葬儀に必要な御香料とは?相場やマナーについても解説します。
公開日 : 2020/6/16
更新日 : 2020/9/6
故人に対して供える金品である御香料。あまり耳にしない御香料とう言葉ですが、相場はどのくらいが一般的でしょうか。またマナーや御香料を渡すタイミングは、いつでしょうか。この記事では、葬儀に必要な御香料についてと、相場やマナーについて詳しく紹介致します。
公開日 : 2020/6/16
更新日 : 2020/9/6
目次
そもそも御香料とは?
葬儀で香典を持っていくと、御霊前や御仏前などの表書きをよく見かけます。しかし御香料という言葉を、聞いたことが少ない方も多いのではないでしょうか。御香料とは、いったいどのような意味合いがあるのでしょうか。
ここでは、御香料の意味や普通の香典との違い、マナーについて紹介を致します。
御香料を葬儀で渡す意味って?
御香料は葬儀で故人に対して御供えする品物や金品のことです。正確な言葉で伝えると、お香に代えるという意味があります。
葬儀のときに参列者が、各々の自宅から故人のために供えるためのお香を持参して、葬儀の場で故人に対して納めるという習わしがありました。御香料を金品という形で持参することになっても、昔の名残があって表書きとして使われています。
御香料と香典の違い
御香料と聞いて、香典とどんな違いがあるのか気になった方もいらっしゃるのではないでしょうか。ここでは、香料と香典の意味合いについて簡単に分かりやすく説明を致します。
香料
香料とは、四十九日以降の法要時に御仏前の名目で遺族にお渡しする金品もことです。成仏して仏になった期間が対象です。簡単にいうと、香料とは四十九日法要やそれ以降の回忌法要の際に遺族へお渡しする金品です。
香典
香典とは、葬儀の時に御霊前の名目で遺族へ金品を渡す名目のことです。仏教において人が亡くなると霊に代わり、四十九日後に成仏し、霊から仏に変わるという教えがあるのはご存知でしょうか。
ですので、香典はお通夜か葬儀の短い間に遺族へ渡す金品のことを言います。香料と違う部分はありますが、香典と香料に大きな違いはありませんので難しく考えなくても大丈夫です。
御香料という表書きが必要なのはいつ?
御香料にも、表書きは非常に重要な事柄の1つです。あまり聞かない名前のため、どんなときに使うかタイミングが分からないでしょう。ここでは御香料を使うときに最適なタイミングを紹介していきます。
仏式の香料袋の場合
仏式の香料袋に記載する表書きを使うのが一般的とされています。仏式であれば、どんな宗派の葬儀であってとしても使用することが可能です。
仏式葬儀で使われることが多い御霊前は、浄土真宗や曹洞州では使うことはできません。そもそも御霊前も、多くの宗派では使用されていません。もし遺族の仏教宗派が不明なときは、御香料を使用すると余計なトラブルを回避することができるでしょう。
御香料は葬儀以外でも、四十九日や一周忌の法事などでも使用可能です。仏式の儀式である限りは、使用可能な場面が多いといえるでしょう。
キリスト教や神式の香典とは
仏式において多く使うことができる御香料は、キリスト教や神式などの仏式以外の宗教では使用することはできません。御香料自体が、仏式葬儀に由来する表書きだからです。
キリスト教式や神式の場合は、御霊前が最も広く使われます。しかしキリスト教であるプロテスタントに関しては、御霊前を使用することに対し抵抗感を感じる方もいるので花料にした方が良いでしょう。
キリスト教や神式には、独特の表書きが存在します。キリスト教なら御ミサ料や弔慰金。神式なら御神饌料や御玉串料が一般的とされています。
表書きの墨はどうするべきか?
ここでは御香料の表書きを使用する場合に、墨の種類に気を付ける必要があります。葬儀で持っていき香典は、どの場合でも表書きは薄墨で記入するのが一般的なマナーです。
これは故人が亡くなったことに対して、追悼の意を示す理由があります。薄墨は普通の墨と比較すると水分が多めです。
香典・香料の表書きの書き方とは?
