お通夜に数珠が必要な理由とは?数珠の種類や使い方などを解説します
公開日 : 2021/2/27
更新日 : 2021/2/27
お通夜に参列することが決まると、貴方は香典などと同じくして数珠も用意しなくては思うのではないでしょうか。数珠はお通夜に必要なものとして認識されていますが、今回はその理由について数珠の種類や使い方を合わせて解説をしていきます。
公開日 : 2021/2/27
更新日 : 2021/2/27
目次
お通夜に数珠が必要な理由
数珠は、訃報の連絡が入りお通夜への参列を考える時に必ず頭に浮かぶほど深くお通夜と結びついています。ではなぜ、お通夜と数珠はこのように深く結びついているのでしょうか。
その理由は、日本のお通夜の大半が仏教で執り行われているためです。数珠は穴に糸などを通した珠を連ね房を付けたもので、念珠とも言います。仏教では仏や菩薩に礼拝する際に用いられます。
数珠は法具
数珠は仏教で礼拝をする際に用いられる法具であり、宗派によっては念仏の回数を数えるためにも用いられます。珠を一つずつたぐって回数を数え、時にすり合わして音を立てることもありますが、宗派によって扱い方は異なります。
数珠は仏教とともに伝来し、仏教とともに広がりました。お通夜やお葬儀でも仏様や仏様になられる故人に対して合掌し礼拝をするため、数珠が必要となるのです。宗教者だけではなく一般人にも扱うことが可能であり、数珠を使って仏様や菩薩様に対して礼拝をすることで功徳を大いに積むことができるとされています。
仏式のお通夜・お葬儀には持参する
数珠は仏式のお通夜とお葬儀には必ず持参しましょう。先述した通り、数珠は礼拝をするために必要な法具であり、お通夜やお葬儀は仏や菩薩、仏になられる故人に対して礼拝をする儀式であるためです。
お通夜の連絡は急に入ることが多いので、すぐに対応できるように社会人になってからは自分の数珠を持つようにした方がよいでしょう。自分が出かけることが多い場合は、数珠を持ち歩くと出かけ先からでもお通夜に向かうことが可能です。
仏教以外のお通夜では、数珠は持参する必要はありません。数珠は仏教の法具ですので、神道やキリスト教などでは使うことがないからです。ただ、日本では仏教のお葬式がほとんどですので自分の数珠を持つことをお勧めします。
数珠を忘れた時は
数珠は本来、貸し借りをするのは避けるべきとの認識が一般的です。しかし、急いでいたり、普段使わないためにお通夜に数珠を忘れてしまうこともあります。その際は数珠が無いままでお通夜に臨むよりあったほうが良いとされていますので、借りた数珠でお通夜に臨みましょう。
基本的には数珠を二つ以上持っている参列者は少ないので、他の参列者に借りる場合でも貸主の焼香が終わってから、数珠の貸し借りのやり取りをすることになるでしょう。その際には周囲から目立たないように受け渡しをするように心がけます。
ブレスレット型の数珠はNG
数珠にはブレスレット型があります。房がついておらず、手首にはまるようにしたデザイン性が高く、おしゃれに重きを置いたものです。このブレスレット型は正式な数珠ではありませんので、お通夜には不向きです。
ブレスレット型はあくまで手首につけるおしゃれの一部ですので、おしゃれが不要なお通夜には外していきましょう。正式な数珠としての代わりとして使うことも不可能です。
数珠の種類
お通夜で使用する数珠には様々な種類があります。基本的には自分で持つ数珠は、自らの宗派の数珠を1つで構いません。しかし異なる色の房の数珠を使い分けたりする地域もありますので、専門店や親族などに相談するとよいでしょう。
本連数珠
本連数珠は、仏教の各宗派で正式な数珠として認められいる数珠です。本式数珠とも言います。数珠を構成する主珠(おもだま)と呼ばれる玉が108個あることは共通していますが、それ以外の珠の大きさや形、数珠の持ち方などは各宗派で異なります。
108個の珠が共通するのは、仏教で108は人の煩悩の数であり、108個の珠からなる数珠を使うことでこの煩悩を打ち消し、念ずることで功徳を積み、魔から身を護るためとの考えが同じだからです。
108個もの珠を使うため、基本的に数珠が長くなるので二連にして使うことが多いです。本連数珠は各宗教者が使う重厚な数珠ですので、やや格式が高いですがしっかりと自分の宗派で数珠を持ちたい場合にはお勧めです。
