過去帳とは何?過去帳の書き方や選び方、処分方法まで解説!

公開日 : 2020/1/22

更新日 : 2020/9/10

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過去帳とは故人の戒名や俗名などを記録しておくものです。そんな過去帳の書き方は浄土真宗や真言宗、臨済宗、曹洞宗などの宗派で変わるのでしょうか?また過去帳には日付無しやありなど種類もあり選び方も難しいです。そこで今回は記入方法から処分方法まで解説します!

公開日 : 2020/1/22

更新日 : 2020/9/10

目次

そもそも「過去帳」とは何?

仏教の信者の家にある過去帳。過去帳とは、その家で代々亡くなった方の名簿を記したものです。しかし、過去帳には名簿として以外にも意外な意味がありますので解説しています。

過去帳とは?

お葬式をする際に必要になってくる仏具のひとつが過去帳です。過去帳とは、亡くなった方の戒名や俗名、命日(亡くなった日)、享年などを記しておくものです。いわば、亡くなった方たちの名簿のようなものとなっています。

 

過去帳を記すというのは主に仏教独自の習慣です。神道でも過去帳を使うことはありますが、あまり一般的ではありません。また、キリスト教の場合には過去帳を記すという習慣はありません。過去帳というのは仏教徒の方が亡くなった時に作成するものだと言えます。

過去帳の保管場所とは?パソコン内に保存してもいいの?

過去帳は、主に自宅においておく過去帳と、お寺に安置しておく過去帳の二種類があります。お寺に安置しておく過去帳のほうには、そのお寺の檀家さんの死者すべての戒名や俗名、命日などが書かれています。これは、そのお寺を菩提寺にしている人全員のための過去帳だと言って良いでしょう。

 

一方、自宅においておく過去帳には家族の中で亡くなった人の戒名や俗名、命日、享年が記されています。こちらのほうは、その家独自の過去帳だと言うことができます。このように二種類の過去帳があるわけですが、通常過去帳と言った場合には自宅においておく過去帳のことを言います。

 

なお、最近ではお寺の帳簿類の電子化も進んできています。そのため、お寺によっては檀家さんすべての過去帳をパソコンに記録して保存していることもあります。パソコン用の過去帳記帳ソフトにはフリーウェアとして無料でダウンロードできるものもあります。

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過去帳の選び方のポイントとは?

過去帳はどんなものを使っても良いわけではありません。何しろ神聖なものですから、専門の過去帳を購入して使うのが良いでしょう。過去帳にはおおよその決まったサイズがあり、値段にもおおよその目安があります。

過去帳の相場価格

過去帳は仏具店やインターネットなどで販売されています。値段はだいたい2,000円~3,000円程度ですが、2万円以上する豪華な過去帳も存在します。過去帳はなるべく専門の過去帳を使うようにし、メモ帳やノートなどは使用しないようにしてください。

 

なぜなら過去帳は位牌の代わりとしての意味も持っているからです。過去帳は位牌そのものとは違いますが、お仏壇にお供えして祈りが捧げられる場合もあります。染ためにも専門の過去帳を購入するようにしましょう。

過去帳のサイズ

過去帳というのは、だいたいその大きさが決まっています。基本となるサイズは、3寸または3.5寸ですが、それよりも大きな4寸や4.5寸、5寸のものも存在します。1寸というのはおよそ3cmのことです。ですから、過去帳の大きさは、小さいものであればだいたい縦9cmから10cmくらい。大きなものであれば、だいたい縦12cmから15cmくらいあることになります。

 

過去帳の選び方としては、あまり小さすぎず、大きすぎず、ちょうど良いサイズのものを選ぶと良いといえます。というのは、法事などの際にお仏壇に供えられることもあるからです。お仏壇にお供えをしても、違和感のないくらいの大きさのものを選ぶようにしたほうが良いでしょう。

日付無しと日付ありの過去帳

過去帳には日付ありのものと日付無しのものがあります。日付が書かれているものは1日~31日までの日付が書かれたページがあり、故人が亡くなった日のページに戒名等の情報が記されることになります。

 

一方で、日付無しの過去帳では記録簿としての意味合いが強くなります。故人が亡くなった日付が書かれることはなく、先祖が亡くなった順番で年表式になっています。基本的にどちらの過去帳を選んでも全く問題がありませんが、日付無しの過去帳は寺院で用いられることが多いようです。

過去帳は位牌の代わりに用いられる?

