【終活】葬儀の生前予約が増えている?メリットやデメリットを解説
公開日 : 2020/11/5
更新日 : 2020/11/5
最近終活の一環として、葬儀の生前予約を行うケースが増えています。葬儀の生前予約について、メリットやデメリットを調査しました。あわせて、葬儀の生前予約をする際の注意点や大まかな流れについてもご紹介しています。生前予約を検討している場合はぜひ参考にしてください。
公開日 : 2020/11/5
更新日 : 2020/11/5
目次
葬儀の予約とはどういうもの?
葬儀の手配は通常、その人が亡くなったタイミングで遺族などが行います。しかし最近では終活の一環として、生前に葬儀の予約を行う「生前予約」をする人が増えています。とはいっても、本人は存命ですので、何月何日に葬儀の予約を入れる、というものではありません。
生前予約とは、大まかにいえば、葬儀社を選定し、「こういう内容やプランや内容で葬儀を行いたい」と葬儀社に依頼しておくことです。どの段階まで取り決めを行うかによって、生前予約は次にご紹介する3つの種類に分類することができます。
葬儀の生前予約には3段階ある
日本では葬儀の生前予約という概念はまだ新しく、葬儀社によって生前予約の内容が異なります。そのため、葬儀の生前予約をする際には、その範囲がどこまでなのかを事前に確認しておかなければなりません。生前予約の内容は、段階によって以下の3つの種類に分類できます。
葬儀会社の会員になること
入会金を払って葬儀会社の会員になる段階までの生前予約があります。いわゆる互助会にも似ています。しかし互助会のように積立金や互助制度がない会員プランを提供している葬儀社も多いため、あらかじめ契約の内容はしっかり確認しておきましょう。
葬儀社の会員になると、葬儀の時に費用の割引を受けられるところが多いです。実際の葬儀の内容は、本人の死後に決めるケースがほとんどです。ただし、葬儀社の中には、会員になれば、生前に葬儀の内容についてある程度の希望を伝えておける場合もあります。
プランの決定と見積もりを出すこと
葬儀社の葬儀プランを検討し、実際の葬儀を想定しながら見積もりを出す段階までの生前予約もあります。この場合、葬儀社の会員になっていることもあれば、単に見積もりだけを取る場合もあります。
あくまでシュミレーションですので、実際の葬儀の際には、費用と見積もりとに大きな差が出ることもあります。ただしある程度費用の見通しは立つので、葬儀費用を準備する点では役立ちます。また、葬儀コースの決定・見積もりという具体的な段階まで話をつけておけば、いざという時に、遺族が葬儀社を選ぶときの助けになるでしょう。
お金を振り込むこと
コースを決定し、葬儀費用をあらかじめ振り込んでおく段階までの生前予約です。この場合、振り込みをすることで契約が完了していますので「生前契約」とも呼ばれます。実際に葬儀を行ったときに追加料金が発生することもありますが、一番遺族への負担が少ない生前予約の方法だといえるでしょう。
葬儀の予約をするメリット
葬儀の生前予約をする人が増えていますが、いったい、そのメリットとはどんなものなのでしょうか。代表的なものをご紹介していきます。
希望通りの葬儀ができる
葬儀の生前予約をすると、自分で葬儀の内容を自由に決めることができます。たとえば喪主を任せたい人や、最上の規模、葬儀の際に流したい音楽、埋葬の方法などです。また生前予約を行うことで、自分の希望の葬儀が実現可能かどうか判断できる点も、生前予約のメリットといえるでしょう。
身寄りのない場合でも
身寄りのない場合、自分の葬儀があげてもらえるのか、という心配を抱えている人もいるでしょう。その場合にも生前予約にはとても大きなメリットがあります。自分の葬儀についてあらかじめ取り決めておくことで、死後のそういった心配をなくすことができます。
葬儀社を比較することができる
葬儀を生前予約する場合は、時間をかけて複数の葬儀社を比較することができます。実際に見学会に参加したり、無料相談会に出かけたりすることで、葬儀社を厳選できるでしょう。この点は、自分の希望通りの葬儀をあげることができるというメリットとも共通するところです。
家族の負担を軽減できる
葬儀の生前予約をすると、死後に遺族が葬儀の手配をする負担を軽減することができます。軽減できる負担は、主に以下の2つです。
金銭的な負担
生前契約まで済ませていた場合は、自分の死後、葬儀費用は基本的に発生しません。葬儀費用は高額になりがちなうえ、支払期限が短いことが多いです。事前に振り込みを済ませておくことで、遺族が葬儀費用を工面する手間を省くことができます。
