御仏前の書き方とは?意味や御霊前の使い分けについて解説

公開日 : 2021/1/21

更新日 : 2021/1/21

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御仏前は香典の表書きに使用される言葉です。耳にしたことはあっても、具体的な意味を知らないという方も多いのではないでしょうか。本記事では御仏前の意味や書き方についてご紹介しています。あわせて香典の書き方やマナーもご覧ください。

公開日 : 2021/1/21

更新日 : 2021/1/21

目次

「御仏前」とは?

御仏前は「ごぶつぜん」と読み、香典やお供え物の表書きの1つです。表書きには御仏前のほかに、「御霊前」や「御香典」などがあります。

 

御仏前の意味は、言葉通り「仏の前」です。前述のように、御仏前とは香典やお供え物の表書きです。香典やお供え物は、仏さまにお供えするための金品です。つまり御仏前とは、「仏さまへのお供え物」という意味を含んでいます。

 

「御霊前」との違いは?

御仏前と混同されやすい言葉に「御霊前」があります。御霊前も御仏前もともに表書きの1種です。よく似た言葉ですが、両者にはどのような違いがあるのでしょうか。答えは「使う場面が違う」というものです。

 

具体的には、「御霊前」は四十九日より前の弔事に用い、「御仏前」は四十九日以降の法要に用います。この使い分けには、両者の意味の違いがかかわっています。御仏前が「仏の御前」「仏へのお供え物」を指すのと同様に、御霊前には「霊の御前」「霊へのお供え物」という意味があります。

 

仏教では、人の魂は死後49日目までは霊として現世に留まると考えられています。そのため、故人の魂が霊として存在している四十九日までは「御霊前」の表書きを用います。一方、四十九日を過ぎると故人の魂は成仏し、極楽浄土にいくと言われています。

 

「成仏=仏に成る」という意味ですので、故人は霊ではなく仏様になったと考えることができます。そのため、四十九日以降の香典やお供え物には「御仏前」の表書きを使用するのです。

シーン別の「御仏前」と「御霊前」の使い分け

御仏前と御霊前は、弔事にあわせて使い分けが必要です。主な弔事の儀式と、使用する表書きについて簡単に見ていきましょう。

通夜・葬儀

通夜や葬儀は、故人が逝去して直近に行う儀式です。通夜は故人の逝去から葬儀まで、遺族が故人の遺体を守りながら夜伽を行うものです。邪悪なものが近寄らないように、遺族は一晩中夜通し線香やロウソクの日を絶やさないようにします。

 

葬儀は通夜の翌日に行う、故人との最後の別れの儀式です。葬儀の最中には僧侶によって故人に戒名が与えられ、これにより故人の魂は肉体から離れると考えられます。通夜や葬儀には、家族や親族のほか、故人の友人や知人が駆け付けます。あるいは小規模葬儀の普及により、近親者だけで家族葬を行うケースも増えています。

 

葬儀や通夜は故人の逝去後すぐに行います。故人は亡くなったばかりですのでまだ仏にはなっていません。そのため、香典やお供え物の表書きには「御霊前」を使用します。

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初七日

初七日とは故人の命日を1日目として、7日目に行う追善供養です。故人の家族や親族が集まって法要を営みます。故人の魂は、命日から7日毎に7回の裁判をあの世で受けると言われています。いわゆる閻魔大王の裁判です。

 

裁判の日に合わせて現世の人々が故人の供養を行うことで、裁判で問われる罪が軽くなり、故人の魂は極楽浄土に行くことができると考えられています。最近では初七日法要は葬儀に日に一緒に行うケースが増えています。

 

葬儀・火葬の後に初七日を行う場合は「繰り上げ法要」と呼びます。葬儀の中に初七日を繰り込む場合は「繰り込み法要」や「式中初七日」などと呼びます。初七日の香典は、初七日をいつ行うかにかかわらず、通夜・葬儀の香典と分けて準備します。この場合は四十九日を過ぎていませんので、表書きは「御霊前」を使用します。

四十九日

四十九日は故人の命日を1日目として49日に行う追善供養です。最近は参列者のスケジュールの都合などから、49日目ではなく、直近の週末や休日に前倒しして法要を行うケースが増えています。

 

四十九日は、死後7日ごとに行われる閻魔大王の裁判の最終回に当たる日です。四十九日の裁判が終わると、故人の魂は成仏し、地獄もしくは極楽へ生まれ変わります。現世の遺族は、故人が極楽に行くことを祈って、法要を行います。また、四十九日は遺族の忌が明ける節目の日でもあります。そのため、1つの区切りとして納骨式を行うことも多いです。

 

四十九日には故人の魂は成仏したと考えます。そのため、香典やお供え物の表書きには「御仏前」を用います。たとえ49日目より前に繰り上げて法要を行う場合でも、表書きは「御仏前」とします。

