墓石文字の基本的な知識について紹介|宗教や宗派による違いも解説のサムネイル画像

墓石文字の基本的な知識について紹介|宗教や宗派による違いも解説

墓石に名字や名前を彫る墓石文字の習慣ができたのは明治以降の共同墓地が建造されるようになってからです。以下では、墓石に文字を彫る際に抑えておきたい基本的な知識や墓石に文字を彫る方法について。併せて宗教や宗派ごとに彫る文字の傾向等について解説していきます。

公開日 : 2020/12/10

更新日 : 2021/01/28

目次

墓石に文字を入れる習慣はいつから

墓石に名字や名前を彫る墓石文字の習慣ができたのは明治以降の共同墓地が建造されるようになってからです。それ以前は、墓石は基本的に個人や夫婦の為のものでした。しかし、明治中期以降は家制度の確立されたことで、家単位で建立される習慣が定着していきました。

 

そのため、正面には以前は故人の戒名を彫っていたものから、「○○家之墓」といった形式に変わっていきました。このように、告別や葬送から火葬、開眼法要やお墓参りの法要の際に、相続する喪主や施主をはじめとする親族が、どれが誰のお墓なのか分かるよう、お墓の石碑に家名や名前、題目を刻むことが一般的となっています。こちらが、墓石に文字を入れる習慣が始まった経緯です。

墓石に彫る文字に関する基本的な知識を紹介

ここでは、墓石に彫る文字の書体について。さらに、彫る文字の字数ごとに最適な文字等や墓石に彫ってはいけない文字をはじめとする墓石に彫る文字に関する基本的な知識を紹介しています。まずは、こちらの基本的な知識を抑えていきましょう。

墓石に彫る文字の書体に決まりはない

基本的に、お墓に刻むときの書体に決まりはありません。書体は、日常で使うような「楷書体」。そして、崩し文字とされている「行書体」。さらに、行書よりももっと崩した「草書体」。その他にも中国由来の「隷書体」の様に様々です。

 

この中から、どの書体を選んでも問題はありません。ただし、近年の傾向としては、誰でも読みやすい「楷書体」や「行書体」を選ぶ人が増えてきています

彫る文字が一文字の場合について

墓石に彫る文字が一文字の場合、遺された人への印象的なメッセージとなる、自分の思いを込めた文字を選ぶことが通例です。代表例としては、「心」「愛」「絆」が挙げられます。その他にも、「縁」「和」「夢」「空」「願」「幸」等の文字が代表的です。

彫る文字が2文字以上の場合について

墓石に彫る文字が2文字以上の場合、一文字よりももっと具体的な意味を込めるケースが大半です。具体的には、 故人の人柄を表す文字やメッセージを表す文字が一般的です。代表例としては、「誠実」「希望」「一期一会」が挙げられます。その他にも、「ありがとう」「感謝」「悠久」「自然」「洗心」等の文字が代表的です。

彫る文字が1つの句の場合について

彫る文字が1つの句の場合、故人からのメッセージかやお墓を建てた家族からのメッセージが墓石に彫る文字として選ばれることが通例です。具体的な文字としては、「心やすらかに」や「また会う日まで」が挙げられます。その他にも、「いい人生、いい旅立ち」「会いに来てくれてありがとう」等が挙げられます。

一般的に墓石に彫る文字は「正字」

一般的に、墓石に彫り込む文字は「正字」が使われます。こちらの「正字」とは、「正規文字」のことを表しています。正字は「略字」や「俗字」に対し、正当に記載される文字という意味があります。

 

「灯」を使って、具体的に解説していきます。まず、「灯」は正しい漢字です。しかし、こちらは新字体であり「正字」ではありません。 「灯」の「正字」とは、「燈」です。このように、普段意識することなく使っている字体も、実は「正字」ではない可能性があります。

 

この点は、墓石に文字を彫る上で注意したいところです。ただし、近年では、自分の書いた文字をそのままトレースして刻むオリジナルなお墓も出現してきています。このような形式のお墓を採用する場合は、「正字」であるかどうかはそれほど気にする必要はありません。

棹石の側面や裏面に戒名や没年を彫る

和型の家墓の墓石の場合、埋葬される人の戒名や没年月日。さらに、俗名や享年を棹石の側面に彫り込んでいきます。 この時、どこにどのような順で刻むかは宗派や地域次第で異なります。

 

一般的には、向かって右側面の右側から順に彫り込んでいくケースが多いそうです。仮に、 敷地に余裕があれば墓誌を建ててそこに刻むケースもあります。 ただし、俗名は、生前の姓名のために、煩悩に満ちているという理由から墓石に刻まないという考え方もあります。この点は、石材店に確認してください。