精神的な負担
死後に葬儀の手配を行う場合、遺族は、限られた時間内でさまざまなことを決めて、こなしていかなければなりません。また、そういった慌ただしい中で葬儀の手配を進めると、葬儀が終わった後に「もっとこうすればよかった」という後悔するケースもよく見られます。
しかし、本人が生前に葬儀の予約をしておけば、遺族が慌てて葬儀の手配をする必要はありません。また、本人の希望通りの葬儀を行いますので、遺族が葬儀に関して後悔するリスクを減らすこともできます。
割引制度があることが多い
葬儀社にもよりますが、生前予約をすると葬儀費用の割引を受けられるプランは多数あります。葬儀の生前予約をする場合は、そういった割引プランを用意している葬儀社を選ぶのもおすすめです。
人生を前向きに生きることができる
自分の葬式について決めることは、自分の死を見つめることでもあります。自分はどういった最期を迎えたいのかと考えることは、引いては、残された人生を充実させるにはどうしたよいのか、と考えるキッカケになります。
葬儀の予約をするデメリット
葬儀の生前予約にはたくさんのメリットがある一方、デメリットも少なからず存在します。代表的なデメリットについて見ていきましょう。
実行されないリスクがある
葬儀の生前予約をした場合、その内容が実行に移されるためには、予約した葬儀社が契約者の死を知ることから始まります。当然ながら、連絡を入れるのは契約者本人ではなく、契約者の遺族や関係者です。つまり契約者の周囲が、葬儀の生前予約の存在を知らなければ、その予約内容は実行されません。
解約手数料が発生することがある
とある葬儀社と契約したものの、もっとよい葬儀社が見つかったため、解約したいと考えることもありうるでしょう。あるいは、遺族が生前予約の存在を知らずに、他の葬儀社で葬儀をあげるケースもあります。その場合、解約手数料が発生することがあるため、中外必要です。
家族の理解を得られない
葬儀の生前予約という考え方は、まだ一般的なものではありません。とくに日本は「生きているうちに葬儀の予約をするのは縁起が悪い」と考える傾向が強いです。そのため、家族から反対される場合や、理解を得られない場合もありえます。
前払いにはリスクがある
葬儀費用を前払いしたのち、契約内容が実行される前に葬儀社が倒産する可能性は否定できません。あるいは、契約後に葬儀料金が改定され、希望の葬儀プランが前払い金額では足りないというケースもありえます。葬儀費用を前払いするには、こういったリスクが付きまとうことを理解しておかなければなりません。
葬儀の予約をするときの注意点
葬儀の生前予約をする際の注意点についてご紹介します。以下のポイントに注意することで、生前予約のデメリットのリスクを下げることにもつながります。
周知をしておく
葬儀の生前予約が実行に移されるためには、生前予約について、遺族や関係者が知っておく必要があります。葬儀の生前予約をする際は、必ず家族や関係者に周囲をしておきましょう。口で言いにくいという場合は、エンディングノートなどを利用するのもおすすめです。
エンディングノートを利用する場合は、一目で契約内容や連絡先が分かるようにまとめておきましょう。葬儀社や葬儀プラン、葬儀費用、担当者の連絡先など、なるべく細かく記しておくとよいでしょう。ただし書き漏れのリスクは少なからずありますので、できれば契約の席に家族が同席するのがベストです。
家族とよく話し合う
葬儀の生前予約をするときは、自分1人で決めずに、家族とよく話し合いましょう。葬儀は自分の死後のことですので、家族の協力なしには成功しません。もし生前予約について家族の理解が得られない場合にも、話し合いを重ねることで、自分の死や葬儀に対する考え方を理解してもらうことができます。
また、葬儀についてあらかじめ家族と話し合っておくことは、互いの葬儀に対する認識をすり合わせるうえでも大切です。たとえば自分は少人数のシンプルな葬儀でいいと思っていても、家族はいろいろな人に参列してほしいと考えているかもしれません。
葬儀は、家族がその人を見送るための儀式でもあります。自分1人の希望を押し通さず、家族の希望も取り入れて、お互いが納得のいく葬儀にできるように話し合ってみてください。
葬儀社を吟味する
