、むしろアクセサリーを着けるのが常識と考えている方もいらっしゃいます。親戚や地域の人がそのような考え方をしているなら、アクセサリーを着けた方が無難です。
ですが、例えアクセサリーを着けても構わない、もしくはむしろ着けるべきといいましても、どのようなアクセサリーでも良いわけではありません。今回の記事では、葬儀にふさわしいアクセサリーと、その選び方についてご紹介します。
このアクセサリーはOK?種類ごとにご紹介
葬儀のアクセサリーの基本は慎ましやかであるということ、フォーマルな場にふさわしいものであることです。光沢や飾りが多く華美なもの、カジュアル過ぎるものは葬儀には着けて行けません。それでは、どのようなアクセサリーなら葬儀に着けて行けるのでしょうか。アクセサリーの種類ごとにご紹介しましょう。
指輪
指輪は結婚指輪のみしても構いません。和服の場合も、結婚指輪なら身に着けたまま参列しても問題ありません。ただし、あまりに大きな宝石がついているもの、光沢のあるもの、ゴールドのものなど華美なものは、主催者や他の参列者に不快な印象を与えることがありますので、外した方が良いでしょう。
ネックレス
葬儀に着けていくアクセサリーの代表とも言えるものが真珠のネックレスです。ヨーロッパでは母から娘へ宝石を受け継ぐ文化があります。日本でも70年ほど前からその文化が取り入れられ、葬祭で使う真珠のネックレスとイヤリングの一揃いを代々受け継ぐ習慣を持つ家系もあります。
しかし、真珠のネックレスであれば何でも良いというわけではありません。まず、二連になっているものは葬儀にはふさわしくありません。「不幸が二重になる」ことを連想させてしまうからです。また、華美な印象を与えるロングネックレスも着けて行けません。喪服の襟ぐりからやや上に沿うような長さが理想的です。身長や喪服のデザインによって変わりますが、40センチくらいのものが良いでしょう。
葬儀のアクセサリーにふさわしい真珠の種類や形、また真珠以外で葬儀に着けて行ける宝石については、後ほど詳しくご紹介します。
ピアス・イヤリング
先ほどご紹介した通り、真珠のネックレスとイヤリングは葬祭にふさわしいものであると捉えられています。洋装であれば、真珠のイヤリングを着けて行っても構いません。
しかし、真珠のイヤリングでも、金の台がついているものや揺れるものは華美な印象を与えるため、葬儀にはふさわしくありません。台座に真珠が一粒だけ、直付けになっているものを選びましょう。
コサージュ・ブローチ
コサージュやブローチは、葬儀では身に着けません。たまに喪服を買うと黒のコサージュがついている場合がありますが、着けていかない方が無難です。ブローチも、たとえ真珠でも着けない方が良いでしょう。
ヘアーアクセサリー
質素でカジュアル過ぎないものなら洋装の喪服とあわせても構いません。例をあげると、黒く光沢のないリボン、バレッタ、シニオンなどは大丈夫です。シュシュやカチューシャはカジュアルなイメージがありますので、黒い地味な物であっても着けていかない方が良いでしょう。
タイピン
男性のおしゃれとして良く用いられるタイピンですが、基本的には葬儀には着けていかない方が良いでしょう。もしも着けていくのであれば、黒い光沢のないものや真珠が一粒だけついた葬儀用のものを選びましょう。
カフス
カフスは男性の袖口に着けるボタンのようなもので、タイピンと並んで男性のさりげないおしゃれとして使われています。葬儀の場合は夏でもブラックフォーマルのスーツを着ますので、カフスはあまり見えないかもしれません。しかし、だからと言って華美なカフスを着けていくと、袖口からのぞいた時に周りの人に違和感を抱かせてしまいます。カフスは外しておくか、光沢のない黒いものにしましょう。
葬儀用アクセサリーとしての真珠の選び方
真珠は葬儀に最もふさわしいジュエリーですが、真珠であれば何でも良いというわけではありません。大きさや形、種類によっては葬儀にそぐあわないものもあります。先ほどご紹介した通り、葬儀のアクセサリーは質素かつフォーマルであることが求められます。その決まりを念頭に置いて真珠を選ぶようにしましょう。
大きさと形
結婚式では大粒の真珠は華やかな雰囲気で良いですが、葬儀では派手過ぎるので良くありません。白い真珠なら6.5~8ミリ、黒やグレーなら9~11ミリのものが良いでしょう。長身の方はやや大粒のものを、小柄な方は小粒のものを選ぶとしっくりきます。
