【終活】財産管理はやるべきこと第1位!やり方や注意点を解説
公開日 : 2020/7/22
更新日 : 2020/9/9
終活における財産管理は、保有する資産を死後にどう処理するか決めるうえで、とても重要です。財産の行方をはっきりさせておくことで、死後の遺族の事務手続きや相続トラブルを軽減することにもつながります。以下では終活における財産管理の方法についてご紹介します。
公開日 : 2020/7/22
更新日 : 2020/9/9
目次
終活とは
「人生の終わりに向けた活動」を略して「終活」と呼びます。終活が盛んになった背景には、少子高齢化や地域的なつながりの希薄化により、「自分の死に責任を持ちたい」「家族や子供に迷惑をかけたくない」といった理由が見られます。
終活では「人生の終わり=死」を意識し、生前に身辺整理を済ませたり、死後のための墓や葬式の段取りをつけたりします。また死後の財産分与や相続の計画を立てておくことも終活の一環です。最近の終活は生前整理というだけでなく、自分の死を見つめることで、残された人生をより良くするヒントを見つけるためにも行われます。
終活で財産管理を行う理由
財産管理は終活のメインともいわれる項目ですが、その理由はいったいどんなものなのでしょうか。終活で財産管理を行う動機について、主だったものをご紹介します。
遺族に迷惑をかけたくない
家族や遺族に迷惑をかけたくないというのは、終活における財産管理の理由で大きな割合を占めています。もし故人が財産についてなにも言わずに亡くなってしまった場合、遺族は、保有銀行口座やクレジットカード、ローンなどを把握するところから始めることになります。
どこになにがあるのか分からない状態で、亡くなった人の保有財産を一から洗い出すのは予想以上に大変な仕事です。こういった迷惑をかけたくないという理由から、生前のうちに財産を明確にしておきたいと、多くの人は考えています。
相続の際にトラブルが起こりにくい
財産を明確にしておくことで、死後の相続に関する計画が立てやすくなります。とくに不動産や貴金属といった分配が難しいものに関しては、誰に相続してほしいのかを明確に決めておくことが大切です。財産を把握し、その行方をしっかり決めておくことで、死後の無用な相続争いや親族トラブルを回避できます。
いざという時に備えたい
死はもちろんそうですが、病気や認知症といったリスクを考えて、早いうちに財産管理を行いたいという人も多くいます。身体が不自由になったり、思考に不安がある状況になったりすると、正確な財産管理を行えないまま亡くなったりすることもありうるからです。そうなると未練が残ることもあります。
いざというときに心残りがないよう、体調が万全なうちに財産管理を行っておくという理由も、終活の財産管理を行う理由として多く見られます。
終活の財産管理はいつ始める?
終活の財産管理をいつやるべきなのか、タイミングに決まりはありません。たとえば定年退職をキッカケにすることもあれば、大きな病気をしたとき、または配偶者や身近な人が亡くなったときなど、終活をはじめるタイミングは人それぞれです。
終活の財産管理とは、死後の財産トラブルを回避するために行う意味合が強いものです。死はいつ、だれにでも起こりうることです。よって終活の財産管理は、思い立ったときがはじめどきと言えるでしょう。
終活の財産管理のやり方
終活で財産管理を行いたいけれど、具体的にどこから手をつけていいのか分からない、という場合も多いでしょう。以下に、終活の財産管理でやるべきことを大まかにご紹介していきます。
老後に必要なお金の試算
自分が死ぬまでに必要とするお金がいくらなのか、余命年数を仮定して考えてみましょう。自分の生活資金と遺族に残したいお金について考えることで、自分の余生をより豊かに過ごす計画が立てやすくなります。
まずは死ぬまでに入ってくるお金の額について考えます。たとえば公的年金や保険金、就業による収入などがあります。支出は、「基本生活費」「予定が決まっているお金」「未来に備えたお金」の3つに分けて考えるのがおすすめです。「基本生活費」は毎日の生活にかかるお金です。
「予定が決まっているお金」は、老後の旅行の資金や葬式代といった、用途がはっきりしたお金です。「将来に備えたお金」は、たとえば入院するときのためや、予定していた収入が途絶えたときのために確保しておくお金です。
これらの数字が出たら、現在保有している財産と照らし合わせます。自分にいくら資金が必要なのか、遺族に残せるお金がいくらなのか、明確にすることができます。
保有資産のリストを作る
現在保有している資産をすべて洗い出し、リスト化するのが、終活における財産管理の基本的なやり方です。リストを作ることで、それ以降の財産管理が簡単になります。たとえマイナス資産や少ない資産であっても、そのまま放置すると、いざ遺族が相続する際に混乱が起きることが多いです。
預貯金や口座、不動産など、すべての資産をリスト化し、その所在なども明確に書き出しておきましょう。保有リストはメモに列記するだけでもかまいませんが、パソコンやスマホなどを活用すると、変動があった際の修正が簡単です。エンディングノートを利用する方法もあります。
リストは定期的に見直そう
保有リストを作成するうえで大切なのが、定期的な更新です。財産は状況に合わせてどんどん変化していくものです。そのため、変動に合わせて資産リストも逐一更新させていく必要があります。リストを作成・更新するときは、日付を入れておくと、修正が容易になります。
口座やクレジットカードの整理