略式数珠
略式数珠は、本連数珠を略式したもので宗教者は使用しませんが、仏教のすべての宗派に一律に使うことが可能で、一般の人に多く使われます。片手数珠ともよばれ、本連数珠が108個の主珠を使い、長く連なるのに対し、略式数珠は珠の数を、54・36・27・18とし、一連で、片手で扱えるコンパクトな造りとなっています。
ただ片手数珠の珠の数は適当ではなく、基本的には108の数の半数や三分の一など、関係のある数で作られますが、現在では珠の大きさとバランスで珠の数を調整している数珠もあります。略式数珠は男性用と女性用で分かれます。
男性用
男性用の略式数珠は女性よりも大きな珠で作られていて、色合いも茶色から黒色までの大人しい色合いがほとんどです。男性用と女性用の数珠はぱっと見で違いがわかってしまいますので、よほどのことが無い限りは使い分けることが望ましいです。
女性用
女性用の略式数珠は、男性よりも小さな珠で作られています。珠の色合いも黒から白、ピンクなど様々で華やかさがあります。ただお通夜では真っ赤な珊瑚の色だけは血の色を思わせるのであまり好まれないので注意しましょう。
真っ赤な赤以外ではお通夜では基本的にどの色を使用しても構いません。
素材の違い
数珠の素材は主に木や鉱物です。一般的にはお通夜にどちらが相応しいなどの違いはなく、自分の好みで選んで構いません。ただ一部地域では菩提樹など仏教で尊いとされる木の素材の数珠は、死という不浄に触れるお通夜に相応しくないという考え方などがあります。
ただ一部地域に限定されますので、不安であれば年嵩の親族に相談するとよいでしょう。
木の素材
数珠で代表的な木の素材は、菩提樹・柘植・黒檀・紫檀・鉄刀木(たがやさん)・沈香・白檀などで、基本的に固く丈夫な木で作られます。木の素材は使い続けることで手になじみ、使うことで味のある色合いへと変化していくことが特徴です。
鉱物や珊瑚のように汗に弱かったり、傷つきやすいこともありませんので扱いが簡単でもありますが、木ですので虫に食われる可能性はゼロではありません。特に菩提樹は虫害が起こりやすいので、防虫剤と共に保管する必要があります。
石の素材
数珠の石の素材では、七宝が代表格です。もともとの数珠は七宝で作られていたためですが、いまは七宝以外にも様々な宝石や鉱物が使われます。七宝は仏教でいう七つの宝石で、宗派によって異なりますが、一般的には「瑠璃」「玻璃」「珊瑚」「瑪瑙」「真珠」「金」「銀」です。
金と銀は高価で重いため、主珠ではなく主珠の間にある天珠として用いられることが多いです。七宝以外では、翡翠・針水晶・紫水晶・虎目石・琥珀・孔雀石・藤雲石などが使われます。石の素材は、その鉱物の特徴によって取り扱いに気を付けなければなりません。
特に珊瑚・瑠璃・孔雀石などは汗に弱く、手に持って使ってそのままにしておくと劣化してしまいます。使い終わった後は綺麗な布でぬぐって、丁寧に保管する必要があります。また珊瑚は傷つきやすいので取り扱いに十分注意が必要です。
その他の素材
木や石以外の素材には、天然素材の象牙や真珠、人工素材のガラス・セルロイドなどがあります。基本的には天然素材の数珠は高価で、人工素材の数珠は安価な傾向があります。
房の種類と色
房は数珠についている紐の束で、形や色が様々です。最も一般的なものは頭付房で房が垂れ下がる形です。垂れ下がる房がくしゃくしゃにならないように最初から丸めた房を梵天房といい、丈夫で房の心配をしなくていい形のものです。
房は正絹またはポリエステルで作られます。正絹はポリエステルに比べて高価です。ただポリエステルは安価ですが房に痕が残りやすく、房がくしゃくしゃになることで、みっともないことになりかねません。
正絹はポリエステルに比べ痕が残りにくいので、綺麗な状態を維持できます。房の色は紫や白が法事に一般的ではありますが決まりはありません。数珠の色に合わせた房で、お気に入りのものが見つかればそれで構いません。
ただ中部地方の一部の地域によっては、お通夜やお葬式は白の房、その後の法要では紫の房と分けて考えているところもあります。
数珠の選び方
数珠に決まりがあるのは本連数珠です。自らの宗派のものを準備したいという場合は本連数珠を数珠に詳しい専門店に見繕いましょう。ただ一般の方は略式数珠で十分であり、略式数珠は、細かい決まりはありませんので、自分が気に入った素材や色合いの数珠を選ぶとよいです。