百箇日

百箇日は命日を1日目として、100日目に行う追善供養です。「卒哭忌(そっこくき)」と呼ばれることもあります。「哭」とは、遺族が故人を思って泣き悲しむという意味です。「卒」とは卒業という意味であるため、「故人の死を泣き悲しむのを止める」という意味があります。

 

最近は葬儀・弔事の簡素化から、百箇日法要を省略するケースも増えています。もし法要に招待された場合は、その他の法要と同様に香典やお供え物を持参します。すでに四十九日を過ぎているため、表書きは「御仏前」とします。

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一周忌

一周忌は故人が逝去した翌年の命日を指します。1周忌には法要を行いますが、最近ではスケジュールの都合などから、命日当日ではなく直近の週末や休日に法要が前倒しされることが多いです。

 

1周忌は故人の逝去から丸1年が経つ日です。この日を境に遺族の喪が明け、日常生活を送るようになります。また、一周忌を過ぎると、故人の死を悲しむのではなく、故人を偲ぶ段階に入ります。

 

一周忌法要は親族などの近親者で行うのが一般的ですが、故人の友人や知人を招いて盛大に行うこともあります。法要に参列する場合は香典やお供え物を持参します。表書きは「御仏前」を使用します。

三回忌などの年忌法要

三回忌は故人が逝去した年の翌々年に行う追善供養です。つまり一周忌の翌年に当たります。三回忌の次の法要は4年後の七回忌で、これらは年忌法要と呼ばれます。年忌法要は故人が逝去した年を1年目として数えていきます

 

これに対し、一周忌は故人の逝去から丸1年経った日に行います。一周忌と三回忌以降の年忌法要は、年数の数え方が異なりますので、混同しないように注意してください。三回忌は年忌法要の中でもとくに盛大に行われ、故人の親族のほか友人知人が招かれることも多いです。

 

七回忌以降は近親者のみで行われることが多いです。いずれの場合も、法要に参列する以上は香典かお供え物を持参するのがマナーです。四十九日を過ぎているため、表書きは「御仏前」を使用します。

四十九日以前でも「御仏前」を使うことがある?

一般的には、表書きの「御霊前」と「御仏前」は、四十九日前後で使い分けが必要です。しかし宗派によっては事情が異なります。たとえば浄土真宗では、故人の魂は死後すぐに成仏して極楽に行くと考えられています。

 

つまり、故人の魂が「霊」として存在する期間がありません。そのため、浄土真宗では、四十九日以前か以後かにかかわらず、表書きにはつねに「御仏前」を使用します。このように、表書きの使い分けは宗派によって異なります。もし分からないときは、先方やお寺に問い合わせてみるとよいでしょう。

「御仏前」は神道やキリスト教でも使える?

「御仏前」は「仏様の御前」という意味です。神道やキリスト教には仏様は存在しないため、もちろん「御仏前」を使用することはできません。そもそも香典とは「線香」の代わりという意味があるため、神道やキリスト教とは関係がありません。

 

しかし、神道やキリスト教の葬儀でも、仏式の香典と同じく現金を包むという風習があります。その場合、表書きはそれぞれに即したものを使います。神道の場合は「御玉串料」「御榊料」を用います。キリスト教は宗派によって異なりますが、一般的には「献花料」「御花料」などが用いられています。

 

また、「御霊前」は仏式・神道・キリスト教のいずれも使用が可能とされています。神道やキリスト教では霊魂の存在が認められているからです。ただし、宗派によっては使わないこともあるため、詳しくは先方に問い合わせておきましょう。

御仏前の書き方

御仏前の書き方でもっとも注意したいのが、墨の濃さです。香典は通常、筆や筆ペンで表書きや名前を書きます。このとき、御霊前を用いる四十九日以前には薄墨を使用するのが習わしです。薄墨を使用することで「涙で墨が薄まった」「突然の不幸で墨を摺る暇もない」といったお悔みの気持ちを表すことができます。

 

一方、「御仏前」を使用する四十九日以降の法要では、通常の濃さの墨を用います。四十九日以降は逝去から間が空き、法要への心構えができていると考えられるからです。墨の使い分けは表書きの使い分けと同じく重要なマナーです。

御仏前の相場とは?