終活では、使っていない口座やクレジットカードの解約も大切な項目です。口座やカードはなるべくまとめてシンプル化したほうが、それ以降の管理や、死後の遺族の手続きの負担が軽減されます。使っていない口座は解約し、期限切れのカードなどはハサミで切断して処分しましょう。プリペイド式のカードなどを処分する場合は、処分前に、残金の確認を忘れないようにしましょう。
書類や通帳をそろえておく
通帳やカード、保険証書、不動産の権利書など、のちのち手続きに必要となる書類は一か所に整理しておくのが望ましいです。これらの所在が明確でないと、死後、遺族が手続きを行う際に探し回る羽目になります。必要なら暗証番号やパスワードのメモも一緒に保管しておきましょう。
家族に伝える
終活を行っていることは、必ず家族に伝えましょう。保有リストや書類の保管場所などを伝えるのも大切です。終活は死後の遺族の負担を軽減する目的があります。せっかく財産を整理しても、遺族がその所在や手続きの方法を知らなければ、財産管理の意味が無くなってしまいます。
保有資産リストの項目
財産管理を行う上で大切な保有資産リストの書き方について解説します。保有資産リストを作っておくことで、誰にでも財産の管理がしやすくなります。資産が少ない場合や、マイナス資産の場合でも、リストは必ず作っておきましょう。書き出すべき項目は以下の通りです。
預貯金
預貯金を記す場合は、金額のほかに「金融機関名」「支店名」「口座番号」、さらに「名義人氏名」のほか「担当者名」などの連絡先もはっきりさせておきましょう。印鑑や通帳を別の場所に保管する場合は、その所在も記しておきます。
金融機関ではなく自宅で管理しているお金(ヘソクリ)がある場合は、その所在や金額も記しておきましょう。
不動産
相続のことを考えると、不動産の処理はとくに大切です。登記簿に記載されている項目をリストにも明記しておきましょう。たとえば土地の地目や面積、建物の種類などのほか、持ち分や担保などもが挙げられます。未登記の不動産や、固定資産税が非課税の不動産、名義変更していない不動産についても、リストに加えておきます。
自宅用のみならず投資用の不動産の場合も同様です。可能なら、不動産業者などに問い合わせて、保有している不動産の時価を把握し、金額を記しておくのがおすすめです。
保険
生命保険や損害保険など、加入している保険の種類や保険名をリストに記します。保険内容や保健期間、保険者・被保険者のほか、保険金の受取人や証券番号も明記します。保険証券の保管場所も必ず記します。
年金
公的年金や私的年金についても、保有資産リストに明記しておきましょう。年金番号や担当者の連絡先のほか、受給日や受給額、受給方法についても記しておきます。
有価証券
株式や国債などの有価証券がある場合は、銘柄名や株数、証券会社や支店名などを明記します。有価証券の保管場所もあわせて記しておきます。
ネット資産
見落としがちなのがネットで管理している資産です。通帳や書類などが存在しないため、死後に遺族が気づかないケースが多くあります。相続税にもかかわる問題ですので、必ず、取引先ごとに分かりやすくリスト化しておきましょう。
ネット証券やネット銀行口座がある場合、その名称や口座番号、ID、パスワードなどをそれぞれ明記します。パスワードは大文字と小文字の区別をはっきりさせておきます。ビットコインなどの仮想通貨を保有している場合も同様にリストに書き出します。
クレジットやローン
まだ終わっていないクレジットやローンがあるなら、その名称や金額などを記します。ローンやクレジットは変動が大きいものですので、定期的に更新し、日付を書き入れておきましょう。
美術品やアクセサリー
こちらも忘れがちな項目ですが、漏らさずにしっかりリストに記しましょう。可能なら業者に鑑定を依頼して金額を出しておくのもおすすめです。貴金属や骨とう品は現金と異なり、分割ができないため、誰になにを相続してほしいかも、あわせて記しておくのがおすすめです。
会員権
ゴルフやスポーツジムなどの会員権がある場合は、リストに加えます。会員権のある施設名や連絡先、会員番号、有効期限、年会費などを記入します。
財産の処理の仕方とは?
財産管理が終わったら、自分の死後、それをどう管理してほしいのかを家族に伝えなければいけません。相続トラブルを回避するうえでも、分配方法の周知は大切です。あらかじめ口頭で伝えておければよいですが、万が一ということもあります。そんなときの備えとして、以下の方法がおすすめです。
遺言書を作成する
一般的な方法が、遺言書の作成です。「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があります。いずれの遺言書も法的拘束力を持ち、自分の希望通りの相続を叶えることができます。一方で、遺言書に法的拘束力を持たせるためには、必要な項目や形式を守らなければなりません。
我流で書いた遺言書には効力がないため、遺言書を作成する際は、あらかじめ書き方などを学んでおきましょう。また遺言書を作成したら、その所在を家族に伝えておくことも大切です。
エンディングノートを利用する
終活でよく利用されているのがエンディングノートです。財産について詳細に記すことができるほか、相続についての希望もメモできるため、死後の遺産相続の際に役立ちます。ただしエンディングノートには法的拘束力がありません。もしどうしても希望通する相続方法があるなら、あわせて遺言書を作成するのがおすすめです。
エンディングノートを利用する際も、家族に保管場所を知らせておきましょう。
自分らしく生きるために
財産管理を行うことで資産が把握しやすくなり、死後の相続トラブルを回避できるほか、余生の人生設計にも役立ちます。ぜひ前向きに取り組んでみてください。
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