最期のお清め「湯灌」は何のためにする?マナーや手順もご紹介!

公開日 : 2020/3/18

更新日 : 2020/9/10

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ご遺体をお湯で清め、身支度を整える儀式を「湯灌」といいます。現代では病院で亡くなる人が増え、おこなわないことも多くなってきましたが、湯灌には単にご遺体をきれいにする以外にも大切な意味があります。湯灌の意味やマナー、手順をご紹介します。

公開日 : 2020/3/18

更新日 : 2020/9/10

目次

湯灌とはなに?

湯灌とは、ご遺体を清拭や洗体で清め、旅支度を整える儀式です。単に体の汚れを落としきれいにするというだけではなく、この世での悩みや苦しみを洗い流すと共に、この世での煩悩を絶ち、来世でより高い徳を得られるようにという想いが込められています。

 

湯灌は通夜や葬儀と同じく一つの荘厳な儀式であり、亡くなった方に心を込めて触れる温かなひと時でもあります。安らかな気持ちでお見送りをするためにも、湯灌の手順やルールを知っておきましょう。

湯灌の手順

湯灌には、現代で一般的におこなわれる洗体を伴う湯灌と、清拭のみで清める古式湯灌があります。それぞれの手順についてご紹介しましょう。

湯灌(洗体湯灌)

まずは、現代において良くおこなわれている洗体を伴う湯灌についてご説明します。

湯灌前の儀式

湯灌の前には「逆さ水」の儀式をおこないます。逆さ水とは水にお湯を差し、ぬるま湯にしたものです。普通ぬるま湯を作る時はお湯に水を入れますが、この場合は逆なので逆さ水と呼ばれています。

 

このように、死後の儀式の手順は普段のものと逆になっているものが多いです。これはあの世とこの世では全てのことが逆になっているという考えからきています。このような死後の儀式を「逆さごと」といいます。

 

逆さ水をご遺体にかけるときも、左手にひしゃくを持ち、足元から胸元へとかけていきます。胸元まできたら、水を全部流して終了です。

 

湯灌は基本的にプロの湯灌師に任せることが多いのですが、この逆さ水の儀式だけは家族がおこないます。家族の手で愛情と感謝を込めて逆さ水をかけることで、故人様のこの世への未練を洗い流し、安らかに旅立てるようにとの意味合いがあります。

 

洗体

逆さ水の儀式が終わったら、湯灌師が洗体をおこないます。優しくお湯をかけ、故人様の体や髪を洗います。体にはバスタオルがかけられており、素肌が見えないよう配慮がなされています。また、爪切りや顔そり、髭そりもおこない、さっぱりとした姿にします。

身支度

洗体が完了したら身支度をおこないます。まずはご遺体から体液が漏れ出さないよう鼻や耳、口に脱脂綿を詰め、死化粧として自然な血色がでるよう化粧を施します。そして、それぞれの宗派や希望に合わせた旅装束を着せて完了です。

納棺

身支度を整えたら納棺をおこないます。葬儀社のスタッフなどの介添えのもと、遺族や親戚がご遺体を抱え上げ、棺の中に仰向けに寝かせます。旅支度として編み笠や杖を入れたり、生前の愛用品や家族からの手紙などを入れたりして棺の中を整えます。最後に蓋を閉め、合掌をおこなって完了です。

 

洗体湯灌から納棺までの所要時間は約1時間半です。

古式湯灌

古式湯灌では洗体をせず、布団の上で清拭をおこないます。こちらもプロのスタッフに任せられますが、いたわりの気持ちを込めて、清拭の一部を家族がおこなうこともあります。

 

清拭後逆さ水の儀式をおこない、爪切りや顔そり、旅装束への着替えなどの身支度を済ませた後、納棺をおこなって完了です。所要時間は約1時間です。

湯灌のマナー

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服装

湯灌の儀式に立ち会う際、服装をどうすれば良いのか分からないという方も多いのではないでしょうか。結論から言いますと、特に決まりはありませんので平服でも喪服でも構いません。平服を着る時はなるべく華美ではない、控えめな服装にしましょう。

立ち会い

湯灌に立ち会うのは、基本的には家族とごく近しい親族だけです。ただし、近所の人が集まり、盛大に湯灌式や納棺式をおこなう地域もあるようです。そのような地域でも、家族だけでおこないたいのであればお断りしても失礼にはなりません。

 

また小さな子供は、集中力が持たず騒いだり、独特の雰囲気を怖がったりすることもありますので、無理に参加させなくても構いません。そういった問題点がなく、興味を持っている場合は参加させても良いでしょう。

湯灌は絶対にしないといけないことではない

湯灌は必ずしも必要な儀式ではありません。単に体をきれいにするというだけなら、病院や葬儀社で適切な処置をおこなってもらえます。最初にご紹介したような宗教的な意味合いを重要視する場合、もしくは故人様がお風呂が好きだった場合などに、湯灌を希望する方が多いようです。

湯灌以外にもこんな方法がある!

特に宗教的な理由がない、もしくはお湯を使うことにこだわらないなら、ご遺体をケアする方法は他にもあります。以下にご紹介していきましょう。

エンゼルケア

エンゼルケアは主に病院で亡くなった時におこなわれる処置です。管やペースメーカー、人工肛門などの医療器具をはずした後、アルコールを湿した脱脂綿で清拭し、鼻や耳、口に綿を詰めます。髭そりや顔そり、化粧を施してくれる場合もあります。

 

古式湯灌と似ていますが、医療器具をはずすことを第一の過程としていること、逆さ水などの宗教的儀式がないこと、処置の間は遺族は席を外している場合が多いことが、大きな違いとなっています。

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エンバーミング

エンバーミングは遺体が腐敗しないよう処置をおこなう技術のことで、「遺体防腐処理」ともいいます。

 

湯灌やエンゼルケアとは全く異なり、全身の消毒処理と洗浄をおこなったのち、体から血液や腐敗しやすい残存物を吸い出して、代わりに防腐剤を注入します。エンバーミングをすると、数日から2週間程度遺体を保存することができます。

 

欧米諸国ではキリスト教を信仰している人が多く、土葬が一般的です。そのためエンバーミングは必須の処置とされており、アメリカでは現在でも90%以上がエンバーミングをおこなっています。

 

日本においては何らかの理由ですぐに火葬ができない場合に、エンバーミング処置を施す場合があります。

湯灌についてまとめ

湯灌は体を洗い清めるというだけではなく、現世での煩悩を洗い流し、心安らかに旅立つという宗教的な意味合いを持っています。ご遺体に温かなお湯をかけたり、清拭を手伝ったりすることで、残された家族も温かな時間を過ごせ、お別れの寂しさを和らげることができます。

 

湯灌の他にもエンゼルケアやエンバーミングなど、ご遺体をケアする方法はあります。いずれも亡くなった方の尊厳を保ち、ご遺族の心も安らがせることができます。

 

湯灌やその他のケアについて知り、適切な方法を選ぶことで、納得のいくお別れができます。今回の記事がその一助となれば幸いです。

 

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。