意外に思われる方もいるかもしれませんが、過去帳は名簿としての使い方だけでなく、その他の使い方をされることもあります。その一例が、位牌代わりに使うというものです。こちらでは、なぜ過去帳が位牌代わりになるのかを説明しています。

位牌とは?

位牌というのは、亡くなった人の魂が宿るとされる木の板のことです。自宅にお仏壇がある人であれば、この位牌を見たことがあるという人は多いでしょう。この位牌というのは実は日本独自もので、魂の依代(よりしろ)というものと仏教の卒塔婆というものがいっしょになって出来たと言われています。

 

簡単にご説明すると、日本ではお盆などの時に死者がこの世に帰ってくるという考え方があります。その魂が一時的に宿る場所が、位牌であるわけです。お葬式の時には装飾のついていない白木位牌が作られますが、これは正式な位牌ではなく、四十九日までには黒檀でできた本位牌を作るのが習わしとなっています。

浄土真宗では位牌を用いない

仏教には様々な宗派があります。主な宗派だけを数えても18あり、これらの宗派は十八宗と呼ばれています。主な宗派を挙げると、浄土真宗や真言宗、曹洞宗、天台宗、臨済宗、浄土宗といったものがあります。この中でも、浄土真宗は大陸仏教の影響が強い他の宗派とは違い、日本で独自に誕生した仏教の宗派です。

 

浄土真宗は他の宗派と様々な違いがありますが、とくに死んだ人はすぐに仏様になり、西方浄土に赴くという考え方があります。これは浄土思想と呼ぶもので、故人は即座に成仏することが出来るわけです。そのため、浄土真宗では位牌というものを用いません。ですから、過去帳が位牌代わりに仏壇に安置されることがあります。

過去帳の「書き方」とは?

過去帳には決まった書き方がありますが、比較的自由に書くことができるものでもあります。こちらでは、過去帳を書く時や書いてもらう時の細かなルールなどについて解説しています。

過去帳は誰が書く?記入代行サービスも利用できる?

過去帳は仏教のお葬式では大事な仏具の一つなのですが、誰が書かなくてはいけないという決まりはありません。配偶者が書いても良いですし、親御さんや子供、孫などが書いてもかまいません。また、お葬式の際にお寺の住職さんに書いてもらう場合もあります。

 

また、仏具店などでも過去帳の記入代行をするサービスを行っているところがあります。料金はかかりますが、過去帳を綺麗にして取っておきたいという場合には、こうしたやり方も考えてみてはどうでしょうか。

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過去帳は何で書く?

過去帳というのは、筆と墨を使って書くのが正式な書き方になります。お葬式の弔辞や式次、香典袋などとは違って、薄墨は用いません。普通の墨と筆を使って書くようにしましょう。ですが、過去帳はペンや万年筆などを使って書いてしまっても間違いではありません。とくに筆ペンであれば、筆で書いたのに似せて書くことが出来ます。

 

なぜ筆と墨を使って書くのが正式かと言うと、筆と墨を使って書かれた文字は長い間消えずに残るためです。過去帳はその家にとっての系譜帳のようなものですから、できるだけ長く残しておきたいものです。ですから、なるべく筆と墨を使って書くようにしてください。筆使いに自信がない方は、代筆を頼んでもOKです。

過去帳の表書き

過去帳の表紙の書き方は簡単です。単に「過去帳」とのみ書いてしまっても問題ありませんし、「〇〇家過去帳」や「〇〇家先祖代々」といった書き方もあります。過去帳は仏教独自の習慣ですから、宗教による違いというのはありません。また、表紙に限って言えば、宗派による違いもないと言って良いでしょう。

 

こちらも、通常は筆と墨を使って記入をします。自宅に筆や隅がないという方は、お葬式の前に一揃え用意しておいても良いのではないでしょうか。現代の習慣では筆ペンを使うことが一般的になってきていますが、やはり筆と墨を使って書かれた字には個性や品格があるからです。

過去帳の書き方

過去帳に書く内容は決まっています。それは、「戒名」「俗名」「命日(亡くなった年月日)」「享年」という四つです。なお、俗名というのは亡くなる前の本名のことです。仏教の世界では、亡くなった方は仏陀の弟子になると考えられているため、名前が変わります。そうして付けられる名前が戒名です。

