生前戒名とは!亡くなる前に戒名を取得するメリットと注意点

公開日 : 2020/4/20

更新日 : 2020/9/7

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戒名は、故人の死後に遺族と寺院の間で決められるものというイメージが強いです。一方、生前に自分の意志で戒名を決めることもできます。ただし、通常の戒名にない注意点を理解しておくことが必要です。今回は、「生前戒名」とは何かを解説します。

公開日 : 2020/4/20

更新日 : 2020/9/7

目次

戒名とは

「戒名」とは、「仏様の弟子になった証明」として付与される名前のことです。これは、「現世の名前では仏様のもとに行くことができない」という仏教観がもとになっています。また、宗派によっては戒名と呼ばない場合もあります。

 

現代の一般的な葬儀の流れにおいては、死後に戒名をつけますが、本来は「生前に」付与されるものです。現代の流れは、本来の仏教的な考え方とは違ってしまっているのです。

 

なお、戒名は位牌に彫り込まれるほか、僧侶が読経を行う際にも使われます。「院号」「道号」「位号」の3つから成り、一般的な戒名においては「位号」のみ付与されます。お布施によって位号は異なりますが、一般的には「信士」「信女」となります。

 

 

子供や無宗教の場合

故人が子供であった場合、「信士・信女」とつけることはありません。宗派によって異なりますが、15歳くらいまでの子なら「童子・童女」となります。

 

一方、無宗教の場合は必ずしも戒名を付ける必要はありません。ただし、戒名が無いとお墓に入れてもらえない可能性はあります、

生前戒名とは

生前戒名とは、「生前に戒名を頂いておくこと」を指します。もともと戒名は生前に頂くものでしたが、「死者を弔う」「供養する」という意味合いを持つことによって、現代では死後に寺院から定められるのが通例です。

 

最近では「生前戒名」の存在が広く知られるようになり、死後ではなく生存中に戒名を考える人が増加傾向にあります。

仏教的な意味合いの違い

本来の戒名とは、「仏様の教えを守る(仏門に入る)」ことを誓った人に与えられる名前のことです。仏教徒として人生を始める、という意味合いから生前に受け取るものとされていました。

 

一方、現代における通常の戒名は、「故人を弔うため」「大切な人の供養のため」という意味合いが強くなりました。仏教に帰依することが無くなり、生前に受け取ることが無くなっていったのです。

 

この点で考えても、生前に戒名を頂くことは「本来の戒名の形」に近いものであると言えます。

生前戒名のメリット・デメリット

戒名と生前戒名の違うは「死後に戒名を頂くか」「生前に戒名を頂くか」の違いですが、金銭的な面や精神的な面についてメリットが存在します。一方、一般的な流れと異なるために、家族に知らせていないとトラブルのもとになります。

 

ここでは、生前戒名のメリット・デメリットを詳しく見ていきましょう。

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メリット

生前戒名のメリットは「値段が安くなる場合がある」「自分自身が納得した名前を付けることが可能」という点です。

 

また、生前に戒名を作っておくことで、死後の葬儀の手間と金銭的な出費を抑える効果もあります。本人だけでなく、家族にとってもメリットがあるのです。

値段が安くなる場合がある

基本的に、死後に遺族が寺院に依頼するよりも、自分が生前に戒名を作るほうが金額が低くなるとされています。

 

葬儀の場合のお布施は「お気持ちで結構」とされていますが、地域の相場によって値段が大きく変わります。一方、生前に作っておく場合は戒名の内容次第で金額が決まります。金額の考え方の違いにより、生前の方が安くなる可能性があるのです。

自分自身が納得した名前を付けることができる

通常の戒名の場合、本人が「どんな戒名を付けられるのか」を知ることはできません。一方、生前戒名であれば本人が納得する戒名を付けることが可能です。

 

具体的には、「入れてほしい文字をリクエストができる」「適切な戒名になるようにアドバイスを受ける」等を自分の意志で行うことができます。

 

注意点としては「何もかも自分で決められるわけではない」ということです。仏教的にNGな戒名はつけられないため、僧侶への相談は必須です。

デメリット

金銭的に気持ち的にもメリットがある「生前戒名」ですが、通常の戒名にはないデメリット(注意点)も存在します。

 

主なデメリットとしては、「家族が知らないと無意味になる」「菩提寺以外で作るとトラブルになる」という点が挙げられます。

生前戒名の存在を家族が知らないと無意味になる

生前戒名を作成した場合、家族にその存在を知らせておくことは必要不可欠です。いかに自分が満足した戒名であったとしても、家族が知らなければ使われることはありません。そればかりか、別の戒名を作る事で費用が二重にかかってしまうこともあるのです。

 

本人として「作成し終わったら家族に言おう」と思っていても、不慮の事故や病気で無駄になる可能性もあります。生前戒名をすると決めた場合は、必ず「作る前に」家族に連絡をしておくようにしましょう。

菩提寺以外で作ると断られる可能性も

生前戒名を申込む場合、菩提寺に頼むのが一般的です。菩提寺とは、先祖代々お世話になってきた「縁のあるお寺」のことを指します。

 

菩提寺と違う場所で戒名を作ってしまうと、死後に墓に入れることを拒否されてしまう場合があります。そうなると菩提寺で戒名を付け直すことになり、費用が二重にかかります。菩提寺がないのか、家族・親族に確認を取ってから進めて下さい。

 

一方、菩提寺がない場合は「自分が納骨してもらう予定の寺院」に依頼すればOKです。

御布施の金額相場

生前戒名の金額相場は、死後に付ける戒名の60~70%程度に収まるのが一般的です。一般的な「信士・信女」の場合、死後の戒名の相場は「15~20万円」とされています。それが生前戒名では「8~10万円」が相場です。

 

一方の「院号信士・信女」のように位が高くなると戒名が「40万円前後」となります。生前戒名が「20~25万円」とされています。

宗派による違い

戒名の金額は、一般的な相場に加えて「宗派による相場」も存在します。例えば、臨済宗においては「信士・信女」への戒名は30万円前後が相場です。また、「院号」は存在しません。浄土真宗も「院号」は存在せず、「信士・信女」へのお布施は「10万円」前後です。

 

生前戒名の金額は、宗派ごとの戒名に対するお布施の60~70%を目安にしておきましょう。戒名の内容によっても金額が変わってくるため、詳しくは菩提寺や最寄りの寺院に確認を取るようにしてください。

生前戒名に合わせて生前位牌を作る

位牌とは、戒名等を刻む板のことです。死後に作成されるのが普通ですが、生前戒名を行った場合は、生前に作っておくこともできます。

 

生前戒名を作る場合、生存中は「仏教の名前」に当たる2文字を赤字で記入します。死後に、赤色だった部分を金色に直すことになります。

生前戒名の概要まとめ

今回は、「生前戒名の概要」「メリット・デメリット」「金額相場」について紹介しました。費用を抑えられる一方、家族が存在を知らないと死後に使われない可能性もあります。

 

家族全員で話し合い、自分の死後に遺族が困らないように準備を進めていきましょう。