【喪中】神棚封じのやり方や注意点と忌中の過ごし方について解説

公開日 : 2021/3/26

更新日 : 2021/3/26

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神道では死を穢れととらえ、忌中あるいは喪中は神棚を封じる必要があります。本記事では、喪中における神棚の封じ方の作法や、神棚封じの解き方について解説します。あわせて、その他に注意すべき喪中や忌中のマナーについても触れています。

公開日 : 2021/3/26

更新日 : 2021/3/26

目次

神棚とは

神棚とは神様を祀る場所を指します。具体的には棚を設け、神社からいただいたお札を安置します。さらに、神棚は先祖の霊を祭る場所でもあります。家の中にある小さな神社という概念で、神棚に手を合わせることは、神社に参拝して神様に祈祷を行っていることでもあります。

神道における喪中とは

喪中とは近親者の死に際して、遺族が一定期間身を慎み故人を悼むことを言います。喪中には他人との交流を避け、祝い事の行事や慶事への出席の他、神社への参拝や遊興・旅行なども控えます。

 

これは、死を穢れとする神道の考え方に基づいています。近親者の死という穢れに触れた遺族は、周囲に穢れを広めないように、身を慎むというわけです。つまり喪中とは、もともとは神道における考え方なのです。

忌中とのちがい

喪中とよく似た言葉に「忌中」があります。忌中も喪中と同じく、近親者の死に際して遺族が身を慎むことを指します。現代では喪中は故人の逝去から約1年であるのに対し、忌中の期間は逝去から四十九日までとされています。そのため忌中は、喪中よりもより厳しく身を慎まなければならない期間だと言われています。

 

厳密に言えば、忌中は故人に追悼の祈りをささげるための期間です。一方喪中は、故人を偲びながら、日常生活を取り戻すための時間です。しかし、もともと忌中と喪中は「忌服」という言葉から派生しており、最近では両者の使い分けはあまり明確ではありません

 

忌中の期間は仏教と神道で異なり、仏教の場合は四十九日までを指します。一方、神道では五十日祭をもって忌明けとしています。なお、本記事では、喪中と忌中は同義として解説を行います。

喪中には神棚の扱い方のルールが異なる?

近親者が亡くなった場合、遺族は忌服として神社への参拝やさまざまな行事を控えて、日常生活からかけ離れた生活を送るという風習があります。日常生活と異なる生活習慣の中には、「神棚の扱い方を変える」というルールも含まれています

 

すなわち、喪中の間は、神棚を閉じて白い紙で封じる「神棚封じ」を行います。そのため、日ごろ行っているような神棚へのお参りやお供え物もできなくなります。

喪中の範囲とは

神棚封じを行う必要があるのは、同居している家族あるいは2親等以内の親族が亡くなった場合というのが一般的な解釈です。2親等以内の親族には両親・こども・兄弟姉妹・祖父母・孫が含まれます。

 

ただし、上記以外の親族であっても、日ごろ交流が深かった相手が亡くなった場合や、自分が喪に服したいと考える場合は、自発的に神棚封じを行ってもかまいません。反対に、上記の親族であっても、つながりが薄い場合には喪中とせず、神棚封じを行わないこともあります。

神棚封じの意義

前述のように、神道では死を「穢れ」と考えています。「穢れ」は「気枯れ」に由来しており、生気が減退した様子を表します。神道において、神様に穢れを近づけることは厳しく禁止されています。

 

「死ぬ」ということは気が枯れた状態です。さらに、家族を亡くして悲しみに浸っている状態も、生気が減退して「気枯れ」を起こしている状態だといえます。神道では神様に穢れを近づけることはできないため、穢れを負っている遺族は一定期間身を慎み、神様と距離を置く必要があります。

 

たとえば神社は聖域であるため、喪中の人が穢れを持ち込んではいけません。同じように家の中の小さな神社である神棚にも、穢れを近づけてはいけません。そのため、近親者が亡くなった場合は神棚を封じ、神様を穢れから守る必要があるのです。

 

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仏教徒にも神棚封じは必要?

仏教は神道と異なり、死を穢れと見なすことはありません。それでは、仏教徒は神棚を閉じる必要はないのでしょうか。答えは「NO」です。信仰している宗教にかかわらず、自宅などに神棚がある場合、喪中には神棚封じを行う必要があります

仏壇も封じるべき?