香典袋は不祝儀袋と呼ばれていますが、自身の名前だけを記入して渡すわけではありません。その場の状況に合った、表書きが必要です。また表書きは、宗教・宗派によって大きく変わってきます。
表書きの書き方とは、どのような書き方が正解なのでしょうか。ここでは、法事・法要毎に使い分けて解説を致します。
法事・法要の使い方に関して
法要には艶や告別式、初七日、四十九日などがあります。一周忌や三回忌は年回法要といいますが、法事と呼ばれているのが一般的です。ここでは、法要・法事での表書きについてを解説します。
葬儀
人が亡くなると霊に変わり、四十九日を迎えると成仏をして仏さまに変わるとされています。葬儀は故人が霊の期間に執り行われるので、香典の表書きは御霊前、もしくは御香典のどちらかを使用します。
初七日
初七日は、お亡くなりになってから七日目に執り行われる追善法要です。親族など身内で行われる法要なので、あまり馴染みがない方が多いかもしれません。近年では葬儀と同じ日に行われるケースも多くなっています。
同日でも、違う場で行うので香典が必要です。初七日の香典の表書きは御霊前か御香典のどちらかを記載する必要があります。
四十九日
四十九日は、故人の命日から数えて四十九日目に執り行う追善法要のことです。四十九日法要の場合は御仏前か御香料のどちらかを使用する必要があります。実際には、四十九日以前の土日などに法要を行うケースが多いです。
一周忌
一周期とは、故人が亡くなってから一年後の命日に家族や親戚、友人や知人を招待して執り行う行事のことです。法要に参列する阿合は香典を持っていく必要があります。
香典袋は御仏前か御香料の表書きにする必要がありますが、御霊前に関してはマナー違反のため注意が必要です。
三回忌
三回忌は命日から3年後に執り行われる、法事のことです。香典袋は御仏前か御香料の表書きにする必要があります。三回忌の場合は、故人がすでに成仏をして仏様であるため御霊前に関してマナー違反ですので注意してください。
御香料袋の正しい選び方
御香料に使うための袋は御香料袋と呼ばれています。この御香料袋は何でも良いという訳ではなく、選び方も非常に大切です。一般的に香典袋と同じように、不祝儀袋を選ぶので基本的に香典袋と同じものを選びましょう。
選ぶときは水引と呼ばれている、横方向に飾りが印字されているものです。黒白のタイプが一般的とされていますが、北陸や関西地方の場合は黄白のを選択するようにしましょう。
また結い方に関しても、結び切りのものを選んでください。両者は一度結ぶと簡単にほどくことが難しいので、不幸が重ならないようにする意味もあります。
また包む金額が、1万円以上の場合は水引が書かれた物ではなく無地のタイプに水引を掛けるようにしてください。その他に3万円を超えるケースは、双銀の水引を使うようにしましょう。
御香料のお札の入れ方とは
御香料袋に御香料を入れる場合にも、マナーはあります。気にしなくても良いのではと思われるかもしれませんが、しっかりとした意味合いもあるので覚えておきましょう。
中袋がない場合のお札の入れ方とは
御香料のお札の入れ方にも、マナーは存在します。袋が表に対して、お札を裏にして入れるのが一般的とされています。お札を裏にする理由は、香料はお悔やみという意味合いもあるので「顔」を伏せるということでもあります。
お札の上下に関しては、あまり気にする必要はありません。人物が描かれている側を下に向ける説と、人物の描かれている側を上にする説がありますが、基本的にはお札が裏を向いていれば大丈夫でしょう。
中袋がある場合のお札の入れ方とは
御香料袋には中袋が付いているのが一般的です。御香料を入れるときは、中袋に入れるのですが、このとき中袋の表に対してお札を裏側にして入れましょう。
中袋がない場合の注意点として、中袋には住所・氏名・金額を記入する項目があります。中袋に御香料を入れない場合は、香典袋に直接記入する必要がありますので、忘れないようにしてください。
中包み(奉書紙)への入れ方
御香料袋の種類によって、中袋が中包みになっている場合もあります。折り目に沿って御香料を入れるようにするのですが、中包みの表に対してお札は裏側になるように気を付けてください。中包みをたたむときに、最後に折りたたんだ紙を裏側にしましょう。
御香料袋の閉じ方・包み方
御香料袋の種類によっては、封筒タイプのものではなく一枚の和紙を使うタイプがあります。水引を折ったあとに結ぶタイプですが裏側の折り込み口には注意が必要です。
左右から折りこみ、最後に上下から抑えるようになっています。しかし御香料袋の場合は、折りこみ口を上から下にかぶせてから折ります。
結婚式などのお祝い事の場合は、幸せがこぼれないようにという意味合いで祝儀袋は下側を上にします。反対に御香料では、涙を溜めないように、上にかぶせるという意味合いがあります。
御香料を渡すときのマナーとは
御香料の用意が完了したら、葬儀会場に持っていき相手方にお渡しするだけです。しかし葬儀会場でお渡しをするときにも、作法が必要であるためぜひ覚えておきましょう。
御香料を渡すタイミングとは
御香料を渡すときのタイミングは、葬儀の間でいつでも良いというわけではありません。葬儀会場に到着した場合、受付でお渡しするのが一般的です。
しかし葬儀会場に設置されていないケースもあります。その場合は、焼香のタイミングで祭壇前に設置された焼香台に御供えするようにしましょう。
置く向きは、祭壇側から見て焼香量の表書きが見えるように置くのがマナーです。分かりやすく言うとお供えをする側からみて、文字が逆さに見えるようにしてください。
御香料の正しい渡し方とは?