 

戒名は通常死んだ時に付けられるものだと思われがちですが、生前に戒名を付けておいても問題ありません。とくにお坊さんや尼さんであれば、生前に戒名を付けるのは普通のことです。お寺によっては生前戒名を行っているところもあるので、戒名を自分好みのものにしたいという人は、生前戒名をすることも考えてみてください。

 

過去帳に実際に書く順番は、「戒名」「命日」「俗名」「享年」という順番となっています。通常は、「戒名」とそれ以降との二行に分けて書くようにします。なお、過去帳に書く戒名の書き方は宗派によって細かな違いがあります。過去帳は誰が書いても良いものですが、書き方についてはくれぐれも間違えないようにしましょう。

浄土真宗の場合

浄土真宗の場合には、亡くなった方の名前は戒名とは呼びません。法名と呼んでいます。そのため、戒名を書く欄にはこの法名を記載することになります。これは、浄土真宗では亡くなった方はすでに仏様になっていると考えられているためです。

 

浄土真宗で過去帳に法名を書く際には、法名の頭に男性であれば「釈」という文字を、女性であれば「釈尼」という文字を付けるようにします。また、法名に院名を付けることもあり、その際には男性であれば「〇〇院釈〇〇」、女性であれば「〇〇院釈尼〇〇」と書くことになります。俗名や命日、享年などについては他の宗派と変わりありません。

真言宗や曹洞宗などの宗派の場合

真言宗や臨済宗、曹洞宗といった浄土真宗以外の宗派の場合には、男性の場合には「○○院○○信士」、女性の場合には男性の場合には「○○院○○信女」という書き方をします。

 

少し詳しく解説すると、これらの宗派の場合、院号と道号、戒名、位号というものを過去帳に書きます。「○○信士」や「○○信女」という部分に書かれているのは、道号と戒名とを合わせたものです。

 

また、「信士」や「信女」というのを位号と呼んでいます。なお、位号にはこの他にも「居士(こじ)」や「大姉(だいし)」といったものがあります。このような書き方をするのは、浄土真宗以外の宗派では、亡くなった方はまだ仏様になる途上にいるから、という考え方があるためでしょう。

日蓮宗の場合

日蓮宗の場合の場合、戒名の書き方そのものに関しては、真言宗や曹洞宗などその他の宗派との間に大きな違いはありません。ただし、亡くなった方の戒名には日蓮上人にちなんだ、「日」という言葉が多く使われます。これは「日号」と呼ばれるものです。

 

なお、日蓮宗でも戒名のことは法名と呼んでいます。また、日蓮宗の戒名(法名)では「法」の字や「妙」の字が使われることも多いです。その他の点については、他の宗派と同じです。俗名とともに命日や享年などを書くようにします。

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過去帳の書き直しはできるの?

過去帳を書いた際に間違えてしまった場合は書き直しができるのでしょうか?基本的に書き直しをすることはできるようですが、その場合は個人で修正するのではなく記入代行会社などに連絡をして、専門家に修正してもらう方がよいようです。

 

また、書き直しが起こると余分な費用がかかってしまうことになりますので、字に自信がない方は、始めから菩提寺の僧侶や記入代行サービスに依頼したほうが安く抑えることができる可能性が高いですので、参考にしてみてください。

過去帳書いてもらったお礼はすべき?

過去帳を書くことは自分でもできますが、中にはお寺の住職様などに書いていただきたいと考える人もいると思います。戒名を付ける際にはもちろん戒名料というものが発生しますが、これについてはご存じだという人が多いでしょう。では、過去帳に戒名(法名)を書いてもらう場合にもお礼は発生するのでしょうか?

 

先に書いたように、過去帳は誰が書いても良いため、亡くなった方の遺族が書くこともできます。ですが、もしもお寺の住職様などに過去帳を清書してほしいといった場合には、やはりお布施をお渡ししたほうが良いでしょう。この場合のお布施の相場は、だいだい3万円から5万円ほどです。

 

ただし、法要とは関係なしに過去帳だけを記入してもらえるサービスもあり、こちらは相場が少し安くなっています。この場合、だいたい一人あたりの過去帳を記入する料金の相場は5,000円程度です。ですが、プロの書家に過去帳を書いてもらう場合には1万円以上かかることもあります。

「他の宗教」の過去帳とは?