喪中や忌中に仏壇を閉じる必要はありません。前述のように、仏教では死を穢れと見なしていないからです。むしろ、忌中や喪中に仏壇を手を合わせることは、故人の追善供養の観点から推奨されています。

神棚封じの方法

神棚封じの方法について解説します。不幸は突然やってくるものですから、神棚のあるご家庭はいざというときに慌てなくて済むように、手順をしっかり確認してください。

神棚封じの期間

神棚封じは、故人の逝去後に行います。具体的には、葬儀が終わって帰宅してすぐです。もし故人の遺体を自宅に安置する場合は、枕飾りを終えたあとが一般的です。また、神棚封じを終えるのは忌明後とされています。

 

神道では五十日祭をもって忌明けとします。五十日祭の霊祭を終えたらすぐ、神棚封じを解き、お参りや榊を供えるのがよいでしょう。

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神棚封じを行う人

神棚封じを行う人は、故人と同居している家族以外の親族や、友人・知人などの第三者とされています。もし故人の遺体を自宅に安置する場合は、枕飾り業者や葬儀社のスタッフに依頼するのも良いでしょう。

 

第三者が神棚封じを行う理由は、故人の家族の穢れを神様に近づけないようにするためです。しかし、最近は葬儀や神棚封じは簡略化されて行われるケースが増えており、さほど厳密に作法を守ることは少なくなりました。

 

もし依頼できる第三者がいない場合は、同居している家族が行っても良いでしょう。その場合は、事前に塩で心身を清めてください。

神棚封じの手順

神棚封じの方法について解説します。神棚封じには、大きく分けて以下の3つのステップが存在します。

神様に挨拶をする

まずは神棚の神様に、家族が亡くなった旨と、神棚封じを行うという旨を報告するために、挨拶を行います。これを「帰幽報告」と言います。神道では、故人の魂は神様の世界に迎えられ、祖霊として家族を見守る存在になります。

 

帰幽報告は、神様が故人の魂を迎えるために必要なステップです。そのため、亡くなった人の名前を具体的に報告することが大切です。

お供え物などを下げる

続いて、神棚にお供えしているお供え物や榊をすべて下げます。神棚封じの間は、神棚に触れることは一切できません。お供え物やお花の取り換えもできなくなるため、いま現在お供えしているものは、あらかじめすべて取り下げておきます。

扉を閉めて白い半紙で封じる

榊やお供え物を下げたら、神棚の扉を閉ざします。続いて、閉ざした扉に白い半紙を貼ります。このとき、神棚の中心を隠すように半紙を貼るのがポイントですが、半紙の大きさにこだわる必要はありません。半紙がない場合は、白い紙でもかまいません。

 

半紙を貼るときは、テープなどを用いましょう。画鋲やくぎを使うと神棚に穴をあけてしまい、神様に対してたいへん失礼な行為となります。かならずテープや両面テープを使ってください。しめ縄がある場合は、テープを使ってしめ縄にも白い半紙を貼ります

神棚封じの解き方は?

忌中を過ぎたら神棚封じを解き、以前のように神祭を再開します。以下に、神棚封じの解き方の手順を解説します。

五十日祭を過ぎたら神祭を再開する

神棚封じは忌中の期間のみ行います。神道においては、故人の逝去から50日目に行う五十日祭をもって忌明けとします。そのため、五十日祭が終わったらただちに神棚封じを解きましょう。

 

神棚封じを解く人は、神棚封じの場合と同じく、同居している家族外の第三者が最も望ましいとされています。しかし神棚封じを解く作法は、さほど厳密に決められてはいないため、依頼できる人がいない場合は家族が行っても問題ありません

神棚封じと逆の手順をおこなう

神棚封じの解き方は、神棚を封じたときとまったく反対の手順でおこないます。すなわち、まずしめ縄と神棚に貼った半紙をはがします。神棚を開き、お供え物や榊を供えます。最後に、神様への挨拶と、無事に忌明けを迎えた報告を行います。お供え物や榊は、あらかじめ準備しておくのがよいでしょう。

そのほかの喪中における神棚のルール

神棚封じに関するそのほかの注意点について紹介します。忌中あるいは喪中は、神棚の神様に穢れを近づけないように、以下の点に気を付ける必要があります。

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お参りは控える

神棚へのお参りを毎日欠かさず行っているご家庭も多いことでしょう。しかし、神棚封じを行っている期間は、神棚に近づいてはいけません。そのため、神棚封じの期間中は、神棚へのお参りも禁じられています。

 

神棚へのお参りを止めることに抵抗を感じるかもしれませんが、神棚の神様を穢れから守るために必要です。神棚封じの期間中は、神棚に手を合わせたり、挨拶をしたりすることは控えましょう。

掃除も控えるべき

神棚があるご家庭では、神棚の掃除をしたり、お供え物のお水やお酒を取り換えたりすることも日課の1つでしょう。しかし神棚封じの期間中は神棚に触れたり近づいたりすることはできないため、掃除も控えるのが作法です。お供え物をあらかじめ取り下げるのも、このためです。

 

五十日祭を終えるまでは、たとえ掃除が目的であっても、神棚の半紙を外したり、扉を開いたりすることはできません。万が一途中で封印を解いてしまった場合は、心身を清めて再度、新しい半紙を貼りなおしてください

