「参列」と「列席」の使い分け!葬儀での正しい表現やマナーを知ろう
公開日 : 2020/3/4
更新日 : 2020/9/10
故人を偲ぶ葬儀に足を運ぶ言葉として、「参列」や「列席」といった表現をよく耳にします。どちらの表現も同じに見えますが、実は厳密な違いがあります。今回は、葬儀に際する参列と列席の違いから、正しい言葉の表現、お悔やみにふさわしいマナーまで解説していきます。
公開日 : 2020/3/4
更新日 : 2020/9/10
目次
「参列」と「列席」はどう違う?
葬儀における「参列」と「列席」の表現の違いについて、言葉の意味を通して知っておきましょう。また、混同されがちな「弔問」という言葉にも注目し、それぞれの例文を取り上げながら解説していきます。
参列とは?
参列とは、一般的に葬儀に招かれた側の立場として用いられる言葉です。似たような「出席」や「参加」という言葉とは、表面的な意味合い自体に違いはありませんが、参列には、悲しみに暮れる遺族に敬意を表する意味合いが込められています。つまり、参列とは、弔客側が慎んで葬儀の列に参加することを意味します。
また、祝いの席である結婚式でも、出席するゲスト側として「参列する」という言葉が使われることがあります。弔事と慶事は正反対のシーンですが、いずれもフォーマルな場に参加者側としてへりくだって用いられる言葉だと言えます。
列席とは?
一方、列席とは、葬儀に参列する側に対し主催者側が用いる言葉です。参列と同様に、葬儀の場に居合わせる表面的な意味には違いがありませんが、葬儀における立場が異なります。つまり、列席は喪主、遺族側の立場として使う尊敬表現なので、参列する側が使う言葉ではないことを覚えておきましょう。
また、主催者側が用いる列席という言葉は、参列と同様に、葬儀だけでなく結婚式でも同じ意味として使用されます。
参列、列席とは違う「弔問」とは?
参列、列席の他にも、お悔やみのシーンに用いられる言葉の一つとして「弔問」があります。弔問とは、直接遺族のもとを訪ねてお悔やみの言葉を述べることです。故人と対面し、焼香をあげることで弔いの意を表します。
しばしば葬儀へ参列することと同義に捉えられることがありますが、一般的に弔問とは、葬儀前に「お通夜」に駆けつけることを指します。また、通夜や葬儀に参列できずに、後日、直接訪問する場合にも用いられます。したがって、基本的に葬儀に出席することを弔問と表現することはありません。
参列と列席の文例・表現
参列と列席の厳密な違いが分かったところで、具体的にどのような使い方をするのか例文を挙げて見ていきます。お悔やみの場で失礼がないように、それぞれの表現を覚えておきましょう。
参列の文例
・明日の葬儀は参列させていただきます
・やむを得ない事情により、告別式には参列できません
・たった今、友人の葬儀に参列してきたところです
参列という言葉を使うシーンとしては、主に弔客側が葬儀への出欠を伝える場合が挙げられます。特に、やむを得ない事情により通夜や葬儀に参列できない場合は、間違った使い方をしないように注意しましょう。
列席の文例
・本日はお忙しい中ご列席いただきまして、誠にありがとうございます
・ご列席の皆様にはお食事をご用意しております
・ぜひご列席いただけますようよろしくお願い申し上げます
列席という言葉を使うシーンとしては、喪主、遺族側が参列者に対して挨拶・案内をする場合が挙げられます。「ご列席」と尊敬表現とセットで使われることがほとんどでしょう。喪主として挨拶・案内する場合は、特に正しい使い分けや表現を押さえておくことが大切です。
参列の服装マナー
葬儀に参列するうえでは、ご遺族に失礼がないように服装のマナーも心得ておかねばなりません。葬儀とは、故人を偲び、最期のお別れをする儀式ですから、「喪に服す」という悲しみに寄り添った服装であることを踏まえ、男女それぞれの服装マナーを見ていきましょう。
参列での男性の服装
まず、男性の場合は、略式礼服である喪服(ブラックスーツ)が基本です。ブラックスーツとは、黒無地のシングルスーツ、もしくはダブルスーツのことで、パンツの裾はシングルタイプを着用します。黒いビジネススーツと混同するケースもありますが、間違わないように注意してください。
また、ワイシャツは白無地、ネクタイ、ベルト、靴下は黒無地のシンプルなデザインを着用します。シューズは原則、黒の革靴・紐靴で、つま先部分が横一文字に切り返されたストレートチップがオーソドックスでしょう。
アクセサリーは、基本的に結婚指輪以外は外すのがマナーですが、シンプルな腕時計であれば身に付けても問題はありません。ただし、結婚指輪も含め、葬儀に似つかわしくない派手な色合いであれば外すようにしましょう。
参列での女性の服装
女性の場合も男性と同様、葬儀の参列には略式礼服である喪服(ブラックスーツ)、もしくは黒いワンピースやセットアップを着用します。格式の高い正喪服や準喪服とは違い、比較的自由度が高いとされていますが、無駄な露出は控え、スカートは膝からふくらはぎ丈のものを選ぶようにしましょう。
また、合わせるストッキングは黒の薄手、30デニール以下が望ましく、厚手のものや柄物はふさわしくありません。足元は黒の布・革製パンプスで、ヒールの高いものは避けましょう。
アクセサリーは、男性と同様に結婚指輪以外は身に付けないのが基本ですが、「涙」を表す白、もしくは黒のパールネックレス・耳飾りであれば問題はありません。ただし、「不幸を重ねる」ことを連想する二、三連のネックレスは避け、一連のネックレスを身に付けるようにしてください。