略式数珠は男性用と女性用があり、主に色と珠の大きさで分けられています。性差に寛容になりつつある現在ではあり、また基本的に男性が女性用と、女性が男性用を使うことに問題は何もありません。
ただお通夜の場面では数珠は人の目に触れるものでもあります。自分が良くても周囲では男性用と女性用を区別する習慣が強い場合には、誤った印象を与えかねませんので可能であれば男性は男性用の数珠を、女性は女性用の数珠を使うことが無難です。
数珠の使い方
ここではお通夜での略式数珠の持ち方や焼香時の使い方を説明します。本連数珠は宗派によって使い方が大きく異なるため、菩提寺や信頼できる専門店に相談して使い方を学ぶ必要があります。
数珠は左手に持つ
合掌をしないでいる時は、数珠は左手に房を下にして持つか、または左手首にかけておきます。何故左手なのかというその理由は仏教でも諸説あります。その一つが左手が清浄、右手が不浄であり、清浄な左手に数珠を持ち右手を拝む際に添えることで右手の不浄を浄化するという考え方です。
左手に数珠を持つという考え方に関しては、昔からの規則ととらえて覚えておくとよいでしょう。なお数珠はお通夜が始まる時から左手に持っておきます。焼香時のみ取り出して使うものではありません。
焼香が終わった後も、お通夜が終わるまでは左手に持ち膝の上に左手を置いて座っていましょう。
合掌時に手にかける
合掌時に、数珠は手にかけて使用します。この際、両手にかける方法と左手のみに数珠をかけて右手を合わせるだけの方法と両方あり、どちらの方法で合掌しても構いません。
持ち運ぶ際は専用袋に入れる
数珠は仏教で仏や菩薩に拝む際に使う大切な法具ですので取り扱いには気を付けます。お通夜などで持ち歩く際はポケットにそのまま入れることはせずに、専用の袋に入れましょう。また机の上などに置く際は、ハンカチなどを敷いて置くなど心配りをします。
数珠以外のお通夜での持ち物
お通夜では数珠以外にも持っていくとよいものがあります。冠婚葬祭の儀式ではマナーがあ相手への心配りとなりますので、必要最低限のものは持っていくように気を付けましょう。
ハンカチ
お通夜にはハンカチを持っていきましょう。ハンカチは出かける際には基本的に持っていく人が多いものですが、お通夜に持っていくハンカチには色や柄に注意が必要です。基本的には白で無地のハンカチが望ましいです。
お通夜は故人を送る儀式ですので、おしゃれ感や目立つもの、儀式に相応しくないものは避けるべきです。具体的にはブランド物や、派手な色や柄のもの、キャラクター柄のものは相応しくありません。
お通夜では悲しみで涙をぬぐう可能性もあり、ハンカチは人の目につきますので儀式用の落ち着いたハンカチを社会人になったら持っておくと困りません。
香典
お通夜には香典も忘れずに持っていきましょう。香典辞退をしている場合はその限りではありません。香典は数珠と同じく、袱紗(ふくさ)という布に包んで持参します。袱紗は金品を包む布で、冠婚葬祭で使用されますが冠婚では暖色系、葬儀では寒色系という決まりがあります。
紫色だけは冠婚葬祭のどちらでも使えますので、社会人として一枚持つのであれば紫色がお勧めです。また香典はお通夜の会場で準備するものではありませんので、受付にそのまま渡せる状態にして袱紗に入れておきます。
お通夜の数珠について
お通夜には数珠が必要ですが、これは仏式のお通夜に限ります。数珠は仏教で仏様や菩薩様を拝む際にその力を媒介する法具であり、仏教以外では使われません。ただ日本ではお通夜のほとんどは仏教で執り行われますので、社会人になったら自分の数珠を持つことをお勧めします。
数珠は仏教では自分の物を持つことが相応しいと考えられていますが、出先からお通夜に向かったり、急いでいて数珠を忘れてしまった場合は、数珠がないままお通夜に参列をするよりは借りてでも数珠を持って参列する方が望ましいです。
数珠は正式な本連数珠と略式数珠があります。本連数珠は宗派によって色や珠の形、使い方が異なります。一般的には略式数珠を持っていれば問題はありません。現在では数珠の素材や色などが多種多様にありますので、自分が気に入ったものを選ぶとよいでしょう。
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