正月行事は行わない

喪中に新年を迎える場合、お正月行事は行わないのがしきたりです。具体的にはしめ飾りや門松、鏡餅などのお正月飾りを控えます。おせち料理やお雑煮も控えることが望ましいですが、鯛やかまぼこ、昆布といったおめでたい料理を避ければよいとする意見もあります。

 

また、忌中を過ぎて喪中の場合であれば、お正月飾りをしてもよいとする考え方もあります。しかし神道におけるお正月とは、旧年を無事に過ごしたことを神様に感謝し、新しい年神さまを迎え入れる儀式とされています。そのため、旧年に不幸があった場合は、たとえ喪中であってもお正月行事は控えることが望ましいでしょう。

お札やしめ縄の交換も控える

年末年始にはお札やしめ縄を取り換えるご家庭も多いでしょう。しかし、少なくとも神棚封じの期間中に年末年始を迎える場合、お札やしめ縄の交換は控えます。前述のように、神様を穢れから守るため、神棚封じを途中で解くことは望ましくないためです。

 

新年でなければ新札や新しいしめ縄が手に入らないこともあります。その場合は、神社でお新しいお札やしめ縄をいただいておき、喪が明けるまで保管しておくとよいでしょう。

 

同じお札やしめ縄を何年も使い続けるのは失礼にあたりますが、必ずしも年末年始に取り換えなければならないということはありません。神棚のお札やしめ縄の交換は、喪が明けてから行いましょう。少なくとも、神棚封じの期間は神棚に手を触れないようにします。

初詣は忌明け後におこなう

お正月には初詣に行くという人も多いでしょう。初詣とは、氏神様に挨拶にいくためのものです。しかし、喪中や忌中の人が神社に行くと、聖域に穢れを持ち込むことになります。そのため、喪中の初詣は控えなければなりません

 

五十日祭を過ぎて忌が明ければ、初詣に行ってもよいとする意見もあります。その際も鳥居はくぐらず、脇道などから拝殿に向かいます。参拝のときも、拝殿の真正面に立つことは控え、端からお参りするのが喪中の参拝の作法です。

神棚以外に喪中に気を付けるべきこと

神道の喪中の過ごし方には、神棚以外にも気を付けるべきルールが存在します。代表的なものをご紹介します。

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慶事や晴れがましい席への出席

喪中は身を慎んで過ごすことが基本です。そのため、慶事や晴れがましい行事の開催は控えます。具体的には、喪中の遺族が結婚式を挙げるケースなどがあります。また、喪中は知人の結婚式への出席も控えるのが原則です。

 

しかし最近は忌明けを迎えれば、友人や知人の結婚式に出席しても構わないとするケースもあります。この場合、大切なの新郎新婦の心情ですので、招待された場合は、喪中であることを伝えたうえで出席してよいかを確認してみましょう

 

また、生前故人が楽しみにしていたイベントなどがある場合、故人を弔う一環として参加することもあります。一概にすべて禁止というわけではなく、柔軟に考えてみるとよいでしょういずれの場合も、主催者や親族とよく話し合ったうえで出欠を決めることが大切です。

神社への参拝

前述のように、喪中の人が神社に足を踏み入れることは、聖域に穢れを持ち込むことなので控えるのが作法です。ただし、最近は忌が明ければ参拝してもよいとする考え方もあります。

旅行や遊興

喪中は旅行や遊興、レジャーへの参加なども控えるべきとされています。ただし最近はあまり厳密でなく、五十日祭を過ぎれば多少の娯楽はよいとする考え方もあります。場合によっては、仕事や交友関係上の付き合いで、断り切れない場合もあるでしょう。

 

あまり豪勢な遊興や旅行は控えるべきですが、飲み会や墓参りを兼ねた旅行程度であれば、適度に参加しても問題はありません。

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年賀状のやり取り

喪中には正月行事は控えます。年賀状は新年を祝う挨拶状であるため、やはり喪中には控えるのが習わしです。喪中のときは、年賀状のかわりに「喪中はがき」を出すことが一般的です。喪中はがきは、喪中であるため新年の挨拶を控えることを報告する書状です。

 

新年を祝う挨拶さえなければ、新年の挨拶を行うこと自体に問題はありません。そのため、年賀状ではなく「年始状」や「寒中見舞い」を出して、普段年賀状をやり取りしている相手と新年の挨拶を交わすのも1つの方法です。

 

喪中に年始状や寒中見舞いを出す場合は、「謹賀新年」や「あけましておめでとうございます」などの、新年を祝う挨拶は盛り込みません。代わりに、「昨年はお世話になりました」「今年もよろしくお願いいたします」などの、祝う要素のない挨拶なら喪中でも行うことができます

喪中は神棚に近づいてはいけない

喪中の期間内でも、とくに五十日祭を終えるまでは、神棚に触れることはできません。もし近親者に不幸があった場合は、神棚の神様を穢れから守るために、「神棚封じ」を行いましょう