神棚の正月飾りってどうするの?飾り方や期間について大解説
公開日 : 2021/1/14
更新日 : 2021/8/14
正月を迎えるとき、神棚も正月にふさわしい正月飾りをすることがあります。神棚に正月飾りをすることで、そこに宿る神様にも楽しく新年を迎え、過ごして欲しいからです。そこで、神棚の正月飾りや飾り方、期間などについて、詳しく解説します。
公開日 : 2021/1/14
更新日 : 2021/8/14
目次
神棚の正月飾りの準備
神棚の正月飾りをするためには、必要なものを揃えなければいけません。また、それぞれの飾りなどには大切な意味も込められています。 そこで、まずは神棚の正月飾りに必要なものやお供え物を紹介します。
神棚の正月飾りに必要なもの
正月を迎えるにあたって、神棚のために必要な正月飾りを揃えます。それぞれの正月飾りには大切な意味も込められていますので、その意味も含めて見ていきましょう。
しめ縄
神棚の正月飾りの代表的なものとして、しめ縄が挙げられます。しめ縄と聞くと、玄関先や車などに飾るものを想像する人もいるかもしれません。しかし、神棚の正月飾りとして使用するしめ縄は、多くの人たちが知っているであろうしめ飾りとは異なります。
神棚の正月飾りとして用意するしめ縄は、神社に取り付けられることが多いものと同じ形をしています。太いしめ縄に紙垂(しで)が飾られているものです。みかんが取り付けられたリボン型のものとは異なるので注意してください。
一口にしめ縄と言っても、いくつかの種類があり、その種類によって呼び方や名前が異なります。主なしめ縄の種類は以下の通りです。
- しめ縄・・・しめ縄の太さが左右同一のもの(一般的)
- 大根じめ・・・しめ縄の太さが左右で異なる
- ごぼうじめ・・・しめ縄の太さが細い
どのような形のしめ縄を神棚に飾るかは、地域によって異なります。ただ、一般的にしめ縄の太さが左右で異なるものは、向かって右側のしめ縄が太くなるように飾ります。
また、神棚の正月飾りとして使用するしめ縄は、神棚の上部に直接飾ります。玄関や車に飾ることはしないので、注意してください。
鏡餅
神棚の正月飾りとして、鏡餅も挙げられます。神棚が自宅にない家でも、正月に鏡餅を飾るところは一定数存在します。その場合は、玄関先や床の間などに飾ることが多いでしょう。
神棚が自宅にある場合は、お米の代わりに鏡餅を正月飾りとしてお供えします。神棚には通常、毎日ご飯をお供えしますが、その代わりに鏡餅をお供えするということです。
神棚の正月飾りの鏡餅の用意の仕方は、以下の通りです。
- 三方(さんぽう)や四方紅(しほうべに)と呼ばれる和紙を用意する
- 左右対称になるように裏白(うらじろ)を置き、その上に紙垂(しで)を置く
- さらにその上に譲り葉(ゆずりは)を置く
- その上に鏡餅を置き、昆布や橙(だいだい)を鏡餅の上に飾る
「2.」の裏白と紙垂はどちらか一方でも良いとされています。玄関や床の間に鏡餅を飾る場合と同様の形になります。
門松
神棚の正月飾りとして、門松もあります。門松は神棚がない家でも、玄関先や門の両側に飾りますが、これは神棚の正月飾りという意味も含まれています。
門松を玄関先や門の両側に飾るのは、歳神様に「正月の準備が整いました」という合図を送るためです。「準備はできていますので、いついらしてくださっても大丈夫です」と歳神様に伝えています。
神棚の正月飾りに必要なお供え物
神棚には、食事などを普段からお供えします。しかし、正月飾りとして特別なお供え物を準備する必要があります。 具体的な正月飾りに必要なお供え物を、その意味と合わせて解説します。
御神酒
神棚の正月飾りとしてのお供え物として、御神酒(おみき)が挙げられます。御神酒とは神様にお供えするお酒のことで、日本酒のことを指しています。
神棚にお供えする御神酒は「神饌(しんせん)」と呼ばれ、特別な日にお供えする食事の一つです。御神酒をお供えすることでそこに神様の力が宿ると考えられていました。
神棚にお供えする御神酒は、正式には「白酒」「黒酒」「清酒」「濁酒」の4種類とされています。しかし、これらすべてを揃えるのは困難を極めるため、現在は清酒と呼ばれる日本酒のみをお供えすれば良いとされています。
なお、「白酒」「黒酒」「清酒」「濁酒」はそれぞれ以下のような酒のことを指しています。
- 白酒
中国発祥の蒸留酒。トウモロコシ、ジャガイモ、サツマイモなど穀物を原料とする。 - 黒酒
新嘗祭(しんじょうさい)や大嘗祭(だいじょうさい)で、神様にお供えする酒。甘酒にクサギという植物を焼いた灰を入れて黒くする。 - 清酒
日本酒のこと。 - 濁酒
どぶろくのことで、日本の伝統的な酒。「濾す(こす)」という工程を行っていない。
尾頭付きの魚