次に受付で御香料を適切に渡す正しい方法は、どのようなものかをお伝えします。まず御香料は袋が外から見える状態ではなく、進物用の包み紙に包んで持参しましょう。この包み紙を「袱紗(ふくさ)」と呼びます。
この袱紗は、絹布を裏表二枚で合わせて、形状が風呂敷で袱紗が崩れないようにするため爪が付いているタイプと内側に台が付いているタイプ、中身をポケットに差込み使う金封タイプなどさまざまな種類があります。
受付でお渡しするときに、袱紗から取り出して渡しましょう。その際に受付係から表書きの文字が見やすい向きにして載せましょう。ただし直接両手で持ってお渡しするのはマナー違反となるため、止めてください。
御香料を袱紗に載せたら、受付係の方に故人に御供えをしてほしいことを伝え差し出します。受付係の方が両手で御礼の言葉と共に受け取り、御香料のお渡しは完了です。
郵送で御香料を送る場合
どうしても御香料を手渡しが難しい場合に、輸送で送るケースがあります。郵送の場合は、現金を送るため必ず現金書留の封筒に御香料袋を入れて送るようにしてください。
郵送で送る場合には、通夜や葬儀に参列が難しかった理由やご遺族の方々にお悔やみの言葉を手紙として添えるようにすると良いでしょう。御香料袋だけが入っているよりも、故人への思いが伝わるため、ご遺族の方も安心するでしょう。
お手紙の内容に関しては、故人との関係性を考慮して手紙の内容を変えるようにします。しかし軽々しい口調で手紙を書くのはやめましょう。もし手紙が難しい場合は、御香料のみを同封して電話か直接お会いしたときにご冥福を伝えると良いでしょう。
御香料のお返し方法とは
御香料を頂いた遺族の方は、四十九日が明けてからお返しをするのが一般的とされています。それではお返しをするときの、金額相場はどの位で品物はどんなものを選べば良いのかを解説いたします。
お返しの相場とは
御香料は香典と考え方は同じですが、御香料に対するお返しに関しても香典返しと同じと考えましょう。香典返しの金額相場は地域によって異なります。基本的には東日本の場合は頂いた金額の半額、西日本の場合は3割と考えるのが一般的です。
他にも北海道では1000円から1500円、沖縄で1000円から2000円という相場が通常とされています。しかし北海道内に関しては、葬儀と共に当日にお返しする方法で行います。
また御香料が高額で用意した返礼品では不十分の場合ですが、忌明け後に改めて返礼品を送ることが一般的です。このときの品物は御香料の半額から渡しした品物の金額から差し引いたくらいの品物を目安に選びましょうと良いでしょう。
お返しに最適な品物
御香料のお返しをする場合は、金銭ではなく品物でお渡しするのが一般的です。現金で直接お渡しすると、相手に対して失礼とされる可能性があります。
お返しをするときは品物として「消え物」と呼ばれるものを選ぶのが一般的です。消え物とは、使ったらなくなる食べ物や日用品のことです。例えば、タオルや洗剤、お菓子や海苔などです。
また最近になり増えているのが、カタログギフトです。相手にとって必要なものを選んでもらうタイプです。ただし一定期間内に品物と交換する必要があるので、使い方を知っている人や時間にある程度余裕がある方に送るのがベターです。
御香料は要点を抑えて覚えるようにしよう
いかがでしたでしょうか。この記事では、御香料の相場やマナーについて詳しく解説をいたしました。あまり耳にする機会が少ない御香料ですが、香典と内容的に大きな違いはありません。この記事を読み、マナーや相場について理解を深めておきましょう。
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