棹石の左側面や裏面に建立者名や建立年月日を彫る

墓石には、建立者名や建立年月日等の文字も彫ります。文字を彫る際に、棹石は仏石なので避けてください。この場合の最適な場所は、上台石左側面に彫ることだとされています。

 

一方で、上台石側面が狭いという理由で、棹石の左側面や裏面に刻むケースも多いそうです。この場合、 建立年月日は「〇年〇月吉日」や埋葬者の回忌、法要などの年月日にします。 そして、年は和型の場合は元号で表します。一方、洋型の場合は西暦で表します

墓石に彫ってはいけない文字とは

墓石に彫ることがNGとされている文字もあります。例えば、著作権が絡む言葉は、法的にNGとなるケースがあります。代表的なものは、歌詞です。少し前に流行した歌のにおける歌詞の一部を彫るケースが多発していました。

 

しかし、このように歌詞の一部を墓石に彫る文字に引用する行為は、仮に正規の手続きを済ませていない場合は、著作権法違反の対象となる可能性があります。そのため、歌詞等を墓石に彫る文字引用する場合はくれぐれも、注意してください。

彫る文字の誤字には注意する

墓石に一度を文字を彫り込んでしまうと、場合によっては修正することは不可能です。そのため、墓石に文字を彫る際には、必ず石材店と文字や書体に間違いがないかをきちんと確認してください。書面でやり取りしている段階で、複数回に渡って確認しておくことで、作業開始後のミスを減らすことが可能です。

形式による墓石の文字の違い

墓石に彫る文字は、形式で変わります。ここでは、和型の墓石に彫る文字と洋型の墓石に彫る文字について。併せて、デザイン墓の墓石に彫る文字について解説していきます。そして、故人の象徴である墓石に彫る文字は、お寺や霊園で、ある程度の決まりがある場合と、自由な場合があります。そのため、事前に形式を確認をしておく必要があります。

和型の墓石文字

和型のお墓は代々墓と呼ばれるように、先祖から永代にわたり家族の皆が入るお墓が一般的です。そのため、「○○家之墓」や「○○家先祖代々之墓」「○○家先累代之墓」のように、名字を墓石の縦長の竿石の正面や中央に彫るのが通例とされています。

 

ただし、近年では「家」という概念が希薄になっている影響もあってか「先祖代々」や「累代」の文字を省いた後に、和型墓石には「○○家之墓」「○○家」のような家名表示を掘ることが多くなっているそうです。

 

さらに、宗教や宗派次第によっては「南無妙法蓮華経」や「南無阿弥陀仏」等の文字を墓石に彫ることもあります。このような宗派別の題目を掘る場所に決まりはありません。ただし、墓石の形状や見栄えを重視して決めることを推奨しています。

洋型の墓石文字

洋型の墓石は、台石の上に横長の石が乗り全体的に横に長く背が低い形が大半です。そのため、墓石に掘る文字も1文字から3文字の間で収まるような短いものが大半です。例えば、横に長い洋型の場合は、好きな文字、言葉などを自由に選んで刻むことが多いとされています。

 

また、故人に対してやその遺族に対して伝えたい想いを「ありがとう」や「やすらかに」等のメッセージとして墓石に掘ることもあります。さらに、「絆」や「心」といった1文字を墓石に掘るケースもあります。

 

この場合、彫る場所は決まってはいない場合は、墓石の形状に合わせた見栄えが良くなる様な場所に文字を彫ることが通例です。

デザイン墓の墓石文字

デザイン墓石は、形式や固定観念に囚われていない文字から落ち着いた文字の形式までを含て、その形式は様々です。故に、デザイン墓に刻む文字の傾向としては、墓石形状に依存してしまう傾向があります。

宗派別墓石の文字の傾向とは

墓石に彫る文字は、宗教や宗派ごとに一定の傾向があります。以下では、浄土宗や浄土真宗から曹洞宗や神道までの代表的な宗教や宗派における墓石の文字の傾向を紹介していきます。

浄土宗の墓石文字について

浄土宗を信仰しており、墓石に文字を刻む場合は、墓石の正面の頂部に「阿弥陀如来」を表す梵字を彫り込みます。その他にも「南無阿弥陀仏」や「倶会一処」と刻む場合もあります。ちなみに「倶会一処」とは、亡くなった人は全て菩薩様と1つの浄土でお会いすることができるよいう意味を表します。

浄土真宗の墓石文字について

浄土真宗を信仰している場合、墓石の正面には「南無阿弥陀仏」や「南旡阿弥陀仏」のように彫り込みます。他にも、浄土宗と同様に「倶会一処」や「○○家総廟」のように彫り込むケースもあります。