では、他の宗教では過去帳というものはあるのでしょうか。以下では、神道とキリスト教の例を取り上げていますが、それぞれの宗教でも過去帳に似たものは存在します。それはどんなものなのでしょうか?

神道の場合

神道にも過去帳というものは存在します。しかし、この場合の過去帳は仏教の過去帳とはやや意味が異なっています。神道の場合、誰かが亡くなった後には法事や回忌法要ではなく、五十日祭や式年祭といったものが行われます。これは、仏教における四十九日法要や回忌法要のようなものだと考えて良いでしょう。

 

神道では霊璽と呼ばれるお位牌のようなものが使われますが、ちょうど五十年祭の時にこの霊璽から過去帳へと名前を書き写すという習慣があります。神道における過去帳はこのためのものだと思ってください。なお、神道では五十日祭と一年祭を行った後は、三年祭、五年祭とつづき、その後は五年ごとに御霊祭が行われます。

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キリスト教の場合

キリスト教の場合には、仏教の場合のように過去帳というものはありません。しかし、西欧世界でのキリスト教は昔は戸籍を管理するという役目を持っていたため、信者の記録を残しておくための帳簿が存在します。「洗礼台帳」「堅信台帳」「婚姻台帳」「死亡台帳」という四つがそれになります。

 

そのため、キリスト教の信者が亡くなった場合には、この「死亡台帳」にその記録が残されることになります。ですが、仏教徒の場合や神道の信者の場合のように、自宅に過去帳を残しておくといった習慣はありません。すなわち、キリスト教徒用の過去帳というものは存在しないと言えます。

過去帳の書き方の「注意点」と「ポイント」

以上で過去帳に関する様々なことを解説してきました。ご納得いただけましたでしょうか。では、最後に過去帳を書く際の注意点やポイントなどについて簡単にまとめてみたいと思います。

過去帳の書き方の注意点

過去帳を記入する際に、特別な注意点というのはありません。強いて言えば、戒名(法名)を間違えずに書くといったことが注意すべき点として挙げられます。また、浄土真宗とそれ以外の宗派では、戒名(法名)の書き方が細かく違っているので、その点にも注意するようにしてください。

 

また、位牌の戒名の下に書かれている、「位」や「霊位」といった文字は過去帳には記載しません。こちらは位牌にのみ付ける文字となっています。過去帳はこれらの文字を除いた戒名(法名)だけを記すことが一般的ですから、その点には十分に気を付けるようにしましょう。

 

故人の年齢の表記に関しても様々なものがあります。住職様によっては、「享年〇〇歳」と記載したり、「行年〇〇歳」と記載したりします。「歳」の字ではなくて「才」の字を使うケースもあります。そのため、過去帳を作る際には「享年」と「行年」、「歳」と「才」の字を統一するようにすると良いでしょう。

過去帳を長持ちさせる方法

過去帳は先祖代々使っていくものになりますので、なるべく長期間使えるほうがいいですよね。まず書くものとしては普通の墨と筆を使って書くようにしましょう。このとき薄墨を用いないことに注意してください。

 

また、保管場所としては日光が当たることによる劣化を防ぐために引き出しの中などにしまっておくようにしましょう。しかし長期間の間使わないと、それはそれで劣化してしまうことになるので法事の際には仏壇に飾ってあげましょう。

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過去帳の書き方のポイント

過去帳を書く時のポイントですが、あくまでも自分の書きやすいように書いてしまってかまいません。通常の書き方としては、二行に分けて、一行目に戒名(法名)を書き、二行目に命日と俗名、享年を書くようにします。しかし、欄が小さすぎる場合には三行に分けて書いても問題ありません。

 

なお、場合によっては命日を先に書く場合もあります。過去帳の書き方はそれぞれの家の伝統なので、それに従って書くようにしてください。もし過去帳の書き方に不安があるようであれば、菩提寺の住職様などに直接書き方を伺ってみると良いでしょう。また、仏具店などに代筆を頼むという方法もあります。

まとめ

過去帳を記すことは仏教の習慣で、故人の戒名(法名)と俗名、命日、享年を記載します。神道やキリスト教でも似たような習慣はあるのですが、過去帳はとくに仏教徒にとって大切なものです。場合によっては位牌の代わりにすることもあるので、大切に保管しておくようにしましょう。