御仏前すなわち香典の相場は、年齢や故人との関係性によって異なります。「御仏前」を用いるのは基本的には四十九日以降ですので、通夜や葬儀よりも金額が安い傾向にあります。具体的な相場については、以下の表をご覧ください。

故人との関係性

20代 30代 40代以降
両親 1~5万円 3~5万円 5万円~10万円
祖父母 5000~1万円 1~3万円 3万~5万円
兄弟姉妹 1万円~3万円 1万円~3万円 3万~5万円
おじ・おば 5000~1万円 5000~1万円 5000~3万円
甥・姪 5000~1万円 5000~1万円 5000~3万円
その他の親戚 3000円~1万円 5000円~1万円 5千円~3万円
友人・知人・恩師・会社関係者 3000円~5000円 3000円~1万円 5000円~1万円

 

御仏前の金額は、年齢が高く、故人との関係性が近いほど高くなります。生前親しく交流していた場合は、相場よりすこし多めに包むことが一般的です。

その他の御仏前のマナー

御仏前のその他のマナーを紹介します。以下に紹介するのは一般的な香典の書き方マナーでもあります。ぜひ参考にしてください。

のし袋の選び方

のし袋は白黒または双銀の水引がついたのし袋を選びます。一般的には1~3万円以下で黒白の水引を用い、5万円以上の高額を包む場合には双銀を用いるとされています。1万円以下の少額の場合は、水引が印刷されたのし袋を用います。いずれの場合も、水引の結び方は「結び切」あるいは「あわじ結び」です。

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筆記用具の選び方

香典袋の外袋には筆または筆ペンを使用します。墨の使い分けは前述のとおり、四十九日前は薄墨を使用します。「御仏前」の表書きを使用する四十九日以降は通常の濃さの墨を用いるのがマナーです。

書き方

香典袋には「表書き」「氏名」「金額」「住所」の記載が必要です。それぞれの書き方のマナーについて見ていきます。

表書きの書き方

表書きは香典の目録のようなものです。表書きを書く位置は香典袋の表側の上段の中央です。また、四十九日以前と以降で使い分けが必要であることは、すでに解説しました。四十九日より前に行われる通夜・葬儀・初七日などの香典には、「御霊前」を用います。

 

四十九日以降の法要に用いる表書きは「御仏前」です。ただし、浄土真宗では時期に関わらず「御仏前」を用います。その他にも表書きの使い方は宗派によって異なります。書き方に迷ったときは、先方やお寺に相談するのがおすすめです。

氏名の書き方

氏名は、水引を挟んで表書きの真下に書きます。あとで遺族が誰からの香典なのかすぐに判別できるように、必ずフルネームを書きましょう。夫婦連名で包む場合は、夫の氏名のみを書くのが一般的です。あるいは、夫の氏名を右側に書き、その隣に妻の名前のみを記す方法もあります。

中袋の書き方

香典袋の中袋には金額と住所を書きます。金額は中袋の表側に書きます。このとき、改ざんを防ぐために旧漢数字を用いるのが習わしです。同じ目的で、頭と末尾にそれぞれ「金」「圓(円)」と書きます。たとえば3万円を包む場合は「金参萬円」と書きます。

 

中袋の裏側には住所と氏名を書きます。氏名は裏側の下段の一番左です。その右隣りに住所を書きます。住所の番地や部屋番号には漢数字を用いますが、こちらは常用漢字でかまいません。なお、中袋の筆記用具にはボールペンを使用してもかまいません。

中袋がない場合は?

地域の風習や香典袋の種類によっては、中袋がないこともあります。その場合は、外袋の裏側に金額と住所を書きます。氏名は外袋の表側に記載しているため、この場合は省略します。

 

金額は外袋の裏側の下段の一番左に書きます。その右に住所を書きます。書き方のマナーは、中袋がある場合と同様です。

お札のマナー

御仏前を包む場合は、書き方だけでなくお札にも気配りが必要です。御仏前のお札のマナーについて見ていきます。

新札を使ってもよい?

御仏前」の表書きを用いる四十九日以降の法要には、新札を使用してもよいとされています。ちなみに、四十九日以前の通夜・葬儀などでは、新札を使うのはマナー違反ですので注意しましょう。

 

また、四十九日以降であっても、やはり弔事に新札を使うのはふさわしくないという意見もあります。そのため、厳密な決まりはないものの、四十九日以降の御仏前にも新札は使わないほうが無難です。新札しか手元にない場合は、折り目をつけて使用するのがおすすめです。

向きをそろえて入れる

お札を複数枚包むときは、すべて向きを揃えて入れるのがマナーです。また、香典としてお札を包むときは、「悲しみに顔を伏せる」として、お札の肖像画が香典袋の裏側・底に来るように入れる習わしがあります。

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渡し方のマナー

御仏前は受付で記帳したタイミングで渡すのが一般的です。受付がない場合は、喪主に手渡しすることが多いです。また、このとき、香典は袱紗か風呂敷に包んで持参しましょう。渡すときは表書きと氏名が先方の正面になるように回転させ、「どうぞお供えください」などの一言を添えるのがマナーです。

使い分けに注意しよう

御仏前をはじめ、香典の表書きにはシーン別の使い分けが必要です。故人と遺族への気持ちを表すためにも、書き方や渡し方のマナーを守りましょう。