納得のいく葬儀をあげるためには、葬儀社を厳選することが大切です。とくに、葬儀プランに含まれているものや、オプション料金が発生するものについては、細かくチェックしておきましょう。のちのち葬儀の追加費用をなくすことができます。最初から1社の葬儀社に絞るのではなく、複数の葬儀社をじっくり比較するのがおすすめです。
倒産の可能性がある葬儀社はおすすめできませんが、絶対に倒産しないと言い切れる葬儀社はありません。よりリスクの少ない選び方のポイントとしては、「長く安定した経営をしている葬儀社」「葬儀実績の多い葬儀社」「葬祭ディレクターや葬祭スタッフをたくさん抱えている葬儀社」「大手資本や全国展開している葬儀社」などがあります。
またインターネットなどで、良い口コミの多い葬儀社を選んでもよいでしょう。確実に倒産しないかどうかは分かりませんが、経営がしっかりした葬儀社を選ぶことで、生前予約が反故になるリスクを下げることはできます。
一番大切にしたいポイント
葬儀社を選ぶ上でもっとも重要なのが、本人の希望や思いに寄り添ってくれる葬儀社かどうか、という点です。葬儀社の中には、契約を急かしたり、強引にプランを押し付けてきたりするところもあります。
そういった葬儀社を選んでしまうと、せっかく生前予約をするのに、自分の思い通りの葬儀が挙げられないリスクが高くなります。葬儀社を選ぶときには「自分の話をしっかり聞いてくれるか」「実現可能なプランの提案をするか」といったポイントにも着目してみてください。
解約手数料や返金の有無などを確認
生前契約をする場合は、万が一の事態が発生した場合についても考えておかなければなりません。契約が実行されなかった場合の解約手数料や、返金制度について、あらかじめしっかりチェックしておきましょう。
葬儀の生前予約の流れ
ここからは、葬儀の生前予約をする方法について見ていきましょう。生前予約の大まかな流れは以下の通りです。
葬儀社を選ぶ
まずは葬儀社の選定から始まります。葬儀社は最初から1社に限定するのではなく、複数の葬儀社を比較してください。葬儀プランや内容、費用について、分からないことがあれば積極的に質問してみましょう。その際、誠実な対応をするかどうかも、葬儀社を選ぶ上で大切な判断ポイントとなります。
多くの葬儀社は、見学会や無料相談会などを積極的に行っています。あるいは無料の見積もりに応じているところも多いです。そういったものを活用すると、比較材料が増えて、よりよい判断をすることができます。
コースやプランを決定する
葬儀社を選ぶ際に、ある程度のコースやプランについては決めていることが多いでしょう。葬儀社が1社に絞られたら、より具体的な打ち合わせを行っていきます。打ち合わせは葬儀社の担当スタッフと面談で行うのが一般的です。
具体的な打ち合わせ内容としては、葬儀の規模や宗教のほか、祭壇や棺の種類・グレード、お花の種類、精進落としの内容などです。見積書を出してもらうと、より現実的なプランを決めることができます。
契約をする
プラン内容に納得し、費用の見通しが立ったら、いよいよ契約を行います。このとき、葬儀費用を前払いすることが多いですが、場合によっては葬儀後に支払う場合もあります。そのため、契約前には支払方法についてもしっかり確認しておきましょう。
また、契約が反故になった場合の対応についても確認が必要です。あわせて、追加料金が発生する可能性についても確認しておくと、のちのちのお金の心配を減らすことができます。
支払を行う
契約通りの支払い方法にしたがい、費用の支払いを行います。全額支払いの場合もあれば、頭金だけを支払う場合もあります。
周知する
葬儀の生前予約が終了したら、家族や関係者への周知を忘れないようにしましょう。契約者本人の周囲が生前予約について知らない場合、死後に、予約した内容が実行されない可能性があります。
契約内容と家族の認識に齟齬が出ないよう、できれば契約するときに家族に同席してもらうのがベストです。それが難しい場合は、口頭で伝えるほか、エンディングノートを活用して周知する方法があります。
契約者が実際に亡くなったら?
契約者が亡くなったら、家族または関係者が、生前予約していた葬儀社に連絡を入れます。その後は予約した内容にしたがい、葬儀の手配や実際の葬儀を行います。もし葬儀費用が事後支払いの場合は、費用を振り込むのも遺族の役割です。
葬儀の生前予約をする人が増えている
葬儀の生前予約は、「自分らしい最期を自分で決める」ことです。終活の一環として、残された人生を自分らしく生きるために、葬儀の生前予約を行う人が増えています。
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