真言宗の墓石文字について

真言宗を信仰している場合は、宗祖の空海に帰依するという意味の「南無大師遍照金剛」を彫り込みます。さらに、 大日如来を表す「ア」の梵字を入れた後に「○○家先祖代々」のように彫り込むことも一般的な方法とされています。

天台宗の墓石文字について

天台宗を信仰している場合、本尊の阿弥陀如来に帰依することを表す「南無阿弥陀佛」と彫り込みます。さらに、梵字を入れた後に「○○家先祖代々」のように彫り込む方法も良くある方法です。

 

ちなみに、「梵字」とは、仏教の原始経典に使われた言葉であるサンスクリット文字のことを指しています。この 梵字を墓石に彫る場合は、阿弥陀如来を表す「キリーク」。または、大日如来を表す「ア」を彫るようにしましょう。

日蓮宗の墓石文字について

日蓮宗を信仰している場合、信仰対象の経典である法華経に帰依するという意味を表す「南無妙法蓮華経」を墓石に彫り込みます。墓石に文字を彫り込む際、ひげ文字と呼ばれる、独特な書体を使うのが通例です。 他にも「妙法」という文字をひげ文字で入れた後に、「○○家先祖代々」を彫り込むケースもあります。

曹洞宗(臨済宗)の墓石文字について

臨済宗や曹洞宗を信仰している場合、本尊であるお釈迦様に帰依するという意味の「南無釈迦牟尼佛」という文字を墓石に彫り込みます。この時、円相を表す「○」を入れた後に「○○家先祖代々」という文字を彫り込むことが通例です。

 

ここでいう「円相」とは、悟りや宇宙などこの世の心理と呼ばれるものを端的に円で象徴させたものを表しています。

神道の墓石文字について

そもそも神道の墓石は、仏教の墓石とは異なります。その形は細長い角柱型でになっており、頂上部は四角錐の形状です。そして、墓石には、「○○家奥津(都)城」という文字を彫り込みます。

墓石文字の彫り方の形式を紹介

墓石に文字を彫る際の主な彫り方は、以下で紹介している5つあります。5つの方法はどれも、文字が持つ印象を全く異なるものに変化させます。つまり、文字の彫り方ごとの違いで変化する墓石の文字の印象について解説していきます。

彫り込みとは

1つ目の、墓石文字の彫り込み方は「彫り込み」です。こちらの形式は、最もスタンダードな彫刻方法とされています。 この形式の特徴としては、くっきりと文字が浮かび上がってくるところです。中でも筆を置く地点を深く彫り込まれているため、とてもメリハリのある文字になります。 

浮かし彫りとは

2つ目の、文字の彫り込み方は「浮かし彫り」です。こちらの形式は、文字部分を彫るのではなく、文字の周囲を削って文字を浮き立たせる方法です。そのため、 文字部分にペンキを入れるといった工夫をすることはなく、容易に文字を際立たせることが可能です。

平彫りとは

3つ目の、文字の彫り込み方は「平彫り」です。こちらの形式は、筆を置く地点などで堀の強弱をつけることなく、平らに彫る方法です。そのため、 迫力は出しにくい形式であるものの、スッキリな印象かつたおやかな印象を与えることができます。

ヤゲン彫りとは

4つ目の、文字の彫り込み方は「ヤゲン彫り」です。こちらの形式は、V字の彫刻刀で彫り込む方法です。この様な彫り込み方のため、文字の中央にはスジが入ります。そのため、 梵字を彫り込む際に、よく用いられています。

線彫りとは

5つ目の、文字の彫り込み方は「線彫り」です。別名、スジ彫りとも呼ばれています。こちらの形式は、細く線の部分を彫り込む方法です そのため、墓石に彫る文字ではなく、その周りに絵を彫る際に用いられることが良くあります。このように、線彫りは繊細な表現が魅力的です。

墓石に彫る文字の彩色とは

お墓を建てる地域次第では、墓石に刻んだ文字に彩色する地域もあります。該当する地域にお墓を建てる場合、生きているうちに建てたお墓の「寿陵」では、文字を朱で塗ります。また、故人を祀ったお墓で建立者が生存中の場合は、建立者名は朱で塗ります。

 

さらに、名号など仏を表す文字は金色、その他の文字は濃紺に塗ることが通例です。ただし、これらの通例は地域による違いもあります。例えば、文字を刻んだまま何も塗らないお墓や、好きな色に塗るケースもあります。

基本的な知識を抑えて、墓石に文字を彫りましょう

ここまで、墓石に文字を彫る際に抑えておきたい基本知識の紹介から宗教や宗派ごとの彫る文字の傾向の違いについて。さらに、彫る方法の違いで異なる墓石の文字の印象について紹介してきました。ここで紹介した内容を基に、最適な方法で墓石に文字を彫りましょう。