参列での持ち物・小物
葬儀に参列する際は、服装への配慮に併せて小物類の持ち物についても押さえておきたいところです。悲しみの装いにふさわしい、最低限用意しておきたい小物類をご紹介していきます。
数珠
参列の必需品と言える数珠は、その種類も様々で、各宗派によっても変わってきます。そのため、仏式の葬儀に参列する場合、ご自分が信仰する宗派に合わせた数珠を個人の仏具として用意します。
信仰する宗派がない、もしくは分からない場合は、どの宗派でも使える一連の略式数珠を用意すると良いでしょう。ただし、参列する葬儀が神道やキリスト教の場合、数珠は不要です。
また、葬儀で数珠を忘れた場合、知人などから数珠を借りるケースがよくありますが、基本的に数珠の貸し借りはしないのが参列のマナーです。と言うのも、数珠は「念珠」とも呼ばれ、念を込めて祈りをささげる意味合いもあるからです。そのため、家族での共有も望ましくないので、ご自分の数珠をしっかり用意しておくのが良いでしょう。
ハンカチ
参列するうえでは、涙をぬぐったり手を拭いたりするために、誰しも必需品として持っているでしょう。しかし、どんなハンカチでも良いというわけではありません。葬儀のハンカチマナーは、白色か黒色を持つことが基本です。
ただし、近年では喪に服した服装と統一させるため、ハンカチも黒色を選ぶ傾向があります。本来、故人の死装束である「白」と合わせて、ハンカチも白色が望ましいとされてきましたが、黒色のハンカチもひとつ用意しておくのも良いでしょう。
袱紗(ふくさ)
袱紗(ふくさ)は、香典を包んで渡す際の必需品です。慶事でもご祝儀袋を包むために華やかな色の袱紗を用意しますが、葬儀である弔事では寒色系を選ぶのがマナーです。カラーバリエーションは様々で、紺、深緑、緑、うぐいす、グレーなどが挙げられます。慶弔で併用する場合は「紫」の袱紗を用意するのがおすすめです。
参列での香典マナー
香典(こうでん)は、通夜や葬儀に参列する際に持参する金品です。香典の渡し方や金額の相場、香典袋の書き方など、基本的な香典マナーを解説していきます。
参列で持参する香典とは?
参列で持参する香典は、故人のご霊前に供える供物に代わる金品で、香典袋(不祝儀袋)に現金を包んだものです。花や米、線香に代わるお供えであると同時に、葬儀の費用を負担する遺族への経済的な支援としての役割もあります。
通夜、もしくは葬儀の際に持参するのが一般的なマナーですが、地域や風習、宗教によって異なる場合もあるため、事前に確認しておくのが望ましいでしょう。
参列での香典の渡し方は?
香典は袱紗に包んで参列に持参しますが、押さえておきたいのは包み方です。まず、ダイヤ型になる向きに袱紗を広げ、中心よりやや右側に香典袋を置きます。次に、下上の順に端を折り込み、最後に左側を折り込んで包みます。慶事では右開きになりますが、弔事では左開きになるのがマナーです。
袱紗に包んだ香典は、葬儀会場の受付で渡します。まず受付では、「この度はご愁傷様でございます」と語尾を濁しながらお悔やみの言葉を述べ、一礼します。「この度は…」と絶句しても問題はありません。そして、袱紗からその場で香典を取り出し、両手で切手盆の上に置いて渡してください。
香典の相場目安
結論から言うと、香典の金額には決まりがありませんが、故人・遺族との関係性、年齢や社会的な立場を考慮して金額を決めるのが一般的です。より親しい関係性になるほど金額は高くなる傾向があります。
具体的な香典の相場目安としては、以下を参考にすると良いでしょう。
両親:5~10万円
兄妹:3~5万円
祖父母:1~5万円
伯叔父母:1~3万円
上記以外であれば、1~5万円が相場目安です。ただし、いずれも年齢を考慮した額を包みましょう。また、関係性に見合わない高額な香典は、遺族に気を遣わせてしまうため注意が必要です。
香典袋の書き方
香典袋の表書きは、宗教によって異なります。まず、仏式の香典では、無地ののし袋に白黒の水引がかかっている不祝儀袋を使用します。地域によっては黄白の水引を使う場合もあります。一般的な表書きは「御霊前」を使用し、四十九日以降は「御沸前」「御仏前」と書きます。ただし、宗派によっては表書きが異なる場合があるので事前に確認してください。また、表書きは毛筆、もしくは筆ペンを使い、悲しみの涙を表す「薄墨」で書くのがマナーです。
神道の香典では、無地ののし袋に双銀の水引がかかっているものを選び、表書きは「御榊料」「御玉串料」「御神饌料(ごしんせんりょう)」などを使います。「御霊前」と書いても問題はありませんが、蓮の花が描かれたのし袋は避けましょう。
キリスト教では、ユリの花や十字架が描かれたのし袋を選び、表書きは宗派を問わず「御花料」と書きます。カトリックの場合、「御霊前」と書いても問題はありませんが、プロテスタントではNGなので注意してください。
参列マナーについてのまとめ
これまでに、葬儀での「参列」と「列席」の違いから、参列マナーについて詳しく解説してきました。故人を偲ぶ悲しみの参列では、表現の違いに注意して使い分けるようにしましょう。また、服装や香典マナーも事前にしっかり押さえて臨むことが、悲しみに暮れる遺族へのお悔やみにもなるでしょう。
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