神棚の正月飾りとして、尾頭付きの魚もお供えします。頭や尻尾を落としたものや切り身はタブーとされ、必ず尾頭付きの魚が良いとされています。
尾頭付きの魚をお供えするのは、大漁の喜びと「これからも大漁でありますように」という願いが込められているからです。神様にお供えする際、あまり人の手が入らない方が良いとされています。そのため、尾頭付きの魚をお供えするのです。
なお、「尾頭付きの魚」と聞くと鯛をイメージする人がいるかもしれません。しかし、「大漁」を意味するものなので、特に鯛である必要はありません。好きな魚を尾頭付きにしてお供えすると良いでしょう。
季節の野菜や果物
神棚の正月飾りとして、季節の野菜や果物もお供えします。季節の野菜や果物をお供えするのは、「豊作」の意味があるからです。
近年では、季節に関係なくさまざまな野菜や果物が手に入ります。そのため、好きな野菜や果物をお供えするところも多いようです。
昔は、季節から外れた野菜や果物は手に入らなかったため、冬に入手可能なものをお供えしていました。そのため、季節にまつわるものをお供えした方が良い、と考える人もいるようです。
しかし、神棚の正月飾り用のお供え物として、必ず季節にちなんだ野菜や果物ををお供えしなければいけないという決まりはありません。好きなものをお供えしても問題ないので、安心してください。
神棚の正月飾りの期間
神棚の正月飾りには期間が存在します。特に飾り付け開始の期間については、厳密な決まりがあるので注意が必要です。 ここでは、神棚の正月飾りの準備期間から正月飾りを取り除くタイミングまでを、それぞれ詳しく解説します。
大晦日までに必要なものを揃える
上記の見出しで、神棚の正月飾りとして必要なものを紹介してきました。これらは、正月までに必ずそろえておく必要があります。なぜなら、正月飾りを開始するタイミングがあるからです。
昔は自分で作ることも多かったため、かなり早い時期から正月飾りの準備に取り掛かっていました。しかし現在、正月飾りの中には、早くから揃えようと思っても入手できないものも多くあります。
遅くとも大晦日までには、必要なものを揃えておきましょう。あまりぎりぎりになってしまっても良くないので、店頭などで正月飾りの売り出しが開始されたと同時に、少しずつ揃えていくことをおすすめします。。
いつから飾り始めるのか
神棚用を含めた正月飾りは、12月に入ると店頭に並び始めます。そのため、手に入ったタイミングで正月飾りに取り掛かるところもあるようです。
厳密には、正月飾りは12月13日以降なら、いつから飾り始めても良いとされています。12月13日は、正月事始めと呼ばれており、歳神様をお迎えする準備をスタートさせる良い日とされているからです。
近年では、日本でもクリスマスをお祝いするところが多くなっています。12月13日から正月の準備を始めるとクリスマスと一緒になってしまうため、ちぐはぐな印象を与えがちです。そのため、12月26日以降から飾り始めるのが一般的とされています。
また、12月26日以降から正月の準備を始めるのなら、神棚などの正月飾りは12月28日か30日が良いとされています。28日は末広がり、30日はキリが良い日なので縁起が良いと考えられているからです。
ちなみに、正月を迎えるにあたって大掃除も行いますが、これも歳神様をお迎えする大切な準備の一環です。神棚の掃除も含まれていますので、正月飾りを行う前に丁寧に掃除を行いましょう。
お正月飾りを飾ってはいけない日
神棚を含めたお正月の準備やお正月飾りは、正月事始めの12月13日以降ならいつでも良いと解説しました。しかし、12月13日以降の中でタブーとされる日があります。
お正月の準備やお正月飾りを行ってはいけない日は、12月29日と12月31日の2日間です。これにはそれぞれに理由があります。
12月29日は、29日が「にじゅうくにち」と読み、「二重苦」を連想させるため、縁起が悪いとされています。本来、おめでたいはずの飾り付けや準備を、「二重苦」を意味する日に行うと、苦しみが訪れてしまうと考えられているのです。
12月31日は、「一夜飾り」になってしまうので縁起が悪いとされています。歳神様に対する誠意に欠けるという考え方があるからです。また、一夜飾りには葬儀の準備を連想させるという理由もあります。
神棚の正月飾りを外すタイミング
神棚などの正月飾りを片付けるタイミングはいつが良いのでしょう。これは、関西と関東で異なります。
もともとは小正月を意味する1月15日までが正月とされ、1月16日以降から片付け始めるのが一般的とされていました。しかし、関東では江戸時代に大きな火事が起こったという歴史があり、それ以降は1月7日までを正月とし、8日以降から片付け始めます。