真珠の形はラウンド(真円)に限ります。真珠にはしずく型のドロップ、ゆがんだ形のバロックなどさまざまな形がありますが、ラウンド以外はカジュアルな印象を与えてしまうので葬儀にはふさわしくありません。
種類
一口に真珠と言ってもさまざまな種類があります。その中から主な種類とその特徴を、葬儀にふさわしいものとふさわしくないものに分けてご紹介します。
葬儀にふさわしい真珠
葬儀には主にアコヤ真珠と黒蝶真珠のアクセサリーが用いられます。アコヤ真珠は日本が初めて養殖に成功した真珠で、粒の大きさは1~10ミリ程度です。結婚式用に薄ピンク色などに染められたものがありますが、葬儀には白色のものを選びましょう。
黒蝶真珠は黒蝶貝という貝から取れる真珠で、粒は比較的大きく8~14ミリ程度です。色は黒もしくはグレーですが、ピーコックと呼ばれるブルーグリーンがかったものもあります。あまりにブルーグリーンが強いものや、光沢の強いものは避けましょう。
また、安価なものは筋状の線が入っていたり、形がゆがんでいたりしており、カジュアル感が強いので葬儀には着けていけません。
葬儀にふさわしくない真珠
同じ真珠でも、白蝶真珠や淡水パールは葬儀では避けた方が良いとされています。白蝶真珠は白蝶貝という貝から取れる真珠で、粒の大きさは8~16ミリ程度です。サイズが大きく真珠層が厚いので、光沢が強いものや色がついているように見えるものがあります。非常に華やかな印象のため、葬儀では避けましょう。
淡水パールは名前通り淡水から採れる真珠です。大きさは1~20ミリと幅があります。海水産のものと比べると安価で気軽に購入できますが、カジュアル感が強いために葬儀にはふさわしくありません。
人工真珠を葬儀に着けて行っても良い?
現在では天然の真珠に似せた人工真珠も出回っています。人工のものを葬儀に着けていくことに抵抗を覚える方もいらっしゃるかもしれませんが、今の人工真珠は上質なものを選べば輝きも美しく、いかにもイミテーションという感じはしません。安価で手入れがそれほど必要ないのが人工真珠の魅力です。予算や好みに応じて選ぶと良いでしょう。
葬儀に使えるジュエリー
真珠のように葬儀で着用するジュエリーをモーニングジュエリーといい、他にもさまざまな種類があります。もともと、葬儀の時に真珠を身につける文化もヨーロッパよりもたらされたものですが、他のモーニングジュエリーもだんだんと使われるようになっています。好みに合わせて選ぶと良いでしょう。
ジェット
ジェットは水中で化石化した樹木からできているジュエリーで、厳密に言うと宝石ではありません。しかしその柔らかで上品な光沢は宝石に負けないくらい美しく、また軽くて身に着けても疲れないのも魅力の一つです。19世紀後半、イギリスのヴィクトリア女王が夫であるアルバート公の喪に服す際に用いたことから、現代でもモーニングジュエリーとして人気があります。
オニキス
オニキスは瑪瑙の一種で、平行な縞がついているのが特徴です。その中でも黒いものをブラックオニキスといいますが、その黒色は天然ではなく、人工的に着色されたものがほとんどです。光沢が強いものが多いので、控えめに見えるよう、やや小粒のものを選ぶと良いでしょう。
黒曜石
黒曜石はガラス質の火山岩で、加工するとガラスのような美しい光沢を持ちます。紫外線や水に強い反面、衝撃には弱く割れやすいという欠点があります。割れると切断面がガラスのように鋭くなるので、手や服を切らないように気をつけましょう。
葬儀のアクセサリーについてまとめ
かつて、葬儀はしめやかに故人様をお見送りするものであり、アクセサリーのような装飾品は不要であるとされていました。しかし現在では洋装の喪服を着る方が多数派になり、アクセサリーを合わせることが常識であると考える方も増えています。地域や家系によって異なる部分もありますので、年長の親戚や近所の方に聞いてみるのも良いでしょう。
アクセサリーを着けるにせよ着けないにせよ、清楚で上品な装いや立ち居振る舞いをするよう意識して、故人様に哀悼と敬意を示しましょう。
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