【マナー違反?】 葬儀の際に帽子を着用すべきかについて解説
公開日 : 2020/5/23
更新日 : 2020/9/3
お通夜や葬儀の際、帽子はかぶってもいいのでしょうか?普段から帽子を愛用している人でしたら、着用していくことをお考えになるかもしれません。日本では見かけることの少ない葬儀での帽子着用ですが、宗教によっては着用する場合もあります。葬儀の場での帽子着用について、くわしく解説します。
公開日 : 2020/5/23
更新日 : 2020/9/3
目次
葬儀の際に帽子は失礼にならない?
お通夜や葬儀に出席する際、帽子はかぶっていいのかどうか…日頃から帽子を愛用されている方の中には、悩まれた経験のある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
葬儀・通夜の場面では黒づくめが基本とは分かっていても、では黒い帽子であれば失礼にならないのか?それとも決まった型の帽子があるのかなど、考えたことのある方もいらっしゃるかもしれません。
今回はお通夜・葬儀の服装の中でも、意外に盲点になりやすい帽子について解説します。
場合によっては着用する場合もある
結論から言いますと、通夜・葬儀の際に帽子が絶対NGというわけではありません。服装や宗教によっては、帽子をかぶることが許される場合もあります。
ただし、現状の日本の葬儀ではほとんどの場合は帽子をかぶりません。あくまで例外的なものである、ということはわきまえておきましょう。
通夜・葬儀だけでなく火葬場でもそうですが、あくまで故人をしのび、参列するために服装を整える必要があります。日頃から帽子をかぶっている方でも、ファッションの延長線上でといった視点では服装や装身具を選ばないようにしましょう。
女性限定の葬儀用帽子
例外的とも言える「通夜・葬儀の場での帽子」の中で、代表的とも言えるのが「トークハット」と呼ばれる帽子です。ただし女性限定の帽子で、男性はかぶりません。また、宗教もキリスト教にかぎられます。
トークハットと呼ばれる帽子を着用する
トークハットはトーク帽とも呼ばれる、女性専用の帽子です。一般的な帽子にあるような「つば」の部分がなく、いわゆる山の部分しかない形状になっています。頭の上から水平にかぶるより、頭頂部からやや斜めにしてかぶることが多い帽子です。
もっとも特徴的なのは、主に前面に添えられる飾りです。薄いレースや羽根などで飾り付けられます。
一般的にもっともよく目にするのは、葬儀ではなく結婚式や披露宴の時でしょう。ウェディングドレスとあわせて、白いトークハットをかぶった花嫁姿はおなじみのものです。
ウェディングドレスとあわせたトークハットは装飾も華美なものがありますが、葬儀の際には控え目な装飾のものが用いられます。もちろん、色はブラックです。
トークハットはキリスト教徒のみ
トークハットの由来には諸説ありますが、その歴史は中世ヨーロッパに端を発するとされています。日本では原則キリスト教での葬儀の際のみ用いられます。また基本的には、故人の遺族・親族の方のみが着用します。
キリスト教の中でも、カトリックの場合はベールをかぶることが一般的です。故人と関係が深い人ほど、大きなベールをかぶることとされています。
キリスト教でも、プロテスタントの場合はベールはかぶらないのが一般的です。ほかにもカトリックの葬儀ではロザリオ(十字架)を使いますがプロテスタントでは使わないなど、同じキリスト教でもカトリックとプロテスタントでさまざまな違いがあります。
葬儀の際にかぶるトークハットはベールのついたやや控え目な装飾のもので、どちらかというと帽子を頭に「かぶる」というよりは「のせる」といった趣きのものです。葬儀の際には、トークハットをかぶるのであれば一緒に手袋もしておくのが一般的です。またトークハットは、室内でもかぶったままにしておきます。
例外として、日本でも皇族の葬儀では伝統的にトークハットをかぶることがあります。海外でもイギリス王室をはじめ、各国に残る王室や皇族の葬儀や結婚式では、女性はトークハットをかぶることが多くなっています。
正式な礼装であれば、男性の帽子もアリ
女性専用の帽子であるトークハットについてご説明してきましたが、では男性の場合はどうなのでしょうか?男性の場合も、服装によっては帽子をあわせてもOKな場合があります。
日本の葬儀では男性はほとんどがいわゆる略礼服であり、広義には喪服もこれに含まれます。略礼服ではない正礼装(モーニングコートなど)では、帽子をあわせることもできます。
ただし現状ではお通夜でも葬儀でも、参列する男性の服装は喪服が中心です。服装のルール的には帽子が違反ではないとしても、例外的なものと言わざるをえないところはあります。
正礼装と略礼装
正礼装とは、洋服におけるもっともフォーマルな服装です。モーニングコートや燕尾服、タキシードなどがこれにあたります。正礼装に準ずるフォーマルな服装は「準礼装」と呼ばれ、ベストやコールパンツをあわせた「ディレクターズスーツ」などがこれにあたります。
略礼装は正礼装・準礼装に次ぐもので、ブラックやダークのスーツがこれにあたります。ただし単に黒っぽいスーツがこれにあたるのではなく、あくまで礼服として用意されているものです。
正礼装や準礼装は、結婚式や入学式・卒業式、コンサートなどでよく用いられます。喪服もお通夜や葬儀専用の礼服の一種であり、格式に応じて「正喪服」「準喪服」「略喪服」などと呼ばれることもあります。
「正喪服」としてはモーニングコートや、和装なら羽織袴がこれにあたります。ただし現在では、多くの喪服はブラックスーツなどの「略喪服」です。
洋装の正礼装の場合、シルクハットなどの帽子をあわせることもあります。ただし葬儀では、男性は正礼装であっても帽子をかぶらないことがほとんどです。葬儀での男性の帽子着用は、形式としては「アリ」でも、実際には一般的ではないと言うべきでしょう。なお正礼装では、結婚式でも男性は帽子をかぶらないことがほとんどです。
お通夜では、略式の服装でも構わない
正礼装であるモーニングコートで葬儀に出席しても失礼にあたるものではありませんが、実際には、日本ではほとんどの人が喪服を着用しています。葬儀だけでなく、お通夜や火葬場でも同様です。
ただ故人が急に亡くなった場合、お通夜では急に出席しなければならなくなる場合もあります。そのような時は、お通夜では礼装(喪服含む)にかぎらず、略式の服装でも構わないとされています。
礼装が間に合わない場合はできるだけ黒っぽい服装を心がけ、ネクタイも明るい色は避けるようにしましょう。ネクタイピンのように、きらびやかなものも付けないようにします。
まとめ
日本の葬儀では、基本的にはキリスト教式における女性のトークハットをのぞき、男女とも帽子はかぶらないことが一般的です。
正礼装であれば帽子をあわせることができないわけではありませんが、現状ではできるだけかぶらない方が無難でしょう。
通夜・葬儀は、死者を悼む厳かな場です。周囲からどう見られるかも重要であることをわきまえ、身だしなみを整えておくようにしましょう。
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