香典の代わりにモノを渡してもいい?送る際のマナーと注意点
公開日 : 2020/4/20
更新日 : 2020/9/10
葬儀に参列する際は金銭を「香典」として受付で渡すのが通例です。ただし、状況や喪主の考えによっては香典を渡すことができない場合があります。そんな時は、香典以外のモノでお悔やみの気持ちを表すことが可能です。今回は、香典以外のモノを送る際のマナーを解説します。
公開日 : 2020/4/20
更新日 : 2020/9/10
目次
場合によっては香典の代わりに線香を送ることがある
線香は、仏教用語では「仏様の食事」という意味合いから「香食」とも呼ばれます。遺族への援助の意味合いが強い香典よりも、線香を送るほうが仏教の本質的な意味合いに近い行為です。
現代においては金銭的な相互扶助を行うために香典を送ることが一般的ですが、場合によっては線香などのモノを送る場合もあります。
香典を送らないのが、必ずしも失礼にあたるわけではありません。
仏教式以外では送ってはいけない
日本の葬儀は、ほとんどが「仏教式」にあたります。一方、「神道葬」「キリスト教葬」を行う家庭も一定数存在します。
それらの別の宗教では「香典」「香食」といった仏教由来の考えが存在しないため、それらを渡すことは失礼に当たります。故人の葬儀の宗派は、香典を考える前に必ず確認してください。
香典の代わりに線香を送るケース
線香を香典の代わりに送ることがあるとはいえ、現代においては金銭による香典を送るのが通常です。香典などのモノを送るのは、限られたシチュエーションに限定されます。
そのシチュエーションとは「通夜や葬儀に参列できない時」と「香典は不要という連絡があった場合」です。
通夜や葬儀に参列出来ない時
事情によって通夜・葬儀に参加できなかった場合に、香典の代わりに線香を送る場合があります。「喪中はがき」が届いて初めて訃報を知った場合も同様です。その場合は、喪中見舞いの手紙と一緒に線香を送るようにします。
通夜・葬儀に参加できなかった時に線香を送るとしても、送る時期は葬儀と初七日が終わって遺族が落ち着いたタイミングが最適です。葬儀の直後は忙しさが抜けていない可能性もあるため、極力避けるようにします。
香典不要と連絡があった時
家族葬や直葬などの「小さな葬儀」の場合は、香典を辞退される場合も多いです。その際は無理に香典を送らないようにします。
後日、遺族が落ち着いたタイミングで線香に手紙を添えて送るとベターです。
香典の代わりに線香を送るマナー
香典の代わりに線香を送る際も、やみくもに送っても失礼になってしまう場合があります。「金額相場」や「包む時のマナー」について、あらかじめ確認しておきましょう。
金額相場
進物用のお線香の値段を見てみると、1,000円程度から10,000円近いものまで様々です。メインの価格帯は2,000円から5,000円程度です。
その中から進物用の線香を選びますが、葬儀の後に送る場合は3,000円前後の金額が相場とされています。
線香を選ぶ
線香を買う時に気を付けるべきは「家庭用の線香を選ばない事」です。線香には「家庭用」と「進物用」に分かれており、スーパーなどの量販店で購入できるのは大半が「家庭用」です。
進物用は桐箱や丈夫な塗箱に収まっており、家庭用より香りが良いものが多いのが特徴です。箱の質が高いと、線香の本数が少なくなります。金額を決めたら、人気が高くコスパが良いものを基準に線香を選ぶようにしてください。
自分では決められない場合は、状況を店員に説明してアドバイスを求めるのもオススメです。
のしを付ける
線香も、他の贈り物と同様に「のし」を付けて送ります。今回の線香は香典の代わりのため、目的はあくまで「弔事」です。そのため、弔辞用のし紙を使用して包みます。
線香の箱に直接のしを貼る「内のし」と外箱に包装紙と共に貼る「外のし」がありますが、進物用の線香に関しては「内のし」が一般的です。
表書きをする
表書きは四十九日を基準にして表書きを記入します。四十九日を過ぎるまでは「ご霊前」、過ぎた後は「ご仏前」と書いてください。
「御供」と記入すれば四十九日以降のお供え物の全てに使用できます。「御供」であれば亡くなった日が分からなくても使えるため、失礼に当たることがありません。
香典代わりに線香を受け取った場合の対応
自分の家族の葬儀で「直葬」や「家族葬」を選択した場合、線香を受け取ることがあるかもしれません。その時は、どのように対応しましょう?
ここでは「香典代わりの線香を自分が受け取った場合」について解説します。
弔問に参加できなかった場合
葬儀は突然やってくるため、必ずしも葬儀に参加できるとは限りません。そのうえ、香典や供物を送ることを辞退される場合もあります。
その場合は、遺族に許可を受けたうえで、後日に弔問に訪れるようにしましょう。遺族の負担にならないように、「葬儀と初七日が終わってから」「四十九日を迎えるまで」の間で訪れるのがベターです。
対応方法に決まりはない
線香を受け取った場合の対応方法には決まりがありません。一般に香典返しは香典金額の半額が相場と言われていますが、線香の場合はお返しをしなくても失礼には当たりません。
というのも、「葬儀後のやり取りを簡略化したい」という思いで香典不要にした結果、お気持ちで線香を頂いたからです。
あまりに高額な線香をもらった場合でも、3分の1程度のお返しをするか、電話や手紙でお礼を述べるだけで済ませることができます。
礼状を書くと丁寧
お返しが不要でも、送ってくれた人に感謝の気持ちは伝えたいでしょう。電話でも良いですが、より丁寧なのは「手紙でお礼を書くこと」です。
記録として残るため、後日に立場が反対になった時の参考にもなります。
線香以外の供物や供花を送ることもできる
香典の代わりに送ることができるのは、線香だけではありません。「ろうそく」や「お供え用のお菓子」、「供花」を送ることも可能です。供花には菊や百合といった伝統的な花のほか、カーネーションや胡蝶蘭も利用されています。
籠やスタンドなど、線香を送る時に比べて費用がかかることが一般的です。10,000円以上かかることも多いため、故人と深い関係にあった場合に選択するといいでしょう。そのほか、「故人は花が好きだった」という理由で選んでもいいでしょう。
線香や供花を辞退された時にするべきこと
家族葬に参列して香典を辞退された場合、後日に線香や供花を送ることも辞退される場合があります。その時に、どのように行動すればいいのでしょうか?
原則は「遺族の意思を尊重して、何もしない」ことです。香典も線香も、あくまで「故人を偲ぶ気持ちを表すための手段」だからです。決して押し付けるものではありません。
遺族の決定に従い、何もしないのが最良のお手伝いになります。
香典の代わりの線香の送り方まとめ
今回は、「香典の代わりに線香を送る際のマナー」について紹介しました。あくまで金銭による香典がメインのため、線香などで代用するのは特別な時であることを忘れないでください。
香典を渡せない状況に限って、弔意を表すために線香や供花を送りましょう。
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