近年では、生活スタイルなどの理由もあり、関西でも関東でも1月7日までを正月とし、8日以降から片付け始めるところが多くなってきています。七草がゆを食べる1月7日までが正月と考える人が増えてきているのも、理由の一つとされています。
神棚の配置や正月飾りの飾り方
神棚などの正月飾りはどのように飾れば良いのでしょう。正しい飾り方というものがあるので、その通りに飾った方が良いとされています。 ここでは、正月飾りの飾り方についてはもちろん、神棚の配置についてもあわせて解説します。
神棚を祀る正しい配置場所
神棚の正月飾りの飾り方を知る前に、先に神棚を正しい配置場所に祀る必要があります。神棚はどこに祀っても良いというわけではないのです。
神棚は東または南向きに配置するのが良いとされています。これは太陽の方角が関係しているからです。また、天皇などのような身分や地位が高い人は南を向くという説も関係しています。
また、神棚は目線よりも高い位置に配置します。見下ろす位置はもちろん、立った時の目線の位置と同等の場所であっても、神棚に対しては失礼にあたります。ただ、あまり高すぎると掃除などの場合に危険なこともあるので、高さは考えてください。
さらに、神棚はその家の一番高い場所に配置するという習わしがあります。神棚を配置する部屋が1階の場合は、神棚の天井部分に「天」や「雲」と書いた紙を貼っておきましょう。
神棚に飾るものの配置
神棚には、御札・神具・お供え物などを飾ります。これらにも厳密な配置場所が決められています。
御札は神棚の中に飾ります。通常、3枚の御札を神棚の中に飾りますが、真ん中には天照皇大神宮の御札を配置します。そして、向かって右側に氏神様、左側に崇敬している神社の御札をそれぞれ配置するのが一般的です。
神具には、お米などをお供えするための皿、水を入れる水玉や水器、高坏(たかつき)、榊(さかき)を飾る榊立などがあります。真ん中に水玉や水器を配置し、奥に高坏、手前に皿を配置します。そして両脇に榊立を置きます。
また、神鏡を飾ることもあります。その場合は、天照皇大神宮の御札の前に神鏡を配置します。
お正月飾りの飾り方
神棚のお正月飾りにも正しい飾り方があります。ここでは、御神酒、鏡餅、しめ縄、門松の飾り方について解説します。
神具の中に瓶子(へいじ)というものがあります。これはお酒を入れるための神具で、この瓶子に御神酒を入れてお供えします。配置は、水玉や水器の奥、高坏と対象の位置です。
鏡餅はお米の代わりにお供えするものです。ただ、皿の場所に配置することは難しいので、鏡餅は神棚の向かって右側に飾るのが一般的です。
しめ縄は、神棚の前面に飾ります。しめ縄の左右の太さが異なる場合は、向かって右側が太くなるように飾ります。
門松は、神棚に飾るのではなく、玄関先や門の両側に飾ります。門松は、歳神様に準備ができたことを告げる合図のようなものなので、すべての準備ができた最後に飾ります。
神棚やお正月飾りの豆知識
神棚やお正月飾りには、タブーや地方によって特別な神様をお祀りすることがあります。これらは豆知識として知っておくと良いでしょう。 知っておくと便利な豆知識を紹介します。
神棚の上に写真を飾ってはいけない
神棚と一緒に亡くなった人の写真を飾ることがあるかもしれません。この時、神棚の上に写真を飾ることはタブーとされています。
神棚は神様にとっての依り代です。その依り代の上に写真を飾ってしまうと、その写真の人物は神様よりも上の地位にあるということになり、神様に対して失礼にあたります。
神棚と写真を一緒に飾る場合には、写真は神棚よりも下に飾りましょう。ただし、神棚は神様の家という考え方があるので、写真を同じ部屋に飾るのは良くないという考え方もあります。できることなら、別の部屋に写真を飾った方が良いでしょう。
宮城県ではお正月様を神棚の周りにお祀りする
宮城県では、お正月様(おしょうがつさま)と呼ばれる御神像を神棚の周りにお祀りするという風習があります。お正月様と呼ばれている御神像は以下の通りです。
- 事代主神(ことしろぬしのかみ)・・・恵比須様
- 宇迦御魂神(うかのみたまのかみ)・・・五穀豊穣の神
- 大年神(おおとしのかみ)・・・歳徳神
- 大国主神(おおくにぬしのかみ)・・・大黒天
配置の仕方や並べる順番などについては、地域によって異なります。これらの御札は神棚の中ではなく、神棚の左右にお祀りします。
神棚や正月飾りを正しく飾ってお正月を迎えよう
正月は歳神様を自宅にお迎えする特別な日です。神棚は神様の依り代であるため、正月には特別な正月飾りやお供え物をします。 正月飾りやお供え物には正しい飾り方や配置場所があるので、それらを守って神様に気持ち良くお正月をお迎え頂いてください。
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